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新都 冬木大橋前 1:43 a.m.

火花が散り、風が捻じれる。
ついさっきまで嫌というほど聞いていた音が橋の方から微かに聞こえてくる。


「ランサーさん、これって」
「ますたぁ殿も気がつかれましたか。あの橋で何者かが戦っているようですな。
それにこの臭いは…、某一度様子を伺ってまいりまする!」
「えっ、は、はい。行ってらっしゃい……?」

勢いよく飛び出していった幸村に咄嗟に疑問形で返すことしかできない茜。
十秒ほど経ってからようやく状況を飲み込んだ。


「ちょ、待ってくださいランサーさん!」


彼と離れる心細さから急いで後を追っていく。
どのみち自宅は深山町にあるので橋を通らなければ帰れない。
このすぐ後に、茜は追いかけずに待っていれば良かったと後悔することになる。







冬木大橋 1:48 a.m.

「このっ……!」


ランサー、アリシア・メルキオットは早くも苦境に立たされていた。
既にその全身には浅い切り傷が無数に刻み込まれている。
原因となっているのは現在もアリシアへと凶刃を向けるサーヴァント。
技も何もなく、ただひたすらに唸り声を出しながら剣を振るう姿は誰が見てもバーサーカーそのもの。
だが狂っているが故の身体能力の高さと反射神経の鋭さは今のアリシアには何にも勝る脅威でしかない。
必死にライフル弾を放ち牽制するも中々有効打を与えられずにいた。
持ち前の運動性で致命となる箇所への攻撃は全て回避され、それ以外の箇所に受けたダメージには構うことなく突進してくるのだ。
今のところは相手の攻撃の大味さにも助けられて生き延びていられるがこの状況が続けばそれも危うい。

『だ、大丈夫なのかランサー!?待ってろ、今令呪で』
「駄目、マスター!ここは私が何とかするから!」



まだ本選が始まってから数時間と経っていないのに令呪に頼るわけにはいかない。
マスターのいおりは十にも満たない子供。彼女の身を守れる切り札は一つでも多く残すべきとアリシアは判断した。
加えていきなり襲い掛かってきたこのサーヴァントの近くにはNPC達の無残な死体がいくつも転がっている。
深夜とはいえ人通りの多いこの場所で堂々と魂喰いを行っていたことは明白だ。
野放しにすればさらに被害は拡大していくことだろう。


(何とか隙を作れさえすれば……!)

この逆境を跳ね返す手段はある。
英霊アリシアの半身たる宝具に訴えればバーサーカーらしきサーヴァントを打ち倒すことも可能だ。
召喚されてほとんど時間が経っていないからこそ、アリシアは元々の貯蔵魔力をほぼ丸ごと保っている。
マスターが一般人の幼女であることを差し引いても一度なら二つの宝具を同時使用することもできる。
しかし発動するにも全くのノータイムというわけにはいかない。
数秒でいい、このバーサーカーの動きを止めることさえできれば槍と盾を出せるのだ。


「当たれ!」



生前から戦場で時折発揮される不思議な集中力が発動し、ライフル弾が吸い込まれるようにサーヴァントへと直進する。
避けられないと見るや剣で全弾を弾き飛ばしたがそれによって僅かな間動きが止まった。

(今なら!)


魔力を込め、ヴァルキュリア化しようとしたまさにその時だった。


「せい、はああああ――――――!!!」


上空から現れた赤い影が敵サーヴァントを強襲し、手にした二本の槍でラッシュを見舞った。
今まで遮二無二前進を続けていたサイトもこれには堪らず数メートル後ずさった。
それを見た赤いサーヴァントは構えを解かずにアリシアへと近寄ってきた。


「一つ聞きたい。あの惨状はそなたが起こしたものか?」


幸村が指差した先にあるものは斬り殺されたNPC達。
アリシアは即座に首を横に振って否定した。


「いいえ、私じゃない。多分あいつの仕業よ。
あいつはいきなりこっちに襲い掛かってきたの」
「やはりそういうことか」



言って、返り血に濡れたサイトを見やる二人のランサー。
幸村も半ば確信した上での問いだったがこれで迷いなく戦える。


「ならばあのさーばぁんとは某の敵!
このような外道の所業、断じて捨てて置けぬ!!」
「ランサーさん!」


気炎を燃やす幸村に声を掛けたのは走ってここまで追ってきた茜だ。
つい先ほどまで血色が良かったはずの顔色は眼下に広がる光景を見た途端に蒼白になった。
そんな主を見た幸村はやはりこうなってしまったか、と心中で嘆息した。
平和な時代に生きてきた茜に流血沙汰への耐性が無いことは薄々気づいてはいた。
だがそれを表立って指摘することはどうしてもできなかった。
口にしたところでサーヴァントを呼び出した時点で後戻りなどできない位置に立たされていた。
そんな状況で現実を正しく認識させれば茜はその場で崩壊していてもおかしくなかった。
今までスポーツ感覚で過ごせていたのも全ては事実を正しく認識していなかったためだ。




「どうするマスター?今ならここから逃げることも出来そうだけど」

一時的に生まれた膠着状態の中、アリシアはこの機を逃さずいおりに念話を送り指示を仰いだ。
普通に考えれば消耗を抑えるために撤退するべきところだ。
今なら赤いランサーにこの場を押しつけて逃げ出すことも十分可能だ。


『なあ、逆にあの子…あの人たちと組むのは無理かな?
今逃げたっていつかジリ貧になるだけだろうし、誰かと組めるならそうした方が良いと思う』
『そうね。あのマスターの子の様子なら、もしかしたら脈はあるかも』

アリシアから見て茜の様子は本物の戦場に対する恐怖しか感じられない。
あるいはいおりの方がまだしも肝が据わっているとすら思える。
しかし、だからこそ光明があるかもしれない。
長期的にはリスクを踏んでも他のマスターと図らずも接触したこの機を生かす方が確かに良いのも事実。


「ねえ、ここはひとまずあのバーサーカーを何とかしましょう?
私と私のマスターはあなたたちに危害を加えるつもりはないわ。
もちろん、そっちが信じてくれるなら、ということになるけど」
「え?……あっ…その……」
「相分かった。どのみちあのさーばぁんとを見逃すつもりはない。
ますたぁ殿、暫しの間下がっていてくだされ。
そなたはあーちゃーとお見受けする。拙者が前に出る故援護を頼みたい」


判断ができないマスターを庇うように、遮るように幸村が一方的に話を進める。
一見マスターを無防備に晒すような発言も幸村という壁を失ったアリシアが強大な敵と戦えるはずがないという計算あってのことだ。
アリシアが善人であるとはいえ幸村がそんなことを知る由もないし二人の間にはそこまでの信頼関係もない。
それでもこの場は手を取り合わなければならない、というのが共通の見解だった。




痺れを切らしたか、ついにサイトが膠着を破って突撃してきた。
すかさず幸村が反応してサイトの攻勢を受け止め、鍔迫り合いへと移行する。


「ぬうぉおおおっっ………!!」

劣勢なのは幸村。既に一度戦って消耗している上に負傷を抱えている身では力押しに対抗するのは厳しいものがある。
しかしランサーである幸村にはサイトにはない技術がある。
器用に二槍を滑らせデルフリンガーの切っ先を逸らし態勢を立て直す。
そして炎を発現させた槍でサイトの頭部目掛けて突きを放った。
しかし。



「何ぃっ!?」


サイトは超人的な反応で幸村の反撃を防いでみせた。そこまでは普通だ。
異常はその直後。幸村の魔力放出による炎がサイトの剣に吸い込まれるように消えていったのだった。
狂化の影響によってデルフリンガーの魔法吸収能力が魔力放出にまで対応するようになった結果がこれだ。
そして吸収された炎はサイトを駆動させる魔力に変換され、更に活性化していく。

「■■■■■■■■――――――!!」


サーヴァントから奪った魔力は質・量ともにNPCから得られるそれの比ではない。
味を占めたかさらに幸村から魔力を奪おうと猛攻を仕掛けるサイトに対し、幸村は炎を出さないよう戦うしかない。
つまり、自ら持ち味を封じるしかなく、攻撃力が激減した状態を強いられるということだ。


「だが、だとしても、負けるわけにはいかん!」

そう、聖杯戦争だからではなく、真田幸村としてあのサーヴァントには負けられない。
天下泰平のために槍を振るい続けた武士として、民を食い物にするサーヴァントには負けない。
性能やコンディションの差など関係ない。道理など無理で押し通す。


「烈火!!」

幸村が得意とする槍衾を繰り出し猛るサイトを徐々に押し込んでいく。
二槍故に一発の威力は低いものの二秒で百近い手数を出すラッシュにサイトも堪らず後ろに下がった。
尋常な立ち合いなら単なる仕切り直しで終わるところだが、ここにはもう一人のサーヴァントがいる。


「そこ!」


アリシアの持つガリア製ライフルが唸りを上げサイトへと銃弾を発射する。
持ち前の俊敏さで回避されてしまったが回避を強要しただけでも十分だった。
銃弾を完全に回避し、再び構えを取ったまさにその場所、デルフリンガーに。


渾身の力で投擲された幸村の槍が飛来し、後ろへと弾き飛ばした。


「―――!!!?」
「はぁぁああああああ!!!」


この瞬間を待っていた。槍を投げると同時に接近した幸村は既にサイトの懐に潜り込んでいる。
属性魔法やそれに近い攻撃を吸収する能力はサイト自身ではなくデルフリンガーに由来する。
一度吸収された時その仕組みを見て取った幸村は武器を弾き飛ばせるチャンスを伺っていたのだ。
剣を失い無防備になったサイトに対して幸村にはまだ手元に槍が一本残っている。
心臓へ放った突きは僅かに狙いを逸らされ脇腹に命中。直後、サイトの身体を内部から焼いた。



「■■■■■■■■■■■■■■■■!!!?!!」


もがき苦しむサイトは火事場の馬鹿力というべきパワーで槍を引き抜こうとする。
だが明確なその隙を幸村が逃がすはずもない。


「歯を、食いしばれぇぇえええええええい!!!」

外道を働くサーヴァントの顔面に炎熱を纏った幸村の拳が突き刺さる。
顔面が変形するほどの衝撃の鉄拳をまともに受けたサイトは錐揉み回転しながら吹き飛ばされた。
それでも落とした剣は拾い、憎々しげに唸り声を上げながら霊体化し足早に逃げ去った。
狂化していても自意識そのものは存在する以上本能的な危機感などは失われるわけではない。
そして狂えるサイトは邪魔者を決して許しはしない。
屈辱と怒りに身を震わせながら、傷を癒すため雌伏する。
折しも、夜が明け目立ち始めるより前のことだったのは、幸運であったのかもしれない。


【深山町/2014年8月1日(金)0202】
【バーサーカー(サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ)@ゼロの使い魔】
[状態]
筋力(40)/D++、
耐久(40)/D++、
敏捷(60)/C++、
魔力(20)/D、
幸運(60)/C+、
宝具(100)/A+
ダメージ(大・戦闘行動に支障あり)、全身に中度の火傷、腹部貫通、魔力が潤沢なためステータスアップ
[思考・状況]
基本行動方針
■■■に会う。
1 怪我を治す。
2 邪魔した奴ら(アリシアと幸村)は許さない。
3 力(魔力)が欲しい(魂喰い)。
4 力(魔力のパス)が欲しい(亘を追う)。
[備考]
●ピンクの髪をしたものに執着します。
●特定の声にも執着します。
●霊呪の影響が薄れつつあります。
●予選期間中にルーラーから二画の霊呪を使用されました。
●ランサー(真田幸村)の炎を吸収したためまだ魔力は充実しています。
●再生能力や自己治癒に関する有名な逸話や能力が無いためダメージの回復には相応の時間と魔力が必要です。
少なくとも次の夜を迎えるまでは万全の状態には戻りません。
●デルフリンガーは魔力放出スキルによる魔力も吸収できます。
ただし原作における系統魔法(火・水・風・土)に関連する能力である必要があります。
●深山町方面のどこかへと移動しています。






冬木大橋 2:04 a.m.

「どうやらこちらが何かをする必要はなかったようだな」

アサシン、千手扉間は一連の戦闘が終わったことを確認しそう呟いた。
魂喰いを行っていたサイトに奇襲を仕掛けようとしたその直前、幸村の気配を察知し思い留まったのだった。
その後の混乱に乗じて扉間自身も僅かながら魂喰いを行い魔力を集めていた。
多少の犠牲ならばルーラーが検証を行ったとしても自分の仕業とは思われないという確信あっての犯行だ。


今は適当なところで魂喰いを切り上げ、密かに幸村らに近づき周囲を警戒しつつ会話を盗み聞きしている。
彼らが件の少年について何かを知っている可能性もあるし、あの中に聖杯を託すに足る心根の持ち主がいないとも限らない。



「ら、ランサーさん。一体何なんですか、これ…?
人がたくさんし、死んでるし、血もいっぱい……。
だって、スポーツの大会みたいなものだって、そう言ったじゃないですか!
なのに、どうして、こんな………」
「ますたぁ殿、それは……」



が、どうも何やら言い争いになっているようだ。
マスターらしき少女が蒼白な顔で赤いランサーに詰め寄っている。
しかし少女マスターの言っていることが扉間にはうまく飲み込めない。
扉間の理解力が低いのではなく、彼の視点から見て少女マスターの言動があまりに頓珍漢だからである。
まるで聖杯戦争のルールそのものを今まで理解していなかったようにも思える。
これは一体どういうことなのか。さらなる疑問が扉間の中に生まれた。



と、その時。こちらに近づいてくる巨大なチャクラを感知した。
チャクラの量もさることながら、質も極めて高い。相当に霊格の高いサーヴァントか。
ひとまず厳重に身を隠し、事態を見守ることにした。





「ねえ、お話は終わり?」


やがて現れたのは白い少女に鉛色の巨人のサーヴァントだった。
圧倒的と評する他ない死の気配を撒き散らすサーヴァントの眼に理性の光はない。
このサーヴァントもまたバーサーカーということか。
ステータスを直接見ることができない扉間でもあのバーサーカーがA級、あるいは特A級のサーヴァントだと一目でわかる。


「どうせ少しの時間しか持たないと思うけど、名前ぐらい教えてあげる。
わたしはイリヤ。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。
ふふ、でも魔術も知らない出来損ないの一般人マスターに言ってもわからないかな?」

呆気にとられる幸村、アリシア、茜を尻目に白い少女は場違いなほど優雅に自己紹介をした。
ここが戦場でなく、目の前の巨躯のバーサーカーさえいなければ微笑ましいとすら思える光景だっただろう。



(いかんな…。万全ならまだしも疲弊した奴らでは二人がかりでも最悪の場合全滅しかねん。
さりとてバーサーカーが近くにいてはマスターの暗殺も困難。加えて魔術による防衛も抜かりなし、か)


物陰から様子を窺う扉間は冷静に双方の戦力を分析していく。
はっきり言ってあのバーサーカーは正面戦闘に限定すれば複数のサーヴァントを敵に回しても戦えるだろう。
あれを打倒するには他の組とぶつけ消耗したところを横から思いきり殴りつけるのが理想だ。


が、現実には今バーサーカーに立ち向かう側が消耗しているところに万全のバーサーカーがいるという構図が出来上がっている。
このまま彼らが殺されてしまえば件の少年に関する手掛かりも聖杯を託すに足る者の候補も消える。それは不味い。
となると影分身に過ぎない扉間が取れる手段は限られてくる。
すなわち戦闘になった後、隙を見て情報収集の邪魔をした白い少女マスターを暗殺することだ。
とはいえあの少女が内包する人間離れしたチャクラの巨大さと少女の魔術と思しき使い魔の存在を考えると簡単な話ではないかもしれないが。






「じゃあ、殺すね。やっちゃえ、バーサーカー」

歌うように少女が告げると同時に、巨人が戦闘態勢に移った。
その巨体に内包された魔力を吐き出すように咆哮し、前へと踏み込んだ。



「――――――え?」



次の瞬間、『五十メートルは離れていたバーサーカーが茜の眼前で巨大な斧剣を振りかぶっていた』。


「ますたぁ殿!!!」


バーサーカーの斧剣が茜を挽肉に変貌させる直前、間一髪幸村が割って入り二槍で斧剣を受け止めた。
サーヴァント同士のぶつかり合いはそれだけで物理法則を蹂躙する衝撃波を生み出す。
魔術師でもなければ魔術使いでもない茜の身体を吹き飛ばすには充分すぎた。
受け身を取ることもできないまま路面に頭をぶつけそのまま血を流し気絶してしまった。


「いかん、ますたぁ殿……!!」
「■■■■■■■■■■■■■■!!!!」


マスターの負傷に僅かに意識が逸れたその時、鍔迫り合いの均衡が崩れた。
バーサーカーのパワーにガードを崩され、負傷している右脇腹を容赦なく斧剣が打ち据えた。
『楯無の鎧』の特性から肉体そのものを叩き斬られることは免れたが骨は砕かれ砕けた骨の欠片が内臓に突き刺さった。
それでも気力を振り絞って槍を支えに立ち上がる幸村だが最早勝ち目が無いことは明白だった。
万全で、宝具を解放する間があればまた違っただろうが連戦で消耗していてはどうしようもない。



当然だがバーサーカー、ヘラクレスにとって幸村の事情など知ったことではない。
追い討ちに幸村の脳天を叩き潰そうと斧剣を振り下ろす。



「させない……!」
「あーちゃー!?」


だが、アリシアがそれを許さなかった。ヴァルキュリア化し、顕現した盾でバーサーカーの攻撃を受け止めた。
考えるより先に身体が動いていた。目の前の生命を見殺しにすることはアリシアには出来なかった。
だが義侠心だけで立ち向かうにはあまりにも困難な相手だった。
このままではアリシアも幸村の二の舞になることは必至の状況だ。




(ここだ)


一連の状況を見守っていた扉間がここで動いた。
バーサーカーがアリシアに襲い掛かっている隙を逃さず姿を現しマスターであるイリヤに苦無を飛ばす。


「っ!?アサシンのサーヴァント!?」


だが自動防御機能が組まれているらしい使い魔が苦無に砕かれながらもイリヤを守り切った。
防がれた扉間には動揺はない。元々影分身でしかない自分の力を過信してはいない。
そもそも相手のマスターを守るものがなくなったのだから後は距離を詰めて斬り捨てれば事足りる。
随分高性能な使い魔のようだが再び出す暇など与える気はない。




「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!」


しかし次の行動に移るよりも尚早く、怒り狂ったバーサーカーが反転し、アリシアを放置して扉間へと迫る。
途轍もない反応の速さだがそれも扉間の計算を逸脱した行動ではない。
背中を晒したバーサーカーをそのままにするほどアリシアが無能であるはずがない。
ヴァルキュリアの槍を展開し、先端から発射された蒼白い閃光がバーサーカーに直撃した。
無論扉間は既に巻き込まれるより前に離脱を終えている。


これが扉間の二段構えの作戦。マスター狙いが失敗したとしても自分を囮にしてバーサーカーに隙を作れればそれで良し。
サーヴァントが消えればマスターも死ぬこの世界では十分に機能する策だった。




「嘘………」
「まさに化け物か……」

もし誤算があったとすれば、バーサーカーの異常さか。
Bランク相当の宝具が完全な形で直撃したにも関わらず、鉛色の巨人には傷一つなかった。
怒りの度合いを強めた形相のまま、マスターを守るように立ち塞がっている。


「…一応聞いておくけど、あなたは私達と利害が一致してると思って良いの?」


扉間を警戒しつつ、アリシアが問いかけてくる。
今のところ彼女達に不利益な行動を取っていないとはいえアサシン相手に油断などできるわけもない。


「少なくとも、今お前たちに消えられては困る者だ。
信じる信じないはそちらの勝手だが、この場は共闘してでも切り抜ける他あるまい?」
「…………」


完全に信用したわけではないが、アリシアは浅く頷いて再びバーサーカー主従を見据えた。
どのみちこの状況で二正面作戦など到底不可能な以上仕方ない。



「すまぬあーちゃー、某は……」
「気にしないで。今のうちにあなたのマスターを連れてここから逃げて。
それと、機会があったらマスターとちゃんと話し合いをした方が良いよ」
「かたじけない、この礼は必ず!」


マスター、サーヴァント共に負傷していては満足に戦えない。
幸村は忸怩たる思いを抱きながら、茜を背負って新都へと戻っていく。
だがその足取りに力はなく、離脱には時間がかかることは明らかだった。



(ランサー、あのバーサーカーを何とか倒してくれ!)


とその時、アリシアのマスターであるいおりが令呪を使い、アリシアの身体に魔力が満ちた。

「マスター!?何してるの!?」
(わかってるよ!でも、だからって放っとけないだろ!?)


幸村と茜を見捨てられないと考えていたのはアリシアだけではなかった。
いおりもまた、せめて自分に出来ることを考えた結果アリシアを援護するために令呪の使用に踏み切った。
結局、いおりとアリシアは似た者同士だったということである。


「わかっていると思うがどうやらあのバーサーカーは何がしかの条件を満たさなければ傷つけることも敵わぬようだ。
生半可な攻撃は無効と弁えておかなければ殺されるぞ」
(この状況、ここはこのサーヴァントに恩を売り、渡りをつけておくのが得策か。
あまり手の内は晒せないがマスター狙いをちらつかせ、時間を稼ぐだけならどうとでもなろう)

一方扉間は冷徹な計算の下バーサーカーの弱点を探りつつ共闘する道を選んだ。
そもそも影分身であるため倒されたとしてもデメリットは非常に小さい。
無論影分身の術が露見すれば警戒されるどころか真名特定につながりかねないため立ち回りには慎重を要するが。



「目障りなサーヴァント達ね。バーサーカー、全部蹴散らしなさい!」


イリヤはバーサーカーの力を疑わず、しかしアサシンへの警戒だけは怠らず新たに八羽の使い魔を生み出した。
これはイリヤに初めて訪れた自分のための戦いでもあるのだ。誰にも邪魔はさせない。
バーサーカーを『狂わせる』ことも視野に入れ、二人の敵と対峙した。


【冬木大橋/2014年8月1日(金)0211】
【アサシン(千手扉間の分身その3、三つの問題担当)@NARUTO】
[状態]
筋力(30)/C、
耐久(30)/C、
敏捷(50)/A+、
魔力(15)/B、
幸運(10)/E、
宝具(0)/EX
健康、宝具使用不可、全力での戦闘困難、魔力を四分割しているため戦闘になると4ターン目終了時に術が解ける、魔力の供給がなければあと四時間以内に術は解ける。
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯を用いて木の葉に恒久的な発展と平和を。
1 女サーヴァントと共闘し、恩を売って次への布石とする
2 あのバーサーカー(ヘラクレス)を今倒すのは困難か……
3 逃げたサーヴァント(幸村とサイト)の行方が気になる
4 影分身の術を知られると困るので極力撃破されないよう立ち回る。
5 マスター(凛)が他の組に見つからないように警戒
6 三つの問題を調査する予定だったが……?
[備考]
●影分身の術による分身です。
●影分身の経験は本体にフィードバックされます。
●魂喰いを行ったため多少魔力を得られました。
その罪はバーサーカー(サイト)に擦り付けられるものと判断しています。
●ランサー(アリシア)の真名を悟ったかどうかは後の書き手さんにお任せします。
●バーサーカー(ヘラクレス)に半端な攻撃(Bランク以下?)は通用しないことを悟りました。


【アリシア・メルキオット@戦場のヴァルキュリア】
[状態]
筋力(35)/C、
耐久(35)/C+、
敏捷(45)/C+、
魔力(45)/C+、
幸運(50)/A、
宝具(40)/B
魔力150パーセント、令呪「バーサーカーを倒せ」、ヴァルキュリア化
[思考・状況]
基本行動方針
まだ良くマスターのことを知らないけれど、マスターを生きて元の世界に帰す。
1 今はこの状況を切り抜けないと……!
2 あいつ(扉間)、信用できるの?
3 できればランサー(幸村)とそのマスター(茜)にもう一度会って同盟を組みたい
[備考]
●マスターの本名が高遠いおりだと思っています。また六歳の女の子だと思っています。
●バーサーカー(ヘラクレス)に半端な攻撃(Bランク以下?)は通用しないことを悟りました。
●バーサーカー(サイト)に付けられた傷は自己治癒しています。
●令呪でブーストされているため槍による砲撃がバーサーカー(ヘラクレス)に通じるようになったかもしれません。
●いおりが宝具の性能を把握していないためステータスの追加強化が行われていません。

【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night】
[状態]
健康、苛立ち
[装備]
特別製令呪、鳥型の使い魔八羽
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
全員倒して優勝する。
1 あいつら(アリシアと扉間)をまとめて殺す
2 逃げた赤いランサー(幸村)も殺す
3 マスター狙いに一応注意する
4 利用できそうな弱いマスターを利用する?
[備考]
●第五次聖杯戦争途中からの参戦です。
●ランサー(幸村)、ランサー(アリシア)、アサシン(扉間)のステータス、一部スキルを視認しました。
●少なくともバーサーカー(サイト)とは遭遇しなかったようです。
●自宅はアインツベルン城に設定されていますが本人が認識できているとは限りません。


【バーサーカー(ヘラクレス)@Fate/stay night】
[状態]
筋力(105)/A+、
耐久(55)/A、
敏捷(55)/A、
魔力(55)/A、
幸運(40)/B、
宝具(40)/A、
健康、怒り爆発、狂化スキル低下中
[思考・状況]
基本行動方針
イリヤを守り抜く、敵は屠る。
[備考]
●イリヤを狙われたことで激昂しており、戦闘力が微増しています。


【新都、冬木大橋前/2014年8月1日(金)0211】
【日野茜@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]
やや寝不足、頭部から失血(未処置)、気絶中
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
???
1 ???
[備考]
●予選期間中他のマスター、サーヴァントと出会うことはありませんでした。
●月海原学園高等部の生徒という立場が与えられています。
所持金は高校生相応の額となっています。
●自宅は深山町のどこかです。
●セイバー(テレサ)、バーサーカー(小野寺ユウスケ)の基本ステータスを確認しました。
●気が動転していたため、ランサー(アリシア)、バーサーカー(サイト)、バーサーカー(ヘラクレス)のステータスを確認できていないかもしれません。


【ランサー(真田幸村)@戦国BASARAシリーズ】
[状態]
筋力(40)/B、
耐久(40)/B、
敏捷(30)/C、
魔力(30)/C、
幸運(30)/C、
宝具(40)/B、
疲労(中)、魔力消費(中)、肋骨粉砕骨折、内臓に損傷、強い屈辱と無力感
[思考・状況]
基本行動方針
強敵たちと熱く、燃え滾る戦を!!だが……
1 今はここを離れてますたぁを安全な場所に移さねば…
2 死ぬなよ、あーちゃー(アリシア)…
3 俺は……
4 せいばぁ(テレサ)、ばあさあかぁ(小野寺ユウスケ)と再戦し、勝利する
5 あのあさしん(扉間)は忍びの者か?
[備考]
●バーサーカー(ヘラクレス)の攻撃で傷が悪化しました。
●ランサー(アリシア)のクラスをアーチャーと誤認しています。
●ランサー(アリシア)の真名を悟ったかどうかは後の書き手さんにお任せします。


【新都、冬木大橋手前のマンション屋上/2014年8月1日(金)0211】
【高遠いおり@一年生になっちゃったら】
[状態]
魔力消費(中)
[残存霊呪]
2画
[思考・状況]
基本行動方針
死にたくない。まだいまいち状況が飲み込めてない。
1 あの娘たち(茜と幸村)を助けないと……!
2 あんな怪物(ヘラクレス)相手に俺ができることなんてこれぐらいしか…
3 ランサー(アリシア)とコミュニケーションしてみる。
4 やっぱり情報は大事だよな、慎重に偵察しないと。
5 今はまだ詰んでない、はずだ。多分、きっと、メイビー。
[備考]
●所持金はほぼなし。あっても幼稚園児レベル。
●ランサーの名前がアリシア・メルキオットであること以外は世界大戦の英雄だということしか知りません。もちろん出身世界が違うことには気づいてません。
●ランサー(幸村)、バーサーカー(サイト)、アサシン(扉間)、バーサーカー(ヘラクレス)のステータスと一部スキル、宝具を確認しました。


※冬木大橋の深山町側で救急車が事故を起こしたと噂になっているようです。一部には奇声を上げるOLと接触を起こしたという流言があったりなかったりします。