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 目覚まし時計はジリリリリリ、と月並みな騒々しい音を立てる。ベッドの枕元の騒音の発生源を、チョコとそのセイバー・テレサ、そしてルーラー・ミュウイチゴは一斉に見た。時計盤を真っ黒な短針と長針が一直線に縦断している。六時だ。

 「ヤバ!もうこんな時間!?」とルーラーは小さく叫び声を上げた。手に持っていたコーラのグラスを一息にあおると慌てて立ち上がる。
 それにつられてチョコも立ち上がるが、足の痺れからか「あたた」と言いつつもつれて尻餅をついた。思わず苦笑いするルーラーにチョコも苦笑いを返す、が、直ぐに真面目な顔になると、チョコは口を開いた。

「ほんとごめんなさい。その、まさか聖杯が変な風になるって思わなくて。」
「いやいや、そんなに頭下げないで。まださ、チョコの黒魔法が原因かどうかはわかんないんだし、それを調べるために話を聞きにきただけなんだからさ。あ、でも、時間巻き戻し魔法だっけ?それは使わないでもらえる、一応ね。」
「わかりました。あ、それと黒魔法のリストってどうすればいいですか?」

 ルーラーはチョコに黒魔法をリストアップするよう指示していた。これにはちょっとした事情がある。最初は、ルーラーはチョコから口頭で黒魔法の説明を受けていた。しかし、これには大きな問題があった。黒魔法は種類が多く、効果がおおざっぱなのである。加えて、チョコは緊張のあまり普段のようには要領よく説明できず、ルーラーはそんな説明で理解できるほど黒魔法というものへの予備知識がなかった。
 そこで妥協案としてチョコが知る黒魔法を紙に書いてそれをルーラーに回すという回りくどい方法をとることになった。これならチョコは時間をかけてわかりやすく説明できるし、ルーラーも暗記したりメモを取ったりする必要がなくなる。そして何よりのセイバーが未だ把握しきっていないマスターの能力を知ることができるという利点がある。二人の会話から取り残されていたセイバーはそれとなく紙に書くことを提案してこの方法を取らせることに成功した。
 勿論、これはルーラーの職務としては問題と言えるだろう。早急に事態を解決すべきであるはずの彼女からすれば職務怠慢と言われても仕方ない。ではなぜルーラーがそうしたかといわれれば、それは彼女が無意識にチョコをえこひいきしたからに他ならない。もし相手が無差別に魂喰いをするバーサーカーだったならば、彼女はルーラーに求められる職責以上に熱心に対応していただろう。しかし、彼女がその職権を行使すべき相手は、まだ自らに非があると決まった訳でもないのに何度も頭を下げ、自分より小さいのに気遣いまでみせた。そこにルーラーのモチベーションが上がる要素は何一つなかったのだ。


 ーーなお、もしルーラーが初めから真面目にチョコから黒魔法の情報を聞き出そうとしていれば、直ぐに口頭でのやり取りから文書でのやり取りに移行して、今頃は黒魔法の全てとはいわずとも半分以上は知ることになっただろう。ーー


 ルーラーはチョコからの問いかけに一分ほど唸ったあと、パンと手を叩いて「とりあえず今日の夜十二時、あ、明日の0時かな、とにかく日付が変わってちょっとしたら取りに行くから」と言った。
 ルーラーの職務に求められるものとしては、いささか、というよりかなり時間に余裕を持たせているが、当のルーラーにその意識はない。なんなら、彼女の基準からすれば早めに期限を区切ったと思っているぐらいである。ルーラー自身も時間に追われることが多かったからか、それとも身に宿した猫の遺伝子のせいかはわからないが、彼女はスケジュールに余裕を持たせるきらいがあるのだ。
 当然だが、そこには彼女が無意識のうちにしているえこひいきの影響もいくらかはあるが。

「じゃあ日付が変わるときに。場所はどこですか?」
「場所?どこでもいいけど……チョコはどこがいい?」
「う~ん、じゃあここで。ここなら落ち着けるし。」
(……ルーラーが誰かにつけられていたときが心配だな……)
「そうだね、今度はなんかお土産持ってくるから。」
「え!いいですよ、ミュ、ルーラーさんに悪いし。」
(ミュ?)
「いやいや~、ごちそうになりっぱなしじゃあ、なんか、ほら、恥ずかしいっていうか、ね?」
「でもルーラーさんから、その、おごってもらうってなるのはなんかおそれおおいていうかなんていうか。」
「それを言ったら私だって話聞きに来ただけだったのにいっぱいお菓子食べちゃったし。それとさあ、教会にある喫茶店でケーキとか出してるんだけど、やっぱりときどき余るんだよね。捨てちゃうのももったいないし、私一人で食べるのも限界あるから、ね?」
「う~んと、じゃあコーヒーとかは私が用意して、でもお店のコーヒーには勝てないし、え~と。」

「ならいっそ、その喫茶店で渡せばいい。」

 二人の会話に口を挟んだのは、リストの時と同様、セイバーだった。セイバーとしては、なるべく他の主従からマークされることは避けたい。そのために、ルーラーを家に来させることは避けたかった。ルーラーが長々とお茶などしていれば、それを見ているものから疑われるのは明らか。それならばまだ、こちらから教会に出向いた方がよい。教会を見張るものも居ようが、その時は自分が先んじて相手を見つければいいだけのことだ。

 しかし、返ってきたのは否定の言葉。これにはセイバーも驚いた。まさかそんな理由で拒否されるとは思わなかったのだ。しかもマスターとルーラーが同じ意見というこの状況。

(これではどちらがチョコのサーヴァントかわからないな。)

 セイバーは心の中でため息を吐いた。

「ここにはNPCも一緒に住んでいる。近所の目もある。そんなところに全身ピンク色のサーヴァントがティーセットを持って訪ねてくることになるんだぞ。ここにマスターが居ます、と鐘を鳴らしながら叫ぶようなものだ。」
「あ、そっか……」
「そ、そういわれると……」

 セイバーの言葉でようやく二人は自分達が言っていたことの重大さに気がついた。
 そして同時に、ここが聖杯戦争の場であるということを再認識する。

「そうだよね、確か八体、八匹?ぐらいサーヴァントがいるんだよね、セイバーさん……」
「確かに、まだ一日目なんだよね……聖杯戦争はここからが本番か……」
(チョコはまだわかるが、こいつは本当にルーラーか?)

 先程の和気あいあいとした雰囲気とは一転、少女達は現実を突きつけられたことで場の空気が重くなる。

(私は、損な役回りが多くなりそうだ。)

 セイバーは二人をそれぞれ見ると、「今日の日付が変わる頃に教会に黒魔法のリストを持っていく、それでいいか」と聞いた。

 沈黙が肯定の印だった。



「で、その、セイバーさん?」
「どうした。」
「あの~、なんで私たちは外に出てるんでしょうか?」

 あれからテンションが下がったルーラーを見送り、約三十分後。チョコとセイバーは外出していた。既に太陽は地平線を超え、暑い真夏の日差しが斜めに冬木の街を照らしている。市を横断する国道は早くも物流の波の通り道となり、光化学スモッグ混じりの朝靄を生んでいた。
 そんな夏の早朝にオーバーオールにリュックサックという出で立ちでチョコはいた。正確には目立たない服に着替えるように言われて、リュックサックに脱いだゴスロリを入れられ背負わされ、セイバーの言うまま外に出たのだ。

「冬木大橋へ行く。」
「それってセイバーさんが偵察に行ってたっていう大きい橋のこと?なんで私も一緒に?」
「橋が落ちたからだ。」
「……え?なにそれ?」
「新聞というものは読まないのか?」
「テ、テレビ欄は。」

 目をそらすチョコを気にせずセイバーは続ける。

「私も試しに読んでみただけだが、さっきいった冬木大橋が崩れていた写真があった。」
「それって事故、じゃないよねさすがに……」
「誰かが何らかの目的でやったんだろう。それが魔法か、それとも別の何かはわからない。だからさ。」

 そう言われて、「ああ」とチョコは納得した。つまりセイバーはチョコに橋の調査をさせたいのだろう。

(どうしよう、そんなのできない……)
「見えたぞ。」

 うつむいて地面を見ていたチョコは顔を上げる。ふわりと草いきれ。目の前には河川敷が広がっていた。「北だ」と、言うセイバーの声に従い影が延びる方へと目を向ける。

「うわぁ……」

 未だ警察や消防車両の赤々としたライトに照らされて、市の大動脈たる冬木大橋はその惨状を見せつけていた。


 河川敷からは、ラジオ体操の音が聞こえる。六時半だ。



【深山町北部・未遠川河川敷/2014年8月1日(金)0630】

【黒鳥千代子@黒魔女さんが通る!!】
[状態]
健康、ルーラーが色々気になる。
[装備]
普段着のいけてないオーバーオール、リュックサック(チョコのゴスロリ、杖(輪島塗の箸))。
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
ムーンセルでなんとか頑張る。
1:戦争みたい……
2:ミュウイチゴが気になる。
3:黒魔法のリストを書く。
4: 真田幸村を調べたいけど━━
5:あんまりさっきのサーヴァントのことはわかってない。
6:これからどうしよう‥‥
[備考]
●ルーラーの真名をほとんど看破しています。


【セイバー(テレサ)@クレイモア】
[状態]
筋力(40)/B+、
耐久(40)/B、
敏捷(40)/B+、
魔力(50)/A+、
幸運(20)/D、
宝具(40)/B、
霊体化、気配遮断、妖気探知。
[思考・状況]
基本行動方針
当面、諜報活動に専念し戦闘は最低限に抑える
1:まずは冬木大橋へ。
2:チョコの軽さを注意、ルーラーを色んな意味で警戒。
3:赤いランサーの真名を調べたいけど━━
4:バーサーカーの索敵能力は警戒しておく
5:ランサーは何でわざわざ真名を名乗ったんだ?
[備考]
●赤いランサー(真田幸村)の真名とある程度の戦法、黒いバーサーカー(小野寺ユウスケ)のある程度の戦法を確認しましたがマスターではないのでステータス等は確認できていません。
●バーサーカー(小野寺ユウスケ)のベルト(霊石アマダム)が弱点部位だと何となく理解しました。
●冬木大橋付近で妖気探知していた結果、リップバーン・ライダー(五代雄介)・クロノ・バーサーカー(サイト)・ランサー(アリシア)・バーサーカー(ヘラクレス)・ルーラー(ミュウイチゴ)の魔力を把握しました。またおぼろげながら周囲にいた人間の気配も感じました。
●妖気探知の範囲で現時点までに上記以外のサーヴァント・マスターの情報はありません。
●予選時にどの程度他のチームの情報を得ていたかは後の書き手さんにお任せします。


【冬木教会/2014年8月1日(金)0630】

【東京会場のルーラー/ビースト(ミュウイチゴ)@東京ミュウミュウ】
[状態]
筋力B(40)
耐久B(40)
敏捷B(40)
魔力B(40)
幸運C(30)
宝具EX(?)
健康、テンションダウン。
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯戦争をしっかりやっていく。
1:ルーラーのありかたとか接し方で更に迷走中。
2:後で二人(チョコ&テレサ)から事情を聞こう……
3:ムーンセルがバグったのを調べる。
4:バーサーカー(サイト)に討伐令を出す。
5:ムーンセルにご奉仕‥‥はしたくないにゃ~。
[備考]
●東京会場のルーラーはミュウイチゴでした。冬木会場でも引き続きルーラーのようです。
●会場内で『時間を巻き戻そうとする』とムーンセルが誤作動を起こして『一瞬NPCが倍加してフリーズ』します。またなんらかの形で誤作動を起こした場合とりあえずルーラーが飛んできます。
●上級AIはマスターの動向をある程度把握しています。
●バーサーカー(サイト)に翌日0時の通達で討伐令を出す予定です。
●チョコの黒魔法についてそこそこ把握しました。
●セイバー(テレサ)のステータス、スキル、宝具を把握しました。
●ルーラーとしての自分への疑念が強固になりました。