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「くそっ!くそっ!何なんだよあいつはァッ!!!」

間桐慎二はつい先ほどの美遊の暴挙に怒り狂い、喚き散らしていた。
全くもって意味がわからない。何とか停戦に漕ぎ着け、生還する目途が立とうとしていた時に何故こんなことになる?

「ちょ、ちょっと慎二さん落ち着いてよ」
「これが落ち着いてられる状況だって!?そう言いたいのかよお前は!?
ああ、ああそうだな!お前みたいなガキには今どれだけヤバい状況かなんてわかるはずないよなあ!!
詰みかけてんだよ僕らは!今まさに!ヘラクレスとカルナを両方同時に敵に回しかねないんだよ!!」

のび太の声にもまるで耳を貸す様子はない。
のび太も危機感は十分にあるし、許されるなら今すぐ叫び出したい気持ちでいっぱいだ。
ではどうしてそうしないのかというと、すぐ隣に自分より遥かに荒れている人間がいるからだ。
慎二の癇癪は他の全員にとって耳障りであったが、同時に慎二以外の全員に冷静さを与えてもいた。
こいつのようにだけはなるまい。それが全員の共通認識だ。

「ちょっと落ち着きなさいよ慎二。ほら、携帯鳴ってるわよ」
「携帯ィ!?…ってこの番号、狂介か!そうだ、どうなったかあいつに聞かないと!」
「今慎二さんに電話任せて大丈夫かなあ……」
「取り上げたら余計荒れるでしょうね」

とりあえず狂介が慎二を冷静にさせるような情報を齎してくれることを期待するしかなかった。
慎二一人なら適当な誰かに物理的に黙らせるところなのだが、何しろ彼は現在この間桐邸にいる中で二番目に強力なサーヴァントを従えている。
加えてそのサーヴァントのクラスはキャスターで、間桐邸を自らの領域に変えている。まかり間違って彼と衝突することになれば、凛のセイバーであっても無事では済まない。
それに戦力バランスの話を抜きにしても、今これ以上仲間同士で争っているわけにはいかないのだ。

『慎二くんか?』
「狂介、お前は無事なんだな!?美遊とクロノと、あとあいつらのサーヴァントはどうなった!?」
『ああ、そのことだけど……』

電話の向こうから美遊を追いかけた後の経緯を語る狂介。
彼の報告は果たして慎二を安堵させるものだったかと言えば―――残念ながら真逆の効果しかなかったと形容するしかなかった。



『…それで、クロノくんは美遊ちゃんの槍で心臓を刺されて、それと同時に放った魔法で美遊ちゃんとキメラのようなサーヴァントを巻き込んで氷漬けになった。
実質的には相討ちだ。五代さんと美遊ちゃんのバーサーカーの姿も見てない……』
「くそっ!何てこった!まさかこんなところでクロノが死ぬなんて!
何を考えてるんだかわからないところはあったけど、あいつは冷静で頭が切れるやつだったのに!」
「そんな、クロノさんが……」
「クロノが……ね」

頭を掻き毟る慎二を責め立てる者はいなかった。
クロノは表向き冬木の御三家の一人である慎二をリーダーとして立てていたが、ここにいる誰もが同盟の中心に近いのはクロノだと思っていた。
特に聖杯戦争の頓挫を積極的に狙っていたのび太と狂介にとって、誰よりも冷静で誰よりも固い信念を持っていたクロノの脱落は心に大きな影を落としていた。



『今は美遊ちゃんが持っていたステッキとクロノくんが持っていたカードを拾ってそっちに戻っているところだ。
…それで慎二くん、これからどうする?アインツベルンの人たちには結果的に大きな誤解を与えてしまったし、何か方策を考えた方が良い』
「誤解を招いた原因の一つは確実にお前ですよねえ!?」
「とにかくわけを話して誤解を解こうよ!」
「ですがノビタ、そう簡単にはいかないでしょう。あちらからすれば騙し討たれたも同然。
ましてや和平交渉の最中だったのですから。……それからキョウスケの出で立ちも誤解を招くには十分過ぎるかと……」
「というか、美遊はどうしてあんなことをしたのかしら?」

慎二を含めた一同が発言者であるアリスを見る。
言われてみれば確かに美遊が唐突にアインツベルン陣営に攻撃を加えた理由ははっきりとしていない。
本人は「これで向こうは話し合おうとするはず」などと言っていたがそれが心にもない虚言であろうことは慎二でさえも察していた。

「直前に僕たちが何をしてたか思い出してみよう、思い出すだけでムカつくけどね。
確かあの時はちょうどランサーの方のイリヤとバーサーカーの方のイリヤから同時に交渉の申し出があったはずだ」
「はい、それでどちらかと言えばランサーの方のイリヤさんを切る方向で話が進みかけていたような……」
「おい人聞きの悪いこと言うなよ。まるで僕が原因みたいじゃないか
第一僕はあいつの話を信じる根拠がないと言っただけで切り捨てようとまでは言ってないだろ」
「だけど美遊はそうは考えなかったかもしれない」
「もしかして…美遊ちゃんは……」

のび太がなけなしの頭脳を振り絞って考え得る解答を言おうとした時、大きくパンパンと手を叩く音が地下室に響いた。
音の発信源である凛は不機嫌そうに慎二とアリスを睨んでいた。

「はいはい話が脱線してるわよ。そういうのは事態を収拾した後でも出来るでしょうが。
それより狂介はどうするの?あちこちで悪目立ちしてるのもそうだけど、このままじゃここに戻ってくる前に死ぬわよあいつ」
「し、死ぬ!?」
「そういえば狂介はサーヴァントがいないんだったな……。
狂介、自力で戻ってこれそうか?」
『迷惑はかけたくないし、何とか戻る…と言いたいところだけど、またあっちのアーチャーに狙撃されたら今度はどうしようもないと思う。
さっきはクロノくんが防いでくれたが、彼はもういない……』
「つまり誰かが救助に行く必要がある、ということか」

現時点で狂介はサーヴァント不在の状態で敵陣のど真ん中に孤立している。
このまま放置すれば対聖杯派に怒りを抱いているアインツベルン陣営なりカルナなり、あるいは他の陣営によって狩られるのは火を見るよりも明らか。
みすみす仲間を見殺しにするわけにはいかない、という空気が生まれてきた中、さらに凛が補足した。

「狂介の安否もそうだけど、今あいつが持ってる美遊のステッキを他の誰かに奪われるわけにはいかないわ」
「はあ?何で?」
「ずっと考えてたのよ。美遊にしろランサーの方のイリヤにしろ、あれだけの規模のサーヴァントをどうやって維持して戦わせていたのか。
特にカルナの経戦能力は明らかに不自然よ。あれだけの神格の英霊が何度も宝具やスキルを連発して未だに魔力切れを起こす気配がないって有り得ると思う?」
『美遊ちゃんのステッキに何か秘密がある。そう言いたいのかい?』
「そういうこと。実は私、前にセイバーとカルナが戦った時に視界共有でランサーの方のイリヤがステッキを持ってるのを見たことがあるの。
私は二人が持ってるステッキは所有者の魔力を補うシステムを積んだ同型機の可能性があると見てる」
「つまり彼が美遊のステッキを持ち帰れるかどうかが重要、ということね」
「もちろん狂介を軽視してるわけじゃないわ。
彼は変態だけど、頭脳面でも実力面でもこの同盟には必要な人物よ。失えば少なからずダメージになる」

幸いと言うべきかはわからないが、こちらでわかる限りアインツベルンからの反応はあれから何もない。
あちらもどうするべきか善後策を話し合っているのかもしれない。
ならば今のうちに出来ることをしておくべきだ。

「じゃあ決まりだ。狂介、こっちから救援を出すから適当なところで待ってろ」
『すまない、助かるよ』
「でも誰が行くの?」

何気ないのび太の発言に全員が考える。
赤城は戦艦の艦娘故に動きは鈍重で、迅速な救助は難しいしまほろは既にボロボロで他人の救助どころではない。
かといってキャスターであるフドウが陣地を離れるなど本末転倒もいいところ。
ほどなく消去法で全員の視線がセイバーの少女とそのマスターへと注がれた。
慎二だけはあいつに行かせて大丈夫かと一瞬だけ思わないでもなかったが、代案もないしこの同盟が既に一蓮托生となっている以上滅多な真似はしないだろうとひとまず疑念を引っ込めた。



「まあそう来ると思ってたわ。
いいわ、言い出しっぺでもあるし私がセイバーと行ってくるわね」
「本当に良いの、凛さん?」
「心配してくれてるの?大丈夫よ、幸い私達はバイクを持ってるし、セイバーはこの中じゃ一番遊撃に向いてる。
そんなに時間はかからずに狂介と合流できると思うわ」
「じゃあ僕らでもう一度交渉の案を練りなおしておくか。
くそっ、美遊のやつ本当余計なことをしてくれたもんだよ!」
「ええ、そうね。全くやめてほしいわよ。こんな時にこういうの」



やや苛立たしげにセイバーを伴って地上へと出る凛。
その姿を見送ってから一同は再び作戦会議に戻った。



 ◆   ◆   ◆



何とか深山町までは自力で来れたか。
狂介は仮設橋の人混みを利用して、もしかすると来るかもしれないアーチャーの攻撃がないことを祈りつつ深山町エリアまで戻ってきた。
正直なところ、これ以上はサーヴァントの襲撃に神経を張り詰めながら移動することはできそうにもなかった。それだけ今の狂介は消耗しきっていた。
間桐邸への到着を待たずに電話で経過を報告したのもつまりはそういう事情であり、最悪仲間に連絡する前に自分が殺されることも有り得たからだ。
人気のない路地裏で疲労困憊の身体を休めながら、自分の無力さを噛みしめ暗然たる思いに駆られていた。
結局美遊は止めきれず、クロノと美遊の両方を失ってしまった。両者の激突は変態仮面の力を以ってしても収めること敵わぬ激しさだった。

「パピヨンがいてくれたらな」

今はもういない狂介のパートナーだった変態(せんゆう)。
彼と共に戦えればどちらも犠牲にせずに済んだだろうか。
いや、と頭を振って勢いよく立ち上がる。弱気でいては駄目だ。
こんなことでは彼に笑われてしまう。これ以上仲間や人々を死なせないためにも前に進まなくては。



「ここにいましたか、キョウスケ」
「うわっ!?…ああ、セイバーちゃんか」
「ちゃん付けはやめてほしいのですが…とにかく早く見つかって良かった」
「全くサーヴァントもなしに飛び出すなんて、不用心すぎるわよあなた」



気づくとセイバーと凛が狂介を挟むようにして路地の両端にいた。
先ほど頼んだ間桐邸からの救援が来たのだろう。それは良いのだが…何故か凛は黒いライダースーツに着替えていた。
しかもどういう意図か胸元が開いた極めて挑発的、あるいは扇情的な恰好だった。

「ああこれ?ミニスカートでバイク乗り回すわけにもいかないでしょ?
だから途中で家に寄ってちゃちゃっと着替えてきたのよ。……で、返事は?」
「…あ、ああ。本当にすまない。ただどうしても美遊ちゃんを止めなければならないと思ったんだ。
あの子は明らかに自分を犠牲にしてでもランサーの方のイリヤちゃんを救おうとしていた」
「そうね。私も同じ見解よ。
あの子たちは同型のステッキを持ち同じように規格外の魔力供給を実現していた。
聖杯戦争以前からの知り合い、もしくは友人だったとしても不思議じゃない」


意外にも、という言い方は失礼なのだろうが、凛が賛同を示したことに狂介は内心で驚いていた。彼女はもう少し冷徹な人間だと思っていたが誤解だったのかもしれない。
理解してくれる人がいてくれて嬉しいと思う反面、改めて悔しさと怒りを感じずにはいられない。
何故仲の良かったであろう少女たちがこんな形で引き裂かれなければならなかったのか?
決まっている。全ての原因は聖杯戦争にある。
こんな馬鹿げたゲームのためにどれだけの人間が犠牲になったのか、考えただけで頭が沸騰しそうになる。



「…もっとしっかり美遊ちゃんと話し合うべきだった。そう思うよ」
「過ぎたことです。それにキョウスケ、美遊のことはあなたが心悩ませることではない」
「そんな風には考えられない……何か出来ることがあったはずだ」





ドンッ





「……?」



―――何の前触れもなく、背後から左胸に衝撃が走った。
何だろうと思い胸に手を当ててみるのだが、当たらない。
まるであるべき場所にあるべきものがないかのような―――それでいて、身体の奥まで手が入っていくかのような不思議な感覚だ。
それに、手が妙に暖かい。何か粘性の強い液体に触れているかのようだ。
不審に思い右手を顔の前に持ち上げると、手が真っ赤に染まっていた。


「…………………………………え?」

「―――だから言ったじゃない。サーヴァントもなしに飛び出す(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)なんて、不用心すぎるって」


ぎこちなく後ろを向くと、凛がこちらに指をさしていた。
何かを撃たれた。狂介にそれ以上のことはわからなかった。
身体に力を入れようと思っても入れられず、そのままうつ伏せに倒れ伏した。

ガンド撃ち、と呼ばれる魔術がある。
本来は相手を指差し体調を崩させる呪いの一種であるが、極まれば物理的破壊力を持つに至り、その領域に至ったガンドは「フィンの一撃」とも呼ばれる。
遠坂凛は霊子虚構世界でのみ使用可能なコードキャストとして再現されたガンド撃ちを得意としており、その一撃は拳銃弾にも相当する。
変態仮面に変身していない狂介の心臓を撃ち抜き殺傷するには十分過ぎる威力だった。



「な…ん……で……」



心臓破壊による致命傷とガンドの呪詛によって身動きも取れない狂介に、血だまりを器用に避けながら凛が近寄る。
そして狂介が落としたサファイアのステッキとS2Uを拾い上げると一度だけ振り向いた。



「さよなら」



それだけ。
決然と、その一言だけを告げて少女たちは去っていく。

裏切られたのか?一体どうして?
鈍化しつつある思考の中、それでも疑問の尽きなかった狂介の脳裏にふと、新たな疑問が浮かんだ。

―――そういえば、彼女に聖杯戦争を打破することに賛同しているか、一度でも真剣に問うたことがあっただろうか?

「そ……う…か……」

わかった。わかってしまった。
彼女が共に聖杯戦争の打破を目指す仲間だと思っていたのは、自分たちの先入観でしかなかったのだ。
きっと狂介が目指していた未来と凛が目指していた未来は、最初の最初から、ただの一度も交わってなどいなかった。
たまたま同じ道を歩いていたというだけで、彼女も志を同じくする者だと勝手に思い込んでいた。

裏切りとは、同じ道を志していながら仲間の背中を撃つからこそ成り立つものだ。
最初から道が違っていたのなら、それは裏切りではない。
凛は、そしてきっと美遊も―――最初から一貫して敵だった、というだけの話。

恐らくこの末路は、避けようと思えば避けられたものだったのだろう。
選択肢はいくつもあったはずだ。分岐点はそこら中にあったはずだ。
色丞狂介は選択を誤った。仮令凛を警戒して変身していたとしても、単独でサーヴァントたるセイバーの前に身を晒していた時点で完璧に詰んでいた。



「慎二くん、…のび太、くん……みんなは、どうか……間違えない………で…………」



視界が霞み、身体の感覚が急速に失せていく。
これが死なのか、あるいは聖杯戦争のルールでいう消滅なのかは最後まで判然とはしなかった。


【色丞狂介@究極!!変態仮面 死亡】






 ◆   ◆   ◆






―――手を下すのは私よ。セイバー、悪いけどあなたには譲らない。

色丞狂介の暗殺に向かう直前、凛はセイバーにそう言い切った。
魔術師でも霊子ハッカーでもないとはいえ、狂介の実力の高さは多くの面々が知るところである。
確実を期すならばセイバーが狂介を一刀のもとに切り伏せるのが正解だっただろう。

―――ただでさえ背中から撃とうっていうんだから、せめてサーヴァントに頼らずマスターとして直々に殺してあげるのが礼儀でしょ。
色々と想定外のことはあったけど一つだけ絶対に変わらないことがある。―――これは私が始めた聖杯戦争よ。

けれど凛はセイバーの申し出に決して首を縦に振らなかった。
呉越同舟の同盟から離れる、決定的な行動。そのけじめは自らの手でつけると断言した。



間桐邸で狂介からの報告を聞いた時、次に矢面に立たされるのは自分とセイバーだ、と凛は予感した。
実力者だったクロノの脱落によって前衛を張れるサーヴァントがあの中でセイバーとキャスターだけになったからだ。保身第一の慎二がキャスターを前線に出すはずがないので実質セイバーだけだ。
加えてヘラクレスを擁するアインツベルン陣営は美遊の暴走によって完全にこちらを敵視しただろう。実際はどうあれそのように想定すべき事態だ。
そしてカルナとの停戦も成立していない以上、そちらも敵に回す可能性が十分に考えられた。
ヘラクレスとカルナ、その両英雄と曲がりなりにも真っ向勝負が可能なのは今や陣地内のキャスターを除けばセイバーのみ。少なくとも凛はそのように結論付けた。
つまりは、全く違う目的を持つ集団のために自分とセイバーが何の悪気もなく使い潰される最悪の未来予想図が現実のものとなる危険性が飛躍的に高まっていた。
早い話が身の危険を感じ取ったのである。

出来れば真っ先に慎二を落としたかったのだが、さすがに強力なキャスターという護衛がいる上に他にもサーヴァントがいるあの状況では無理がある。
それ故にまずは間桐邸の同盟からの離脱、そして孤立した狂介の排除を目標にして動くことを決断した。
それとなく話を誘導しつつ、怪しまれないよう有益な情報も提供する。
クロノが健在ならこんな策はまず上手くいかなかっただろうが、いなくなった人間に何ができるものでもない。
彼の脱落は遠坂凛に多大な利益を齎したと言えるだろう。



「狂介はクロノほどじゃないにしろ勇気と洞察力のある厄介なやつだったわ。変態だけど。
生かしておけばクロノの後釜としてあの同盟のブレーンになり得たでしょうね。
サーヴァントがいないと言っても、大きな集団を動かすのに本人が力を持っている必要はないもの」
「ええ、彼とクロノが死んだ今あの集団の動きは大きく鈍ることは間違いない。
このようなやり方で彼らから離れるのは少々気が引けますが、それでも我々は聖杯に辿り着かねばならない」
「まあ居心地は何だかんだ悪いものでもなかったけど、さすがに聖杯戦争自体をおじゃんにするのは認められないわ。
美遊のステッキも回収できたし、交渉材料も手土産も十分。後はあっちに渡りをつけられるかどうか、ってとこね
居場所の方もあそこ以外には考えられないでしょ」

会話する二人の、本来なら聞かれるはずのない声を聞いている存在がいた。
言うまでもなく美遊が持っていたカレイドステッキ、マジカルサファイアである。
あまりにも違いすぎる。彼女は今自分を持っている遠坂凛に対して強烈な違和感を抱いていた。

胸の大きさももちろんそうだが、言動や纏っている空気がサファイアの知っている凛とはまるで違う。
何より凛にしては美遊やイリヤに対する反応が薄すぎるし第一カレイドステッキを知らない。誰なのだ彼女は?





「まさか…あの話マジだったんですか?」
「リ、リンさん……?」



予選で死に別れたはずの少女、遠坂凛が堂々と立っていた。
凛が生きていた、そう思い覚束ない足取りで彼女に近付くイリヤをカルナが前に出て制止した。

「違う。あれは我々が知っている遠坂凛ではない」
「えっ?」
「はあ。美遊もそうだったけど、あなたたちも私を誰かと勘違いしてるわけね。
オーケー、話に入る前にまずその勘違いから正しましょうか。
確かに私の名前は遠坂凛で、遠坂の血を継いでいるけど本家の人間じゃないわ。
っていうか、私の知っている限り遠坂の本家は四十年ぐらい前には没落してるんだけど…美遊やあなたたちの反応を見る限り遠坂が没落しない平行世界、なんてのも存在するみたいね」



平行世界、という単語にルビーはようやく得心がいった。
そもそも平行世界のイリヤなんてものが存在していることがはっきりしているのだから平行世界の遠坂凛も有り得ない話ではない。
何しろこの遠坂凛、ルビーの知る凛より胸が大きく何よりバイクを使いこなしている。
一緒にいた時間は短かったが確かルビーの知る凛は魔術師の例に漏れず機械類は得意ではなかったはずだ。

「ん?ちょっと待って……あんたたち二人よね?
何かさっきから声が三人分聞こえるような気がするんだけど気のせい?」
「いいえ、気のせいではありませんよ凛様」
「うひゃああっ!?つ、杖が喋った!?」
「お気持ちはわかりますが地面に落とさないでください。
聖杯戦争の制限で今の私と姉さんはロクに自立行動が取れませんので」
「サファイア!」

事ここに至ってサファイアはこれ以上沈黙はできないと判断した。
少なくともこの凛は今すぐイリヤに危害を加える気はないらしい。
それならば沈黙を破り凛に協力するのも吝かではない。
やがて喋るステッキの衝撃から立ち直った凛がゴホンと一つ咳払いをしてから再び話を切り出した。

「ねえイリヤスフィール。あなた、私たちと組む気はない?
同盟を組んでくれるならこのサファイアってステッキをあなたに渡すし美遊に何があったかも教えてあげられるけど?」
「え?でもわたしマトウの人たちと休戦交渉してたんだけど……」
「それなら無駄よ。そもそもあいつらはあなたと交渉してる最中にバーサーカーを従えてるもう一人のあんたとも交渉してたから。
で、そこのリーダーが言うにはあなたの話は信じる根拠がないそうよ。
何しろ私、ついさっきまでそのグループにいたからね」

あちらのイリヤとも交渉している可能性は考えていなかったわけではない。
それでも誠意を込めて彼女の危険性を説けば必ずわかってくれるはずだと期待していた。
それなのに……そもそも信じてもらえてすらいなかった。しかもそれを黙っていた。
外見通りの年齢であるイリヤはその不条理、理不尽を飲み込めるほど大人ではなかった。
歯をきつく食いしばったその顔は怒りに染まりつつある。

「で、その後すぐ美遊はサーヴァントにもう一人のあんたを襲わせたわ。
その結果間桐邸グループは内輪揉めで戦闘に発展。結局クロノが自分もろとも美遊を氷漬けにして、今に至る、ってとこね。
私が思うに美遊は間桐とアインツベルンを対立・消耗させることであなたを救おうとしたんでしょうね。
例え自分を犠牲にしてでも、あの子はあなたを勝たせようとした。そうすることが正しいと信じた」
「そんな…ミユ、何でそんなこと……」
「…ランサーさん」
「真実だろう。少なくとも遠坂凛は嘘をついていない」
「私も保証します、姉さん。私も一部始終を聞いていましたので…」


イリヤの心に様々な感情が去来し綯交ぜにしていく。
純粋な悲しみ、気づけなかった自分への無力感、そして親友をこんな目に遭わせた間桐邸の同盟に対する怒りと憎しみ。
イリヤが小さな拳を震わせる中、凛の持っているスマートフォンの電話が鳴る。
まあそろそろ来るでしょうね、と思いながら電話に出た。
電話を掛けてきたのはアリスのようだった。

『凛、カルナのマスターと接触して何をしているのか説明して。
それに狂介はどうしたの?あなたの近くにいないようなんだけど?』

アリスのサーヴァント、アーチャーたる赤城は艦載機でカルナをマークしていた。
そのカルナと凛が接触した事実を間桐邸の同盟の中でいち早く察知したアリスが慎二に黙って連絡を寄越してきた…そんなところだろう。
とはいえ凛にとってこうなることは予想済みである。

「説明する必要、あるかしら?
私は今からこの子と組んで優勝目指して突っ走るからそのつもりでいてね」
『…そう。最初からあなたはそういうつもりだったのね』
「理解が早くて助かるわ。
ああ、そうそう。私以上にあなたたちに言いたいことがありそうな子がいるから代わるわね」

「私がさっきまでいた間桐邸グループの人間よ」と言ってイリヤに電話を渡す。
怒りの矛先を得ているイリヤは普段の彼女からは考えられないほど攻撃的になっていた。
平然と人を騙し、友達を傷つけた。イリヤは間桐邸の同盟をそのように認識していた。



「リンさんから全部聞いた。…ちょっとでもあなたたちを信じようと思ったわたしが馬鹿だった!!
ミユをこんな目に遭わせたあなたたちを、わたしは絶対に許さない!!」
『あなた、まさか……ちょっと待って、これには理由が』
「そんなこと言って、また騙すつもりなんでしょ!?言い訳なんて聞きたくない!!」



怒声とともに電話を切り、少ししてから我に返って元々凛が受けていた電話だったことに気づく。
無言でおずおずと電話を返すが凛は特に気にした様子もなかった。

「別に良いわよ。私もこれ以上話す気はなかったから。
それで同盟は組むって捉えていいのかしら?」

その言葉に少しだけ考え込むイリヤ。
本人の言う通り、この遠坂凛はイリヤらの知っている彼女ではない。それはこうして少し会話しただけでも感じ取れた。
けれど、矛盾するようだがやはり彼女もまた遠坂凛だとも思う。別人だとしても根っこは同じだ。
それなら彼女は信じられる。いや、今生きているマスターでイリヤが信じられるのはもう遠坂凛以外いない、とすら思う。
カルナを見る。君が決めろ、とその全てを見通すような眼が語っていた。



「…うん。その同盟、受けます!
わたしたちはリンさんに力を貸すから、リンさんもわたしに力を貸してほしいの」
「そうこなくっちゃ、これで同盟成立ね。
これで美遊への借りも返せるってもんだわ」
「へ?借りって?」
「…実は私、元々優勝狙いだったんだけど流れで間桐邸の同盟に参加せざるを得なくなっちゃったのよ。
抜けようにも同盟は肥大化する一方で、おまけにクロノがいたから抜けることもできなかった。
美遊がクロノを道連れにしてくれなかったらこうして自由に動き回ることはできなかったでしょうね。
だからまあ…あの子には借りがあるのよ。それを返さないと収まりが悪いっていうか」



美遊が自己犠牲に走った理由の一つ、それは自分にイリヤを託したからだろうと凛は考えていた。
自分以外の誰かがイリヤを守ると確信していたからこそ、美遊はあんな行動に出ることができたのだ。
当然それは勘違いというか人違いであり、本来ならそんなもの知るかと切って捨てるのだが……結果として美遊の行動に助けられたのはどうしようもない事実だ。
それで知らんふりを決め込むとあっては寝覚めが悪い。

とはいえイリヤへの情けや美遊への恩義だけでイリヤを同盟相手として選んだわけではない。現実的に考えても組めそうなのが彼女しかいないのだ。
ナチスどもは論外だし、もう一つの候補だったアインツベルンは間桐邸同盟のメンバーに怒り心頭であろうしあちらも聖杯戦争自体にさほど乗り気ではないらしい。
となると聖杯を獲る方向で利害が一致し、かつ組むだけの価値があり、それでいて与しやすそうな唯一のマスターがイリヤだったのである。

「じゃ、取引成立ってことで。このステッキはあなたが持ってなさい」
「ありがとう!…サファイアだけでも無事で良かった」

ちなみにサファイアの他にもう一つ回収していたS2Uについては渡す気はさらさらなかった。
あのクロノが持っていた道具ならさぞ有用な機能なり情報なりが詰まっているに違いない。こちらは後で解析して有効に使わせてもらう腹積もりだ。
そして凛はイリヤの隣で満身創痍のまま立ち続けるカルナを見やった。

「で、さっきからずっと気になってたんだけど……カルナ、あなた黄金の鎧はどうしたの?」
「………」
「だんまりは通らないわよ。こっちはこれだけサービスしたんだから当然答える義務があるわよね?」
「そういえばランサーさん、肩の車輪みたいなパーツがなくなってる…。
もしかしてそんな大怪我したのと何か関係があるの?」

ランサー、カルナを象徴する宝具『日輪よ、具足となれ』。
インドの神々ですら破壊を諦めたほどの強度を誇り、物理・概念を問わずあらゆる敵対的干渉を十分の一にまで減じる最高峰の防御宝具。
意外にもこの聖杯戦争の参加者の中でその存在を明確に認識している者は多くない。
今現在生存している者の中でカルナの黄金の鎧の存在をはっきりと認識しているのは万全のカルナと戦った直接の相手である凛とセイバー、カルナのマスターであるイリヤぐらいだ。
まほろや赤城など他の者は鎧の存在そのものを確認していない。
もちろんカルナの逸話をサーヴァントである彼女らが知らないわけではないが、サーヴァントは英霊の一部分を切り取って現界する存在であり、それ故にクラスによっては持ち込めない宝具が存在する英霊も珍しくない。
このためまほろ等多くの者は「黄金の鎧はクラスによる制限か何かで持ち込めなかったのだろう」と誤認しているのだった。

「鎧は君に譲渡した。サーヴァントはマスターあってこそ成り立つものだ。
オレにとってマスターの生存に優る優先事項は存在しない」
「ちょ、ランサーさん何で言っちゃうんですか!?」
「すまんルビー。だがマスターから問われればオレは答えぬわけにはいかん」
「なるほどね、確かあなたの鎧はバラモン僧に化けた雷神インドラに譲渡した逸話があったわね。
だからマスターに譲り渡すこともできたってこと。まあ正論ではあるわね」

長らくイリヤとカルナは孤立状態にあった。
正確にはイリヤが知らないうちに美遊と合流していた時期もあったのだが結局のところ美遊と共闘することはなかった。
さらに多数の組から狙われていることが明白とあってはマスターの安全を最優先とせざるを得なかったのだ。
だがその事実に我慢ならない者もいる、他ならぬカルナのマスターであるイリヤだ。



「じゃあ…ランサーさんがそんなに傷ついたのはわたしのせいだよね?
わたしが足を引っ張ったから、それだけボロボロになったんでしょ?」
「それは違う。外傷を負ったのはオレが敵を見誤ったに過ぎない」
「でも鎧があれば大丈夫だったんでしょ!?なら返す、ううん、返させて!」
(あああもう!こうなるのがわかってたからイリヤさんには言いたくなかったんですよ~!!)



こうなることはわかっていた。イリヤの手の中でルビーがうねうねと身体を捩じりながら煩悶する。
今でこそ憎悪の炎を燃やしているが、それでも本来は心優しい少女だ。
自分に鎧を譲ったせいでカルナが瀕死の重傷を負ったと知れば安全を投げ捨ててでも返そうとするに決まっている。実際そうなった。
ルビーの苦悩など知る由もなく、さらにイリヤに助け舟を出す者まで現れた。凛だ。

「私もイリヤスフィールに賛成。そもそもこっちはあなたの不死身さを当て込んで来たんだから。
イリヤスフィールの安全のことなら当面私たちマスター同士で協力すれば問題ない筈よ。
大体忘れたわけじゃないでしょ?ここじゃ基本的にサーヴァントが消えればマスターも一緒に消去される。
まあ例外がいないわけじゃないけど……それでも何の備えもなければ同じことよ」
「そうだよ!わたしはランサーさんにだって死んでほしくないんだから!」
「…マスターがそう命じるのであればオレに否やはないが」

そうしてルビーが口を挟む暇すらないままに宝具の譲渡は行われてしまった。
イリヤ自身が願望器である聖杯の機能を持っている上に本人の高い直感力も相まって、パスを通して黄金の鎧がカルナの元へ戻っていった。
欠けていた装飾が戻り、同時に時を巻き戻すかの如くカルナの傷が消えていった。彼の鎧に宿る治癒の力だ。

「き、傷が治ったー!?」
「いや、確かに外装こそは戻ったが。
機能までを戻すには今しばらく時間が必要だ。その次は槍の修復に魔力を注がねばならん」
「まだしばらく回復が必要ってわけね。それじゃ私の家に行きましょ。
これで聖杯戦争の勢力図は大きく分けて私たち、間桐、アインツベルンの三つ、ナチス連中を含めるなら四つになったわ。
できれば間桐とアインツベルンのどっちかを速攻で落としたいけど、こっちは組んだばかりで連携も何もないし、他のグループに背後を突かれる心配があるんじゃ難しい、か」

自惚れではないが、自分の行動は聖杯戦争の盤面を大きく動かしただろう、と凛は踏んでいた。
危うく停戦に傾きかけていた流れを辛うじて元通りに戻せた、というところか。それも美遊の行動なくしては無理だったが。
カルナの協力を得て他全ての勢力を滅ぼし、最後に与しやすいイリヤを殺す。その青写真を実現する前提は整った。
セイバーと言えどカルナ相手では不利は否めないが、マスターはただの小学生だ。少なくとも精神面においては。
ならば付け入る隙はいくらでもある。令呪も三画フルに残っている以上サーヴァント戦でも勝ち目が全く無いというわけでもない。

「何だかやっと聖杯戦争らしいことができる気がするわ……」
「同感です、マスター……今まではその、控えめに言って異常すぎたかと」

【新都・西部/2014年8月2日(金)0330】

【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kareid liner プリズマ☆イリヤ】
[スタンス]
聖杯狙い
[状態]
変身済、精神的疲労(中)、髪がちょっと短くなった
[残存令呪]
二画
[装備]
マジカルルビー@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]
マジカルサファイア@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯戦争に優勝してリンさんを生き返らせる
1:わたしと同じ顔と名前のバーサーカーのマスター(イリヤ(sn))と、色違いの偽者(クロ)を殺す。
2:平行世界のリンさんと協力する。
3:騙した上にミユを氷漬けにした間桐邸の人たちは絶対に許さない。
4:ミユをこのままにしておけないけど、どうしよう?
[備考]
●自宅は深山町にあるアインツベルン家(一軒家)です
●ランサー(カルナ)から貸与されていた「日輪よ、具足となれ」を返還しました。
よほどのことがない限り今後借りる気はありません
●『死なないで、ランサーさん!!』の令呪を使用しました。

【ランサー(カルナ)@Fate/Apocrypha】
[スタンス]
奉仕(イリヤ(pl))
[状態]
筋力B(32)
耐久C(24)
敏捷A(40)
魔力B(40)
幸運A+(30)
宝具EX(?)
『死なないで、ランサーさん!!』の令呪の影響下、ダメージ(中・急速回復中)、左半身の機能低下(急速回復中)、霊核損耗(小・急速回復中)、槍半壊(修復開始)。
[思考・状況]
基本行動方針
イリヤスフィールを聖杯へと導く
1:もう一人の遠坂凛、及び騎士王(アルトリア)と共闘する。
2:美遊をどうするか……
3:セイバー(テレサ)だったものを終わらせてやるべきか、否か……
[備考]
●セイバー(アルトリア)、セイバー(テレサ)の真名を把握しました
●バーサーカー(サイト)の真名を把握しました。
●キャスター(兵部京介)の真名に迫る情報を入手しました。
●アサシン(千手扉間)の情報を入手しました。
●「日輪よ、具足となれ」をイリヤから返還されました。これによりダメージの回復速度が急上昇しましたが、完全な回復にはあと2~30分は必要です。
●美遊&バーサーカー組と情報交換しました。少なくとももう一人のイリヤについて話しました。
●ランサー・真田幸村の真名を把握しました。
●『死なないで、ランサーさん!!』の令呪の影響は継続中です。ランサー(カルナ)が「死ねない」と感じ現界し続けようとした時、その判定に中程度のボーナスが掛かります。
【遠坂凛@Fate/Extra】
[スタンス]
聖杯狙い(ステルス解除)
[状態]
アヴァロンを体内に所持
[装備]
ナイフ@Fate/Extra、黒いライダースーツ
[道具]
ドール(セイバー仕様)@Fate/Extra、ドール@Fate/Extra×若干数、未確定の礼装×若干数、邪魔にならない程度の大金、スズキGSX1300Rハヤブサ(朱・リミッター解除済)@現実、S2U@魔法少女リリカルなのはA's
[残存令呪]
三画
[思考・状況]
基本行動方針
当然、優勝を狙う。
1:イリヤ(pl)と共闘して他の勢力を撃滅する。その後イリヤ(pl)と決着を着ける。
2:出来れば早めに慎二を筆頭にした間桐邸の同盟を潰したい。
3:空爆や闇討ち、物量戦法、並びに教授達吸血鬼を強く警戒。
4:余裕のある時にクロノが持ってたカード(S2U)の解析を試みる。
[備考]
●自宅は遠坂邸に設定されています。
内部はStay night時代の遠坂邸に準拠していますがところどころに凛が予選中に使っていた各種家具や洋服、情報端末や機材が混ざっています。
●現実世界からある程度の資金を持ち込んだ他、予選中株取引で大幅に所持金を増やしました。
まだそれなりに所持金は残っていますが予選と同じ手段(ハッキングによる企業情報閲覧)で資金を得られるとは限りません。
●セイバー(アルトリア)から彼女視点での第四次聖杯戦争の顛末を聞きました。
●ライダー(五代雄介)とセイバー(テレサ)の真名とステータスを把握しました。
●アーチャー(赤城)、キャスター(フドウ)、バーサーカー(ヘラクレス)、教授、シュレディンガー准尉、大尉のステータスを把握しました。
●ランサー(カルナ)の情報を入手しました。
●柳洞寺で会談した結果、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、ルーラー以外の情報を共有しました。主に当事者以外のサーヴァントの情報でありこれには一部の聖杯戦争に関する情報も含まれます。またルーラーに大して言及を避ける暗黙の空気も共有されました。
●爆破予告と慎二からもたらされたホテルの情報を把握しました。
●ドールのステータスは筋力B耐久B敏捷B魔力E幸運E宝具なし、です。ただし破損と引き換えに宝具以外のステータスを1ターンの間セイバーと同等にできます。

【セイバー(アルトリア・ペンドラゴン)@Fate/stay night】
[スタンス]
聖杯狙い(ステルス解除)
[状態]
筋力(50)/A、
耐久(40)/B、
敏捷(40)/B、
魔力(100)/A+、
幸運(100)/A+、
宝具(??)/EX、
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯の力で王の選定をやり直す。
1:凛の指示に従い全ての敵勢力を打倒する。
2:吸血鬼たちの動向が気になる
3:セイバー(テレサ)…このような姿に堕ちていたとは……
[備考]
●第四次聖杯戦争の記憶を引き継いでいます。
●スズキGSX1300Rハヤブサ(青・改造済)を乗りこなせるようになっています。騎乗スキルの低下を第四次聖杯戦争での経験とバイクの知識を深めることで補っているようです。現在は小破していますが走行に影響はないようです。
●爆破予告と慎二からもたらされたホテルの情報を把握しました。またナチスに関する若干偏った把握をしました。
●アーチャー(赤城)、キャスター(フドウ)、バーサーカー(ヘラクレス)、教授、シュレディンガー准尉、大尉のステータスを把握しました。
●ランサー(カルナ)の情報を入手しました。
●聖杯戦争についての疑念を抱きました。





 ◆   ◆   ◆







間桐慎二は頭髪のみならず、顔色までも海藻のように真っ青に染まっていた。
いや、それは彼だけではない。誰もが沈鬱な表情を浮かべていた。

「…そういうわけで、凛が裏切ってランサーの方のイリヤと合流したわ。
おまけに彼女が全部バラしたからあっちのイリヤとの和解はもう無理ね、完全に怒らせたわ」

隠しておく理由も意味もなくなったと判断したアリスが事の顛末を間桐邸同盟のメンバー全員に話していた。
ただでさえも人数が減ってしまったというのに、戦力の中核の一人だった凛とセイバーが離脱しよりにもよってカルナの側に寝返った。
放送を行ってから数時間と経たずにマスター、サーヴァント併せて七名も同盟からいなくなり、その上交渉も悉く頓挫。
いくら何でもここまで加速度的に状況が悪化するなど誰が予想できたか。

「……狂介は?」
「残念だけど、確実に死んでるわね。
確認はできてないけど凛が彼を見逃したとは到底思えない」

そして変態ではあったが限りない勇気で少なからず同盟の士気を支えていた狂介も凛の裏切りによって敢え無く命を落とした。
慎二は思う。偽物の遠坂凛だと理解していながら、心のどこかで彼女が暗殺などという手段に出るはずがないと思い込んでいたのだろうと。
偽遠坂凛の内面についてもう少し踏み込んで考えていればむざむざ狂介を死なせることもなかった。

「…これからどうするべきだと思いますか?」
「やっぱり、アインツベルンとの誤解を解いて和解するしかないんじゃないかしら。
まあせめてもの誠意の証として全員であちらの拠点に出向くぐらいはしないとまず信用されないと思うけど」
「だ、駄目だそれは!僕らにとって一番安全なのはここだろ!?
一歩でも外に出てみろ!すぐにでもカルナの攻撃が飛んでくるに決まってる!」
「向こうからしたら爆撃なんて奇策を使う必要ももうないでしょうけどね。
普通に正面から乗り込まれただけで落ちるんじゃないかしら、ここ?」
「うっ……いやでも、僕のサーヴァントはキャスターなんだぜ?
この陣地から一歩出たら十分な実力は出し切れないんだ。外に出る方が自殺行為だね!」

これからの方針を話し合うもまとまる気配はない。
というより、方策がないわけではないのだが慎二が納得しないというのが正しい。
彼としては自分の生存率が僅かでも下がるような行動は断じて取りたくないのだ。
そんな中、のび太が意を決したように唐突に立ち上がった。

「のび太?」
「おかしいよみんな!何で狂介さんが死んだなんて決めつけるのさ!?
探そうともしないなんて、みんながそんなに薄情だなんて思わなかった!!」
「あのさあ、僕だって狂介が死んで何とも思ってないわけじゃない。
でもだからって生きている僕らが無駄なことをするわけにもいかないって話だよ!」
「いやマスター、その言い方では…」

のび太は難しいことはよくわからない。
しかしここにいる全員が既に狂介の死を決定事項であるかのように扱っているのは感じ取れた。
何故確認もしていないのに勝手に決めつけるのか。のび太の中には憤りしかなかった。

「だったら僕一人でも狂介さんを探す!!」

一直線に駆けだして地上へと上がっていくのび太。
普段の彼ならこんな蛮勇にもほどがある行為に走ることはそうそうない。
しかし今ののび太は「決心ハチマキ」を装備している。…してしまっている。
それ故に自分がどれほど無謀な行動に出ているかなど考えもせず、一度決意したが最後とことんまで突っ走る。
もちろんのび太を見殺しにすまいと行動しようとする者もいたのだが―――



「のび太さん!…すみません皆さん、私が行きます!」
「……キャスター!!」



追いかけようとしたまほろを、キャスター・フドウがいとも容易く制圧した。
騒然とする一同。キャスターに指示を下した慎二が前に出るが…その表情は狂気に染まっていた。

「どういうつもり?」
「どうもこうも、僕は全体の安全を考えてるだけさ。
のび太一人追いかけるためにサーヴァントを出して、各個撃破でもされたらどうするんだい?
あいつのことは残念だけど…ほら、あれさ。大事の前の小事ってやつだ」

同盟の中核となっていた戦力が悉く抜けたことによって、この場で最も強大なサーヴァントはキャスターとなった。
故に慎二が明らかに暴走しているとわかっていても、制止することができない。
いや、力づくで黙らせることはできるのかもしれないが、今仲間同士で争えば確実に全滅を招く。
だから誰も動けない。



「さあ、作戦会議を続けよう」

【間桐邸/2014年8月2日(金)0330】

【アリス・マーガトロイド@東方Project】
[スタンス]
脱出優先
[状態]
『必勝法』を共有済。
[残存令呪]
三画
[思考・状況]
基本行動方針
幻想郷に戻ることを第一とする。
0:慎二……!
1:慎二と共に『必勝法』を実行に移し、この場で聖杯戦争からの脱出を実現するつもりだが…?
[備考]
●予選中から引き継いだものがあるかは未確定です。
●バーサーカー(ヘラクレス)、キャスター(パピヨン)、キャスター(フドウ)、セイバー(アルトリア)、セイバー(テレサ)、ライダー(五代)、教授、シュレディンガー准尉、大尉のステータスを確認しました。
●アインツベルン城の情報を知りました。
●ランサー(カルナ)の情報を入手しました。
●柳洞寺で会談した結果、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、ルーラー以外の情報並びにそれぞれの連絡先を共有しました。主に当事者以外のサーヴァントの情報でありこれには一部の聖杯戦争に関する情報も含まれます。またルーラーに大して言及を避ける暗黙の空気も共有されました。
●自宅は新都にあります。
●ルーラー(ミュウイチゴ)の情報判定に成功しました。ステータス、スキル、宝具、属性、真名を把握しました。
●この世界に関する考察を共有しました。

【赤城@艦隊これくしょん】
[状態]
筋力(20)/D、
耐久(150)/A++、
敏捷(20)/D、
魔力(10)/E、
幸運(30)/C、
宝具(30)/E+++
[スタンス]
奉仕(マスター)
[思考・状況]
基本行動方針
マスターを助ける。今度は失敗しない。
1:どうすれば……!?
[備考]
●アインツベルン城上空を宝具で偵察しました。
●アインツベルン城の情報を知りました。また赤城の宝具はアインツベルン城に施された魔術の影響を受けることを認識しました。
●バーサーカー(ヘラクレス)、キャスター(パピヨン)、キャスター(フドウ)、セイバー(アルトリア)、セイバー(テレサ)、ライダー(五代)、教授、シュレディンガー准尉、大尉のステータスを把握しました。
●ランサー(カルナ)の情報を入手しました。
●ルーラー(ミュウイチゴ)の情報判定に成功しました。ステータス、スキル、宝具、属性、真名を把握しました。
●『必勝法』とこの世界に関する考察を共有しました。
【間桐慎二@Fate/stay night 】
[スタンス]
やけくそ、激昂
[状態]
『必勝法』を共有済。
[残存令呪]
三画
[思考・状況]
0:僕の指示に背くんじゃない……!
1:『必勝法』については……
[備考]
●孫悟空のクラスとステータスを確認しました。
クラス・ライダー、筋力B耐久B敏捷B+魔力D幸運A
このステータスは全てキャスター(兵部京介)のヒュプノによる幻覚です。
●キャスター(パピヨン)、バーサーカー(ヘラクレス)、アーチャー(赤城)、ルーラー(イチゴ)、セイバー(アルトリア)、セイバー(テレサ)、ライダー(五代)、教授、シュレディンガー准尉、大尉のステータスを確認しました。
●この聖杯戦争を『冬木の聖杯戦争を魔術で再現した冬木とは別の聖杯戦争』だと認識しています。
●キャスター(パピヨン)の好感度が下がっています。また凛とイリヤとアリスとクロノに不信感を抱きました。
●遠坂凛が自分の知っている遠坂凛ではないと気づきました。
●アインツベルン城の情報を知りました。
●ランサー(カルナ)の情報を入手しました。
●柳洞寺で会談した結果、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、ルーラー以外の情報並びにそれぞれの連絡先を共有しました。主に当事者以外のサーヴァントの情報でありこれには一部の聖杯戦争に関する情報も含まれます。またルーラーに大して言及を避ける暗黙の空気も共有されました。
●この世界に関する考察を共有しました。

【キャスター(フドウ)@聖闘士星矢Ω】
[状態]
筋力(30)/C、
耐久(40)/B、
敏捷(60)/C+、
魔力(100)/A+、
幸運(50)/A、
宝具(50)/A
[思考・状況]
基本行動方針
マスター・慎二を見定める。今のまま聖杯を手にするならば━━
0:アーチャー(まほろ)を取り押さえつつ場を牽制する。
1:慎二がこの場でどう動くのかを見て、見定める。求めるなら仏の道を説くというのも。
[備考]
●慎二への好感度が予選期間で更に下がりましたが不憫に思い始めました。見捨てることはありません。
●狂介に興味を持ちました。
●孫悟空が孫悟空でないことを見破っています。
●柳洞寺僧侶達を中心に『徳のある異国の高僧』として認識されました。この認識は結界発動中に柳洞寺の敷地から出ると徐々に薄れていきます。
●間桐邸地下に陣地を作成しました。
●『必勝法』とこの世界に関する考察を共有しました。

【アーチャー(安藤まほろ)@まほろまてぃっく】
[スタンス]
対聖杯
[状態]
筋力(39)/B
耐久(27)/D
敏捷(49)/A
魔力(20)/B
幸運(150)/A++
宝具(40)/B
『必勝法』を共有済、右腕喪失(処置済)、霊核損耗(微)、魔力消費(大)、巨乳化、鉄心、アーチャー(フドウ)に拘束されている
[思考・状況]
基本行動方針
マスター第一。
0:のび太さんが…!
1:『必勝法』の協力者を増やして聖杯戦争を停滞させ、聖杯の破壊の機会を手繰り寄せる。
2:アーチャー(ワイルド・ドッグ)の死に疑念。
3:変態仮面達とドク、慎二組に恩義。ただしドクとそのマスターのライダーはアーチャー(ワイルド・ドッグ)と繋がっている可能性が濃厚なので警戒。
[備考]
●自宅内のガレージを中心に鳴子を仕掛けました。
●ナノカ・フランカの左腕(令呪二画付)をクーラーボックスに入れて所持しています。
●ホテルにいる主従達と情報交換しました。
●マイケル&アーチャー、茜&ランサー、アサシン、ドク&少佐に不信を抱きました。
●野比のび太、アーチャー(安藤まほろ)、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、美遊・エーデルフェルト、高遠いおり&ランサー(アリシア・メルキオット)間で情報交換を行いました。
●アーチャー(ワイルド・ドッグ)、ランサー(真田幸村)、ランサー(アリシア)、キャスター(パピヨン)、アサシン(千手扉間)、ドク、セイバー(アルトリア)、アーチャー(赤城)、キャスター(フドウ)、シュレディンガー准尉、大尉のステータスを把握しました。
●この世界に関する考察を共有しました。

【高遠いおり@一年生になっちゃったら】
[スタンス]
脱出
[状態]
意識朦朧、ダメージ(大)、肋など数ヵ所骨折、魔力消費(極大)、衰弱(大)、疲労(大)。
[装備]
貴重品の入ったランドセル。
[残存霊呪]
1画
[思考・状況]
基本行動方針
死にたくないし死なせたくない。
[備考]
●所持金はタンス預金程度。
●ランサーの名前がアリシア・メルキオットであること以外は世界大戦の英雄だということしか知りません。もちろん出身世界が違うことには気づいてません。英霊・アリシアの情報の一部を聞いたのみです。
●ランサー(幸村)、バーサーカー(サイト)、アサシン(扉間)、バーサーカー(ヘラクレス)のステータスと一部スキル、宝具を確認しました。
●シュレディンガー准尉、アーチャー(まほろ)、アーチャー(ワイルド・ドッグ)、キャスター(パピヨン)、バーサーカー(小野寺ユウスケ)、ドク、ライダー(少佐)、アサシン(千手扉間)、セイバー(テレサ)のステータスを確認しました。
●ライダー(少佐)と同盟「枢軸」を組みました。再度同盟について話します。
●ホテルにいる主従達と情報交換しました。
●野比のび太、アーチャー(安藤まほろ)、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、美遊・エーデルフェルト、高遠いおり&ランサー(アリシア・メルキオット)間で情報交換を行いました。

520: 【106】Grand Alliance――終劇・聖杯演義―― ◆g/.2gmlFnw :2017/09/23(土) 03:52:49 ID:M.4llsnc0


【日野茜@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[スタンス]
優勝
[状態]
瀕死(くも膜下出血・全身打撲・背部に大火傷)、心停止。
[道具]
着替え、名前のストラップ 、ジェンガ、タマネギのアロマ×2
[残存令呪]
0画
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯戦争はサーヴァント同士の格闘技!だと思ってたけどマスターも頑張らないと!!
[備考]
●予選期間中他のマスター、サーヴァントと出会うことはありませんでした。
●月海原学園高等部の生徒という立場が与えられています。 所持金は高校生相応の額となっています。
●自宅は深山町のどこかです。
●セイバー(テレサ)、バーサーカー(小野寺ユウスケ)の基本ステータスを確認しました。
●気が動転していたため、ランサー(アリシア)、バーサーカー(サイト)、バーサーカー(ヘラクレス)のステータスを確認できていないかもしれません。
●日本全国にアイドル・日野茜の噂が立ちました。『アイドル』、『撮影』、『外人』、『ボンバー』などの単語やそれに関連した尾ひれのついた噂が拡がりはじめています。
●病院の特別病床に入院しました。病室のある階に立ち入るにはガードマンのいる階段を通るか専用のIDカードをエレベーターにタッチする必要があります。
●聖杯戦争を番組の企画だと考えたり考えなかったりしました。とりあえず今後自分が常にカメラに撮られていると考え視聴率が取れるように行動します。
●ランサー(カルナ)の戦闘を目撃しました。
●スマホにアサシン(千手扉間)が病院を出てから帰ってくるまでの映像があります。写っているのはランサー(カルナ)、ランサーのマスターのイリヤ、キャスター(兵部京介)です。
●病室のベッドの下にアーチャー(ワイルド・ドッグ)が仕掛けた爆弾を発見しました。数名の病院関係者と警察関係者、並びに若干の公務員がこの事を知っています。
●ホテルにいる主従達と情報交換をしました。
●ツイッターでトレンド入りしました。
●警察にマークされました。

【大尉@ヘルシング(裏表紙)】
[スタンス]
エンジョイ
[状態]
筋力(40)/B、
耐久(30)/C、
敏捷(40)/D+、
魔力(30)/C、
幸運(10)/D、
宝具(0)/なし、
魔力消費(微)。


【深山町南部 間桐邸近く/2014年8月2日(金)0330】

【野比のび太@ドラえもん】
[スタンス]
対聖杯
[状態]
『必勝法』を共有済、決心ハチマキ(聖杯戦争を止める)、さいなん報知器作動中、軽傷(主に打撲、処置済み)
[道具]
ひみつ道具三つ(未定)、四次元ポケット
[残存令呪]
三画
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯戦争を止めて家に帰る。
1:狂介さんを探す。死んだなんて信じない。
2:慎二らへの怒り
[備考]
●野比のび太、アーチャー(安藤まほろ)、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、美遊・エーデルフェルト、高遠いおり&ランサー(アリシア・メルキオット)間で情報交換を行いました。
●アーチャー(まほろ)、アーチャー(ワイルド・ドッグ)、ランサー(真田幸村)、ランサー(アリシア)、キャスター(パピヨン)、アサシン(千手扉間)、ドク、セイバー(アルトリア)、アーチャー(赤城)、キャスター(フドウ)、シュレディンガー准尉、大尉のステータスを確認しました。
●この世界に関する考察を共有しました。