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 野次馬というものは大抵の事件現場には現れるものである。
 一概に事件の規模に比例するわけではないが、報道の質量と関係があるのは間違いない。
 例えば、不穏な噂がある地方都市の、そこを象徴するランドマークが派手に破壊されればどうなるだろうか。しかもそこには通り魔の噂もあり、それがテロという流言が広がればどうなるだろうか。

 冬木大橋西岸にある人だかりはまさに典型的な野次馬の集まりだった。早ければ数秒長ければ数時間で人は入れ替わるが、人数そのものは増え続けていた。何せ十年ぶり近い大規模な事件である。ホテルの倒壊やあの大火災と肩を並べるほどのものとなれば冬木の住民の興味は否応なしに募っていった。

「でもどっちも生まれてないしさぁ、そんなに大きな事件が起こるとか呪われてたりして。」
「そういうのチョコちゃんプロだよね、霊とかがわかるおまじないとかない?」
「いや~、ほら、その、魔方陣とか必要になるからさすがにここでじゃできないっていうか、アハハハ……」

 黒鳥千代子ことチョコにとって最も過酷な時間とは今まさにこの状況だ。
 セイバーに言われるままに橋を調べに来てみれば、あやふやで模造された記憶しかない小学校の先輩に声をかけられるという、今までに未体験のシチュエーションが起きていた。

『セイバーさん。』
『なんだ。』
『お腹いたくなってきた……』
『……まだ我慢しろ。』

 何より、チョコは人と話すのが苦手だ。できれば休みの日は家で一日中ごろごろしながら漫画を読んだりオカルト本を読んだりしていたい。そもそも必要に迫られなければ人に話しかけもしない。ファッションにもゴシップにも興味はないから当然女子トークはできないししたいとも思わない。つまり彼女は社交性0である。
 そんなチョコが元のクラスで気味悪がられながらもなんだかんだで頼りにされたり一部の男子に熱烈なラブコールを受けたりするのは、彼女のクラスメイトがとてつもなく個性的であり、そのクラスメイトにすら引かれるレベルの人間が幼なじみであったことだろう。彼女に足りないものを学力以外ほぼ持っている親友がいなければ、彼女は怪しげなおまじないでクラスに呪いを振り撒く危険人物扱いされていたかもしれない。まあ実際に呪いを振り撒けるどころか皆殺しにできるので間違ってはいないのだが。

「じゃあ、簡単なのを一個だけですよ……」

 そしてそんな彼女にも一応の処世術というものはある。なるべく厄介ごとは手早く済ませるというものだ。これはチョコの親友が一度言い出したら聞かない性格だったこともあり身につけたものだ。なるべく楽になるべく早く一応相手の言うことを聞くというのがその真髄である。あまり上手くいったことはないのだが、それでも彼女はいつもどうりその作戦をとることにした。
 困ったのはセイバーである。橋を調べるという方便で人込みに紛れさせたのにそんなことをされれば元の木阿弥だ。チョコはゴスロリを着ていないと魔法が使えないと聞いていたのにまさかこんなことを言い出すとは。しかしそう思ったときには既に眼前のNPCに断れる雰囲気ではなかった。

 『なるべく目立たないものにしろ』と、せめてそれだけ声をかけるとセイバーはよりいっそう妖気探知に集中した。



「ねえねえ!星5が三つ!!ほら!」
「私も十連ガチャが全部星4……ほんとうにおまじないの効き目あったんだ……あれ?」
「どうしたの?」
「チョコは?」
「あ……帰っちゃたかな?」
「……こんどジュースおごってあげよ……」
「見て!また生きてる人!車の間に挟まってたんだって。」
「不幸中の幸い……もしかしてこれも……」
「私もなんかあげようかな……」



「おええぇぇぇ……」

 冬木大橋西岸、港。
 そこには必死に嘔吐を堪えているチョコの姿があった。
 あのあとセイバー・テレサによってマンホールの上に誘導されたチョコは目にも止まらぬ早さで引きずりこまれると雨水管をすさまじいスピードで移動させられたのだ。
 ジェットコースターもかくやという体感スピード。そしてG、即ち重力。それはチョコの三半規管に多大なるダメージを与えていた。

「セ、セイバーさん……なんか……いろいろ……出そう……」

 セイバーからしてみればチョコを移動させたのは当然の行動である。あれだけの人間がいる場で魔法を使ったのだ、位置を察知された可能性がある。それに人波の中で魔法を使ったこと自体が問題だ。あれで潜んでいた者を刺激した可能性もあった。多少の巻き添えを出そうとも攻撃を行う可能性がある。それならば一度離脱するのは理にかなっている。

「出したほうが楽になるぞ。」
「なんで半笑いなの……ルキウゲ・ルキウゲ・アドラメレク、ルキウゲ・ルキウゲ・アドラメレク……」

 チョコが呪文を唱える度に魔力が周囲に集まるのが見える。それこそがセイバーがチョコを「護送」した原因だった。


 ルキウゲ・ルキウゲ・アドラメレクとは、運気を上昇させる黒魔法である。運を司る魔神・アドラメレクの名を唱えることで幸運がもたらされるというものであり、呪文そのものに魔力があるためゴスロリを着ていなくても唯一発動できるのが大きな特徴だ。

 チョコがそれを一言唱えたとき、微細だが周囲に魔力が満ちた。なるほど、効果は不明だが魔力をばらまいてしまう。セイバーはそう判断しチョコを連れ出したのだ。

「そもそもそれは本当に効くのか?」
「効くよ……ほら、こうやっええぇ……」
「……」
「……飲み込んだからセーフ。」
「セーフ、なのか。」
「セーフだからセエェップッ!?」
(無茶苦茶だな。)

 女子小学生がしてはいけない顔をしているマスターを見ながらセイバーは一つ結論づけた。あの魔法はただ魔力をその場に集めるだけでそれ以上のものではないと。

(一つ試すか。)
「マスター、この先幸運なことはどこで起きる?」
「ぇえぇと、病院、ぽい。」
(よりによって負傷者に紛れて他のマスターが集まるかもしれない病院か、外れだな。)

 セイバーは確信した。あの魔法は少なくともチョコに幸運をもたらすことはないと。



【深山町北端・港湾施設付近/2014年8月1日(金)0748】

【黒鳥千代子@黒魔女さんが通る!!】
[状態]
疲労(小)、ダメージ(小)、色々出そう(回復中)、幸運上昇(相殺中)、ルーラーが色々気になる。
[装備]
普段着のいけてないオーバーオール、リュックサック(チョコのゴスロリ、杖(輪島塗の箸)収納)。
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
ムーンセルでなんとか頑張る。
1:吐いちゃダメだ吐いちゃダメだ吐いちゃダメだ……
2:桃ちゃんセンパイと育ちゃんか……かなりまともそう。
3:橋が落ちたらどうやって向こう岸に行くんだろう。
4:ミュウイチゴが気になる。
5:今日の夜12時までに黒魔法のリストを書いて冬木教会の喫茶店にいるルーラーに持っていく。
6: 真田幸村を調べたいけど━━
7:あんまりさっき言われたサーヴァントのことはわかってない。
8:これからどうしよう‥‥
[備考]
●ルーラーの真名をほとんど看破しています。
●ゴスロリを脱いだため魔力の供給が減り、魔力感知にかかりにくくなります。セイバーを実体化させて妖気探知や妖力解放をせずに戦う、もしくはセイバーを霊体化させて妖気探知を全力で行わせる場合、本人の魔力は消耗しません。
●彼女の友達役のNPCが存在し、本選での活動の結果デフォルトの状態より好感度が上がりました。有益な情報を持っているかは不明です。また心なしか彼女達と彼女達の周辺にいた人たちに良いことが起こる可能性があります。
●気の持ちようで一度だけ任意のタイミングで幸運による判定をやり直せるかもしれません。

【セイバー(テレサ)@クレイモア】
[状態]
筋力(40)/B+、
耐久(40)/B、
敏捷(40)/B+、
魔力(50)/A+、
幸運(20)/D、
宝具(40)/B、
霊体化、気配遮断、妖気探知。
[思考・状況]
基本行動方針
当面、諜報活動に専念し戦闘は最低限に抑える
1:病院か……
2:チョコの軽さを注意、ルーラーを色んな意味で警戒。
3:赤いランサーの真名を調べたいけど━━
4:バーサーカーの索敵能力は警戒しておく
5:ランサーは何でわざわざ真名を名乗ったんだ?
6:これからどうするか……
[備考]
●赤いランサー(真田幸村)の真名とある程度の戦法、黒いバーサーカー(小野寺ユウスケ)のある程度の戦法を確認しましたがマスターではないのでステータス等は確認できていません。
●バーサーカー(小野寺ユウスケ)のベルト(霊石アマダム)が弱点部位だと何となく理解しました。
●冬木大橋付近で妖気探知していた結果、リップバーン・ライダー(五代雄介)・クロノ・バーサーカー(サイト)・ランサー(アリシア)・バーサーカー(ヘラクレス)・ルーラー(ミュウイチゴ)の魔力を把握しました。またおぼろげながら周囲にいた人間の気配も感じました。
●妖気探知の範囲で現時点までに上記以外のサーヴァント・マスターの情報はありません。また霊体化中は妖気探知の能力が低下します。
●予選時にどの程度他のチームの情報を得ていたかは後の書き手さんにお任せします。
●数値に表れない程度に幸運が上昇した可能性があります。気のせいかもしれません。