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「駆け込み乗車大変危険ですのでおやめくださぃ━━。」
 男はマイクでそう車内放送するとマスコンを入れた。
 駆動音と共に緩やかに体に重力を感じ、目に写る景色、それが移り変わるスピードが早くなる。
 幾度と見た光景に特に何かを感じることもなく、男はチラリと傍らの時計に目をやった。

 都心を走る電車。その運転席が男の居場所だ。
 勤続すること今年で三年。念願かなって憧れの運転士として鉄道会社で働いている。
 子供の頃に思っていたのとはいろいろと違うところもあったが、それでも自分の夢を叶えられたことを素直に喜んでいた。

 時計を見れば定刻より20秒ほど遅れそうだった。駅と駅との間が短いこの区間では、そろそろスピードを上げなければならない。

 男が電車のスピードを上げると僅かな重力が体にかかる。その感覚に、何故か男は違和感を感じた。
 自分は確かに運転士として働いてきたはずだ。今日も、会社へと向かうサラリーマンや部活動の荷物を持った学生を乗せて運転している。しかし、どこか自分が今している行動が夢のように思える。

 胡蝶の夢。そんな言葉が頭をよぎった。たしか習ったのは高校の古文の時だったか。随分と━━最近のことに思える。


 キィィィィイイい。


 男は反射的に急ブレーキをかけた。
 乗客からの悲鳴と慣性に体を揺さぶられながらしっかと前を見る。

 ふいに、目の前に少年が現れた気がしたのだ。
 棒状の何かを持った少年が、線路の上をこちらに向けて猛然と走りよってくる。男はその光景を見たのだ。
 衝撃と自分の行動に混乱しながらも、男は前を見る。自分が見たものが幻ならよい。が、もし本当に人がいたならば人身事故は避けられなかったはずだ。


 安全確認を、と思い前を向いたはずの男の視界は赤く染まっていた。
 一面の赤は、しかし次第に黒くなりながら熱をもって男の目を奪う。
 ゴン、と何かが頭に当たったのを感じ手を伸ばすがそれらしきものに触れることはできなかった。いったい何が起こったのか。何が起こっているのか。
 マイクに手を伸ばそうとするも届かない。乗客の悲鳴は更にまし、ただ事ではないというのはわかっているのだが対応することはできない。
 自分の不甲斐なさに歯噛みしつつもようやく回復した視野で現状を確認する。

 色のない世界で自分が横たわっている。そのことに気づくと立ち上がろうとするが、体にうまく力が入らない。それどころか意識が遠のいてきた。このままではマズイ、今更ながらにそう思うと自分と同じように倒れている車掌に呼びかけようとして。


(━━ここには俺しかいないはず━━)


 そう頭の中で言葉を発したのを最期に頭だけになった運転士は息をひきとった。



 ◆  ◆  ◆



『━━続いて今日の交通情報です。』


 記憶をなくしている間は幸せだった。
 コメディものの昼ドラに出てきそうな円満な家庭。夏休みに入ってからは一日中ゲームをして怒られたり読書感想文のためにいやいや本を読んだり。そんなだらけた、欲しかった生活に浸っているのをつまらないように感じながら、でも確かに幸せだと思っていた。

「今年はいつおじさんの所にいくの?」

 ムーンセルというのはそれらしい記憶をくれる割りにはつめがあまいらしくて。あとから気づいたらNPCの時の僕と本当の僕とにはいろいろと違うところもあった。
 ルウおじさんはいないことになってたし持ってたはずのゲームもなくなっていた。そして何より、『家族』があった。

 予選の終わりに思い出すっていうのは間の悪い気もするけれど、それでもゲームの中みたいな家族ごっこから目が覚めたのは素直にうれしかった。願いを叶えるために、ごっこじゃない『家族』を取り戻したくてここに来たんだから。


「■■■■■■■■■■‥‥」

 甘かった。そんなことを考えるのは。
 戻った記憶を頼りに呼び出したサーヴァントは、人の形をしているのにまるで全然違う世界のモンスターのようだった。
 ガチガチとなる日本刀を手にしたそれは召喚されるやすぐに部屋中をその刀で切りつけた。
 ひとしきりうなり声をあげていたそれはバッと僕の方を見ると襲ってくる。
 とっさに「来るな!」と令呪で命令してなかったらきっと僕はあの時死んでいただろう。あの時はもったいないと思ったけど、もしあの時使わなければって思わなくもないけど、とにかくあの時死なないためには必要だった。

 僕を襲おうとして動きを止めたそれは、またうなり声をあげて刀を振り回して、それでもジリジリと近づいてくる。
 もう一つ令呪を使おうとしたとき、それは僕を襲ってきたときのようにバッと窓の外を見ると窓ガラスを突き破って飛び降りていた。ここは八階なのに大丈夫なのかとか疑問に思ったけど、とにかくそれが襲ってこないのを見て一安心した。


『━━下北沢駅で人身事故が起き、死者・怪我人多数━━』


 それが出ていってから十分もしないうちにテレビからは同じ事故についての放送がはじまった。近くの駅で人身事故が起きて何十人も死んだらしい。
 たぶん、これを事故じゃないと知ってるのは僕だけなんだろうなと、思った。
 それが向かっていったのは駅の方だったし、あの暴れぶりならそれぐらいのことをしそうだった。

 それに、それは力とか魔力とかを吸いとる力を持っているらしい。それを召喚してから体が良く動かないと思ったら、気がついたら床に倒れていた。そして今も何かを吸われている感覚がある。
 もしかするとそれは、僕から取れなかったぶんを他の人から取ろうとしたのかもしれない。
 そうじゃなかったにしても、あんな危ないものを外に出してしまったのは僕のせいだ。

 体が重い。やっぱりそれは魂とかMPとかそういったのをとってくんだろう。石化の魔法でも受けたらこんな感じになるんだろうな。息をしようとしても口がパクパクと動くだけで、でもそれを僕はなぜか冷静に見てて。


 もしかして、僕はもう死んでるのかな?



   ◆   ◆   ◆



「■■■■■■■■■■!」

 ここはどこだ。
 ■■■はどこだ。
 力が出ない。
 力がほしい。

「■■■、■■■■■■■■■■!」

 四角い箱の中にいる。
 ■■■がいない。
 力が出ない。
 力を。

「■■■■■■■■■■‥‥」

 ■■■■■■■を振る。
 箱を斬る。
 力が減っていく。
 力がほしい。
 力のながれをかんじる。

「■!■■!■■■■■■!!」
「く、来るな!」

 ちからをかんじた。
 ちからがへばりついた。
 ちからがくるほうへちかづけない。
 ちからを。

「来るな、来るな!『来る━━』」

 ちからはどこだ。
 『ょうのけつえきが』おとがでてうごくしかくいはこからはちからをかんじない。
 めのまえのモノにはちかづきたくない。
 ちからを。ちからを。『━━ガタンゴトン━━』ちからを。

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!」

 ちからをみつけた。
 おとがでてはやくはやいながいはこがみえた。
 はしった。おちた。はしった。
 ちからがあった。いくつもモノをのせてうごいていた。
 あたまからはいる。
 ■■■■■■■をふる。
 モノがきれてちからが増えた。
 足りない。
 力が足りない。
 ■■■を探すのに力が足りない。

「l■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!」

 いくつもモノがあった。
 低いの高いの大きいの小さいの。
 全部斬る。
 もっと斬らないと。
 もっと力が必要だ。
 もっと斬らないと。もっと斬らないと。もっと斬らないと。
 ■■■を探さないと。
 ■■■の側にいないと。
 ■■■といっしょにいるためにシュバ『ーサーカー』としてm『殺さないと』。
 もっと殺さないと。■■■を守って、■■■を見つけて■■■を■■■を■■■を■■■を■■■を■■■を■■■を■■■を■■■を■■━━

「れ、令呪をもって命じる!霊体化しなさいバーサーカー!」

 ぐにゃりとなる。
 ダメだ。殺せ。■■■を探すんだ。■■■を支えないと。力を感じる。体にへばりついて体が薄くなっていく。ダメだ。斬れ。■■■を探せ。

「重ねて命ず。予選が終わるまで霊体化してなさい!」

 ■■■に、■■■を、■■■と、■■■の、探せ、斬れ、■■■、守れ、■■■、■■■、殺せ、■■■■■■■ピンクの髪。

「■■■■■■■■■■■■■■se‥‥」

 必ず会いに行くから。



「ヒ、ヒドイ‥‥」
 バーサーカーの起こした惨状を見て、東京会場のルーラーは思わず口を押さえてうずくまった。
 上級AIから『召喚されたバーサーカーが暴走して大規模な魂喰いをしている』という連絡が来てすぐにここにきたがその時には既に百を越す数のNPCが被害にあった後。当然バーサーカーに神秘の秘匿という理性など働くはずもなく、無造作に斬り捨てられた死体が山をなしている。
 これだけでも相当頭の痛い事態なのだが酷いのはそこだけではない。
 被害にあったのは通勤ラッシュ中の電車。その前から四両ほど。後ろの車両はルーラーのとっさの令呪で━━後から考えればバーサーカーを霊体化などさせずに自害させたほうがてっとり早かったが━━惨劇を回避した。よって無事五体満足な彼らのする行動は。

「うわ!ものすごいツイートされてる!ウソォ!テレビも来てるの!」

 手にしたスマホや携帯で外部と連絡をとる。あるものは家族とあるものは職場と、またあるものはネットの向こう側の住人と。

「どどどどうしよう隠しきれないよね、コレ。」


 ルーラーの焦り声が血濡れの車内に響いて消えていった。






【東京/2014年7月31日(木)0753】



【マスター】
三谷亘@ブレイブ・ストーリー

【参加方法】
幸せだった家族を取り戻すため、幽霊ビルの屋上にある要御扉をくぐって参戦。

【マスターとしての願い】
自分の運命を変える。

【weapon】
なし。

【能力・技能】
なし。

【人物背景】
城東第一小学校五年。通称ワタル。
ロールプレイングゲームが好きなこと以外はいたって普通の少年だが、夏休み前のある日、父親である明が突然離婚を宣言し、身ごもらせたかつての恋人と暮らすべく家を出ていってしまう。
さまざまな事件や元恋人で現愛人の田中理香子との対峙で母の邦子は心労のあまりガス栓を捻り、自殺未遂を起こす。
このように離散してしまった家族を取り戻すという願いを叶える為、謎の転校生、ミツルに導かれて『幻界』へ行き『見習い勇者・ワタル』になり、願いを叶えてくれる『運命の女神』がいるという『運命の塔』をめざす旅を始めることになるはずだったが行き着いた先は聖杯戦争の会場だった。

【方針】
未定。


【クラス】
バーサーカー

【真名】
サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ@ゼロの使い魔

【パラメーター】
筋力D++ 耐久D++ 敏捷C++ 魔力D 幸運C+ 宝具A+

【属性】
中立・狂

【クラススキル】
狂化:A+
全パラメーターをワンランクアップさせ、更に彼の持つ宝具にも効果が及んだことで大幅に能力が上昇している。
バーサーカーはこのスキルの影響で常時宝具を真名解放し続ける。

【保有スキル】
対魔力:B(D+)
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

【宝具】
『神の為の盾、神の為の左手(ガンダールヴ)』
ランク:A+ 種別:対人(己)宝具 レンジ:1 最大捕捉:1
始祖ブリミルの使い魔の印。
あらゆる武器・兵器の使い方を瞬時に理解、把握しEランク相当の宝具として運用できる。
バーサーカーはこの宝具を常時真名解放し続ける。
『デルフリンガー』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大捕捉:2
インテリジェンスソードと呼ばれる喋る日本刀。
攻撃魔法を吸収し、そのぶんだけ筋力、耐久、敏捷を上昇させ、更に魔力と幸運をワンランク上げる効果を持つ。
バーサーカーはこの宝具を常時真名解放し続ける。
なお、インテリジェンスソードという性質上クラススキルの狂化の影響を受け一部の能力が上昇している。

【Weapon】
『デルフリンガー』

【人物背景】
ゼロの使い魔の主人公 。ルイズの「使い魔」。
平凡な高校生だったが、ルイズの召喚魔法により「使い魔」として東京から異世界ハルケギニアへ召喚された。身長は172cm、特技はRPGではなくアクションゲーム。
現代日本の価値観で物を考え、それを隠さずハルケギニア世界の理不尽に怒り、抵抗するため、周囲の人間からは破天荒な人物だと思われている。
感情の起伏が極端であるのに加えて思い込みと喜怒哀楽が激しいが適応能力は高い。
その本質は、如何なる困難や障害にも挫けない不屈の闘志を胸に秘めた熱血漢である。

【聖杯への願い】
■■■に会う。

【基本戦術、方針、運用法】
狂化のランクが高すぎるため一般人のワタルに手出しできる余地は無い。
宝具の魔力消費は軽めだが、常時解放しているためバーサーカーのクラスに相応しい燃費の悪さになっている。そのため一般人のワタルでは魔力をとうてい賄いきれない。
足りない魔力供給を補おうと無差別に魂喰いを繰り返すが、魔力が充実してくるとステータスを倍化させてしまい更に燃費が悪くなる。
なお、バーサーカーは自分から霊体化しようとしない。



※下北沢駅付近でバーサーカーが数百人規模の魂食いを行いました。
※バーサーカーに対してルーラーから令呪が使用されました。令呪の内容は『霊体化せよ』と『予選期間中霊体化せよ』の二つです。バーサーカーは対魔力のランクが高いのであまり効きません。
※バーサーカーはピンクの髪をしたモノに執着するようです。



【東京会場のルーラー@???】
ピンクの髪をしています。
猫耳です。