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 毛足の長い絨毯の引かれた部屋の時代を感じさせるソファに座るアリス・マーガトロイドとその近くで壁を改めている間桐慎二の前にイリヤスフィール・フォン・アインツベルンが戻ったのは彼らがその部屋に入ってから5分ほどしてのことだった。

「待たせたわね。侍女がいないから大したもてなしはできないけれど、歓迎するわ。」
「そりゃどうも。わざわざあんな苦労して森の奥まで来た甲斐があるってね。」


 柳洞寺での会談終了後、慎二達間桐邸の三組は当初の方針通りにアインツベルン城へと移動していた。現在は内部に無事入場後それぞれに一息を入れている。少ししてから会談についての話し合いが設けられることとなっていた。

 柳洞寺で得たものはそれなりに大きい。まず第一に、三組の主従の情報を得られたことだ。
 一組は遠坂凛とそのセイバー、アルトリア・ペンドラゴン。セイバークラスの優位を示すようなステータスと、それだけのサーヴァントがどう戦うのかを知ることができたのは大きい。宝具の恐らくエクスカリバーがどのようなものかまではわからなかったにしても、真名がわかっていることや戦場となった公園の情報で分析の手段はいくらでもある。また慎二にとってはマスターが遠坂凛の名を騙る変装した偽者であるとわかったことは大変重要であった。うっかり普段の調子で話しかけていれば確実に怪しまれていただろう。
 一組はクロノ・ハラオウンとそのライダー、五代雄介。この主従については、ライダーよりもマスターの方が脅威だとわかったことが大きい。サーヴァントと共闘して他のサーヴァントを殺したというのは俄には信じられないが、本人がそう言う以上はそうであると認識して置いた方が得策であろう。敵に回すのならばマスターではなくサーヴァントの一人と思うほうが良さそうである。ライダーについては真名を自分から明かしてきたことが気がかりではあるが、ステータスは非常に低い。多芸な側面を見るに戦闘向きではないだろうと推測できる。
 そして最後の一組は黒鳥千代子とそのセイバー。この二人そのものの情報はセイバーのステータス程しかないため他の二組よりかは情報が少ないが、しかし最も与し易いということはわかった。マスターのチョコは明らかに場慣れしておらず、会談の時も基本的
に受け身であったことを考えると、おおかたセイバー頼りで何とかしてきたのだろう。
 これら三組の情報が得られたのは何よりだ。なにせ自分達以外に固まって動いている同盟の情報はこれが初めてである。他の同盟が実在したことを知れたのは今後の聖杯戦争を考えれば大きいはずだろう。

 他にも件のカルナの情報や黒いバーサーカーについて知ることができたのも悪くない。自分達が提供した情報を考えると釣り合わない程のものを手に入れられたのだから思わぬボーナスである。それと互いの連絡先を交換したのも不安要素はあるが概ねプラスである。なにかあってもなくても、これで都合五組の主従にそれぞれが連絡をつけられるようになったのだから。
 ーーなおこの時イリヤとアリスがスマホを取り出したのを見て「そういえばお前ら僕と狂介が連絡先交換してた時は出さなかったよな?」と慎二は思わずツッコミそうになったがなんとか堪えることに成功した。ナイスファイト。

 その後散会となり寺から出るときになってなぜか大勢のNPCに囲まれていたキャスターを見たときは面食らったが、慎二が間桐の名を出してギリシャからの留学生と紹介したらすぐに受け入れさせられた。ここが冬木ならば間桐という名はかなりの意味を持つ。それはたとえ聖杯戦争の為に再現された冬木でも変わらないようで、特に年配のNPCを中心に非常に好意的な反応を得られたのも、また一つの有意な情報であろう。

 そして現在、柳洞寺で翠屋の主従の同盟と別れた後、随分と後回しにされてきたアインツベルン城での話し合いの場となっていた。とはいえあの柳洞寺の場でも話せるようなことは大部分を話してしまったため、ここでの議題はあの三組の主従についてのものである。着替えを終えて応接間に戻ってきたイリヤは、彼女を待つ間に寺でキャスターを拝んでいたNPCから貰った和菓子を口にしていた慎二とアリスの向かいに座ると「お茶はまだだけど始めましょうか」と言って話を始めた。

「私としては、別にあの三組と同盟を結んでもいいと思ってるけど。」
「同じく。僕はどっちでもいいけど、あっちも聖杯戦争を止めようとしているんなら妙な真似はしないだろうし。」
「私も。つまり全員賛成ね。」

 三人のマスターはそれぞれ顔を見合わせる。まず、ここで合意できるかが重要だ。ここで三人まとめて動くメリットとデメリットを考慮した上で、それぞれがあちらとの同盟の是非を判断していることは間違いない。つまりこの同盟を飲むということは今ここでこうして同じ席を囲む三人の信頼関係に揉め事に関わってくるのだ。
 そして今、その合意はとれた。まずは一つ。今回のことで前進する。

「まあこうなるとは思ってたけど、やっぱりか。で、どうする?他になにか確認しておくことは?僕としては一旦解散したいんだけど。」

 合意がとれたことを確認すると、慎二は早くもまとめに入った。随分と急な話の持って行き方にイリヤは疑問に思う。「シンジ、急いでいるように見えるけれど?」と当然の質問をすると慎二は続けた。

「狂介と一度連絡を取りたい。アイツスマホの使い方わかってないのか一度も電話に出ないぞ。」
「ふーん、かなり楽観的ね。」
「そうかな?」
「そうでしょう。私なら、もう死んじゃったって思うけれど。」
「さすがにそんなマヌケじゃないと思いたい……なんかあの、揉め事に自分から首を突っ込んで行きそうだとは思うけど。」

 そう言って慎二は二人に見えるようにスマホの画面を向けた。既にかなりの数の発信を狂介にしているが、一度たりとも電話に出ていない。

 「そういえば買い出しに行ったのって、あのスーパーなんじゃ」とポンと手を叩きながらアリスは言った。それを見てイリヤも「新都で爆発したっていう?」と続く。

 彼女達の頭に思い浮かんだのは新都の警察署近くにあるスーパーのことだ。なんでも柳洞寺での会談が始まる少し前に公園が爆発する時と良く似た光の柱と共に爆発したらしい。現地ではカルナと思われるUFOの目撃情報もあり、しかもそれが何十人もの警察官やマスコミ関係者であったことから、『警察署を狙ったテロ』として大々的に報道されていた。折しもその時警察署では記者会見の真っ最中であったため、報道管制を牽く間もなく全国に放送されてしまったのだ。

「おいおい待てよ二人とも。確かにスーパーはあるけど……普通買い出しって言ったら家から近い場所で買わないか?しかも船に乗らなきゃ深山町側にはこれないってのに。商店街で買おうって思うだろ。」
「……橋が落ちていることを忘れてたのは誰だったかしら?シンジ。」
「キョウスケは商店街のことを知ってるの?」
「……なんだよお前ら僕が悪いっていうのか!?」
「いいえ。ただ不幸な事件って思っただけ。」
「惜しい人を亡くしたわ。」
「……わかった。良くわかった。じゃあまず確認をとろう。スーパーが爆発したって聞いたときに一応さっき死人の名前を調べたんだけどその中にアイツの名前はなかった。だけど実は死んでるかもしれないしそうじゃないかもしれない。だから今から知り合いの警察官に電話する。その警察官も狂介のことは知ってるからなにか聞き出せるかもしれない。」

 イリヤもアリスも、言った言葉に慎二を責めようとするニュアンスは全くなかった。それが慎二を苛立たせる。
 別に慎二としては狂介が死んでいたとしてもさほど悲しくはない。だが、それが自分の判断ミスで、しかもそれを仕方ないなどと(慎二の頭のなかで変換して)言われると哀れまれているように思えてくる。それは慎二にとって認められるものではなかった。
 そしてスマホの電話帳にある人物の名前を見つけたことで警察に問い合わせるという発想に行き着いた。『尾留川』と登録された電話番号。それは、あの忌々しい警察署での取り調べの時に自分と狂介の話を聞いた婦警の名前であった。

 慎二は二人の目の前でわかるように電話をかける。これで少なくとも『絶対に死んでいる』のか『死んでるかどうかわからない』かはハッキリする。

 ……。

 …………。

 …………………。

「……って、圏外じゃないか!?」
「あ、機械を使われても見つからないように結界が張られてるってさっき言わなかったかしら。」
「スマホもダメとは聞いてないぞ、クソッ……まあいい、狂介もおんなじように圏外になってるかもしれないし。アインツベルン、どこから使えるようになる?」
「森から出れば確実に使えるはずよ。来たときのタクシーもまだ暗示で城の前に停めておいたし。」
「オーケーわかった。せっかくだ、僕は一度間桐邸に戻る。こっちに泊まる用意もないしね。」
「私も着いてく。家は新都にあるから。狂介とは生きていたらどこかで合流できるかもしれない。」
「そう……それなら明日の朝九時に間桐邸で落ち合いましょう。私も今日はやることが多いから。」

 慌ただしく慎二は用意を始め、アリスもまた立ち上がった。
 ここで一旦全員別行動をとることになりそうだ。思えば丸半日の付き合いだが、最初に会った時にはここまで長い付き合いになるとは思わなかった。

「皆さんお茶を……あら?」
「悪いわねアーチャー、淹れてもらったのに。ちょっと事情が変わってね、直ぐに出ていくことになったみたいよ。そんなに急がなくてもいいのにね。」
「圏外の所にいたんじゃ狂介どころか誰からも連絡が来ないからな、悪いけれど、直ぐに出発させてもらうよ。それに今日はお茶してばっかなんでね。」

 ティーセットを持って現れたアーチャーが目をぱちくりとする。それを見てイリヤは笑った。確か彼女には自分が着替えにいく前にお茶の指示を出したはずだが、まさかこんなにも短い間に出ていくことになるとは思わなかっただろう。

「すみません……」
「いいわ、貴女が謝るようなことでもないし。淹れてもらえる?」
「アリス、一緒に乗ってく気なんだろう?僕ん家の前までは奢るよ。」
「ありがとう。イリヤ、タクシーの運転手の暗示はいつまでもつの?」
「あのレベルのなら、この森に入ってから出るまでのことは忘れるし、前後のことも記憶が曖昧になるわ。なにか暗示で上書きしたいのならシンジの家までは待った方が良い。」
「どうも、参考にさせてもらう。」

 アーチャーがお湯を注ぎ終わる頃にはシンジもアリスも部屋を出ていっていた。この城から町まで戻るには車を使ってもそれなりに時間がかかる。その意味では迅速な行動は正しいだろう。

「ーー少し温いかな。」

 一口紅茶を転がし飲み込みイリヤは同盟相手が出ていった扉を見る。


 こうして倉庫街から行動を共にしていた彼らは、そのパーティーを一時解散することとなった。



【深山町、アインツベルン城/2014年8月1日(金)1754】

【アリス・マーガトロイド@東方Project】
[状態]
精神的疲労(微)。
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
幻想郷に戻ることを第一とする。
1.一度自宅に戻る。
2.一応狂介を探しておく。
3.三千人、ね。
4.定期的に赤城の宝具で偵察。
5.できれば冬木大橋を直接調べたい。
6.人形を作りたいけど時間が……
7.聖杯戦争という魔法に興味。結界かあ……
[備考]
●予選中から引き継いだものがあるかは未確定です。
●バーサーカー(ヘラクレス)、キャスター(パピヨン)、キャスター(フドウ)、ルーラー(ミュウイチゴ)、セイバー(アルトリア)、セイバー(テレサ)、ライダー(五代)のステータスを確認しました。
●参加者が三千人いることを考え始めました。
●間桐慎二と色丞狂介とイリヤスフィール・フォン・アインツベルンとクロノ・ハラオウンに疑念を抱きました。
●アインツベルン城の情報を知りました。
●ランサー(カルナ)の情報を入手しました。
●柳洞寺で会談した結果、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、ルーラー以外の情報並びにそれぞれの連絡先を共有しました。主に当事者以外のサーヴァントの情報でありこれには一部の聖杯戦争に関する情報も含まれます。またルーラーに大して言及を避ける暗黙の空気も共有されました。
●自宅は新都にあります。

【赤城@艦隊これくしょん】
[状態]
筋力(20)/D、
耐久(150)/A++、
敏捷(20)/D、
魔力(10)/E、
幸運(30)/C、
宝具(30)/E+++
魔力増(微)。
[思考・状況]
基本行動方針
マスターを助ける。今度は失敗しない。
1.警戒を厳に、もしもの時は壁役に。
2:戦略資源(魔力等)をもっと備蓄したいなあ……
3:定期的に宝具で偵察し必要なら制空権を確保する。
[備考]
●アインツベルン城上空を宝具で偵察しました。
●アインツベルン城の情報を知りました。また赤城の宝具はアインツベルン城に施された魔術の影響を受けることを認識しました。


【間桐慎二@Fate/stay night 】
[状態]
疲労(小)。
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯を手に入れる。何を願うかは後から決める。
1.間桐邸に戻って狂介の安否を知り合いの警察官のNPCに確認する。
2:あのルーラー、かなり軽いな。
3:ライダー(孫悟空)は許さない。
4:間桐家で陣地作成を行うと思っていたがアインツベルン城も悪くない。
5:会場と冬木市の差異に興味。新都に行ったら色々と調べてみるのも一興。
[備考]
●孫悟空のクラスとステータスを確認しました。
クラス・ライダー、筋力B耐久B敏捷B+魔力D幸運A
このステータスは全てキャスター(兵部京介)のヒュプノによる幻覚です。
●キャスター(パピヨン)、バーサーカー(ヘラクレス)、アーチャー(赤城)、ルーラー(イチゴ)、セイバー(アルトリア)、セイバー(テレサ)、ライダー(五代)のステータスを確認しました。
●この聖杯戦争を『冬木の聖杯戦争を魔術で再現した冬木とは別の聖杯戦争』だと認識しています。
●キャスター(パピヨン)とイリヤへの好感度が下がっています。
●マスターの人数が三千人、もしくはマスター千五百人サーヴァント千五百人程度だと思っています。
●アリスに不信感を抱きました。
●遠坂凛が自分の知っている遠坂凛ではないと気づきました。
●アインツベルン城の情報を知りました。
●ランサー(カルナ)の情報を入手しました。
●柳洞寺で会談した結果、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、ルーラー以外の情報並びにそれぞれの連絡先を共有しました。主に当事者以外のサーヴァントの情報でありこれには一部の聖杯戦争に関する情報も含まれます。またルーラーに大して言及を避ける暗黙の空気も共有されました。


【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night】
[状態]
精神的疲労(小)、頭痛、その他程度不明の命に別状はない怪我(全て治癒中)。
[装備]
特別製令呪、黒のワンピースとソックス、私服(陰干し中)。
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
全員倒して優勝する。
1.まずは城の整理とかかな。
2.明日の朝九時に間桐邸に向かう。
3:別行動しているキョウスケが気にならない訳ではない。
4.参加者が何千人もいる……!?
5:あのルーラー……ルーラーとしてはかなりいい加減ね。
[備考]
●第五次聖杯戦争途中からの参戦です。
●ランサー(幸村)、ランサー(アリシア)、アサシン(扉間)のステータス、一部スキルを視認しました。
●少なくともバーサーカー(サイト)とは遭遇しなかったようです。
●自宅はアインツベルン城に設定されています。
●アサシン(千手扉間)がハサンではない可能性に気づきました。
●アーチャー(赤城)、キャスター(パピヨン)、キャスター(フドウ)、ルーラー(イチゴ)、セイバー(アルトリア)、セイバー(テレサ)、ライダー(五代)のステータスを確認しました。
●参加者が何千人という規模であることを考え始めました。
●間桐慎二と色丞狂介に疑念を抱きました。
●セイバー(アルトリア)の真名を看破しました。
●ランサー(カルナ)の情報を入手しました。
●柳洞寺で会談した結果、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、ルーラー以外の情報並びにそれぞれの連絡先を共有しました。主に当事者以外のサーヴァントの情報でありこれには一部の聖杯戦争に関する情報も含まれます。またルーラーに大して言及を避ける暗黙の空気も共有されました。