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月の綺麗な夜だった。
広い屋敷の縁側で一人の男が何をするでもなく月を見上げている。
着物を着た男は随分と老け込んだような雰囲気を醸し出しており、さながら若隠居のようだった。
男の隣には少年が座っており、彼もまた何をするでもなくただ月を見上げていた。

「……子供の頃、僕は正義の味方に憧れてた」

ふと、男が独り言のように口を開いた。
言葉の裏からは、後悔の念が見えるようだった。
それを聞いた少年は、見るからに不満そうに口を尖らせた。

「なんだよそれ。憧れてたって、諦めたのかよ」
「うん、残念ながらね。
ヒーローは期間限定で、オトナになると名乗るのが難しくなるんだ。
そんなコト、もっと早くに気が付けば良かった」

その言葉にどれほどの含蓄があったか、恐らく全てを少年は理解していないだろう。
しかし子供ながらに感じるものはあったのかもしれない。
少年はどこか得心がいったような、神妙な面持ちになった。

「そっか。それじゃしょうがないな」
「そうだね。本当に、しょうがない」

そう言って、二人はただ月を見上げた。
誰もが見入るような、透き通るような綺麗な月だった。
やがて、

「うん、しょうがないから俺が代わりになってやるよ」

少年は、何でもない風に、静かに誓いの言葉を立てた。

「爺さんはオトナだからもう無理だけど、俺なら大丈夫だろ。
まかせろって、爺さんの夢は―――」

少年は誓いの言葉を続ける。
これほど月が綺麗な夜だ。
きっと、この日この時の情景は少年にとって忘れ得ぬ思い出になるだろう。
例え、この誓いを守ったことでいつか地獄に落ちる日が来たとしても。

「そうか。ああ―――安心した」

だからこそ、男は心底安堵の籠った声音で答え、目を閉じた。
同時に、視界が白く染まっていく。
この続きはきっと―――




ピピピピピピピ。
日光が届き、鳥の囀りが聞こえる中目覚ましのアラームが鳴り響く。

「…ん、ぅん……」

手を伸ばしバチンと時計を叩き、耳障りなアラーム音を止める。
まだ眠りたい欲求を堪えて布団からもぞもぞと這い出て、服を着替えはじめた。

「あー……嫌な夢見た」

今の夢はマスターと繋がっているからこその産物なのだろう。
間違いなくあれは平行世界の、今自分と契約している実父の辿った最期の瞬間だ。
自分が封印された経緯を知るアーチャーにはそれだけで二つの世界の差異と、結果として切り捨てられた者の存在がわかってしまう。
だからどんなに美しくとも、アーチャーにとってあれは嫌な夢以外の何物でもない。





「やあ、おはようクロエ」
「珍しい、もう起きてたのパパ」

マスター、衛宮切嗣の自宅として設定された二階建ての家の一階。
その一室にあたる居間で切嗣はアーチャーを待っていたのかただ座っていた。
その様はかつて魔術師殺しなどと呼ばれた男とは思えない、若隠居同然の佇まいだった。

「…少し、話をしよう。今後、僕らがどう動くか」
「ああ、やっとなんだ。全然考えてないかと思ってた」

切嗣はアーチャーを召喚してからというもの彼女をサーヴァントとして扱おうとしなかった。
切嗣のアーチャーへの接し方は一人の人間、家族に対するそれだった。
聖杯戦争に臨むなら弓兵に睡眠を八時間も摂らせるなど有り得ない。
全ては彼個人の感傷であり贖罪に過ぎず、アーチャーも何とはなしにその意図を汲み取って付き合っていただけのこと。
しかしそれも終わり、そろそろ現実と向き合わねばならない。

「まず結論から言って、僕はこの聖杯戦争を止めるつもりでいる」
「………」
「…いや、そもそも最初からそのつもりではいたんだけどね」
「お兄ちゃんが正義の味方になるって言ったから?」
「!どうして……」
「さっき夢に見たのよ。
そりゃまあマスターとサーヴァントなんだし。
私たち世界が違っても親子なんだからそんなこともあるでしょ。
本当に、ムーンセルの采配も大したもんだわ」

アーチャーは茶化して言うが切嗣からすれば月の聖杯に物申したい気分だ。
なるほど確かに相性という点でこれ以上合致する者はそうはいまい。
だが、だからといって喜んで受け入れられるかは別の問題だ。
実の娘をサーヴァント、戦闘代行者として寄越すなど。

「話を戻そう。あらゆる世界から人間を呼び寄せるような、途方もない力を持つ聖杯だ。
今回で終わらせなければ、士郎や、君の世界のイリヤだって何時巻き込まれても不思議じゃない。
けど、僕一人の力では何も掴めないし何一つ成し遂げられない」
「だーかーら、そのために私がいるんでしょーが。
まったく、イリヤじゃないんだからいつまでもうじうじ悩んでてもどうしようもないでしょ?
こうなっちゃったものは仕方ないんだし、いい加減割り切ってよね。情けないったらないわ」
「…そうだね。僕は本当に情けない、どうしようもない男だ」

やや俯き、自嘲する。
結局衛宮切嗣という男は、誰かを犠牲にしなければ何もできない人間なのだろう。
聖杯戦争で妻や舞弥の犠牲の上に最後まで勝ち残った結果大勢の犠牲者を生み、イリヤを迎えに行くことさえできなかった。
そして今度は聖杯戦争を止めるために娘を矢面に立たせようというのだ。

(僕には最初から父親の素養などなかったということなんだろうな)

これでは父・矩賢を笑えはしない。
もっともアーチャーにさらに怒られるので口に出すことはしないが。

「とりあえずは同じ目的の人間がいるかどうか、会場を調査して確かめよう。
これほど無差別に近い形で人を呼び込んでいるなら協力者を得られる可能性も低くはないはずだ。
あるいは戦意のないマスターなら説得の余地もあるかもしれない」
「できたら協力者のサーヴァントがセイバーかランサーだったら言うことなしね。
私も楽ができるし、何よりパパの精神衛生的にもその方が良さそうだし」

重い腰を上げたとはいえ、アーチャーを戦わせたくないという本音はやはり見破られているようだ。
だが理に適った方策でもあるためかそれ以上は彼女も何も言わなかった。

「それとルーラーには特に注意するべきか。
聖杯戦争を破綻させようという動きを気取られれば即座に対処されると見て良い」

ノートに今後の方針を書き溜めていく。
ペンを動かしながら、切嗣はある一つの決意を固めていた。

(アーチャー、クロエはここに呼ばれるまでイリヤたちと暮らしていたという。
この月の聖杯は必ず封印ないし破壊する必要があるが、彼女だけは何としても暖かい日常に帰す。
それが一度拾った命に代えてでも僕の為すべきことだ)

最悪の場合は協力者にアーチャーを託すことも視野に入れて考えている。
かつて聖杯戦争で多くを失った男の、パートナーを失うわけにはいかない戦いが始まる。



【博多/2014年7月10日(木)0920】

【マスター】 衛宮切嗣@Fate/Zero

【参加方法】

死に際、懐に旅の途中で見つけたゴフェルの木片を仕舞っていたため召喚された。

【マスターとしての願い】

今度こそかつて憧れた正義の味方として聖杯戦争を止める。
聖杯を手に入れなければそのまま完全に死ぬことは理解しているが構わない。
しかしクロエは何としても元の世界に帰したい。

【Weapon】

死の直前から召喚されたため何もなし。

【能力・技能】

聖杯戦争のマスターとしてはノーマルレベルの適性を持つ。
起源は「切断」と「結合」。魔術属性はそれぞれの起源に関連した「火」と「土」の二重属性。
魔術師の常道を裏をかき、魔術師が忌避する戦術と手段を多く用いる。
魔術を「研究する目的」ではなく「手段であり道具」と見ている異端の魔術師であり、礼装に銃火器を用いる希有な存在。
しかし今回は武器の類を持ちこめていないため現状では魔術師に対して有効な攻撃手段がない。
どこかで銃火器などを調達できればその技能を十分に活かせるだろう。
また衛宮の家伝である「時間操作」の魔術を戦闘用に応用した我流の魔術「固有時制御」を修得している。
これは本来儀式が煩雑で大掛かりである魔術を「固有結界の体内展開を時間操作に応用し、自分の体内の時間経過速度のみを操作する」ことで、たった二小節の詠唱で発動を可能とし、戦闘時に用いている。
ただし固有時制御を解除した後に世界からの「修正力」が働くため、反動によって身体に相当の負担がかかる。
聖杯戦争に参加する直前の彼は「この世全ての悪」に全身を蝕まれ魔術の行使すらほとんど不可能になっていたが、ムーンセルの調整によって健常時の肉体に戻っている。


【人物背景】

衛宮家五代目継承者で衛宮士郎の養父。
かつては封印指定を受けた魔術師の父・衛宮矩賢と共に、魔術協会から潜伏しながらの生活をしていた。
母親はその逃避行の最中に死亡し、生後間もなかった彼は彼女のことを覚えていない。
潜伏地・アリマゴ島において研究サンプルが漏れ出す事故が発生する。その際に羅患した幼馴染の少女・シャーレイが、苦しみから彼に自分を殺してくれと頼む。
しかし彼は幼さ故の未熟さも手伝い、恐怖からそれを拒絶して、大人に助けを求めようとする。
その結果として島は地獄と化し、彼は「一人を殺せなかったために大勢を殺す」という、強烈なトラウマを刻み込まれる。
原因となった父がまた同じ事を繰り返すであろうことを予見した彼は、今度こそ自らの手で父を殺害する。
その後、父を狙っていたナタリア・カミンスキーと共に島を脱し、そのままナタリアの元でハンターとして生きるため苛烈すぎる経験と鍛錬を積みながら過ごす。
血と硝煙にまみれた生活を送り既に眼差しは十代のものではなくなっていた。
仕事の途中、ナタリア一人と他の大勢の命を天秤にかけねばならない場面に直面した彼は、再び非情な決断を強いられる。
ナタリアの死後は独立し、フリーランスの魔術師として活動。魔術師関連の殺しと並行して戦況がもっとも激化し破滅的になった時期に傭兵として各地の戦地に赴いていた。
「魔術師殺し」の戦歴をアインツベルンに買われ、共同で第四次聖杯戦争に参加。開戦以前にアイリスフィールと夫婦になり、娘のイリヤスフィールを設けている。
発掘された聖剣の鞘を触媒にセイバーを召喚。触媒である「全て遠き理想郷」は代理マスターとして戦地に送り込んだアイリに預けていた。
戦争の終結後、現場で唯一生き残っていた少年を発見。瀕死だった彼を「全て遠き理想郷」を体に埋め込むことで救い、脱出する。
士郎を養子に迎えた後も、「世界旅行」と称して屋敷を離れて、我が子を迎えにアインツベルンを幾度も訪れたが、アハト翁の妨害に遭い、娘と再会することは叶わなかった。
聖杯戦争終結から五年後、士郎に看取られながら聖杯の呪いにより短い生涯を終える。享年三十四。

【方針】

ルーラーに注意しつつ、聖杯戦争を止めるための協力者を募る。
なるべくクロエを戦わせたくないが、荒事においては彼女に頼らざるを得ない状況であるため忸怩たる思いを抱いている。



【クラス】 アーチャー

【真名】 クロエ・フォン・アインツベルン@Fate/kareid liner プリズマ☆イリヤ

【属性】 中立・中庸

【ステータス】
筋力 E 耐久 D 敏捷 C 魔力 B 幸運 B 宝具-

【クラス別スキル】
対魔力:C…二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
大魔術、儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。

単独行動:A+…マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
A+ともなると、大規模に魔力を浪費しない限り、単独で戦闘を行える。
また、アーチャーは元々魔力を得る必要がありながらも現世に受肉していた伝承がある。
このためかマスターと契約が切れた際の能力低下のペナルティが通常の三分の一以下で済む。

【保有スキル】
投影:B…彼女の元になったクラスカードの英雄が得意とする魔術。
宝具級の神秘さえ容易に再現できるが、オリジナルに比べランクと性能は低下する。

願望実現:C…アーチャーが限定的ながら持つ願望器・聖杯としての能力。
アーチャーの魔力で可能な範疇で望んだ魔術を理論・過程を省略して発動できる。
これによりアーチャーは投影魔術の反動(脳への過負荷など)を無効化できる他、短距離ながら転移魔術も行使可能。

魔力補給:D…アーチャーはサーヴァントとなる前から魔力で肉体を維持しており、定期的に外部から魔力を補給する必要があった。
このためアーチャーは日常的に他人とキスを行っており、このスキルもそんな彼女の伝承から付与されたもの。
同性から魔力補給を受ける時、通常の二倍の効率で魔力を得ることができる。

【宝具】

アーチャーは固有の宝具を持たないサーヴァントである。
彼女も元になったクラスカードの英雄は固有結界を宝具として所有していた。
しかし願望器としての機能を持つとはいえ別人である彼女に同じことはできないと思われる。

【Weapon】

上記の通り、アーチャーは投影魔術によって様々な宝具を操り距離を問わず戦える。
ここでは原作において彼女が使用した投影宝具を記述する。

干将・莫耶…陰陽の性質を持つ夫婦剣。
互いに引き合う性質を利用した連続投影での「鶴翼三連」も使用可能。
アーチャーは近接戦闘においてこの双剣を多用する。

偽・偽・螺旋剣(カラドボルグIII)…由来はアルスター伝説の名剣カラドボルグ。
名前通り、螺旋を描く刀身を持つ剣で矢としても剣としても使用できる。
この剣は彼女の元になったクラスカードの英雄が使用していた「偽・螺旋剣(カラドボルグII)」の、さらに劣化品。
それでも威力そのものは絶大で、真名解放して放たれれば空間をも捻じ切る。


熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)…由来はギリシャの英雄アイアスの盾。
複数の花弁からなる光の盾であり、使い手から離れた攻撃に対して無敵という概念を持つ概念武装。
彼女の元になったクラスカードの英雄と違い、最大四枚までしか展開できない。

偽・射殺す百頭(フェイク/ナインライブス)…岩でできた巨大な斧剣。
アーチャーは小柄な体躯とこの剣の巨大さを活かし弾幕に対する壁として使用する。

約束された勝利の剣(エクスカリバー)…本来はアーサー王が持つ、所有者の魔力を光に変換し、収束・加速させ斬撃として放つ最強の聖剣。
しかしアーチャーでは「偽物(できそこない)の偽物(ハリボテ)」しか投影できず、真名解放も不可能。
一応「壊れた幻想」による攻撃は可能で、これがアーチャーの最大火力の攻撃手段となる。

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)…投影した宝具を相手にぶつけ、爆発させることで威力を増す技能。
投影によって複製した武具は替えがきくためアーチャーはこの能力を気軽に使用できる。

【人物背景】
任務中、危機におちいったイリヤスフィール・フォン・アインツベルンから突然分離して誕生した、もうひとりのイリヤ。
その正体は赤ん坊だった頃に、アイリスフィール・フォン・アインツベルンによって力と共に封印された「本来のイリヤの人格(生前から施された魔術的処置により、赤ん坊ながら自我と様々な知識を有していた)」。
イリヤが危機におちいった際、封印が一時的に解かれ、危機を回避した後に再封印される、というプロセスを経るはずだったが、円蔵山の地下大空洞の地脈逆流時に危機を回避しようとした際、地下に眠っていた「大聖杯の術式」の力により「弓兵」のクラスカードを核として受肉化した。
顔の造りはイリヤと同一だが、「弓兵」のクラスカードを触媒に現界している影響のためか、イリヤと違って肌が浅黒く、髪もより銀に近い色合いになっている。
封印中もイリヤとは記憶を共有していたらしく、分裂直後でも周囲の人々のことは把握している。
性格の基本骨子はイリヤと同じだが、「もしイリヤが魔術師として育っていたら」という存在であるため 「stay night」本編のイリヤに近い性格で、小悪魔的な言動が多い。
キス魔で同性に対して非常にアグレッシブで、イリヤの周囲の女子五人のファーストキスを奪った。
分離した当初はオリジナルであるイリヤを殺し、それに成り代わろうとしていた。
しかしそれは封印の反動で「日常」や「家族の愛情」といったものに飢えているためであり、最初にイリヤの命を狙ったのもそれを手に入れるための手段であって、イリヤを憎んでいたというわけではない。
家族として暮らすようになってからは、義兄・衛宮士郎に積極的に迫っては、イリヤと喧嘩する。
ちなみに、イリヤとどちらが姉でどちらが妹かを争っているが、決着はついていない。

【サーヴァントとしての願い】
平行世界とはいえ父親の切嗣に死なれるのは非常に後味が悪いので彼を守り抜く。
しかし力及ばず彼共々死亡したとしても仕方ないと諦観している面もある。

【基本戦術、方針、運用法】
固有の宝具を持たないとはいえ投影魔術で生み出した武具によって距離を問わずに戦えるオールラウンダー。
しかし戦闘能力の全てを魔術に頼るため魔力封じの類には極めて脆い。
またその出自から武勇伝を築いた英雄たちにはある戦闘経験、見識、技術を持っておらずこれが最大かつ致命的な弱点。
この点が足を引っ張りアーチャーの実質的な戦闘力は黒化英霊以上英霊未満といったレベルに落ち着いてしまっている。
三騎士としては器用貧乏どころか中途半端な感が否めず、能力や相性次第ではマスターにすら圧倒されてしまう可能性がある。
支援役としてはそれなり以上に戦えるものの、総じて元になった錬鉄の英雄には及ばない。
如何にして前衛を務められる協力者を探し出せるかが彼らの課題にして死活問題となる。