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 コポコポと音を立ててグラスに注がれたコーラは底から立ち上る気泡で上部に泡の層を作る。
 黒鳥千代子ことチョコはそれをお盆に乗せておずおずとルーラーの前に差し出した。

「これは?」

 ルーラーは依然決めポーズを崩さずにチョコに問いかける。その問いにチョコは「あの……のどかわかないかなって、思って……」としどろもどろになりながら答えた。

 ふむ、とルーラーは、お盆に目を向けた。お盆の上には早くも汗をかきはじめたコーラの他にもウエハースやポテチ、ポッキー、カントリーマームに蒲焼き三太郎によっちゃんイカにハイチュウにほしいもなどがある。

「ん?」

 ふとルーラーは疑問に思った。何かがおかしい。なるほど、このお盆には甘味、塩味、辛味、酸味、旨味、その全てが押さえてある。相手の好みがわからないことを考慮して多彩なラインナップにしたのだろう。そこには気遣いがうかがえる。うかがえるのだが……

「あ!あの、手が汚れないお菓子のほうがいいですか?ちょっと待っててください今下からキープしてたチョコパイをーー」
「あ、別にそういうのは大丈夫だけど、これは……」
「これですか?これは……」

「ほしいもです。」

 ほしいも。ルーラーはその言葉を頭の中で反芻した。なぜ今ここでお菓子とジュースを用意したのか。なぜそこにお菓子とは言えず食べ物としてもマイナーなほしいもを置いたのか。というよりなぜ自分はこんなことを考えているのか。

「こ!こ、ゴホン!」

 ルーラーは強引に咳払いをすると口を開く。しかし、言葉が出ない。一体自分はほしいもと言われてなんと返すつもりなのか?そういえば先から決めポーズをとりっぱなしである。いい加減腕も疲れた。

 少しの間を置いて、「とりあえず座って話を聞きます」とかしこまった感じでルーラーは言うと、ゆっくりと腰を落とした。



「ふーん、時間を巻き戻す魔法ねー、そんなのあるんだ。チョコ本当にマスターなの?本当はどっかのサーヴァントとかじゃない?」
「違います!それに、ギュービッド様、私の師匠?のほうがもっとすごい黒魔法とか使えるし。」
「師匠?おぉ、なんか魔女っ子っぽいね。」
「師匠っていうか先生っていうか、インストラクター、みたいな感じで。」
「練習ていうか、修行とか?結構厳しかったりするの?」
「そうなんですよ!朝は遅くても六時起きで髪の毛一本残らないぐらい部屋中掃除してその間に結界とか確認して、それから朝練に魔導書詠んだり杖振ったりドリルやったり薬の調合したりして、しかも学校から帰ってからもですよ!」
「うわぁ……魔女っ子も大変なんだ……」
(この二人はいったい何を話しているんだ)

 腰を落としたルーラーとようやく話を始めて、約十分。既に話は早くも脱線していた。
 話は聖杯に不具合を起こした能力から始まり、黒魔法とはなにかということに話題を移し、セイバー・テレサが放っておくのをいいことに黒魔女の話やひいては双方の愚痴の言い合いに発展していた。

 (……どういう人間かルーラーがわかっただけよしとする、のか?)

 もちろん、セイバーは止めない。ルーラーが接触してくるということはそれ相応の処分があるということだろうし、その処分の内容が不明な以上、一分でも一秒でも処分が下るのは先送りにしたい。例えば、『これから24時間ごとに他のサーヴァントを殺せ』などと令呪で命令されるかもしれないのだ。

「ほらチョコも飲んで。」
「え、でもルーラーさんに持ってきたんで。」
「私だけ飲んでて二人が飲んでないと美味しくないから、ね?」
「じゃあ、ちょっとだけ。あ、グラス足りない。ちょっと待っててください、チョコパイと一緒に持ってきますね。」
(……しまった、コイツと二人きりになった。)

 階下のキッチンに行ったチョコを目で追うセイバー。姿が見えなくなると視線をルーラーへと移す。同じようにチョコを目で追っていて視線をセイバーに移したルーラーと目があった。

((……気まずい))

 先に目をそらしたのはルーラーだった。

(あれ?)

 しかし、直ぐに視線はセイバーへと戻った。より正確に言えば、その視線はセイバーの少し上あたりの中空に向かっている。

「……気になるか?」
「!ーーセイバー……テレサ、でいいのかな?」

 セイバーは、「ああ」と返すと、顔をわずかに動かした。部屋の外から足音が聞こえた。話を続けるように促すジェスチャー。部屋の外の足音は止まる。セイバーを見たルーラーは、顔に困惑の色を浮かべてためらいがちに尋ねた。

「妖気探知……それが、あなたの宝具よね?」
「そうだ。」
「どうして……」

 「ん?」とセイバーは先を促す。部屋の外からは微かな衣擦れの音と抑えた呼吸音が聞こえる。

「その……逃げれたはずでしょ?」

 ルーラーは問いかけた。

「あなたの宝具なら私が近づいてくるのはわかってたはずなのに、なんで逃げなかったの?」
「そんなに不思議か?」
「だって、私はルーラーだし……避けようって、思わないのかなって。」

 部屋の外からの気配が、心なしか強くなったようにセイバーは感じた。
 「そうだなーー」とセイバーは、頬に手を当てて考えるポーズをしてみる。その姿はどこかの教会の聖人の像のように整っている、などとルーラーは感じたのは場にいつの間にか漂う緊張感のせいだろうか。

 数秒、あるいは数十秒経って。「まずはーー」とセイバーは口を開いた。

「まずは、乾杯でもしないか?もうそろそろチョコも戻って来るだろう。それは三人で話したほうがいい。」

 セイバーは、微笑みかけた。ルーラーはため息をついた。もしかしたらそれは、息を吐くことを忘れていたからかもしれない。

 「おまたせ」と言って、チョコが入ってくる。片手にグラスを持ち、片手には袋菓子。黒いゴスロリと合わさってどこかハロウィーンを思わせるその姿は、真っ白なセイバーと対称的だ。

「あ、えっと、なんの話してたの?なんか二人で話してたよね?」

 ルーラーには上ずった声でこちらを気にかける黒い少女が、なにか眩しいものに感じた。

「なに、ダメなマスターを持つと苦労するという話だ。」
「え!?セイバーさん!?」
「冗談だ。」

 「さて。」と一言言ってセイバーとチョコはコーラの注がれたグラスを持つ。
 ルーラーのグラスにもコーラが注がれる。ルーラーはそれを、おずおずと手に取った。

「これも何かの縁、というのか、日本では。私がセイバーであることも、チョコがマスターであることも、お前がルーラーであることもーー」

 「それとこういうときはとりあえず乾杯するらしいな。」と付け加えると、セイバーはグラスを掲げた。チョコもルーラーも、合わせてグラスを掲げる。

「じゃあ、何に乾杯する?」
「何にって……セイバーさんやルーラーさんに会えたこと、とか?」
 「そんなことでいいの?」ルーラーは疑問をていした。しかし、グラスは再度掲げた。

 「では月並みだがーー」セイバーが音頭をとる。「ーー出会いに。」



 三杯のグラスが泡を舞わせて鈴の音を立てた。



【深山町北部・黒鳥千代子自宅/2014年8月1日(金)0545】

【黒鳥千代子@黒魔女さんが通る!!】
[状態]
健康、ルーラーが色々気になる。
[装備]
チョコのゴスロリ、杖(輪島塗の箸)。
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
ムーンセルでなんとか頑張る。
1:ミュウイチ━━
2:……やっぱりしっかりルーラーさんに謝ったほうがいいよね、でもなんかさっきの感じだと言い出しづらい……
3: 真田幸村を調べたいけど━━
4:あんまりさっきのサーヴァントのことはわかってない。
5:これからどうしよう‥‥
[備考]
●ルーラーの真名をほとんど看破しています。


【セイバー(テレサ)@クレイモア】
[状態]
筋力(40)/B+、
耐久(40)/B、
敏捷(40)/B+、
魔力(50)/A+、
幸運(20)/D、
宝具(40)/B、
健康、気配遮断、妖気探知。
[思考・状況]
基本行動方針
当面、諜報活動に専念し戦闘は最低限に抑える
1:とりあえずは誤魔化せたか。
2:ルーラーとの会話を引き伸ばす。
3:赤いランサーの真名を調べたいけど━━
4:バーサーカーの索敵能力は警戒しておく
5:ランサーは何でわざわざ真名を名乗ったんだ?
[備考]
●赤いランサー(真田幸村)の真名とある程度の戦法、黒いバーサーカー(小野寺ユウスケ)のある程度の戦法を確認しましたがマスターではないのでステータス等は確認できていません。
●バーサーカー(小野寺ユウスケ)のベルト(霊石アマダム)が弱点部位だと何となく理解しました。
●冬木大橋付近で妖気探知していた結果、リップバーン・ライダー(五代雄介)・クロノ・バーサーカー(サイト)・ランサー(アリシア)・バーサーカー(ヘラクレス)・ルーラー(ミュウイチゴ)の魔力を把握しました。またおぼろげながら周囲にいた人間の気配も感じました。
●妖気探知の範囲で現時点までに上記以外のサーヴァント・マスターの情報はありません。
●予選時にどの程度他のチームの情報を得ていたかは後の書き手さんにお任せします。


【東京会場のルーラー/ビースト(ミュウイチゴ)@東京ミュウミュウ】
[状態]
筋力B(40)
耐久B(40)
敏捷B(40)
魔力B(40)
幸運C(30)
宝具EX(?)
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯戦争をしっかりやっていく。
1:ルーラーのありかたとか接し方でちょっと迷走中。
2:まずは二人から事情を聞く……忘れてるわけじゃない!
3:ムーンセルがバグったのを調べる。
4:バーサーカー(サイト)に討伐令を出す。
5:ムーンセルにご奉仕‥‥はしたくないにゃ~。
[備考]
●東京会場のルーラーはミュウイチゴでした。冬木会場でも引き続きルーラーのようです。
●会場内で『時間を巻き戻そうとする』とムーンセルが誤作動を起こして『一瞬NPCが倍加してフリーズ』します。またなんらかの形で誤作動を起こした場合とりあえずルーラーが飛んできます。
●上級AIはマスターの動向をある程度把握しています。
●バーサーカー(サイト)に翌日0時の通達で討伐令を出す予定です。
●チョコの黒魔法についてそこそこ把握しました。
●セイバー(テレサ)のステータス、スキル、宝具を把握しました。
●ルーラーとしての自分への疑念が強まりました。