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 呼吸を整える。
 目線は真っ直ぐ、左へ。
 ギャラリーの見守るなか、ただ静かにその時を待ち、タイミングを計り――

 瞬間、豪。

「ストライク。」
「……チッ。」
(今舌打ちしたなコイツ。)
「おまたせ、焼きそば買ってきたよ。」


 冬木市は未遠川によって東西に別れているが東岸の倉庫街とは対照的に西岸は公園になっている。穏やかな瀬戸内に面していることもあって景観も良いそこは当然のように観光スポットであり、つまり何が言いたいかというと、竜堂ルナと衛宮切嗣の同盟はその海浜公園の近くにあるバッティングセンターに訪れていた。

 一枚のクーポン券を切嗣が見つけたのは今から二時間ほど前のことであった。病院へルナが単身偵察に行き、取り残されたバーサーカー・ヒロからの小言を聞き流しているときにダッシュボードに放置していたチラシに紛れていたそれを彼は発見したのである。
 そういえばカウンターの隅にあったか、などと思い出す。切嗣にはそれを手に取った覚えはなかったが、キーと共に渡された書類やチラシの一つとして受け取ったのだろうと納得する。
 耳ではバーサーカーの声を一応聞きながらも、口に手を当て暫し考え。そしてルナがなんの成果も得られず悲しい顔をしながら戻ってきたのを見て、切り出したのであった。

「少し、見ておきたい場所がある。」


「しかしこのような観光地で本当に他のサーヴァントの情報が手に入る――のかっ!」
「観光地かどうかは知らないけど人が集まるところなら情報も集まるんじゃ――ないっ!」
「そう上手く行けばいいが、無知な民が多いだけに思えるが――なっ!」
「私達みたいな感じで集まってくるかもしれないでしょ――とっ!」
「この人数だ、どうやって見つける――はっ!」
「だから実体化してバット振ってるわけでしょ、こんなサーヴァント見たら――おっと!怪しむでしょ。」
「ああ、それかめでたい頭をしてるかのどっちかだ――くっ、この!」
「――はあっ!よし!ホームラン!!」

 鳴り響くSandstormをヴァンダレイ・シウバの如く浴びるアーチャー・クロエ・フォン・アインツベルンをバーサーカーは苦々しい顔で見た。二組の主従のホームランダービーはアーチャー側に軍配が上がったようだ。受け付けから景品の店名ロゴ入りレッドソックスを貰うとこれ見よがしにバーサーカーの前でお手玉して見せている。
 その光景を「ホームランすると景品貰えるんだ」などとのんきな呟きをしながらルナは焼きそばを頬張って見ていた。東京育ちとはいえ産まれてからのほとんどを児童養護施設とせいぜい小学校だけで過ごしてきた彼女はただどぎまぎするだけ。道端の大道芸の人だかりですら『大勢』とする彼女にとって小学校の朝礼よりも多くの人間がひしめくアミューズメント施設はなんだか居心地の悪いものであった。
 そんな状況ではあったがそれはそれとして、ぱくぱくと焼きそばを完食して一息ついていると、手招きするバーサーカーと目が合う。持ってきて欲しいのかな?などと思い焼きそばの入った袋を手に近づくと渡されたのはバット。

「アーチャー、十球勝負だったな?」
「……サーヴァント同士の対決じゃなかったけ?」
「おっとそんな話は聞いていないな。」
「あっ……ふーん。」
「ということで代打だ、ルナ。」
「えぇ……」

 ここでバーサーカーさん、まさかの代打マスター。

「なんだろうな、ちょっと思ってた聖杯戦争とちがうんだよね。」
「奇遇だな、こちらも同じことを考えていた。さあルナ。」
「無理無理打てない!?バットとか持ったことないし!」
「問題ない、『解放』しろ。我々が実体化しても今は問題ないのと同じだ。」
「問題ないて訳じゃないんだけど――ん?解放?」

 マスター(JS)に金属バットを押し付けるサーヴァントという状況に呆れながらも、アーチャーが何か嫌なものをサーヴァント直感により感じ取る。なんかヤバい、この二人はまた余計なことをする!そう確信するもしかし彼女が切嗣へ念話を送るより早く、案の定目の前で魔力が膨れ上がるのを覚えて、そして。

「第 三 の 目 を 解 放 す る ! !」
「そうだ、それでいい。」

「――やりやがったな、コイツら……」

 頭痛を通り越して腹痛を覚えるアーチャーの横を、半妖の力を取り戻したルナが通りすぎる。
 手には金属バット、目はいつの間にか打ち出されていた野球ボールへ。
 赤く妖しいうず目は超動体視力と超身体能力を彼女にもたらす。その踏み込みのスピードは時速150km、くしくも迫り来る球速と同じ。
 観衆は皆、彼女から視線を離せない。150+150、合計300キロの相対速度はルナのスイングにより更に加速、亜音速に達するのだ!

(止まって――)

「――見えるッ!」

 ライトに照らされ黄金の光を返す銀髪はテールライトのように伸びた。その先端ではソニックブームを発しながら金属バットが白球に喰らいつく。

 当然、ジャストミート、しかし。

「あのスイングで持っていくだとォッッ!」

 観衆の一人が声を上げた。バッティングセンターの年間パスポートを持っている彼だからこそ気づけた、彼だけが見逃さなかったのだ。彼女のバットの向きは明らかにファールに該当する位置に飛ばすはずのものであったのだ。しかし!サーヴァントに匹敵するポテンシャルを持つ彼女ならば手首のスナップによりバットに別ベクトルのインパクトを加えることでホームランの的を正確に狙い打てるのである!!


「勝ったな。」
(おい。)

 バーサーカーの呟きと同時に、再びSandstormが鳴り響き、そして観衆の拍手が湧く。白球は見事、轟音と共に的へと突き刺さったのである。ルナはバーサーカーとハイタッチすると勝利のガッツポーズをしながら景品の店名ロゴ入りレッドソックスをいそいそと取りに行った。

(やっぱりこうなったか。予定通りライブ会場に来てくれ。僕は事後処理をしておく。)

 切嗣からの念話で、あっけにとられていたアーチャーは正気を取り戻す。
「ほらライブ始まっちゃうから行くよ!」と半ばやけくそになりながら二人の手を引いて移動し始めた。



 少しでも泳がせるとこれだ。衛宮切嗣は懐に手を入れそこに煙草がないのを思い出すと、ため息とも深呼吸ともつかぬ息を吐いた。

 サーヴァントのバッティング対決は確かにあえてサーヴァントを露出させるという意味もあったがもちろん本題はそこではない。その真の目的の一つは、バーサーカーの主従を試すことだ。今後同盟としてやっていけるかの。
 そしてそのテストの結果は、もちろん失格である。
 僅か数分とたたぬうちに、切嗣がトイレを口実に目を離してからマスターの魔術行使である。いくらなんでも早すぎるだろふざけているのか、というのが正直な感想だ。なんならあのバーサーカーはこちらを試している可能性もある。むしろそうであって欲しい。でなければもう知能を疑わざるをえない。
 あまりに早すぎた為にもう一つの目的を果たす時間もなかった。それどころか、余計な手間を増やされた。自分ならこんなことをしでかす馬鹿とは絶対に近づきたくないと思うだけに急いで隠蔽工作をせねばならない。

 久々に走るという動作をしてバッティングセンターへとバックホームを果たす。泥の影響から解放されたとはいえ、体はすっかりなまっていたこともあって息は上がっていた。どうやら自分の身体能力も買い被っていたようだ、と回らぬ頭で考えていると、一人の男と目があう。その男は、先ほどルナのバッティングを見逃さなかった男であったのだが、そんなことは切嗣には関係ない。

「……あんたも同業か、手伝ってくれ。」

 そう言うと、それきり背を向けバッティングセンターに居た人間に次々に呪文をかけていく。

 衛宮切嗣が始めて真っ当な魔術師(NPC)にあった瞬間である。



「まあね、実体化はしても魔力を表に出さないっていうのは正しい。実体化してるだけで魔力は十分に感じ取られるんだから。で、ルナ。」
「は、はい。」
「アンタ変身して魔力垂れ流しにしたのはなんなの。百歩……ううん、一億歩、一億歩譲って変身したのは良いとしてもさ、魔力漏らしてるのはなんなの?」
「あの……ごめんなさい。」
「何年生?」
「えっ。」
「なんねんせい。」
「四年……」
「高学年としてどうなの?」
「う……」
「黙っててもわかんないでしょ。」
「ごめんなさい……」
「ごめんなさいじゃなくてどうなの。」
「それは、その……」

 バッティングセンターから程近い場所にあるちょっとした屋外広場。アイドルグループのライブが始まろうとしているその隅っこの方で銀髪の少女が同じく銀髪の少女にお説教をしていた。端から見ると姉妹にも見えるがもちろん説教しているのはアーチャーで説教されているのはルナである。ちなみにバーサーカーはしれっと少し距離をとって他人のふりをしている。やっぱバーサーカーってハズレクラスだわ。

 実は、このアイドルのライブこそ、衛宮切嗣のもう一つの目的であった。彼としてはどうにかバーサーカー達から離れる為にこの人目の多いライブ会場を利用しようと目論んだのである。
 カーラジオで聞こえたアイドル・日野茜の失踪。これを無知なバーサーカー達に『アイドルは常日頃からリアルタイムで監視されている』と吹き込む気であったのだ。そうすれば、少なくともライブの場では観客というカカシを目にして手荒な真似はしにくいはずであり、その隙にアーチャーだけでも離脱させ他のまだましな主従とのコネクションを構築しようというのがその魂胆であった。無論自分が殺される可能性もかなりのものだが、だとしてもこのままこのバーサーカー達にしゃぶり尽くされて自滅するよりははるかにましだと、先ほどの件で確信し実行に移すこととしたのである。それに実際そこまで嘘は言っていないし、何より幼いルナと人間の常識が通じないバーサーカーである。丸め込めるだろうと目算を立てたのだ。

 だが、二つの誤算があった。

 一つは、バーサーカー達が魔術師としてはあり得ない神秘の開示を行ったことである。実のところバーサーカーは、アーチャーがどのラインで動くかを確かめるためにルナを動かしたが、これが期せずして切嗣の動きを封じていた。
 もう一つは、他の魔術師らしき存在と接触したことだ。彼がなんなのかはわからないが、隠蔽工作をしているということは、つまりそういうことだ。しかし、マスターなのか?NPCなのか?区別がつかない。それともルーラーやそれに近い存在か。

(もう始まっちゃう、あんまり引き延ばせないよ。)
(五分だ、時間を稼いでくれ。)

 アーチャーは説教をして切嗣の不在を問いただせない空気を作り続ける。切嗣は目の前の男を見定めようとしながらも隠蔽工作を進める。

 二人の聖杯戦争は、まだもう少し始まらない。



【深山町・海浜公園近くのアミューズメント施設/2014年8月1日(金)1640】

【衛宮切嗣@Fate/zero】
[状態]
五年間のブランク(精神面は復調傾向)、精神的疲労(小・消耗中)。
[残存霊呪]
三画。
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯戦争を止め、なおかつクロエを元の世界に返す。
1.バーサーカー主従と縁を切りたいが、それよりも目の前の男は……
2:アーチャーに色々と申し訳ない。
3.戦闘は避けたいが協力者を募るためには‥‥?
4.装備を調えたいが先立つものが無い。調達しないと。
5:自宅として設定されているらしい屋敷(衛宮邸)に向かいたいが、足がない。避けたいが、アインツベルン城に泊まるか?
[備考]
●所持金は3万円代。
●五年間のブランクとその間影響を受けていた聖杯の泥によって、体の基本的なスペックが下がったりキレがなくなったり魔術の腕が落ちたりしてます。無理をすれば全盛期の動きも不可能ではありませんが全体的に本調子ではありません。
●バーサーカーとそのマスター・ルナの外見特徴を知り、同盟(?)を組みました。可能ならば同盟を解消したいと考えています。
●コンビニで雑貨を買いました。またカバンにアーチャー(クロエ)の私服等があります。
●セイバー(アルトリア)への好感度が上がりました。
●eKスペース(三菱)のレンタカーを借りました。

【アーチャー(クロエ・フォン・アインツベルン)@Fate/kareid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]
筋力(10)/E、
耐久(20)/D、
敏捷(30)/C、
魔力(42)/B、
幸運(40)/B、
宝具(0)/-
実体化、軽く自暴自棄、魔力充実(微、上昇中)、私服、精神的疲労(小・消耗中)。
[思考・状況]
基本行動方針
衛宮切嗣を守り抜きたい。あと聖杯戦争を止めたい。
1.なんかもうむちゃくちゃね。
2.なんなの、アイツ(ルナ)……ホムンクルス?少なくとも人間ではないと思う。
3.あんまりコイツ(ルナ)からは魔力貰いたくない……
4.冬木大橋が落ちたことに興味。
[備考]
●赤色の影をバーサーカーと、銀色の影をマスターの『ルナ』と認識しした。
●ルナをホムンクルスではないかと思っています。また忌避感を持ちました。
●バーサーカーと同盟(?)を組みました。 可能ならば同盟を解消したいと考えています。
●夏用の私服を着ています。バッティングセンターの景品のレッドソックスを貰いました。


【竜堂ルナ@妖界ナビ・ルナ】
[状態]
封印解除、肉体的疲労(小、回復中)、妖力消費(中)、靴がボロボロ、服に傷み、精神的疲労(小・消耗中)。
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
みんなを生き返らせて、元の世界に帰る。バーサーカーさんを失いたくない。
1.ゴメンナサイ。
2.同盟を結んだ?らしい。
3.学校の保健室を基地にする‥‥いいのかな‥‥
4.誰かを傷つけたくない、けど‥‥
[備考]
●約一ヶ月の予選期間でバーサーカーを信頼(依存)したようです。
●修行して回避能力が上がりました。ステータスは変わりませんが経験は積んだようです。
●新都を偵察した後修行しました。感知能力はそこそこありますが、特に引っ掛からなかったようです。なお、屋上での訓練は目視の発見は難しいです。
●第三の目の封印を解除したため、令呪の反応がおきやすくなります。また動物などに警戒されるようになり、魔力探知にもかかりやすくなります。この状態で休息をとっている間妖力は回復しにくいです。
●身分証明書の類いは何も持っていません。また彼女の記録は、行方不明者や死亡者といった扱いを受けている可能性があります。
●食いしん坊です。
●バッティングセンターの景品のレッドソックスを貰いました。。
●バーサーカーの【カリスマ:D-】の影響下に入りました。本来の彼女は直接的な攻撃を通常しませんが、バーサーカーの指示があった場合それに従う可能性があります。

【バーサーカー(ヒロ)@スペクトラルフォースシリーズ】
[状態]
筋力(20)/D+、
耐久(30)/C+、
敏捷(20)/D+、
魔力(40)/B++、
幸運(20)/D、
宝具(40)/B+
実体化、最低限の変装、精神的疲労(小・消耗中)。
[思考・状況]
基本行動方針
拠点を構築し、最大三組の主従と同盟を結んで安全を確保。その後に漁夫の利狙いで出撃。
1.衛宮切嗣はどこだ? ……まあ今は聞かないでおくか。
2.あの光のサーヴァント(カルナ)が気に入らない。。
3.ルナがいろいろ心配。他の奴等に利用されないようにしないと。
4.同盟は盾として活用せねば。
5.冬木大橋が落ちたことに興味。学校を拠点にするのはひとまず先送り。
[備考]
●新都を偵察しましたが、拠点になりそうな場所は見つからなかったようです。
●同盟の優先順位はキャスター>セイバー>アーチャー>アサシン>バーサーカー>ライダー>ランサーです。とりあえず不可侵結んだら衣食住を提供させるつもりですが、そんなことはおくびにも出しません。
●衛宮切嗣&アーチャーと同盟を組みました。切嗣への好感度が下がりました。
●衛宮切嗣が更に苦手になりつつあります。
●神を相手にした場合は神性が高いほど凶化しずらくなります。