「きりーつ、礼、さよーなら!」
「「「「「「「「さよーなら!!!」」」」」」」」

つまらない学校が終わった。
そそくさと帰り支度をする。
つまらないというのは、ぼくが勉強ができないからじゃない。
運動ができないからでもない。
この学校に違和感がぬぐえないから、現実感が無いからだ。
学校に来ているのに、学校という感じがしないのだ。

友達と遊ぶ気もしない。
彼らが、ぼくの友達と思えないから。
別に仲が悪いわけじゃない。
少し前までは、日が暮れるまで空き地で一緒に遊んでいたはずだ。
でも、いつの間にか遊ばなくなった。
誘われても、何かかしら理由を付けて断った。

学校からの帰り道を一人で歩く。
帰り道の途中、遊び場だった空き地を通りかかった。
ちょっと前までは、遊んでいたのに。
ここで楽しく遊んでいたこと自体に違和感を感じる。



「ただいまー…」

「のびちゃんおかえりー」

ママの声に適当に返事をして、
二回の自分の部屋に上がっていく。
顔を出すのも面倒だ。
…こんな扱いをしようものなら怒られても文句は言えないけど、
別にそれでもかまわないと思う。
例えママに叱られても、ママに叱られている気がしないからだ。
変な表現だけど、本当にそうとしか思えない。



襖をあける。
誰もいない。
当然だ。
この部屋は、ぼくだけの部屋なのだから。

勉強もやる気はしない。
昼寝でもしよう。
愛用の座布団を丸めて枕を作り、さあ眠ろうとして、ふと気になった。

押入れを開けてみる。
布団が入っている。

机の引き出しを開ける。
空っぽだ。

……あれ?
ぼくは、何が気になったんだっけ?

…変だな。
違和感が気になって昼寝する気にならない。

がらんとした部屋の中。
膝を抱えて蹲る。
じっと机を見る。
何もない机を。
何もなくなった机を



あの時も、こうしていたような…。



 □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■




『けんかなら、■■■■■ぬきでやろう』



『ぼくだけの力で、きみに勝たないと……』

『■■■■■が安心して……帰れないんだ!』



『勝ったよ、ぼく』

『見たろ、■■■■■。勝ったんだよ。ぼくひとりで』

『もう安心して帰れるだろ、■■■■■』



『■■■■■、きみが帰ったら、部屋ががらんとしちゃったよ』

『でも……すぐになれると思う』

『だから………心配するなよ』




『■■■■■』





 □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■




……!!


部屋を見渡し、思い出した自分の部屋と違うことに気付く。
立ち上がって部屋を飛び出、転げ落ちるように階段を下りる。
音に驚いたのか、ママが居間からこちらを見た。また気付く。知らない顔だ……!
そのまま走って外に出る。


違う…。ここは違う!


走る。走る。走る。
歩き慣れていたと思っていた筈の、今や馴染みの無くなった道を。


違う!こんな町は知らない!


脳裏に浮かぶ空き地への道を、■■■ちゃんの家への道を、
■■■や■■■■■の家への道を無理やりに辿ろうとして、
全く違う方向へ続く道に阻まれ、とにかくがむしゃらに走っていく。


そうだ。
ここは、ぼくがいた町じゃない。
あそこは、ぼくの家じゃない。
みんな、ぼくが知っている人じゃない。


走って、走って、走って、
もう走れなくなって、
気が付いたら見覚えのない河川敷にいた。


涙が溢れる。
恐ろしくなった。
ぼくは、知らない場所にいて、みんなのことを忘れていた。
忘れたまま、それが当たり前だと思って過ごしていた。

し■■ちゃんがいない。
■ャ■ア■がいない
ス■夫がいない。
パ■がいない。
■マがいない。

■■え■んがいない。



■ラえ■んが。



■ラえもんが…!



「ドラえもぉ~~~ん!!!」







「どうしたんだい?のび太くん」







「……!!」

返事があったことに、驚き、後ろを振り返る。



ドラえもんが、そこにいた。
ちょっと困ったような笑顔を浮かべ、いつものように。



「ド……」

「のび太くん、よく思い出してくれたね」

「ドラえもぉぉぉぉん!!来てくれたぁ!うわああ~ん!!」

「よしよし、頑張ったね」

みっともないくらいに泣いてドラえもんに抱き着く。
ドラえもんも泣きながら頭を撫でてくれた。


あれだけ怖かったのに、心が安心と感謝で溢れていく。
最高の親友と会えたことが、ただただ嬉しかった。



 □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■




「それで……どうするの、のび太くん?」

「うん…」

ドラえもんと再会して、記憶を取り戻した。
それと共に、聖杯戦争のことも知った。
与えられた知識と、『サーヴァント』となったドラえもんから教えられたこと。
ぼくは…

「ぼくは……この戦争を止めたい。
 願いを叶えるために、みんなで殺し合うなんて悲しいこと、絶対にあっちゃいけないんだ。
 多分、ぼくみたいに巻き込まれただけの人もたくさんいると思う。
 その人たちを助けるためにも、こんな戦いはやめさせないと駄目だ」

「…わかったよ。のび太くんならきっとそう言うと思ってた。
 こういう時のきみは勇敢だしね。
 ぼくたちで、この聖杯戦争を止めよう」

「ドラえもん……ありがとう!」

ドラえもんも止めてくれると言ってくれた。
それは本当にうれしい。やっぱりドラえもんだ。
でも…

「でも…。ドラえもんにも何か願いがあるんじゃないの?
 だからサーヴァントになったんじゃないの?」

ここにいるドラえもんは、サーヴァントとしてここにいる。
幽霊の様なもので、確かに『ドラえもん』だけど、
ぼくの家にいるドラえもんとは厳密には別人みたいだ。
だから、ドラえもんにも何か願いがあるのかもしれない。

そう言うと、ドラえもんはまた少し困ったように笑って。

「ぼくはのび太くんを助けたいと思っただけさ。
 願いがあるとすればそれ以外には無いよ。
 サーヴァントとしてでも、のび太くんと一緒に居れるだけでとても嬉しいよ。
 だから、その辺は気にしなくても大丈夫」

「ドラえもん……」

「うーん、そうだね。
 のび太くんが帰ったら、家にいるぼくと今まで通り仲良くしてくれればいいよ。
 今回のお礼なら、ぼくと、家のぼくにもどら焼きの一つでもおごってくれればいいかな?」

「…うん!
 とびっきりのどら焼きを買うからね!一緒に食べよう!」

「フフフ…。
 楽しみにしているから、そっちのぼくにもよろしくね」

少しのうれし涙を滲ませながら二人で笑い合う。
…よし、ぼくたちで、この戦いを止める!

もう何度目になるかわからない、ぼくたちの新しい冒険の始まりだ!



【東京/2014年7月21日(月)1630】


【サーヴァントステータス】


【出典】

 ドラえもん

【CLASS】

 キャスター

【マスター】

 野比のび太

【真名】

 ドラえもん

【性別】

 雄

【属性】

 中立・善

【ステータス】

 筋力D 耐久E 敏捷E++ 魔力- 幸運A 宝具-

【クラス別スキル】

陣地作成:-
 陣地作成能力は有していない。

道具作成:-
 道具作成能力は有していない。

【固有スキル】

科学という名の魔法:EX
 『充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない』
 魔法というべき領域に踏み込んだ科学を扱うことが可能であることを示す。
 キャスターのキャスタークラスたる所以のスキル。
 神秘が薄れた未来において純然たる科学技術でつくられた
 キャスターおよびキャスターの持つ宝具・道具は、一切の神秘を持たない。
 しかし、一切の神秘を帯びないままに、あたかも魔法域の神秘を持っているかのように
 他の神秘に干渉することを可能とする。
 但し、逆に一切の神秘を帯びていない物理現象からも干渉を受ける。
 また、キャスターは本来は高位の神秘である英霊としての特性も最低限しか持つことしかできない。

単独行動(偽):A
 マスター不在でも行動できる。
 本来の単独行動スキルとは異なり、キャスターは神秘を持たず
 現界に魔力を消費しないために単独行動が可能となっている。

機械知識:C
 機械に関する知識。
 自身の道具のメンテナンスが可能な他、あまりに複雑な機械でなければ修理や改造が可能。

言語理解:D
 ネコの言語を理解し、意思疎通が可能。

異形:E
 大小の球体と青白の色彩を組み合わせた、実に奇妙な姿を持つヒトガタである。
 本人はその姿をネコを模したものだと主張しているが、とてもそうは見えない。
 せいぜいタヌキであろう。
 キャスターの姿を見た相手に、タヌキであるという印象を強く与えてしまう。
 ちなみに、この装備(スキル)は外せない。

【宝具】

『夢詰まるすこしふしぎな袋(四次元ポケット)』
ランク:- 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人
 キャスターの腹部に装着されているポケット。
 宝具として扱われているが、一切の神秘を持たない故にランクは存在しない。
 内側が四次元空間に繋がっており、無限に物品を収納できる。
 中には未来の科学で製造された様々な『ひみつ道具』が入っており、
 キャスターはそれらを取り出して自在に扱うことができる。
 この宝具や中の道具の使用には真名解放も魔力も不要。
 また、キャスターの腹部から取り外したり、キャスター以外の者が使ったりすることもできる。

【Weapon】

『ひみつ道具』
 魔法と見紛う奇跡を実現する未来の科学で作られた道具。
 数えきれないほどの種類がある。
 ただし、聖杯戦争を直接的に破綻させる類のものは使用や機能に制限をつけられている。

【人物背景】

 何をやらせてもダメな小学生、野比のび太。
 ある日、彼の机の引き出しから、一体のロボットが現れた。
 そのロボットが言うには、自分は22世紀の未来からやってきた子守用のネコ型ロボットであり、
 のび太を一人前にするためにのび太の玄孫であるセワシに送り込まれたと言う。
 混乱するのび太であったが、そのロボットが取り出す不思議な道具に魅せられて、
 ロボットを受け入れることを決める。

 こうして、一人の子供と一体のロボットの友情の物語が幕を開けた。

【サーヴァントの願い】

 聖杯戦争を止める。
 のび太を守り、家に帰す。

【基本戦術、方針、運用法】

 神秘を持たないために、魔力や神秘の格を感じ、判断材料とする
 大抵の魔術師やサーヴァントに対する初見殺しとなる。
 また、神秘の無さの副次的な効果として、サーヴァントの気配が無いため
 そうと知られない限りサーヴァントだとばれない。先手をとるのに少し有利。
 尤も、姿が姿なので一般人だとは思ってくれないだろうが。

 勝ち筋は、できれば初手でひみつ道具で相手を制圧するか、
 あるい味方を作り、多彩な道具を活かして支援するかが基本。
 魔力が感じられないとひみつ道具に対しおざなりな対応をする相手を
 そのまま行動不能に追い込めれば理想的。
 直接戦闘では、能力が低く、本人の気質も相まって勝利は難しい。
 時間をかけるほど神秘に関するトリックと能力の低さが露呈するので不利になる。
 たとえ道具がいくら強力であってもである。
 初見ですらひみつ道具の危険性を察知し得る直感や心眼(偽)の持ち主は天敵。
 苦手な荒事を想定せざるを得ない状況である以上、信頼できる協力者を探すことも重要であろう。

 下手に守りに入ると、とたんに不利になる可能性がある。
 ただの物理攻撃でもキャスターには有効であるためである。
 敵マスターからの攻撃にも十分な注意を払う必要があるだろう。


【マスターステータス】


【出典】

 ドラえもん

【名前】

 野比のび太

【性別】

 男性

【参加方法】

 『方舟』による召喚だと思われるが、詳細は不明。

【マスターとしての願い】

 聖杯戦争を止める。

【能力・技能】

 勉強もスポーツも、何をやらせても駄目な小学生。
 ことあるごとにキャスターに泣きつき、頼る。
 だが、ひみつ道具の応用に関しては天才的な頭脳を発揮することもある。
 基本的に能力の低さは生来の怠け癖によるもので、実際頭の回転は悪くない。
 ここぞというときは勇敢さを見せることもしばしばあり、現在はその状態である。大長編補正。
 あやとりと射撃に関しては天才的な才能があり、射撃は宇宙でも有数の腕前といっても過言ではない。
 プロの殺し屋に勝利したこともあり、また射撃戦においては作戦立案能力も優れる。
 しかし、心根が優しすぎるため相手を直接殺傷する武器はとても扱えない。
 それでも、使うひみつ道具と状況次第ではサーヴァントにも通用するかもしれない。

【人物背景】

 万事において冴えない駄目人間。
 のんびり屋かつ怠け者の弱虫。
 しかし、性根はとても優しく、友情に厚い。
 そんな性格に心惹かれる人は多い。
 彼の駄目っぷりをなんとかしようと
 未来の子孫がドラえもんを送り込んだことから、すべての物語は始まる。

【方針】

 殺し合いは止める。
 聖杯戦争を止める具体的な方法を探す。

【備考】

○敏捷E++?
 ネズミ。
○異形?
 何となく付けた。
○道具の制限は?
 あんまりしっかりとは考えていない。
 移動系の道具で直接方舟の外に出るのは禁止。
 四次元ポケットからスペアポケットへの移動禁止。
 ウソ800禁止。
 もしもボックス禁止。
 とりあえず思いついたのはこれだけ。
○キャスターが持つサーヴァントとしての性質は、
 「マスターとラインで繋がっている」「令呪の命令に従う」
 「キャスターをサーヴァントだと知るマスターであれば、キャスターのステータスを閲覧できる」
 この3点だけ。それ以外の全てのサーヴァントとしてのメリットとデメリットは無い。
 霊体化不可。念話不可。魔力による再生不可。物理攻撃有効。
 魔力消費無し。マスター不在のペナルティ無し。
最終更新:2016年06月12日 23:53