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「大事なことは目的を達成するための道筋を作ることだ。」

 プルプルとした黄色い小山が銀の盆地の上に乗っている。つるりとキャスターこと兵部京介は口に入れるとしばし咀嚼し、飲み下す。

「山の頂上に登るならどの道を行くか、いつ休憩をとるか、何を持っていくかーー」

 キャスターは再び銀のスプーンの上にプリンの小山を作るとマスターであるイサコの前に掲げて見せた。光を跳ね返すそれを、キャスターはやはり再び口に入れ、咀嚼し、飲み干す。

「なるべくシンプルな方がいい。道で迷うのも、無理して怪我するのも、重荷を背負うのも、愚作だ。」

 キャスターは三度、黄色い小山を頬張る。まるで丸飲みするかのように。そしてたっぷり一分口中で味わう。

「それさえできれば、後は自ずと見えてくる、そんなものだよ。」

 スプーンがプラスチックのカップに音を立てて入れられた。



 それからイサコが自宅へと戻ったのは十分ほど後のことだろうか。既に元いたホテルの一室は、拠点としての機能を曲がりなりにも持たせられた。あそこを本拠地にはできないが、前線基地程度にはなるだろう。そうイサコは判断し、自宅の拠点化にとりかかるべくキャスターと共にテレポートした。
 あらためてキャスターのテレポートは強力な能力だと、イサコは感じた。冬木大橋が寸断された今の冬木市は東西に分断されている。それこそキャスターのようにマスターをテレポートできるか空でも飛べない限り、自由に往き来することはできないのだ。

(家に帰れなくなっているマスターもいるかもな。)

 テレビを点けるとぼんやりと見ながらそんなことを考える。この超人的なサーヴァント達の殺しあいの場で帰る場所が無くなるような状況は想像するだけで恐ろしい。

(もしこの家に帰れなかったら。)
(キャスター二人にあのホテルが拠点だとバレた状態で動けなくなる。)
(危なかったーーそうか。)

 キャスターにイサコは声をかける。

「キャスター、いくつか聞きたい。」
「うーん?どうぞ?」
「マスターは……いや、サーヴァントはどこまでマスターについての知識がある?」
「それは、マスターという存在について?」
「そう、一般的な『マスター』というものについて。」

 キャスターは「難しいな」と言いながらイスに腰を下ろす。立っているイサコを見上げる形になりながら続けた。

「ほぼない。」
「ない?」
「うん、僕が知ってるのは、『マスターは令呪というアイテムを三つ持っている』こと、『マスターは魔力を供給する』こと、『令呪を持ったマスターとサーヴァントが一組だけになれば聖杯が手に入る』こと、これぐらいさ。」
「他は?マスターの人数とか、魔力がどうやって供給されるかとか、魔力がなんなのかとか?」
「知識としては与えられなかったね、そういうことは。ただ、君と生活しているうちにいくつかわかったことはある。」

 イサコはテーブルに手を置いた。気持ち前のめりになる。

「小さな線だ、マスターの令呪から僕の心臓に、その線を通じて何かが流れ込んでいた。それが僕らを一組のタッグとするものであり流れ込むものが魔力だろうね。」
「ーーどうやって見つけた。」
「見たんだ、君をよく。」

 視線がぶつかる。

「何日か、君のことをひたすら見続けた。」
「疑問だったんだよ、どうやって君と僕を一つのタッグだと判断するのか。」
「最初は令呪を疑った。」
「その令呪に僕が君のサーヴァントであるという情報が記録されていて、だから令呪を全て失うと聖杯が手に入らないと思ったんだ。」
「だがーー違った。」
「ある特定の波長のようなもので、君から僕へと向かう何かが見えた。一度見えればある程度見つけやすくはなる。」

 指を指す。キャスターはイサコの、令呪を。

「そうしてもう一つ疑問が残った。」
「この『線』は僕の意思で切れるかだ。」

 驚いた。イサコは、自分から何かが流れていく感覚が、マスターになってから常に感じていた感覚をなくなったのだ。

「それは、YESだ。」



「戦略が広がった。」
「そうかい、なにする気?」

 イサコは答えずに茶菓子をほうばった。「粗茶でございますが」とキャスターが出したお茶を受け取り、飲む。
 キャスターがイサコとの『線』を切って繋げ直して見せてから小一時間は経っていた。その間二人はそれぞれに自宅の拠点化と陣地化を進め今に至る。
 キャスターは彼のマスターが上機嫌であることに気づいていた。しかもそれはあれだ。ろくでもないイタズラを思い付いた時の感情だ。

(あまり、いい思い出はないな。)

 兵部京介はキャスターだ。予感は当たる。

「他のマスターの人数は不明、そう?」

 イサコは問いかける。キャスターは首肯する。

「目立つ建物に二人のマスターが同時に来るぐらいには人がいる。」
「それとは別に橋では戦いがある。」

 イサコは目で聴く。これにもキャスターは首を縦に振る。

「少なくとも数十人、多ければ千人規模のマスターがここにいる。」
「そうなれば当然、片割れしかいないこともありえる。」
「キャスター。」
(あ、これろくでもないこと言われるな。)
「私は、戦争を望む。」

 キャスターは口笛を吹いた。なるほど、やはり自分のマスターは『普通じゃない』。

「徹底的に『サーヴァントを戦わせたい』という状況をつくれ。」
「動きがあれば情報は手に入る、ゆさぶれ。」
「この戦争を影で操り、私たちが把握してない存在をなくせ。」
「勝ち残るためには特等席が必要なのよ。」

 随分と簡単に難しいことを言ってくれる。キャスターは嘆息した。それができればいいだろうが、実際は二組の主従をやり過ごすのがやっとだというのに。

「無茶だ。」
「そうか?」
「第一兵隊の頭数が足りない。」
「戦わせれば増える。」
「減るの間違いだよ。」
「減らし方の問題だ。」
「戦えば人は死ぬんだよマスター。」
「人が死んだら困るやつらがいるだろ、キャスター?」

 キャスターは理解した。いや、理解させられた。彼へと繋がる魔力のパス、そのパスから流れる魔力が突然乱高下したのだ。「なるほどこうやるのか」とイサコは嬉しそうに呟き、続ける。

「さっき何をするかって聞いたよな、キャスター?」
「簡単なことさ。」
「二騎持ち《ダブルホルダー》だよ。」



【深山町、自宅/2014年8月1日(金)0612】


【天沢勇子@電脳コイル】
[状態]
疲労(小)、満腹、眠気、百万程度の現金と偽造された身分証明書と名刺の束、覚悟未完了、それならこの聖杯戦争を操る。
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
優勝してお兄ちゃんを生き返らせる。
1.キャスターを使ってありあらゆる手段を使い聖杯戦争を加速させ、多重契約などで影から操る。まずはキャスターを役所に潜り込ませるか。
2.更に陣地作成するかそれとも……
3.家の陣地作成が終わったあとはホテルや他の場所で陣地作成。
4.さっきのマスター達(色丞組、間桐組)は……とりあえず同盟はできそうにないか……
5.同盟相手を探す(三騎士、バーサーカー、ライダー、アサシンの順で妥協するかも)。
[備考]
●キャスターの給料で購入したもののうちスマホは引き継げましたが、それ以外はキャスターが持っていたためか全て持ち込めませんでした。
●自宅は深山町にあり、そこにセンサーとトラップを張り巡らせました。家への出入りを察知し攻撃します。ただし対魔力、耐久、敏捷、幸運のうちいずれかでEランクの判定に成功したか対応するスキルや宝具がある場合ダメージを受けません。
●予選の時に新聞やテレビや掲示板を見てそれなりに調査したようですがなんの成果も得られなかったようです。
●冬木ハイアットホテル最上階をキャスターに借りさせ、一室を簡素な拠点化しました。
●キャスターへの信頼を深めつつあります。

【キャスター(兵部京介)@The Unlimited 兵部京介】
[状態]
筋力(30)/C、
耐久(30)/C、
敏捷(150)/A++、
魔力(50)/A、
幸運(20)/D、
宝具(40)/B
健康。
[思考・状況]
基本行動方針
マスターの安全第一。まずは安全な拠点作り。
1.C案、それもかなり過激な……
2.マスターの安全第一。危険なら即撤退。
3.そろそろマスターを休ませたい。色んな意味で。
4.家の陣地作成が終わったあとはホテルや他の場所で陣地作成。
5.さっきのマスター達(色丞組、間桐組)とはなるべく会わないようにしないと……キャスターなら同盟を組む意味ないしね。
6.同盟相手を探す(バーサーカー、ライダー、アサシン、ランサー、アーチャー、セイバーの順で妥協するかも)。
[備考]
●自宅は深山町にあり、そこに陣地を作成しました。内部での行動は外部から察知できず、また一部の場所が迷路のようになって変なトラップのしかけられたとか。対魔力か幸運でEランクの判定にしないと何らかのバッドステータスを受けます。ただし対応するスキルや宝具がある場合効果を受けません。
●予選では出版社でサラリーマンとして働いていたようです。少なくともその会社に他の組はいなかったようです。
●冬木ハイアットホテル最上階を借りて、一フロアを簡素な拠点化しました。
●イサコへの好感度が上がりました。