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 「さてーー」とアリスは頬に指を当てる。なるほど、彼女は人形使いだが、その顔はどこかビスクドールのような硬質さとシルクのような柔らかさを感じさせる。陶器のようにも見える肌に指が軽く沈み込み、小さな曲線を描いてもその印象は保ったままだ。

「どうしようかしら、アーチャー。」

 耳に心地好い声でそう傍らの彼女のサーヴァント・アーチャーの赤城に問いかける。


「どちらも全く動きませんしーー」

 聞かれてアーチャーは困惑の声をあげた。彼女はこういう分野の判断は専門ではない。そもそも対人戦闘や対人関係はほぼ門外艦だ。

 それに、彼女の言ったとおり視線の先にいる二人は、彼女達が見つけてからピクリとも動いていない。優に五分は経ち、彼女達が相手の二十メートルほどの距離まで近づいても未だ目に見える反応はない。
 二人の間に沈黙が、正確に言えば四人の間に沈黙が流れる。「まずは」と十秒ほどしてアリスは言った。

「ここに向かってきてる二騎を待ちましょう。」



「悪いな慎二、タクシー代払わせちゃって。」
「どうせお前が来なくても港には行くつもりだったからな、それに割り勘するだけの金も持ってなさそうだし。」
「い、一応千円ぐらいは持ってるよ!」
「千円て……小学生か?」

 そんなことをガヤガヤと言いながら二人の少年がタクシーから降りてきた。
 癖毛の少年が間桐慎二、均整のとれた体格の少年が色丞狂介だ。知ってか知らずか、同じ高校に通っていることになっている二人は同じように聖杯戦争の参加者たるマスターであり同じキャスターのクラスのサーヴァントを従えている。
 そんな二人は、ホテルであって以来ここまでなし崩し的に行動を共にしていた。

「て言うか、なんでお前ついてきたんだ?さっきは家に帰って寝たいとか言ってなかったか。」
「いやそれは……他のサーヴァントを見つけたのに見過ごすないわけにもいかないし、それに慎二は会いに行くんだろ?」

 慎二の問いに狂介はそう返した。慎二としてはホテルでタクシーに乗るときに別れるつもりだったのだが、意外にも狂介は慎二と行動を共にすることを選んだ。これは、狂介としては初めて会った自分以外のマスターを守りたいという意識からだったが、それを察するのは慎二は不可能だった。ただ、『少なくとも自分が生き残るのに邪魔にはならない』程度の評価を狂介にしていたため、またこれまでの行動からある程度信用するにたると判断したために慎二は同行することを受け入れた。

 ふん、と鼻を鳴らすと「足手まといにはなるなよ」と言って前を行く慎二。
 「そんな無防備にーー」と後を追う狂介。
 二人は少しして足を港に踏み入れる。


 慎二のキャスター・フドウは、そんな二人を眼差していた。その表情は霊体化して伺えないが、たとえ実体化していたとしても感情を読み取ることは難しいだろう。もっとも、彼をよく知る者ならばそれが彼なりの笑みだと気づいただろうが。
 狂介のキャスター・パピヨンは、一転苦々しく二人を見ていた。こちらも霊体化とマスクによって感情を知るのは容易ではないが、その不機嫌な表情とは裏腹に機嫌は悪くないとこちらも彼を知る者ならばわかっただろうが。
 そうして、四人は風変わりな四人を見つけた。



 「御取り込み中だったかな?」と四人のマスター四騎のサーヴァント四組の主従が集まった場で最初に声を出したのは慎二だ。
 「いいえ、私達も貴方達と同じよ」と向かい合うアリスは返答する。
 「それって、戦う気はないってこと?」と狂介は質問を投げかける。
 「私達に交戦の意図はありません」と返事をしたのは赤城だ。
 「だったらそんな『目』で視るのは止めるんだな」とパピヨンは霊体化をといて発声する。
 「■■■■■■……」そこで初めて、微動だにこれまでしなかったヘラクレスが唸り声を挙げる。
 「……」無言で実体化したのはフドウだ。静かにそこに現れるとヘラクレスへと視線を向けて佇む。
 「……んん……」と微かな声を聞かせたのは眠り続けていた真っ白な少女イリヤ。

 その場の全員のーーバーサーカーさえ目を向けていたーー視線が一点に集まる。七人のバラバラな者達に囲まれるイリヤは、まるで毒林檎を食べた白雪姫のようだ。その目がゆっくりと開く。しばらくして。

「ーーどういう、こと……?」

 ポツリとイリヤは呟いた。



 イリヤは混乱していた。それもそのはず、つい先程ーーといっても彼女が気絶していたために実際は数時間前なのだがーーアサシンとランサー二騎の計三陣営と交戦していたと思っていたら、気がつけば全く別の場所でアーチャーとキャスター二騎の計三陣営に取り囲まれている。しかも何があったのか、体は冷えきり、全身の感覚はなく、声を出すのにさえ筋肉が悲鳴をあげる。
 彼女が普通の人間ならば死んでいてもおかしくないような状態だったのだ。それを彼女が知らないだけでこのような不調は当然だと言える。しかし、彼女はアインツベルンの至宝とも言える技術の粋を集めて産み出されたホムンクルスでありマスターだ。酷い頭痛に顔をしかめながらも状況把握は怠らなかった。

 「つまり」と眉間にシワを寄せてイリヤは言った。絶え間ない頭痛は頭を割らんばかりだが、彼女は自分が理解した状況からもその表情になっていた。

「貴方達は聖杯戦争をする気がないわけね?」
「うん。殺しあうなんて、それが願いのためでも、そうしなきゃ帰れなくても、おかしい。なんとかこの戦いから脱出しよう。」
「まあ、私も命懸けでそんなバカなことはしたくないわね。他に同じようなこと考えてる人がいるとは思わなかったけど、せっかくだから協力するわ(抜け道が見つかるまで)。」
「僕もだ、殺し合わせて最後の一人になったら願いが叶う?そんなののどこが聖杯なんだ。呪いのアイテムじゃないか(とりあえず話を合わせとくか)!」

 イリヤを囲む三人のマスターが表明したのは、聖杯戦争の否定だ。
 なるほど。わかった。そうイリヤの中で何が動いた。

(わかった、わかったわ。)

 彼らは気づかなかった、聖杯戦争を否定することが、目の前の少女にどのような影響をもたらすかを。

(ーー名前を、覚えておかないと。)

 イリヤは上体を起こした。しっかと三人のマスターの顔を見る。頭に焼き付けるためだ、不埒者共の顔を。

「名前を、聞いていいかしら。」

 にわかに、各々のサーヴァントのプレッシャーが増す。それはイリヤの言葉にこもる怒気のためか、それとも。

『アーチャー、合図をしたら海へ行って。』
『弓はどうします。』
『私がやる。』

 一人、マスターの中でアリスだけがその剣呑な空気に気づいてアーチャーに支持を出す。海を駆けるアーチャーと空を飛べるアリスならば、初撃さえかわせば逃げられるだろう。そして相手がバーサーカーならわざわざアーチャーの武器を使うまでもない。アリスの魔法で港ごとマスターごと消し飛ばせば良いだけだ。

(タイミングが悪かったわね。)

 アリスは二人の少年を見る。一応口では聖杯戦争からの脱出を主張している二人は生かして起きたいのだが、それで好戦的なバーサーカー主従を仕留め損なうのも面倒だ。それに二人とは会って数分の仲だ。ほとんど会話もしていない他人同然の相手を気にかけるほどアリスはお人好しではない。運良く生き延びることを期待しよう。なに、彼らが本当に『乗っていない』のならば次会ったときに刃を向けるようなことはないはずだ。

(一応名前は覚えておこう。)

 二人の少女の視線を二人の少年は浴びる。彼らは気づかない。その名前を言い終えたときが彼らの最後になるかもしれないとは。

「色丞狂介だ。」
「僕は間桐慎二。」

 軽く二人は告げる。自らの名前を。そしてーー

「間桐?今あなた間桐て言ったの?」
『ストップ、アーチャー』

 意外そうな表情でイリヤは言った。これはアリスの予想外の反応だ。二人の少女は動きを止める。

「ああ、まあ、聖杯戦争に参加するぐらいなら君も知ってるか。」
「始まりの御三家、オリジナルの聖杯戦争のオーナー。」
「その跡取りさ。」

 慎二は平然と、しかし自慢気に、だがどこかやけっぱちに言ってのけた。

「「「オリジナル?」」」

 しかし他の三人のマスターが気にかけたのは間桐という名ではない。もっと、この聖杯戦争の根源に関わることだ。
 だが慎二は声を揃えて聞いた三人に不審の目を向ける。彼からすれば彼女達のリアクションは不可解きわまりないものだった。
 故に、知らず彼は場を更に混乱させる言葉を続ける。

「なんだよ。これは冬木の聖杯戦争のパクリ、結界で再現したものだろ?」

「じゃなかったらサーヴァントの上にステータスなんて表示されないだろ、ゲームじゃないんだから。」

「まあでも、これだけ精密に未来の町を再現する上にサーヴァントだってちゃんといるんだ。こんなこと聖杯にしかできない。だからこれは、そういう聖杯戦争なんだろ?」



【新都、港近く/2014年8月1日(金)0628】

【アリス・マーガロイド@東方Project】
[状態]
健康。
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
幻想郷に戻ることを第一とする。
1.オリジナルの聖杯戦争?
2.とりあえず色丞狂介、間桐慎二の二陣営は相手にしなくてすみそう……?
3.定期的に赤城の宝具で偵察。
4.できれば冬木大橋を直接調べたい。
5.人形を作りたいけど時間が……
6.聖杯戦争という魔法に興味。結界かあ……
[備考]
●予選中から引き継いだものがあるかは未確定です。
●バーサーカー(ヘラクレス)、キャスター(パピヨン)、キャスター(フドウ)のステータスを確認しました。

【赤城@艦隊これくしょん】
[状態]
筋力(20)/D、
耐久(150)/A++、
敏捷(20)/D、
魔力(10)/E、
幸運(30)/C、
宝具(30)/E+++
実体化、魔力消費(小)
[思考・状況]
基本行動方針
マスターを助ける。今度は失敗しない。
1.警戒を厳に、もしもの時は壁役に。
2.定期的に宝具で偵察し必要なら制空権を確保する。
3.魔力を補給したいが今は黙ってる。


【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night】
[状態]
全身ずぶ濡れ、低体温症、頭痛、その他程度不明の怪我(全て治癒中)。
[装備]
特別製令呪。
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
全員倒して優勝する。
1.オリジナルの聖杯戦争?
2.利用できそうな弱いマスターを利用する?
[備考]
●第五次聖杯戦争途中からの参戦です。
●ランサー(幸村)、ランサー(アリシア)、アサシン(扉間)のステータス、一部スキルを視認しました。
●少なくともバーサーカー(サイト)とは遭遇しなかったようです。
●自宅はアインツベルン城に設定されていますが本人が認識できているとは限りません。
●バーサーカーと共に冬木大橋から落とされました。怪我の有無や魔力消費は不明です。
●アサシン(千手扉間)がハサンではない可能性に気づきました。
●アーチャー(赤城)、キャスター(パピヨン)、キャスター(フドウ)のステータスを確認しました。

【バーサーカー(ヘラクレス)@Fate/stay night】
[状態]
筋力(50)/A+、
耐久(50)/A、
敏捷(50)/A、
魔力(50)/A、
幸運(40)/B、
宝具(50)/A、
実体化、不明、狂化スキル低下中。
[思考・状況]
基本行動方針
イリヤを守り抜く、敵は屠る。
[備考]
●イリヤと共に冬木大橋から落とされましたが少し流されたあと這い上がっできました。


【間桐慎二@Fate/stay night 】
[状態]
疲労(小)、精神的疲労(中)。
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯を手に入れる。何を願うかは後から決める。
1.……あれ?
2.色丞とは……これは同盟なのか?
3.ライダー(孫悟空)は許さない。
4.間桐家で陣地作成を行う。
5.会場と冬木市の差異に興味。
[備考]
●孫悟空のクラスとステータスを確認しました。
クラス・ライダー、筋力B耐久B敏捷B+魔力D幸運A
このステータスは全てキャスター(兵部京介)のヒュプノによる幻覚です。
●キャスター(パピヨン)、バーサーカー(ヘラクレス)、アーチャー(赤城)のステータスを確認しました。
●この聖杯戦争を『冬木の聖杯戦争を魔術で再現した冬木とは別の聖杯戦争』だと認識しています。

【キャスター(フドウ)@聖闘士星矢Ω】
[状態]
筋力(30)/C、
耐久(40)/B、
敏捷(60)/C+、
魔力(100)/A+、
幸運(50)/A、
宝具(50)/A
実体化。
[思考・状況]
基本行動方針
マスター・慎二を見定める。今のまま聖杯を手にするならば━━
1.成り行きにここまで任せてきたが……
2.今は慎二に従い、見定める。
3.求めるなら仏の道を説くというのも。
4.色丞狂介、か……
[備考]
●慎二への好感度が予選期間で更に下がりました。ただ、見捨てたわけではありません。
●狂介に興味を持ちました。
●孫悟空が孫悟空でないことを見破っています。


【色丞狂介@究極!!変態仮面】
[状態]
疲労(小)、精神的疲労(中)、ハンバーガー所持。
[残存令呪]
1画
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯戦争を止める。悪人をお仕置きする。
1.オリジナルの聖杯戦争?
2. この子(イリヤ)ずぶ濡れだけど大丈夫かな?
3.ランサーだけあって逃げ足は早いんだな……
4.帰ったら家で陣地作成したり核金作ったりしてもらう。
5.下北沢のサーヴァント(サイト)を警戒。冬木大橋も気になるからこのあと寄ってみる?
[備考]
●核金×2、愛子ちゃんのパンティ所持。
●予選期間中にサイトの魂食いの情報を得ました。東京会場でニャースを見た場合、サイトの姿や声を知る可能性があります。
●孫悟空のクラスとステータスを確認しました。
クラス・ランサー、筋力C耐久C敏捷A+魔力B幸運C
このステータスは全てキャスター(兵部京介)のヒュプノによる幻覚です。
●キャスター(フドウ)、バーサーカー(ヘラクレス)、アーチャー(赤城)のステータスを確認しました。

【キャスター(パピヨン)@武装錬金】
[状態]
筋力(20)/D、
耐久(30)/C-、
敏捷(30)/C、
魔力(40)/B、
幸運(50)/A、
宝具(40)/B
実体化。
[思考・状況]
基本行動方針
せっかくなんで聖杯戦争を楽しむ。
1.……マズイ、最近影が薄い……
2.帰ったら家で特殊核金を制作。今日はパピヨンパークは無理か?
3.冬木市の名物は麻婆豆腐‥‥?
[備考]
●予選期間中にサイトの魂食いの情報を得ました。東京会場でニュースを見た場合、サイトの姿や声を知る可能性があります。
●気分で実体化したりします。
●孫悟空が孫悟空でないことを見破っています。
●マスターが補導されたのを孫悟空による罠と考えています。
●ビッグマックとハッピーセットは狂介に押し付けました。