体に熱が篭る。



 頭が痛み平衡感覚を喪う。



 全身の関節が痛み、筋肉が軋みをあげ、血管が痺れる。






 まるで、身体をマグマと電流が駆け巡るかのように。ナノカ・フランカの全身は高熱に襲われたかのような症状に見舞われている。

 いや、現に高熱なのだ。今のナノカの身体は。身体が燃えるように熱を持ち、その命まで燃やすかのように五体を包む。魔力を酸素に、身体を燃料に、そして令呪を火種に。


(これが……令呪なのか……)

 一つだけ冷えていた精神でそう自分自身の状態を俯瞰、ナノカは自己に起こった状態の変化を令呪によるものと結論づけた。



 そもそも本来の令呪は、マスターの魔術回路と接続することで効果を発揮する、ある種の礼装のようなものである。もちろん、それは冬木の聖杯戦争でのことでありこの模造された聖杯戦争でも全くの同種という訳ではないのだろう。でなければ魔術回路のない間桐慎二やマイケル・スコフィールドはこの聖杯戦争に参加することすらできない。
 逆に言えば、令呪があることは聖杯戦争への参加権の証でもある。元来の目的から考えれば副次的なものかもしれないが、既に冬木の頃からそうなのだ。今回の聖杯戦争でも令呪があるということは、たとえ魔術回路があろうとなかろうとそのマスターの待遇になんら差はつかないのだ。

 だがしかし。この聖杯戦争の令呪が冬木の聖杯戦争の令呪を模している以上、そこにはある程度の同じ要素はある。サーヴァントへの抑止力という元来の目的と同様に、その反作用もーー魔力の伝播も。


 さてここで一つ問題がある。
 水道管やガス管、電線や電線というものを知らない人間はいないであろうと思われるのでそれらで例えるが、これらはそれぞれの代替品になりえるだろうか。
 答えはNO。当然だ。そんなことは不可能である。電線を伝って大量の水が家々に運ばれる光景など見たことは誰しもないだろう。

 では水道管やガス管を血管やリンパ管に置き換えてみればどうだろうか。つまり例える対象をインフラから人体に変えても同じ結果になるだろうか。
 答えはYES。もちろん人間の神経を伝って血液が運ばれるようなことはない。



 では、血管を魔術回路に置き換えて考えればどうなるだろうか?



「ナノカさん!ナノカさん!こんな真っ赤に……!」
(あー……これは……声も出せないし……体も……)

 自分の身体を懸命に揺さぶりながら必死に名前を呼び掛けるのび太を見ながら、ナノカはそうぼんやりと考える。
 どこか遠く、どこか画面の向こうの出来事のような、そんな現実離れした感覚を味わいながら。

(これが……『魔力』、でしょうね……)

 ぼうとする頭でそう分析した。



 彼女の体調不良の原因、それは魔術回路がないにも関わらず魔力の塊である令呪を使ったことだ。

 本来ならば魔力は魔術回路を伝わせるものだ。いくらかの例外があるとはいえ様々な魔術体系は同様のシステムを持つ。いわば、魔術専門の臓器があることを前提としているのだ。
 そして聖杯戦争も、もちろんその前提を共有している。『魔術儀式』である以上、その前提から離れることなどない。たとえそれが換骨奪胎されようと、基本骨子であるならその要素は色濃く受け継がれるだろう。

 つまり魔術回路がなくても令呪が発言する代わりに、その令呪の使用に問題が発生するようになったのだ。本来なら資格のないものにまで与えたがために、その体に害を及ぼすようになったのだ。

 魔術回路のない人間にサーヴァントに匹敵するだけの魔力を流し込む、それは拷問に等しい。いくら聖杯によるバックアップがあろうと、無傷という訳には行かない。それが、今の現状である。


 ふと、ナノカに浮遊感が訪れる。そういえばのび太の声が自分への呼び掛けから叫び声のようになっていて、そういえばやたら暑くて。

「燃えて、ません?」
「ええ、絶賛火災中です。」

 そう自分の声に答える優しい声とやたら固い胸の感触を感じ。
 ナノカ・フランカは意識を手放した。



 ■  ■   ■    ■     ■      ■       ■        



「アーチャーさん、ナノカさんが!」
「この短い間にこんなに体温が……令呪のせいでしょうか。」

 アーチャー・安藤まほろが抱き抱えたナノカとのび太を下ろし終わるより早く言われたその言葉に眉根を寄せながら答えた。


 二騎のランサーの激突はスーパーを火の海にしている。彼女はその戦いに介入することより、自分のマスター達が巻き添えを食らわないように遠ざけることを選び、後退していた。否、後退を強いられていた。互いの宝具を全力で振るう、それは間違っても室内でやっていい戦いではない。だが既に始まってしまった以上ナノカ達を下げる以外になかった。
 まほろは自分が来た方向を見る。もはや炎は百メートル以上離れ多数の障害物があろうに、赤々と見えていた。天井が熔け落ち、転がっていたNPCの死体が炭になる間もなく蒸発していく。

「のび太さん、ナノカさんをお願いします。」

 それを見て、まほろはのび太の目を覗き込みながらしっかりと言った。思わず声をあげようとするのび太の唇に指を縦にして塞ぐと、重ねて「お願いします」という。

 まほろには確信があった。あのランサーは、絶対にナノカの最大の障害となる。その目的と生還のための脅威となる、と。
 そしてまた、幸村ではランサーに勝てないとも、あの拮抗状態が今すぐにでも崩れるとの確かな予感があった。戦闘経験とか逸話とか、そういったものを抜きにしても強引に理解させられる、その未来が。

「でも……でもナノカさん、腕が!」
「まあ……でも、令呪でパワーアップしてるんで、なんとかしちゃいますよ。それにーー」

 すがるのび太に、そう笑いかける。何てことはないと、歴戦の勇士のように。

「ーー私だってサーヴァントです。なんなら、あのランサーを倒してしまっても構わないでしょ?」


 まるでドラえもんの最期の時のように。


(行かせちゃだめだ。)

 のび太の中で、二人が重なる。まほろから任されたナノカの質量と熱量を感じながら、その去り行く背中に声をかけようとして。

 突如、爆発。

 さっきまでのび太達がいた方向、ランサー達の炎の渦が爆炎を広げる。その爆熱と爆風にのび太の声は掻き消された。



 ■  ■   ■    ■     ■      ■       ■        



(間に合ってくださいよ……!)

 強大な風と熱を感じながら、まほろはその爆心地へと駆ける。
 あのランサーを打ち倒すことができるのも、撃退することができるのも、自分だけであると信じて。

 それは決して、あの幸村達を侮っているわけではない。ただ単に力量の差であり、ただ単に格の差だ。あのランサーだけは、あのランサーだけは正攻法では絶対に勝てない。それがまほろの出した比我の戦力差の分析。冷酷にそれぞれの『価値』を判断した結果だ。
 だからこそ、まほろは走る。幸村だけでは駄目でも自分が連携すれば勝機はあると、あのランサーを撃破できるのは自分の『宝具』だけであると。そう信仰し、走り。

「ーー遅かった、かな。」

 今だ燃えるその鉄火場に立っている一人の男を見定めた。



 ■  ■   ■    ■     ■      ■       ■        



 もう周囲に元の形を保っている物はない。

 壁も天井も柱も床も、そして付近にあったであろう者物も。
 熔けて焼けてガスへとなるまで燃やされている。

 その中で一人、悠然と立つ男がいた。付近の陽炎が立つほどの空気を物ともせず、むしろその男自体から陽炎が立っている。


 その姿は、正に神話だ。伝説だ。


(なんでしょう、あれはーー)

 まほろは、いつの間にか膝をついていた。ああ、そうだ。わかってしまったのだ。倒れ伏す幸村にも。目の前の人物の格好にも。

 そう、その姿は鍛え抜かれた筋肉。
 ラインを強調する網タイツ。
 そして、仮面。

「きゅう。」

 たまらずまほろは気絶した。至極当たり前のことだ。その男の金を目にすればそうなるだろう。


「貴様、変態か。」
 膝をつくランサー・カルナが問いかける。その答えはもちろん。



「いかにも、私は変態仮面。」

 スーパーに、新たなる戦士の登場である。



 ■  ■   ■    ■     ■      ■       ■        



『この人小栗旬だっけ?僕もこういう感じにイメチェンしようかなー。』
『なんだ色気付いて気持ち悪い。』
『もう少しお洒落な感じの方が良いかなって思ってさ。慎二みたいなイケメンなら愛子ちゃんの横にいても『釣り合わない』とか言われないし?』
『お前はどちらかというと鈴木良平だろ。』
『あー、この間のドラマの再放送で出てた人?』

 そんなまるで緊張感のない会話をコンビニのイートインで色丞狂介とパピヨンはしていた。

 狂介達は新都に買い出し兼人材発掘の為に来たのだが、これまで後者の成果は0。自転車を使ってそれなりに走り回っているにも関わらず誰にも出会うことはなかった。そして一時間以上も自転車を漕いでいればいい加減疲れる。しかもこの炎天下だ。かさ張る荷物の鬱陶しさも手伝ってたまらずコンビニに小休止を取るために駆け込んでいた。
 ちなみに、新都の正午前は丁度どの主従もいなくなる空白のタイミングである。そこでピンポイントに新都を訪れたのはなかなか皮肉なことである。

『うわ、なんか電話かかってきてた。しかも全部非通知。』
『ワカメ達からだろう。』
『でも慎二なら携帯からかけるんじゃないか?』
『家の電話を使ったことは考えられないか。さっき番号を交換したときのように試しにかけてきた、と。』
『おお……さすがキャスター。』

 ポカリスエットに口をつけながらそんなことを念話でやり取りする。駅前でもらったうちわをパタつかせて、端から見ればどこにでもいる高校生にしか見えないだらけた有り様だ。
 それを見て、だがパピヨンは何も言わない。正直彼としては聖杯戦争への熱意などない。ただこの催しが気にくわないので叩き潰してやろうという漠然ながらも確固とした考えはあるが、基本的にはマスターである狂介に丸投げする腹積もりだ。だからぶっちゃけ多少サボろうが怠けようがまるで頓着する気はなかった。

(といっても。)
『じゃあそろそろスーパーに行こうか。』
『真面目か。』
『悪かったな!』

 このマスター、なかなか真面目である。パピヨンとしては若干つまらない。わりかし真面目に動き回りけっこう真面目に色々とする。しかし、それは正直面白くないのだ。今までを振り返ると、言ってしまえば聖杯戦争感がない。バイオレンスな戦闘は起こらずにただただぬるま湯のごとき馴れ合いがずるずると続いてなんとなく観光気分である。

『では、こうしよう。』
『ん?パピヨン?』

 そうだ、ならば、こうしよう。パピヨンはどぶのような目を一方へと向ける。どうやら面白いことが起こったようだ。場所はおあつらえ向きに、目的地のスーパー。色々と都合が良い。
 パピヨンの言葉を疑問に思い周りを見渡していた狂介も、そちらを見る。建物が謎の光に包まれるその光景をしっかりと目に焼き付けた。

『行くんだろ?』
『ーーああ、力を貸してくれ。」
「仕方ないな。」

 パピヨンのその言葉を聞くと共に狂介は走り出す。その背中を喜色満面の笑みを浮かべて実体化したパピヨンが見つめる。

 さあ。


「クロス・アウトッ!!!」

 戦争の時間だ。



 ■  ■   ■    ■     ■      ■       ■        



「安藤殿(※まほろ)が戻ってきたと思ったら気絶してしまったではないか!!」
「クッ……まさか私のゴールデンボールでこんなことになるとは。」
「格好を考えろ変態!」
(また変なサーヴァントか……)

 伊達に戦闘続行は持っていない。宝具によるラッシュを凌がれた幸村だったが、まほろの復帰&気絶と変態仮面のエントリーを受けて直ぐ様立ち上がりカルナとの第三ラウンドが始まっていた。

「話を!聞いて!ほしい!私は!この聖杯戦争を!止めたいのだ!」
「ならまず服を着ろ!」
「このスーパーを!襲ったのは!こっちの!ランサーで!間違いないな!」
「……ああ!奇襲されて仲間を一人討たれた!それで「ならば!私がお仕置きする!」人の話を聞けえぇぇ!!!

 幸村が槍を左の振るう、カルナが弾く、右の槍を振るう、カルナが交わす、変態仮面が股間で突っ込む、カルナが全力で逃げる。ワルツのように三者が戦いながら、交わす言葉は終わらない。

 ちり、変態仮面のお稲荷さんがカルナの指先を掠めた。鎧がない今、それは直にカルナを犯し、持つ槍への力が僅かに抜ける。並の英霊ならば槍を落としていただろう。
 しかし、あいにくカルナはインド神話にその名を刻む大英雄だ、そんな無様は晒さない。

「おおおおおおおおおまだまだああっ!!!!」

 だがその隙を逃すような英雄では、カルナの相手は務まらない。故にそれは必然、幸村の槍がカルナを襲い、薙ぎ、削る。カルナの胸に横一文字に血の線が着く。そしてそれを逃さず変態仮面が地を這う動きでカルナの股間へと手を伸ばす。

(これはーー)

 ならばカルナも全力。自信の股間に手が届く寸前で、その手をひねりあげる。その一撃を喰らえば今の自分にとってどれだけ危険かを理解しているからこそ、なりふり構わず迎撃する。そしてだからこそ変態仮面を幸村と自分の間に置き、それを盾として、カルナは撤退を開始した。
 「逃がさん!」と追いすがる幸村に変態仮面を動かしながら店の外へ外へと向かう。カルナは理解した。今のままでは、破れるのは自分である。幸村の武芸は自分には及ばない。二騎のアーチャーの攻撃は通用しない。変態の攻撃は普通ならばまるで問題なく対処できる。だがそれでも、組み合わされれば。同時に相手をしてしまえば、それは敗北を呼び込むと。

「ヒャアッハハハハハハハァ!!」
「一応(変態は)撃たない方が良いですか?」
「一応、(変態も)味方なので。」

 カルナの足に銃弾が突き刺さる。盾にした変態をかわしての精密射撃、今度こそ戦線復帰したアーチャー達は、ついにカルナへと銃弾を届かせた。

 カルナは決定する。一秒でも早く撤退すると。その為に強引に高度を上げる。
 幸村は、まほろは、ワイルド・ドッグは決意する。ここでカルナは確実に倒すと。
 そして変態仮面は。カルナの勢いを利用してくるりと反転する。天地無用。上が下で下が上で。ちょうどカルナの股間が変態仮面の顔面にーー変態仮面の股間がカルナの顔面に。

『イけ、狂介。』

 変態仮面の耳に、そんなパピヨンの声が聞こえた気がした。

「変態宝具ーー」
(剥がせん……!)

 カルナの飛翔によって生まれた二人だけの空中遊覧。
 カルナに、逃げ場は、ない。



「ーー黄金よ、彼を覆え《ゴールデン・クンダーラ》」

 カルナの顔面が金の輝きに包まれた。



 ゆっくりと。それはゆっくりと。カルナの魔力放出が弱まり、落ちていく。天が墜ちる。
 その顔に股がるのは、一人の偉丈夫。阿修羅のごとき肉体と女性もののパンティを、まるで『日輪よ、具足となれ』のごとく一体化させた、『英雄』。
 一枚の宗教画のようだ。ワイルド・ドッグはそう思った。光を纏って降臨する英雄。これが顔面騎乗というクッソ汚い構図でさえなければ芸術性を帯びるだろうと、そう思える。そして同時に『こんなアホな宗教画があってたまるか』と思いながら足早にその場から立ち去った。

 やがて英雄は、地面に落着した。焼けただれた地面に落ちた神話の英雄を乗り越えて、新しき英雄が幸村とまほろの前に立ち上がる。

「改めて言おう。私は、変態仮面。」
(そのままだ。)(そのままですね。)

 ここで再び、三者は邂逅した。
 英雄を打ち倒した英雄の凱旋。それを彩るのは、輝く眼光だ。









「意趣返しか……!」

 英雄の誇りを擲つかのような、死んだふり。
 カルナのブラフマーストラが幸村を焼いた。

「全然倒せてないじゃないですか!?」
「まだ動けるだと!?」
「股間を押し当てられただけなら死ぬことはない。」

 驚くまほろと変態仮面に、カルナは冷静に告げると、再び撤退に移る。当たり前だが、別に変態だからといって強いとかそういう訳ではない。変態よりの変態だろうとノーマル寄りの変態だろうと強い者は強いのだ。変態仮面は変態で強かったが、カルナは変態ではなく変態仮面より強かった。それだけの話である。

「逃がすと思うか!」

 威勢良く放たれた変態仮面の鞭も、まほろの銃も凌がれる。同じ轍は踏まない。四人がかりで足止めされれば撤退も手こずるが、二人ならば問題はないのだ。

 そのまま高度を上げ続ける。あっという間に上空数百メートルまでカルナは到達した。ここからなら、まほろ以外は攻撃手段をもたない。
 そして既に充分陽動の役目は果たしたと言えるだろう。
 これで潮時だ。

 カルナの槍に魔力が集まる。置き土産には少々派手だろうが、三騎のサーヴァントを一度に相手にするにはこちらの方が都合が良い。

「梵天よ《ブラフマーストラ》ーー」

 今度のものはそれまでの手加減したものではない。それこそスーパーごと消し飛ばす勢いで。

「ーー我を呪え《クンダーラ》」

 セイバー達へと震ったのと同じ、神話の再現たる光。その光が。



 闇に飲み込まれる。



 カルナの左目から、光が失われていた。



(今度は私の「見せ場」ですかね。)

 まほろの健在な左腕に力が宿る。このままではカルナを逃がしてしまう。それは不味い。こちらは令呪を使わねばろくに戦えぬのだ。そして恐らく、こちらの情報を持ち帰らせてしまうのは致命的な事態を呼び寄せてしまう。
 故に選択肢は一つ、あのカルナを確実にここで撃破する。当初の予定通りに。

「変態さん、真田さんをお願いします。」
「……心得た。」

 一言声をかけ、召喚。呼び寄せるのはシルフィード。ここからは一瞬の空対空戦闘だ。既に上空数十メートルまで逃れたカルナを追跡し、殲滅する。その為の愛機。

 そしてこれから行うのは、ある種の壊れた幻想ーー或いは『壊れる英霊』。アーチャー・まほろの奥の奥の手。

(態勢に入られてる。)

 上空を見れば、カルナは太陽を背にこちらへと槍を向けていた。先端へと魔力が集まるのがこの距離でも分かる。間違いなくそこから放たれる炎は先程の比ではないだろう。ならばもちろん。

「全部消し返しますーー!」

 左腕に集中。制御を間違えればこの町全体を消し飛ばし兼ねない。注意に注意を重ねる。

 輝ける闇。

 アーチャーの切り札は音もなく、拍子抜けするほど密やかに撃ち放たれる。伸びる。延びていく。
 そして、光と光が接触し、発生するのは怪音と衝撃。

「ちょっと、ずれましたね……」

 戦果を確認すると同時に、まほろから力が抜けていく。輝ける闇は魔力を使わないとはいえ身を削る。それまでの魔力の消費と合間って、ここが限界か。


 まほろの目に、左腕と左脚を無くしたカルナがしっかりと映り。機体を操作してゆっくりと高度を下げさせる。



 正午過ぎにスーパーで行われたカルナとそれ以外の戦闘は、こうして大規模かつ中途半端な結果で終わった。



【新都・線路の南側にある警察署近くのスーパー/2014年8月1日(金)1252】

【ランサー(真田幸村)@戦国BASARAシリーズ】
[状態]
筋力(40)/B、
耐久(40)/B、
敏捷(30)/C、
魔力(30)/C、
幸運(30)/C、
宝具(40)/B、
気絶、実体化、疲労(大)、魔力消費(大)、骨にひびと内臓に損傷(どちらもまあまあ回復)、ダメージ(大)、安堵と屈辱と無力感、そして茜への責任感。
[思考・状況]
基本行動方針
強敵たちと熱く、燃え滾る戦を!!だが‥‥
1:???
2:ますたぁ(茜)に聖杯戦争について伝えたが……どうしてこうなった。
3:病院のあさしんは大丈夫だろうか。
4:ますたぁ(茜)への申し訳なさと不甲斐ない自分への苛立ち。
5:あの爆発、あーちゃー(アリシア)は無事とアサシンは言ったが‥‥
6:俺は……
7:せいばぁ(テレサ)、ばあさあかぁ(小野寺ユウスケ)と再戦し、勝利する
8:あの卑劣な作戦、やはりあさしん(扉間)は忍びの者……?
[備考]
●ランサー(アリシア)のクラスをアーチャーと誤認しています。
●ランサー(アリシア)の真名を悟ったかどうかは後の書き手さんにお任せします。
●アサシン(千手扉間)を忍のサーヴァントだと考えています。
●病院内にランサーの噂が立ちました。『アイドルの関係者』、『映画の撮影』、『歌舞伎』、『うるさい』、『真田』といった単語やそれに関連した尾ひれのついた噂が広まり始めています。また病院外でも地方紙で報じられています。
●ランサー(カルナ)の戦闘を目撃しました。
●アサシン(千手扉間)への警戒心が薄れました。
●爆破予告を知りました。
●ランサー・カルナの真名を把握しました。

【日野茜@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]
気絶、体調不良、腹八分目、頭にタンコブ(応急処置済)、???
[残存令呪]
2画
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯戦争はサーヴァント同士の格闘技!だと思ってたけどマスターも頑張らないと!!
1 .聖杯戦争という企画を頑張る!
2.とりあえず逃げる!
3.アサシンさん(扉間)がとってきた映像をアップロードする……視聴者参加型なのかなやっぱり。
[備考]
●予選期間中他のマスター、サーヴァントと出会うことはありませんでした。
●月海原学園高等部の生徒という立場が与えられています。
所持金は高校生相応の額となっています。
●自宅は深山町のどこかです。
●セイバー(テレサ)、バーサーカー(小野寺ユウスケ)の基本ステータスを確認しました。
●気が動転していたため、ランサー(アリシア)、バーサーカー(サイト)、バーサーカー(ヘラクレス)のステータスを確認できていないかもしれません。
●病院にアイドル・日野茜の噂が立ちました。『アイドル』、『撮影』、『外人』などの単語やそれに関連した尾ひれのついた噂が拡がりはじめています。
●病院の特別病床に入院しました。病室のある階に立ち入るにはガードマンのいる階段を通るか専用のIDカードをエレベーターにタッチする必要があります。
●聖杯戦争を番組の企画だと考えたり考えなかったりしました。とりあえず今後自分が常にカメラに撮られていると考え視聴率が取れるように行動します。
●ランサー(カルナ)の戦闘を目撃しました。
●スマホにアサシン(千手扉間)が病院を出てから帰ってくるまでの映像があります。写っているのはランサー(カルナ)、ランサーのマスターのイリヤ、キャスター(兵部京介)です。
●爆破予告を知りました。
●病室のベッドの下にアーチャー(ワイルド・ドッグ)が仕掛けた爆弾を発見しました。数名の病院関係者がこの事を知っています。


【アーチャー(ワイルド・ドッグ)@TIME CRISISシリーズ】
[状態]
筋力(30)/C、
耐久(30)/C+、
敏捷(20)/D、
魔力(10)/E、
幸運(20)/D+、
宝具(10)/E
左腕喪失、満腹、???。
[思考・状況]
基本行動方針
優勝するためには手段を選ばず。一応マスターの考えは尊重しなくもない。が、程度はある。
1.口封じする。
2.最悪の場合はマスターからを魔力を吸い付くせば自分一人はなんとかなるので積極的に同盟相手を探す。
3.マスター(マイケル)に不信感とイラつきを覚えていたがだいぶ緩和。
[備考]
●乗り換えるマスターを探し始めました。
●トバルカインのマスター(少佐)と三人で話しました。好感度はかなり下がりました。
●ドラえもんでの魂食いしました。誤差の範囲で強くなりました。
●ランサー・カルナの真名を把握しました。

【マイケル・スコフィールド@PRISON BREAKシリーズ】
[状態]
気絶、危篤、満腹、点滴、精神的な疲労(大)、衰弱(大)、覚悟。
[残存令呪]
2画
[思考・状況]
基本行動方針
優勝を目指しているが‥‥?
1.???
2.アーチャーに不信感。
3.もう一度病院に潜伏するか、それとも……
4.予選と同じくキャスターとの同盟を狙うがあのキャスター(兵部京介)は……
5.アサシンのマスターはどこだ?
[備考]
●大手企業のサラリーマンが動かせるレベルの所持金。
●自宅は新都の某マンションです。
●予選の時に学校で盗撮をしましたが、夏休みということもありなんの成果も得られなかったようです。
●SEASON 2終了時からの参戦です。
●アサシン(千住扉間)、ランサー(真田幸村)達と同盟を結ぶました。
●日野茜への好感度が上がりました。
●ランサー(カルナ)の戦闘を目撃しました。
●アサシン(千手扉間)への好感度が上がりました。
●スマホにアサシン(千手扉間)が病院を出てから帰ってくるまでの映像があります。写っているのはランサー(カルナ)、ランサーのマスターのイリヤ、キャスター(兵部京介)です。
●魂喰いに踏み切る覚悟をしました。ただし、聖杯戦争の当事者である他の主従だけです。
●トバルカインのステータスを確認しました。
●アーチャーよりトバルカインの情報を聞きました。


【アーチャー(安藤まほろ)@まほろまてぃっく】
[状態]
筋力(39)/B
耐久(27)/D
敏捷(49)/A
魔力(20)/B
幸運(150)/A++
宝具(40)/B
右腕喪失、霊核損耗(微)、シルフィードに搭乗中、意識朦朧、満腹、魔力消費(大)、巨乳化
[思考・状況]
基本行動方針
マスター第一。
1:???
2.のび太とのコミュニケーション。
3:さっきあったサーヴァント達から話聞きたいけどそれどころじゃない。
4.今後についてマスターと話し合う。
[備考]
●自宅内のガレージを中心に鳴子を仕掛けました。

【ナノカ・フランカ@蒼い海のトリスティア】
[状態]
気絶、体調不良、満腹、スプレンティッド・インパクト所持(ラケットケースに携帯)。
[残存令呪]
2画
[思考・状況]
基本行動方針
家に帰るのが第一、聖杯の調査が第二。
1:???
2.のび太とのコミュニケーション。
3.今後についてアーチャーと話したりいろいろ「用意」したい。
[備考]
●予選より装備が充実しました。
●ドグラノフ、及びその弾薬千発を自宅ガレージ内に所持しています。


【野比のび太@ドラえもん】
[状態]
軽傷(主に打撲、処置済み)、ひみつ道具破損
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯戦争を止めて家に帰る。
1.ナノカさんとアーチャーさんについていく。
[備考]
ドラえもんの四次元ポケットを持っています。


【ランサー(カルナ)@Fate/Apocrypha】
[状態]
筋力B(36)
耐久C(27)
敏捷A(45)
魔力B(36)
幸運A+(30)
宝具EX(?)
左腕喪失、左脚喪失、左目喪失、その他左半身へのダメージ(極大)、右背部等へのダメージ(中)、霊核損耗(小)、槍半壊。
[思考・状況]
基本行動方針
イリヤスフィールを聖杯へと導く
1:全力で撤退。
2:美遊は自身のことをイリヤに伝えるなと言った。オレはーー
3:美遊に興味
[備考]
●セイバー(アルトリア)、セイバー(テレサ)の真名を把握しました
●バーサーカー(サイト)の真名を把握しました。
●キャスター(兵部京介)の真名に迫る情報を入手しました。
●アサシン(千手扉間)の情報を入手しました。
●「日輪よ、具足となれ」をイリヤに貸与しているためダメージの回復が遅れています。
●美遊&バーサーカー組と情報交換しました。少なくとももう一人のイリヤについて話しました。
●ランサー・真田幸村の真名を把握しました。


【色丞狂介@究極!!変態仮面】
[状態]
変態(愛子ちゃんのパンティ、核金×2)、疲労(中)、精神的疲労(中)、満腹。
[残存令呪]
1画
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯戦争を止める。悪人をお仕置きする。
1.スーパーのマスター・サーヴァントと情報交換する。
2.食品を買ったら慎二とアリスとイリヤの元へ。
3.ランサーだけあって逃げ足は早いんだな……
4.帰ったら家で陣地作成したり核金作ったりしてもらう。
5.下北沢のサーヴァント(サイト)を警戒。冬木大橋も気になるからこのあと寄ってみる?
[備考]
●核金×2、愛子ちゃんのパンティ所持。
●予選期間中にサイトの魂食いの情報を得ました。東京会場でニャースを見た場合、サイトの姿や声を知る可能性があります。
●孫悟空のクラスとステータスを確認しました。
クラス・ランサー、筋力C耐久C敏捷A+魔力B幸運C
このステータスは全てキャスター(兵部京介)のヒュプノによる幻覚です。
●キャスター(フドウ)、バーサーカー(ヘラクレス)、アーチャー(赤城)のステータスを確認しました。
●ルーラーのステータスを確認しました。
●アーチャー(まほろ)、ランサー(真田幸村)、ランサー(カルナ)のステータスを把握しました。

【キャスター(パピヨン)@武装錬金】
[状態]
筋力(20)/D、
耐久(30)/C-、
敏捷(30)/C、
魔力(40)/B、
幸運(50)/A、
宝具(40)/B
どこかで実体化、魔力増(小)。
[思考・状況]
基本行動方針
せっかくなんで聖杯戦争を楽しむ。
1.まだまだ面白いことになりそうだ。
2.帰ったら家で特殊核金を制作。今日はパピヨンパークは無理か?
3.冬木市の名物は麻婆豆腐‥‥?
[備考]
●予選期間中にサイトの魂食いの情報を得ました。東京会場でニュースを見た場合、サイトの姿や声を知る可能性があります。
●気分で実体化したりします。
●孫悟空が孫悟空でないことを見破っています。
●マスターが補導されたのを孫悟空による罠と考えています。
●ビッグマックとハッピーセットは狂介から押し付けられました。
最終更新:2016年08月10日 03:34