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斧寺空美の溜息」(2018/04/11 (水) 15:43:58) の最新版変更点

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**斧寺空美の溜息 「さて、何から手を出していこうかな」 二百メートル先の怪しげな島を前にこれから具体的な方法を練っていく。 氷の橋を造って行く際に必要なこと、もの、条件。 どれから手を打っていくか。 (やっぱり人は欲しいかな) だがゲーム開始から既に6時間以上彼女は誰とも出会っていない。 どんな人が参加して、誰がどうなって、誰がどうしているのか。 そういうアドバンテージが大きく劣っている。 既に退場してしまった尾ノ上やもえぎの方がまだバトルロワイアルの情報を得ていた気さえする。 「でも雪がある。これはついている」 資料館などで読んだ北海道を開拓する時に造られた氷橋。 そんな時代というのを考慮して材料になるのを予想する。 (藁とかかな。でもそんな物この島にあるの?) 少なくとも彼女のデイパックにも、辺りにもそんな都合のいい物は周囲にない。 (でも逆に考えて?この現代日本の技術があるなら代用出来るのも何かあるはずよ?) 読んだことはあるが、いまは使われない技術。 資料からそれをいますぐ思いつけとなると東大の頭でももう少し時間が掛かりそうだ。 (それにワイヤーでなくてもロープでもいいし……) 逆に現代の物を原始の物でも代用できるのだ。 知恵を振り絞っていかなければならない。 ――そこまで彼女の思考が辿り着いた時、ようやく彼女は最初の参加者との邂逅が始まる。 ◆ 「ちっくしょう、また一瞬で雪の降っていやがる場所に出ちまった!なんなんだよクッソ!」 折角雪の降っていないステージを抜けた鯖木であったが、ものの10分歩いただけでまた雪のある背氷村に辿り着く。 不動高校、獄門塾、錬金術館といくらでも雪の降らないステージがあるのに、むしろ雪の降るステージの方が少ないのに完全に雪男である。 「引き返すか……」 そう思った時、ある発見をした。 !? 「なんだ、あの島?」 ポツンと島が数百メートル先に浮かんでいるのだ。 これは大きな情報ではないだろうか。 「近付いてみるか……」 もしかしたら雪の幻覚でそう見えるだけかもしれない。 そういう可能性もあるのでその島をもっと大きく眺められる地点を探すため崖にそって歩く。 ――そして、謎の島に惹かれた者同士が邂逅を果たす。 ◆ (うわー、確かあの人って……) 斧寺は事件に巻き込まれて鯖木という男を知った。 作中で1度も会話をしている様な描写がないので斧寺自身彼をどう思っていたのかわからない。 だが、会話をしたくない程嫌悪していた可能性もある。 割と鯖木が死んだ際もドライだったし、好意なんか微塵もないと思っていいだろう。 一応だが「なーんてね」ニコのシーンでは鯖木は死んでいないので鯖木が生存していることには疑問は沸いていない(単行本金田一少年の事件簿R第1巻で「なーんてね」のわずか15ページ後に鯖木が殺害されるのであるが)。 「おう、そこの姉ちゃん」 参加者とはなるべく出会わない方針の鯖木であったが目が合ったのでは仕方ない。 さっきのおばさんみたいに襲ってくるわけでもないので話しかけてみる。 だがエンペラーが紛れ込んでいる疑惑は晴れていないので信用なんかは絶対にしないと心に誓っている。 (ん?) この鯖木の態度に違和感があった。 まるで本当の初対面であるかの様である。 島に来る直前まで同じコテージに居たのに、だ。 「あれ?まるで初対面みたいな声を出しますね?」 図っているのか? 黙っているより単刀直入に探りを入れた。 「初対面みたいなってか初対面だろ、俺はお前みたいな奴はしらねーしお前は逆に俺のこと知ってんのかよ?」 「詳しくないけどあなた『鯖木海人、無職、趣味はパソコン――以上』とか言ってたわよ」 「は、はあ!?」 そんな記憶、鯖木にはなかったがでも本名も現在の情けない姿も当てはまっていた。 「てめえ、まさかエンペラーって奴か!ああ!!」 「むしろそのエンペラーって奴に牙を向こうとしているところよ」 こんな男に言ってしまっていいのだろうかと思ったのだが、彼もあの島に疑問を持っていたのでそこそこ使えなくもなさそうだし情報交換をしていこうと思ったのだ。 「い、意味わかんねーし!俺の名前知っていることの疑問を晴らしてねーし」 こっちはこっちでびびっているし使えるのかこの男は? 「スキーリゾートで堂々とみんなの前で自己紹介していたじゃない?」 「ああ!?なんで俺が明日にそれに行くことを知ってやがる」 「……」 どうも噛み合っていない。 でも嘘を言っているわけでもなさそうだ。 (つまり私は未来人なわけだ) 流石は東大出身の斧寺は連れられた時間軸がバラバラだということに一瞬で辿り着いた。 ――信じられないものを信じられないで片付けたら真相なんて見えないよ! なーんてね。 ◆ 「時間軸がバラバラwwwテラワロスwww」 (やっぱり嫌いだこの人……) わざわざ説明したのに信じてすらいなかった。 (な、なんだよそのSF!?ふっざけんなよ、んだよこれ!?) だが内心では鯖木は怒りと不安が襲っていた。 そういえば多岐川かほるとかいう既に死んでいたと認識していた人物が自分を殺しにきたことを考えた場合……。 (やべえ、やべえよエンペラー……、死んでる奴まで復活させられるのかよ……。あれ?それとも天国、いや地獄なのかこれは!?) そうなるといくらネット環境があっても炎上させられないのではないかと不安になる。 (炎上のプロとして炎上させてやる!!) 何がなんでも生還してやると鯖木は燃えていた。 ◆ 「お互い支給品を教え合いましょう」 「は、はあ!?み、みせるわけねーだろ」 斧寺からの提案、もちろん脱出に使えそうなものを持っていないかの確認をしたい為である。 だが、鯖木にとって支給品はどれもハズレばっかり……。 命の危険があるのだ、丸腰なのを悟らせてはいけない。 だが、ここから斧寺の東大生ならではの交渉術、別の名を誘惑が始まる。 「私は絶対にあなたを襲いません。それを踏まえて考えてくださいね」 「は、はあ」 「1万円」 指を1本上げる。 「無理に決まってんだろうが!」 まあ、安い。 そうだろうなと思う。 「即金します、それを踏まえて考えてね、その10倍」 「はあ!?」 「では10万の5倍でどうでしょうか?」 鯖木の手には1万円札50枚が。 斧寺には鯖木の支給品の情報が手に入った。 (つかえねー) 正直10円の価値もない支給品であった。 だが、鯖木が多岐川かほる本人なのかはわからないがそう名乗るミステリー作家に襲われて自滅したことを知った。 (まさかあんなルールで人を殺そうとするおバカな人がいるなんてね……。でも案外私未来人って当たってる?) 鯖木から補足され3億円事件の犯人一味で亡くなっている人物であるはずという情報ももらっていた。 (この情報含めても合計10万円の価値といったところかな……) つまり40万赤字。 死んでいる者より生存している者の情報が欲しい。 こうして情報交換を終えた2人は別れた。 斧寺的に鯖木はお眼鏡に適わなかったらしい。 ◆ 2人を襲おうとする影が1つあった。 (だが2対1では分が悪いか) どちらかが別れたら片方に襲って命を奪おうとする殺人者であった。 その手は既に赤く塗られている。 カルロッタを殺すか。 ジョゼフ・ビュッケを殺すか。 残念だがここにはシャンデリアがない。 だが、手にはロープがある。 ならば殺すのはジョゼフ・ビュッケだ! ――そして断絶した片方の男に近寄っていく。 「う、うああああああああ」 鯖木の悲鳴が別れたばかりの斧寺の耳に届く。 急いで、かつ姿を隠してその場に駆け寄っていく。 そこには怪人ファントムに襲われて追いかけられている鯖木の姿がある。 斧寺は鯖木の命はどうだっていい。 ちょっとだけ心が痛むが。 しかし――。 (あのロープ欲しいなあ……) ものすごく氷の橋を造る際に役に立ちそうだ。 人を殺すとかいう馬鹿みたいな使い方よりもっと有用な使い方な筈だ。 斧寺に握られた日本兵が扱っていた銃剣が鈍く光る。 (飛び出す?飛び出さない?どっちが私にとって有用?) 飛び出すメリット、ただ非情になって見殺すメリット。 飛び出すのなら2人の命はなるべく落とさない形で、絶対にあのロープだけは回収するぐらいの意気込みがなければいかない。 時間の問題で鯖木も逃げ回っているが、捕まる可能性もあれば逃げ切れる可能性もある。 一般人の東大生の前に難しい問いが投げかけられていた。 あまりの難しさに溜息が1つ。 【一日目/早朝/背氷村@雪夜叉伝説殺人事件】 【斧寺空美@雪鬼伝説殺人事件】 [状態]健康 [装備]萩元殺害時に使われた銃剣@墓場島殺人事件 [所持品]基本支給品一式、身代金2950万円(元は3000万円)@白銀に消えた身代金 [思考・行動] 基本:殺し合いから脱出する。 1:頃詩哀島から二百メートル先に島を発見。 主催があの島にいると思われるので、そちらに渡る。 2:脱出プランを練り、より多くの人間を脱出プランに参加させる。 3:首輪を解除する。 4:ファントムの持っているロープが欲しい。 [備考] ※参戦時期は、「なーんてね♪」って言った後。 ※脱出には、全長200mの形状記憶合金製ワイヤーのようなものや、サーカスの軽業師、氷橋が必要だと考えています。 ※このロワには首輪がないので、エア首輪解除をする予定です。 ※ある程度参戦時期にばらつきがあることを思い付きました。 ※鯖木のこれまでの動向、支給品をある程度把握しています。 ※「それって売ってすぐお金に換えることできるかなー」という発言があるので案外お金にドライなところがあります。 ※現在40万円赤字(斧寺目線)しているのでいずれ黒字にまで持っていくつもりです。 【鯖木海人@雪鬼伝説殺人事件】 [状態]怒り、恐怖 [装備] なし [所持品]基本支給品一式、双子姉妹探偵@蝋人形城殺人事件、S・Kのイニシャルキーホルダー@悲恋湖伝説殺人事件、身代金50万円 [思考・行動] 基本:『災厄の皇帝(エンペラー)』及び観月旅行者及び小説家多岐川かほるの炎上。 0:炎上させこのロワイアルを終わらせる。 1:ネット環境のある場所へ行く。 2:『災厄の皇帝(エンペラー)』は参加者に紛れ込んでいると疑っている為人は信用しない。 3:誰か助けて……。 [備考] ※参戦時期は、雪鬼伝説殺人事件に巻き込まれる前。 ※外部連絡が通じないということが頭から漏れています。 ※金田一世界の事件をある程度一般人が調べられる範囲で知識があります。 ※リーダーシップの持った人間及び動機のない殺人をする者に『災厄の皇帝(エンペラー)』が紛れ込んでいると推理しています。 ※刀丸猛人に襲われています。 【刀丸猛人@悲恋湖伝説殺人事件】 [状態]ファントム [装備] オペラ座の怪人『ファントム』の仮面@オペラ座館殺人事件、コンビニチェーン店でしか売られていない特殊なロープ@首吊り学園殺人時間 [所持品]基本支給品一式 [思考・行動] 基本:ファントムになりきる。 0:この手で参加者を消していく。 1:順番は違うがジョゼフ・ビュッケを消す。 [備考] ※参戦時期は、逮捕された後。 ※クリスティーン役(ヒロイン)がいれば浄化するかもしれません。 ※妄想と現実の境目がありません。 ※ファントムになりきっているので自分の名前が刀丸猛人という名前だということも役になりきっている間は理解していません。 ※そもそも人と接することが出来ない人間らしい。 ※鯖木を襲っています。 ◆ 一方、その頃。 もう1人鯖木の悲鳴を聞いた参加者がいた。 「おおおお、武者様のお怒りを鎮めたまえええええええ」 お祈りをする老人。 それはそれとして無理に老体を動かしてまで移動したらその先が雪を降った背氷村とかシャレにもならないので引き返していくのであった。 【一日目/早朝/背氷村@雪夜叉伝説殺人事件】 【冬木ウメ@飛騨からくり屋敷殺人事件】 [状態]錯乱気味 [装備]なし [所持品]基本支給品一式×2、ランダム支給品1~2 [思考・行動] 基本:柊兼春様の怒りを鎮める。 1:兼春様が甦ったんじゃああああ。 2:わ、わしの出番ない……。 [備考] ※参戦時期は、少なくとも巽征丸死亡後。 ※特に語られていませんが隠れていたので螢子に見つけられませんでした。 ※尾ノ上殺害シーンを一部始終目撃しておりました。 ※尾ノ上殺害は声を発する間もなくゲーム開始直後に起きたらしいです。 ※『災厄の皇帝(エンペラー)』の正体が柊兼春、バトルロワイアル自体を柊兼春の祟りと思っています。 ※老体に雪を軽装備で歩くとか自殺行為以外の何物でもないので背氷村から離れます(徒歩10分で抜けられる)。 |030:[[参加者X]]|時系列|032:[[快楽という海に溺れて]]| |030:[[参加者X]]|投下順|032:[[快楽という海に溺れて]]| |029:[[脱出派の一番星]]|斧寺空美|| |017:[[オペラ座の怪人は再び姿を現す]]|鯖木海人|| |017:[[オペラ座の怪人は再び姿を現す]]|刀丸猛人|| |021:[[霧と雲が混ざりあって……]]|冬木ウメ|038:[[今のマガジンなら袋とじ]]|
**斧寺空美の溜息 「さて、何から手を出していこうかな」 二百メートル先の怪しげな島を前にこれから具体的な方法を練っていく。 氷の橋を造って行く際に必要なこと、もの、条件。 どれから手を打っていくか。 (やっぱり人は欲しいかな) だがゲーム開始から既に6時間以上彼女は誰とも出会っていない。 どんな人が参加して、誰がどうなって、誰がどうしているのか。 そういうアドバンテージが大きく劣っている。 既に退場してしまった尾ノ上やもえぎの方がまだバトルロワイアルの情報を得ていた気さえする。 「でも雪がある。これはついている」 資料館などで読んだ北海道を開拓する時に造られた氷橋。 そんな時代というのを考慮して材料になるのを予想する。 (藁とかかな。でもそんな物この島にあるの?) 少なくとも彼女のデイパックにも、辺りにもそんな都合のいい物は周囲にない。 (でも逆に考えて?この現代日本の技術があるなら代用出来るのも何かあるはずよ?) 読んだことはあるが、いまは使われない技術。 資料からそれをいますぐ思いつけとなると東大の頭でももう少し時間が掛かりそうだ。 (それにワイヤーでなくてもロープでもいいし……) 逆に現代の物を原始の物でも代用できるのだ。 知恵を振り絞っていかなければならない。 ――そこまで彼女の思考が辿り着いた時、ようやく彼女は最初の参加者との邂逅が始まる。 ◆ 「ちっくしょう、また一瞬で雪の降っていやがる場所に出ちまった!なんなんだよクッソ!」 折角雪の降っていないステージを抜けた鯖木であったが、ものの10分歩いただけでまた雪のある背氷村に辿り着く。 不動高校、獄門塾、錬金術館といくらでも雪の降らないステージがあるのに、むしろ雪の降るステージの方が少ないのに完全に雪男である。 「引き返すか……」 そう思った時、ある発見をした。 !? 「なんだ、あの島?」 ポツンと島が数百メートル先に浮かんでいるのだ。 これは大きな情報ではないだろうか。 「近付いてみるか……」 もしかしたら雪の幻覚でそう見えるだけかもしれない。 そういう可能性もあるのでその島をもっと大きく眺められる地点を探すため崖にそって歩く。 ――そして、謎の島に惹かれた者同士が邂逅を果たす。 ◆ (うわー、確かあの人って……) 斧寺は事件に巻き込まれて鯖木という男を知った。 作中で1度も会話をしている様な描写がないので斧寺自身彼をどう思っていたのかわからない。 だが、会話をしたくない程嫌悪していた可能性もある。 割と鯖木が死んだ際もドライだったし、好意なんか微塵もないと思っていいだろう。 一応だが「なーんてね」ニコのシーンでは鯖木は死んでいないので鯖木が生存していることには疑問は沸いていない(単行本金田一少年の事件簿R第1巻で「なーんてね」のわずか15ページ後に鯖木が殺害されるのであるが)。 「おう、そこの姉ちゃん」 参加者とはなるべく出会わない方針の鯖木であったが目が合ったのでは仕方ない。 さっきのおばさんみたいに襲ってくるわけでもないので話しかけてみる。 だがエンペラーが紛れ込んでいる疑惑は晴れていないので信用なんかは絶対にしないと心に誓っている。 (ん?) この鯖木の態度に違和感があった。 まるで本当の初対面であるかの様である。 島に来る直前まで同じコテージに居たのに、だ。 「あれ?まるで初対面みたいな声を出しますね?」 図っているのか? 黙っているより単刀直入に探りを入れた。 「初対面みたいなってか初対面だろ、俺はお前みたいな奴はしらねーしお前は逆に俺のこと知ってんのかよ?」 「詳しくないけどあなた『鯖木海人、無職、趣味はパソコン――以上』とか言ってたわよ」 「は、はあ!?」 そんな記憶、鯖木にはなかったがでも本名も現在の情けない姿も当てはまっていた。 「てめえ、まさかエンペラーって奴か!ああ!!」 「むしろそのエンペラーって奴に牙を向こうとしているところよ」 こんな男に言ってしまっていいのだろうかと思ったのだが、彼もあの島に疑問を持っていたのでそこそこ使えなくもなさそうだし情報交換をしていこうと思ったのだ。 「い、意味わかんねーし!俺の名前知っていることの疑問を晴らしてねーし」 こっちはこっちでびびっているし使えるのかこの男は? 「スキーリゾートで堂々とみんなの前で自己紹介していたじゃない?」 「ああ!?なんで俺が明日にそれに行くことを知ってやがる」 「……」 どうも噛み合っていない。 でも嘘を言っているわけでもなさそうだ。 (つまり私は未来人なわけだ) 流石は東大出身の斧寺は連れられた時間軸がバラバラだということに一瞬で辿り着いた。 ――信じられないものを信じられないで片付けたら真相なんて見えないよ! なーんてね。 ◆ 「時間軸がバラバラwwwテラワロスwww」 (やっぱり嫌いだこの人……) わざわざ説明したのに信じてすらいなかった。 (な、なんだよそのSF!?ふっざけんなよ、んだよこれ!?) だが内心では鯖木は怒りと不安が襲っていた。 そういえば多岐川かほるとかいう既に死んでいたと認識していた人物が自分を殺しにきたことを考えた場合……。 (やべえ、やべえよエンペラー……、死んでる奴まで復活させられるのかよ……。あれ?それとも天国、いや地獄なのかこれは!?) そうなるといくらネット環境があっても炎上させられないのではないかと不安になる。 (炎上のプロとして炎上させてやる!!) 何がなんでも生還してやると鯖木は燃えていた。 ◆ 「お互い支給品を教え合いましょう」 「は、はあ!?み、みせるわけねーだろ」 斧寺からの提案、もちろん脱出に使えそうなものを持っていないかの確認をしたい為である。 だが、鯖木にとって支給品はどれもハズレばっかり……。 命の危険があるのだ、丸腰なのを悟らせてはいけない。 だが、ここから斧寺の東大生ならではの交渉術、別の名を誘惑が始まる。 「私は絶対にあなたを襲いません。それを踏まえて考えてくださいね」 「は、はあ」 「1万円」 指を1本上げる。 「無理に決まってんだろうが!」 まあ、安い。 そうだろうなと思う。 「即金します、それを踏まえて考えてね、その10倍」 「はあ!?」 「では10万の5倍でどうでしょうか?」 鯖木の手には1万円札50枚が。 斧寺には鯖木の支給品の情報が手に入った。 (つかえねー) 正直10円の価値もない支給品であった。 だが、鯖木が多岐川かほる本人なのかはわからないがそう名乗るミステリー作家に襲われて自滅したことを知った。 (まさかあんなルールで人を殺そうとするおバカな人がいるなんてね……。でも案外私未来人って当たってる?) 鯖木から補足され3億円事件の犯人一味で亡くなっている人物であるはずという情報ももらっていた。 (この情報含めても合計10万円の価値といったところかな……) つまり40万赤字。 死んでいる者より生存している者の情報が欲しい。 こうして情報交換を終えた2人は別れた。 斧寺的に鯖木はお眼鏡に適わなかったらしい。 ◆ 2人を襲おうとする影が1つあった。 (だが2対1では分が悪いか) どちらかが別れたら片方に襲って命を奪おうとする殺人者であった。 その手は既に赤く塗られている。 カルロッタを殺すか。 ジョゼフ・ビュッケを殺すか。 残念だがここにはシャンデリアがない。 だが、手にはロープがある。 ならば殺すのはジョゼフ・ビュッケだ! ――そして断絶した片方の男に近寄っていく。 「う、うああああああああ」 鯖木の悲鳴が別れたばかりの斧寺の耳に届く。 急いで、かつ姿を隠してその場に駆け寄っていく。 そこには怪人ファントムに襲われて追いかけられている鯖木の姿がある。 斧寺は鯖木の命はどうだっていい。 ちょっとだけ心が痛むが。 しかし――。 (あのロープ欲しいなあ……) ものすごく氷の橋を造る際に役に立ちそうだ。 人を殺すとかいう馬鹿みたいな使い方よりもっと有用な使い方な筈だ。 斧寺に握られた日本兵が扱っていた銃剣が鈍く光る。 (飛び出す?飛び出さない?どっちが私にとって有用?) 飛び出すメリット、ただ非情になって見殺すメリット。 飛び出すのなら2人の命はなるべく落とさない形で、絶対にあのロープだけは回収するぐらいの意気込みがなければいかない。 時間の問題で鯖木も逃げ回っているが、捕まる可能性もあれば逃げ切れる可能性もある。 一般人の東大生の前に難しい問いが投げかけられていた。 あまりの難しさに溜息が1つ。 【一日目/早朝/背氷村@雪夜叉伝説殺人事件】 【斧寺空美@雪鬼伝説殺人事件】 [状態]健康 [装備]萩元殺害時に使われた銃剣@墓場島殺人事件 [所持品]基本支給品一式、身代金2950万円(元は3000万円)@白銀に消えた身代金 [思考・行動] 基本:殺し合いから脱出する。 1:頃詩哀島から二百メートル先に島を発見。 主催があの島にいると思われるので、そちらに渡る。 2:脱出プランを練り、より多くの人間を脱出プランに参加させる。 3:首輪を解除する。 4:ファントムの持っているロープが欲しい。 [備考] ※参戦時期は、「なーんてね♪」って言った後。 ※脱出には、全長200mの形状記憶合金製ワイヤーのようなものや、サーカスの軽業師、氷橋が必要だと考えています。 ※このロワには首輪がないので、エア首輪解除をする予定です。 ※ある程度参戦時期にばらつきがあることを思い付きました。 ※鯖木のこれまでの動向、支給品をある程度把握しています。 ※「それって売ってすぐお金に換えることできるかなー」という発言があるので案外お金にドライなところがあります。 ※現在40万円赤字(斧寺目線)しているのでいずれ黒字にまで持っていくつもりです。 【鯖木海人@雪鬼伝説殺人事件】 [状態]怒り、恐怖 [装備] なし [所持品]基本支給品一式、双子姉妹探偵@蝋人形城殺人事件、S・Kのイニシャルキーホルダー@悲恋湖伝説殺人事件、身代金50万円 [思考・行動] 基本:『災厄の皇帝(エンペラー)』及び観月旅行者及び小説家多岐川かほるの炎上。 0:炎上させこのロワイアルを終わらせる。 1:ネット環境のある場所へ行く。 2:『災厄の皇帝(エンペラー)』は参加者に紛れ込んでいると疑っている為人は信用しない。 3:誰か助けて……。 [備考] ※参戦時期は、雪鬼伝説殺人事件に巻き込まれる前。 ※外部連絡が通じないということが頭から漏れています。 ※金田一世界の事件をある程度一般人が調べられる範囲で知識があります。 ※リーダーシップの持った人間及び動機のない殺人をする者に『災厄の皇帝(エンペラー)』が紛れ込んでいると推理しています。 ※刀丸猛人に襲われています。 【刀丸猛人@悲恋湖伝説殺人事件】 [状態]ファントム [装備] オペラ座の怪人『ファントム』の仮面@オペラ座館殺人事件、コンビニチェーン店でしか売られていない特殊なロープ@首吊り学園殺人時間 [所持品]基本支給品一式 [思考・行動] 基本:ファントムになりきる。 0:この手で参加者を消していく。 1:順番は違うがジョゼフ・ビュッケを消す。 [備考] ※参戦時期は、逮捕された後。 ※クリスティーン役(ヒロイン)がいれば浄化するかもしれません。 ※妄想と現実の境目がありません。 ※ファントムになりきっているので自分の名前が刀丸猛人という名前だということも役になりきっている間は理解していません。 ※そもそも人と接することが出来ない人間らしい。 ※鯖木を襲っています。 ◆ 一方、その頃。 もう1人鯖木の悲鳴を聞いた参加者がいた。 「おおおお、武者様のお怒りを鎮めたまえええええええ」 お祈りをする老人。 それはそれとして無理に老体を動かしてまで移動したらその先が雪を降った背氷村とかシャレにもならないので引き返していくのであった。 【一日目/早朝/背氷村@雪夜叉伝説殺人事件】 【冬木ウメ@飛騨からくり屋敷殺人事件】 [状態]錯乱気味 [装備]なし [所持品]基本支給品一式×2、ランダム支給品1~2 [思考・行動] 基本:柊兼春様の怒りを鎮める。 1:兼春様が甦ったんじゃああああ。 2:わ、わしの出番ない……。 [備考] ※参戦時期は、少なくとも巽征丸死亡後。 ※特に語られていませんが隠れていたので螢子に見つけられませんでした。 ※尾ノ上殺害シーンを一部始終目撃しておりました。 ※尾ノ上殺害は声を発する間もなくゲーム開始直後に起きたらしいです。 ※『災厄の皇帝(エンペラー)』の正体が柊兼春、バトルロワイアル自体を柊兼春の祟りと思っています。 ※老体に雪を軽装備で歩くとか自殺行為以外の何物でもないので背氷村から離れます(徒歩10分で抜けられる)。 |030:[[参加者X]]|時系列|032:[[快楽という海に溺れて]]| |030:[[参加者X]]|投下順|032:[[快楽という海に溺れて]]| |029:[[脱出派の一番星]]|斧寺空美|040:[[止まるんじゃねぇぞ……]]| |017:[[オペラ座の怪人は再び姿を現す]]|鯖木海人|040:[[止まるんじゃねぇぞ……]]| |017:[[オペラ座の怪人は再び姿を現す]]|刀丸猛人|040:[[止まるんじゃねぇぞ……]]| |021:[[霧と雲が混ざりあって……]]|冬木ウメ|038:[[今のマガジンなら袋とじ]]|

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