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「ああ、こんなことに……」

 ドラえもんはそう呟いた。
 狭い押し入れの中で、画面に照らされた丸い顔の眉間にシワが寄り、苦悶の表情をつくる。

(やっぱりもっと早く動いておけば……)

 ぶるぶると丸い手を震わせる。
 青くなった顔を画面からの光が赤くする。
 砂嵐の中でおぼろげに写った大きな橋が落ちていく映像を見ながら、ドラえもんは、何度目かのため息を吐いた。
 そしてプツリ。

「あれ?どうしたんだろう?」

 心を暗くしていた機械、『タイムテレビ』が突然暗くなり光を失う。
 まさか、と大声を出し、慌てて口をつぐんだドラえもんに聞きなれた友達の声が聞こえた。


 野比のび太は良く寝る。彼は時間が許すなら一日の半分は寝ているだろう。だから、そんな彼が日の出の時間帯に目を覚ますというのはとても珍しいことだった。

「うーん……ドラえもん?」

 目を擦りながら枕元の眼鏡に手を伸ばす。
 彼がこんな時間に起きたのは、もちろん聖杯戦争への緊張もあるが、押し入れからの物音が大きかった。
 なにやら焦ったような声と四次元ポケットを探る音がふすま越しに聞こえる。
 だんだんはっきりしてきた頭で何をしているのか疑問に思いつつ、のび太はふすまを開けた。

「ドラえもん?」
「あっ!のび太くん……」

 のび太は、どこかばつの悪そうな顔をドラえもんがしていると思った。困ったようで、それなのに自分を心配させないようにする笑顔。大きな事件に巻き込まれたときに良く見る、表情だ。
 周りには様々なひみつ道具が散乱していた。タイムテレビにタイムカメラ、その他のび太が名前を覚えていないような道具や見たこともない道具が小山になっている。

「ごめん、起こしちゃった?」
「平気だよ、それに……」

 のび太を一つ息を吐く。それはため息のようでもあった。

「あんまり寝たいとも思えないから。」

 ドラえもんの顔が強ばった。

「(……)あ、そうだドラえもん、こんなにひみつ道具を出してどうしたの?」

 ドラえもんも顔が更に強ばった。

 しかしながら、ドラえもんは口を開いた。


「のび太くん、落ち着いて聞いてほしいんだ。」



 ドラえもんのひみつ道具には様々なものがあるがその原理はある程度共通性を持っている。たとえばどこでもドアは四次元ポケットと類似の技術がつかわれているし、スモールライトとビッグライトは実質的に同じものである。タイムマシンやその他の『タイム』と名のつくひみつ道具もやはりだいたいが同じ技術の産物だ。
 故に、別々のひみつ道具でも同じ原因で使用が不可能になることはままあるのだ。

「タイムテレビが使えなくなったんだ。」

 つまりこの場合、『タイム』と名のつくひみつ道具が軒並み使えなくなったと言える。
 のび太の表情は曇った。それは、一つの大きな、厳然たる事実を突きつけられたからだ。

「だから、ここでもやっぱりタイムマシンは使えない。」
「たぶん未来には行けても、過去には行けないみたいなんだ。」
「時空震カウンターで調べてみたけど5時10分に大きな揺らぎが起きたみたいで。」
「もしかしたら……」

「僕達以外にもタイムマシンみたいなのを持ってる人がいるかもしれないっていうこと?」
「そういうことになるね……」



「日の出か……」

 トバルカインは苦々しげに呟くと視線を東の空からタブレットへと移した。そしてぎこちなさが残りながらも少しは慣れた様子でタップする。

(こんな小さな板でインターネットができるようになるとは……たかだか二十年でここまで技術は進化するものか……)
「大教授殿がヨダレを垂らしながら歯軋りしそうだな。」

 トバルカインはニュースサイトを見ていた。インターネットのホームページに検索エンジンがあったので戦場の情報を得ようと、『冬木市』と適当に入れたら出てきたページの一つだ。
 驚くべきはその情報量だった。トバルカインのつたない検索でも大隊の人員が手間隙かけて集める情報より明らかに多い。既にだいたいの街の作りは頭に入り、なんならそれなりの日数潜伏もできるだろう。こんなものがあれば戦争は様変わりする、そう思い知らされた。

(しかし……)

 もちろん、これはサボっているわけではない。トバルカインの視線こそタブレットに向いているものの、それ以外の全神経はランサーとそのマスターの潜む住宅へと向いていた。当然、常に二人の気配も確かに抑えている。

(いくらなんでも無防備過ぎやしないか……?)

 抑えているからこそ、トバルカインはわざと隙を見せていた。
 というのも、トバルカインが感じる二人の気配が余りにも弱々しすぎるからだ。この距離なら当然向こうもこちらに気づいているはずだ。それなのに、全く行動を起こそうとしない。というより明らかに寝ている。いくら満身創痍といえど罠ではないかとトバルカインは警戒していた。

(ーーいい機会だ、少佐に対応を問おう。)

 トバルカインはアラームを一秒と鳴らさずに止めると、通話アイコンをタップした。定時連絡の時間だ。
 そろそろ夜が明ける。いつ離脱するかも気になる。


(!!!)


 タブレットの画面に通話中の文字が表示される。それを確認すると、トバルカインは愛用の手袋をはめた。
 そして、少し大きめの声。タブレット越しに少佐に、そして、背後からこちらを眼差す者に聞こえるように。話す。

「もう朝が来ると言うのに、なんのご用かな?もしやーー」

 立ち上がり、視線を自分の後ろでこそこそとしていた男に向ける。

 そして、サングラスの男に、獰猛な笑みを浮かべて問いかけた。

「戦争がお望みかな?」



 そのファミレス店員は困惑していた。
 バイト仲間から借金して買ったアニメのBOX。その返済と利子代わりのシフトチェンジで深夜のシフトに入ったのだが、明らかに異質な客が来たからだ。
 この時間のこの店には、いわゆる夜の仕事をしている人間が多く来る。中には明らかにその筋の者も来るが、とりあえずは彼女は慣れていた。慣れていたと思っていた、が、気づかされた。

 店に入ってきた二人の男。
 茶色いスーツの男とサングラスの男。

 明らかに、身に纏っている空気が違った。視線を会わせただけでむせ変えるような血の臭いを感じ、頭をバットで殴られたような衝撃を受けた。失禁するかと思った。てか漏らした。

 二名様ですね、と震えた声で言うとほとんどダッシュで厨房に逃げ込んだ。


「酷い接客だ。」

 トバルカインは、レジからダッシュで逃げていったウエイトレスを見送ると、「まあ、怖がらせてしまったこちらにも落ち度はあるかーー適当に座りましょう」と後ろの男ーーワイルド・ドッグに声をかける。

 どちらからともなく、自然と店の入り口を見張れる日陰の席へと座る。恐々と注文を聞きに来た先ほどのウエイトレスに大量の料理を頼み(悲しいかな、この二人のサーヴァントは食事によって魔力を賄わなければならない)、ウエイトレスを別の意味で青ざめさせ、獰猛な愛想笑いで又もや失禁させる。

「では、本題に入りましょうか。」

 先に切り出したのは、やはりトバルカインだった。タブレットをワイルド・ドッグに見えるように配置すると、スピーカーを入れる。
 どうせこの店にはこの二人しか客がいないのだ。それに聞かれて困るようなことをタブレットの通信相手ーー少佐ーーが言うわけもない。

 画面にまん丸い腹と思われる白服が映る。
 それを見てようやく、ワイルド・ドッグは料理名以外の言葉を発した。

「では、前置きは飛ばして将来的な『業務提携』ーーそれに向けた『競合』の解消について……」



「どう、聞こえる?」
「うーん、ダメだ。遠すぎる。でもこれ以上はたぶん近づけないし……」

 二人のサーヴァントが堂々と、しかし密やかに話しているファミレスの近くで、のび太とドラえもんは聞き耳をたてていた。
 ドラえもんがひみつ道具の一つ、『スパイセット』。
 対象めがけて『耳』と『目』を飛ばしまさしくスパイのように諜報活動ができるものだ。それを使って二人の様子を伺っているのだか、いかんせん気づかれないようにするには距離をとらなくてはならない。もし更に近づけば。

 ビビビビビビビビビビ。

「やっぱり、これ以上近づくとバレちゃうよ。」

 慌てて左腕にはめたひみつ道具ーー『さいなん報知器』を操作してアラートを止めると、ドラえもんはそう困ったように言った。


 のび太とドラえもんがこの聖杯戦争に参加してからの方針は大きく分けて二つ。
 一つは、タイムマシンやもしもボックス等を使っての聖杯戦争そのものへの干渉。
 もう一つは、信頼できる仲間を集めるというオーソドックスな行動。
 このうちの前者ーー聖杯戦争そのものへの干渉はほぼすべて失敗に終わっていた。もしもボックスは機能せず、タイムテレビはほとんど砂嵐しか映さず、タイムマシンは未来に行くことこそできても過去には戻れなかった。またこの事は大きな問題を引き起こしていた。タイムマシンで二人は、予選の状況を調べるために最終日に移動したのだが、このせいで本選までの準備時間が極端に短くなってしまったのだ。もっとも、予選の突破だけ考えれば得策だったのかもしれないが。

 そして、今二人はもう一つの方針である『信頼できる仲間探し』のために行動していた。

 ドラえもんの右手にあるステッキ。それは『たずね人ステッキ』と呼ばれる、今のドラえもんが持っている数少ない、目的の人物を探すことのできるひみつ道具だ。今回、このひみつ道具で尋ねたのは『話し合って仲間にできる人』。この条件で示されたのがこの二人だったのだ。

(うーん、なんだか怖そうな人達だけど……)

 もっとも、この『たずね人ステッキ』にはある欠点がある。的中率は七割ほどなのだ。更にタイムテレビなどのことを考えれば、その確率は下がることもありえる。

「どうする?他のひみつ道具も試してみる?気づかれないうちに離れたほうがいいと思うけど。」
「でも、あの二人は聖杯戦争の参加者なんでしょ?あぶない人でもほうってはおけないよ。」

 のび太とドラえもんが見る限り、この二人は『ハズレ』に見えた。しかし、その立ち振舞いや外見は明らかに他のNPCとは違った。

「じゃあもう少しだけ見てみよう。」

 結局、ドラえもんとのび太はひとまず監視を継続することを選んだ。



(見られている……?)

 一方、二人に監視されているワイルド・ドッグは直感的に違和感を覚えていた。しかし。

(ハエか……)

 その違和感は目の前の男、『伊達男』に向けられていた。

 もとより、ワイルド・ドッグがトバルカインに接触したのは、同盟相手を探すためだ。魔力の調達に長けるキャスターと組めば、今のじり貧の状況を打開できる。マスターのマイケルからこれ以上魔力を引き出せば衰弱死しかねない以上、必要不可欠だな措置だった。
 だがしかし、このことはワイルド・ドッグに一つの考えをもたらした。

 『マスターから魔力を取れるだけとって殺し、主を持たないサーヴァントになる』。

 ワイルド・ドッグは、マスターが死んだときに真価を発揮するサーヴァント。
 彼にとってマスターなど枷でしかない。
 それならば、今のマスターをいつ使い捨ててもいいように予備のマスターを探しておくのも悪くはない。

「お、お待たせしましたっ!」

 ウエイトレスが上ずった声で持ってきた料理をテーブルに置き、空いた皿を片付ける。今は男三人の交渉は終わり、早めの朝食会となっていた。



 トバルカインはもちろん、ワイルド・ドッグを信用していない。彼とこうしてテーブルについたのは、己のマスターである少佐の指示だ。
 ワイルド・ドッグはどちらでも良かった。戦闘になればマスターから魔力を吸い付くして殺し万全の状態になれたし、相手が同盟を望むならそれはそれでリスクを減らせた。
 そんな二人は、のび太とドラえもんの存在に気づいていなかった。お互いがお互いに注意するあまり、一般人であるのび太をーーもちろんひみつ道具を使われたとはいえーー見逃した。

 山を越えて日が射す。
 時刻はまもなく六時になろうとしていた。



【新都、某ファミレス店内/2014年8月1日(金)0600】

【アーチャー(ワイルド・ドッグ)@TIME CRISISシリーズ】
[状態]
筋力(15)/C、
耐久(15)/C+、
敏捷(10)/D、
魔力(5)/E、
幸運(10)/D+、
宝具(10)/E
魔力の不足により全パラメータ半減。宝具使用不可。
[思考・状況]
基本行動方針
優勝するためには手段を選ばず。一応マスターの考えは尊重しなくもない。が、程度はある。
1.トバルカインを警戒。
2.最悪の場合はマスターからを魔力を吸い付くせば自分一人はなんとかなるので積極的に同盟相手を探す。
3.マスター(マイケル)に不信感とイラつき。
[備考]
●乗り換えるマスターを探し始めました。
●トバルカインのマスター(少佐)と三人で話しました。

【トバルカイン・アルハンブラ(-)@ヘルシング】
[状態]
筋力(30)/C、
耐久(20)/ D、
敏捷(30)/C+、
魔力(60)/C、
幸運(10)/E、
宝具(0)/-、
決意、召喚酔いは醒めた、召喚の際の魔力と令呪使用で魔力倍増。
[思考・状況]
基本行動方針
この聖杯戦争で軍功を挙げ、意地を見せる。
1.アーチャー(ワイルド・ドッグ)を警戒。
2 今度こそ軍功をあげてみせる。
3.‥‥どうせなら葉巻を吸いたいな。
[備考]
●一応本編からの召喚ですが若干テンションがおかしいです。
マスターである少佐と視界共有を行えますが念話はできないようです。
●冬木大橋でのイリヤ&バーサーカーvsいおり&ランサー戦を観戦しました。どの程度把握したかは不明です。
●タブレット(リップバーンが調達)、ライター(現地調達)を持っています。体をトランプにしたさいどうなるかは不明です。
●トバルカインのマスター(少佐)と三人で話しました。


【新都、某ファミレス店付近/2014年8月1日(金)0600】

【キャスター(ドラえもん)@ドラえもん】
[状態]
筋力(20)/D、
耐久(10)/E、
敏捷(10)/E++、
魔力(0)/-、
幸運(50)/A、
宝具(0)/-
『さいなん報知器』と『スパイセット』を使用中、他にひみつ道具を使っている?
[思考・状況]
基本行動方針
のび太くんを無事に家に帰して聖杯戦争を終わらせる。
1.トバルカインとワイルド・ドッグをもう少し監視。
2.たずね人ステッキで同盟相手を探す。
3.聖杯戦争を止めるにはどうしたら……
[備考]
●平行世界への移動やそれに類するひみつ道具は原則使用できません。
●時間をさかのぼる性質のあるひみつ道具は著しくその効果が小さいものになります。
●その他にも一部のひみつ道具が正常に作動しない可能性があります。
●黒鳥千代子が本日5時10分に使用した『ルキウゲ・ルキウゲ・リボビナーレ』の影響でその時間よりひみつ道具がさかのぼって効果を及ぼすことが不可能になりました。

【野比のび太@ドラえもん】
[状態]
健康、ひみつ道具を使用中?
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯戦争を止めて家に帰る。
1.トバルカインとワイルド・ドッグをもう少し監視。
2.聖杯戦争をしたくない人だっているはずだ……!
[備考]