暁美ほむらは殺し合いに乗った。
「まどか… 安心して、貴女は絶対に死なせない」
すべては鹿目まどかのため。彼女を残酷な魔法少女の宿命から救うため、ほむらは1ヶ月をひたすらに繰り返してきた。
今回はこれまでと比べて、明らかに異質な世界だったが、それでもほむらは気にしない。覚悟などとっくの昔に決めている
支給されたサブマシンガンにカートリッジをセットし、他の参加者を探すために街を駈ける。
「うー☆うー☆」
……見つけた。
小学生のような格好をした体格のいい男が、能天気な顔をしながら歩いていた。
明らかに場違いな、というか設定的に狂気すら感じる服装だが、あの男はどうやら参加者のようだ。その証拠に、首輪をしている
しかも、ほむらと同じ赤色をしていた。
なぜ小学生のような格好をしているのかはこの際おいておく。
ほむらは冷酷に男に銃口を向ける。まだ相手はこちらに気がついていない。ならば、気づかれる前に始末してしまう方が最善だ。
無関係な人間を殺すのはほむらも望まないが、これもまどかの為だ。
そう自分に言い聞かせ、引き金を引く。
「痛い痛い!!」
男が騒いでいる。銃弾は命中した。
ほむらは警戒を強める。
それは男の表情を見たからだ。
「痛いんだよもう!」
……わざとらしいほど痛がってはいるが、明らかに口元が笑っていた。
「うー☆うー☆」
男とほむらの目があった。やはり、笑っている。
歯茎が剥き出しでクッソ気持ち悪い。
「 ぼ く ひ で 」
唐突に男の口から出た四文字の言葉。
どうやら自己紹介のつもりらしい。(初対面の相手にもきちんと名乗る人間の鑑)
ほむらは無視して引き金を引いた。
「あぁぁぁーっ痛い、痛い痛い痛い!」
飛び出した銃弾は男の鳩尾にめり込んだ。男の体がくの字に曲がる。
「わかったわかったわかったよもう! お姉さん、やめちくり~(挑発)」
答えは沈黙と弾丸だった。 鳩尾に正拳突きを刺すように連続で撃ち込む。
「やーだやめて撃たないで! 撃たないでよ!」
ほむらは戦慄した。この男の、なんたる耐久力か。これだけ撃ち込んでいると言うのに、男ーーひでというらしいーーは、まるで堪えていないようだった。
ただ、それでも気分は害したらしい
「痛いんだよおおおおおおお!!!(マジ切れ)」
堪忍袋の緒が切れたのか、ひでは凄まじい形相で此方に突っ込んでくる。少年の格好でがっちりした体格の男が駆け寄ってくるのは、滑稽を通り越しておぞましかった。
その謎の威圧感から、ほむらは手札を切ることを決断する。
次の瞬間、世界が静止する。
時間停止。
暁美ほむらの最大の武器。止まった世界では彼女だけが動くことができる
「まさか、こんなに早くこれを使うことになるなんてね……」
盾に手を突っ込むと、もうひとつの虎の子の支給品を取り出す。
手慣れた手つきで安全ピンを抜くと、ひでの方へと放り投げる。ほむらの手元を離れた手榴弾は、時間停止の効果を受けて空中で停止。
その隙に爆発に巻き込まれないように距離をとる。そして、時間停止を解除。
世界は再び動き出す。
「ダイナマイッ!?」
突然出現した爆発物に驚愕するひで。慌てて身を引くがもう遅い
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛も゛う゛や゛だ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
閃光、爆発。
「……流石に死んだようね」
ほむらはじっと爆心地を観察する。地面にぶちまけられた亡骸は挽き肉のような有り様であり、例え知り合いでもこの男を見分けることは不可能だろう。
それを多少は哀れだとは思うが、まどかの為ならばどうということもない。
ただ気になるのは、
側に転がっていたひでのディバックを回収すると、その場を立ち去りーー
「…………うー☆」
最初は空耳かと思った。
それを間違いだと気づかせたのは、背後から立ち上る邪悪なオーラ。幾度と感じてきた、魔女と似た人ならざる者の気配であった。
「(闇の力に)溺れるぅ溺れるぅ……」
振り返ると、そこには男がーーひでが、いた。五体満足で、先程と同じ気持ちの悪い笑みを浮かべて立っている。
前と違うのは、紫の肌に蝙蝠のような翼、そして頭の角である。
どこから取り出したのか、先端が三つに別れた矛を携えている。
その姿はまさしくーー悪魔だった。
ほむらの誤算はひとつ。
最初の暗闇で司会者が言っていた特殊ルール『赤い首輪の参加者を殺せば即クリア』
ひでの首輪は赤。もし彼が先程の爆発で死んでいれば、主催から何からのリアクションがあって然るべきなのである。
悪魔と化して復活を遂げたひでは、邪悪な笑みを隠そうともせずほむらを見据える。
「お姉さん……死んじくり~(挑発)」
瞬間、毒々しい紫がほむらの視界を覆う。
「ッ!」
速い!ほむらは驚愕する。悪魔と化したひでの身体能力は魔女の領域に達していた。
ホモ特有の敏捷で急速に距離を詰めたひでは、自分を殺そうとした憎きほむらを串刺しにしようと矛を突き出す。
寸での所でそれを回避したほむらは、ひでの頭部を銃撃する。いくら体が固くても、顔を撃たれたらダメージは通る筈だ。
予想通り、ひでもそれを受けずに防御。右手で顔をガードし、受け流す。
一瞬だが明確な隙ができた。
ほむらは距離をとり体制を整えるため、その合間に再び時間停止をーー
「っ!?」
突然の目眩、疲労。
唐突すぎる体調不良に一瞬、体が硬直してしまう。
戦闘においてその隙は致命傷だ。悪魔はそれを見逃さない。
ほむらの鳩尾に、拳がめり込む。メギャリ、と鈍い音が聞こえた。
「がっ……はッ!」
重い。あまりにも重い一撃。
衝撃を殺しきれず、年相応の小柄な体が派手に吹っ飛び、転がり、壁に衝突する。
魔法少女は限界まで肉体を酷使できるが、ダメージそのものがないわけではない。
ひでの剛力によって放たれた拳は、ほむらの内蔵に致命的なダメージを与えたことは疑いようもない。夥しい量の吐血がその証拠だ。
「あ^~もう(命が)出ちゃいそう!」
その様子を見たひでは嬉しそうにはしゃぐ。でもまだ足りない。
「もう終わり?……何だか僕、舐められてるよぉ」
「くっ……ッ」
勝ち誇ったようなひでの、癪に触る言い方に、ほむらは顔を歪ませる。だが現状では彼方の方が有利なのは事実だった。
ほむらの基本戦術は充実した装備と時間停止によるごり押しである。
その両方が万全ではなく、しかも相手が悪魔というこの状況で勝利は難しい。
その時だった。
その場に出現した第三者の存在によって事態は急変する。
「ヴォェ!?」
突如飛来したビームによりひでが爆発四散し、肉片が辺りに飛び散った。
突然すぎる急展開に目を見開くほむらの前に、件の襲撃者が緩慢な動作で現れた。
それは控えめに見ても奇妙な外見だった。
身の丈ほどの巨大な両腕部に、後頭部から伸びる太いケーブルを引っ提げた異形『ハードスーツ』に身を包んだひとりの参加者。
その男は過去に地獄のミッションを幾度となく繰り返し、そして七回クリアという偉業を成し遂げた大阪チームの戦士。
七回クリアの男、岡八郎だった。
岡はマスク越しにデビルひでの残骸とほむらを観察する。別に、助けたわけではない。
赤の首輪もち……このミッションにおいての、ターゲットだ。
岡は先程から二人の様子を伺っていたが、明らかに厄介そうなあの悪魔のような星人を始末する方が先決だと判断したに過ぎない。
その判断は正しかった。
「……不意打ちでも駄目か」
岡の眼前で、赤い首輪に肉片がより集まり、再びひでが悪魔と化して復活する。
怒りに顔を真っ赤に染めて岡を睨む。ただ警戒しているのか、攻撃してこない。
なるほど、確かにたいした耐久力だ。……それでも、殺せないわけではない。
これまでも再生する星人は居たが、そのどれもが最後には殺せた。ようは、死ぬまで破壊すればいいのだ。
「今の俺に隙があったらーーどっからでもかかってこんかい!」
「あ^~もう拳が出ちゃいそう(半ギレ)!!」
その挑発が開戦のゴングとなり、悪魔の矛と屍戦士の拳が交差した。
【5ーE 住宅街】
【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:内蔵にダメージ(中)
[装備]:ソウルジャム、ひでのディバック
[道具]:サブマシンガン
[思考・行動]
基本方針:まどかを生還させる。その為なら殺人も厭わない
【ひで@真夏の夜の淫夢派生シリーズ】
[状態]:健康、悪魔化
[装備]:?
[道具]:三叉槍
[思考・行動]
基本方針:虐待してくる相手は殺す
1:なんだこのおっさん!?
【岡八郎@GANTZ】
[状態]:健康
[装備]:ハードスーツ@GANTZ
[道具]:?
[思考・行動]
基本方針:ミッションのターゲット(赤い首輪もち)を狙う
1:意識外の攻撃は駄目か?
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暁美ほむら |
021:朱、交わって |
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ひで |
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岡八郎 |
最終更新:2018年01月20日 15:01