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 睡眠というものは全ての人間にとって欠かせないものだ。
 たとえそれが生ける偶像であるアイドルでも、人外の血を引く半妖でも、人ならざるホムンクルスであっても。

 さて、世の中にはとてもではないが寝ていられない状況がある。耐え難い暑さは眠りを妨げるし大きな疲労は深い眠りを誘う。ましてや砲火と銃火が交錯する戦場で眠ることのできる人間は滅多にいない。
 しかしそういう状況だからこそ眠らなければならない人間もいるのだ。軍人やテロリストは、到底安眠できないシーンでも睡眠する義務がある。そうでなければ疲れからか不幸にも思わぬミスをしてしまうかもしれない。よってそういった人間には『どこででも寝られること』が求められるのだ。

 さて、世の中には軍人やテロリストでもないのにやたらと寝る人間もいる。そついった人間が真面目な場合、朝起きるときには大量の目覚まし時計と格闘するものだ。なにせ目覚まし時計一つでは止めたら終わりだしそのうち刺激になれてしまう。絶対に起きるという強い意思は、終わりのない時計増加を招くのだ。

「やっと……全部止まった……」

 その少女は時計を手に疲れはてた声を出した。徹夜して寝ようとしたら十を越える数の多様な音が部屋中に鳴り響いたのだ。寝れた時間は一時間と少し、たまったものではない。

「……いったい、どんな人間ならこんだけ時計必要……?」

 何が言いたいことかというと、遠坂凛の安眠は遠坂凛の生活習慣によって不幸にも妨げられた。



「凛、この時計の数はいったい?」
「こっちが聞きたいっての……」

 慌てて凛の寝室に実体化したセイバーから時計を受けとると凛は鋭い目つきで答えた。凄まじい、余りにすわった目にさしものセイバーも驚く。
 セイバーとしては、部屋から程近いところで侵入者に警戒しながら霊体化していたのだが、突然自らのマスターの寝床から轟音が聞こえて駆けつければマスターが躍起になって時計と格闘するという訳のわからない展開になっていた。もちろん凛もわかっていない。

「一つ、言えることがある……」
「……それは。」
「それは、この部屋の持ち主はとんでもない無能ってことね。」
「……」

 セイバーはなんと言えばいいかわからなかった。
 恐らく、この部屋の元の主は自分に厳しい性格で、万が一にも寝過ごすことなどないように複数の時計を用意したのだろう。そしてそれを再現した結果こうなったのだろう。それがセイバーの知識から推測された答えだった。

「その、誰にでも苦手とするものもあるので、たまたま朝が弱いだけでは。」
「こんなスタングレネードみたいなアラーム必要とする人間なら全身苦手なことばかりでしょうね。」
(どうしたものか……かなり不機嫌だ……)

 セイバーは困った。セイバーも知らない訳ではない人間をこうまで扱き下ろされては黙ってはいられない。しかし、その扱き下ろしている人間と扱き下ろされている人間は瓜二つの外見なのだ。というより、ある意味同一人物だ。

「それより、冬木大橋について話したいことが。」

 結果、セイバーは強引に話を変えることにした。マスターが優先順位を感情で変えることはないと判断してのことだ。

 「リビンクで聴くわ」と不機嫌な声で答えた凛に、セイバーはほっと息をついた。


 凛の家にも一応テレビはある。いわゆる「三種の神器」といわれるような家電の類いはそれなりの水準のものがあった。
 さてその大画面テレビでは冬木大橋の惨憺たる光景が大写しになっていた。爆破の心得があるものがやったのだろうか、ものの見事に橋は倒壊している。どう見てもこの聖杯戦争中に復旧できるような状態ではない。
 しかしそれは、凛も把握済みの情報だ。本選が始まってすぐにしかける主従は少数派だと思っていたので幾らかショックは受けたが、遭遇戦が本格的な戦いに発展したのだろう。充分考えられる事態であった。

「セイバー、橋ってこの事?」
「いえ、こちらの新聞のことです。」

 問おた凛に、セイバーは新聞紙を差し出した。一面はやはり冬木大橋についてだ。カラーで大写しにされた橋が見えた。

「問題はここです。」

 一枚めくると、新聞の一点をセイバーは指差した。こちらは病院でのインタビュー記事のようだ。奇跡的な生存を喜ぶ声や突然の死を嘆く声など、悲喜こもごもの市民の声が記されている。

「あれ?」
「気づかれたか。」
「この鎧みたいなの着けてるのって……」
「ええ、サーヴァントではないかと。」
「……いくらなんでも、新聞の、それも二面に写真つきで……」
「真田幸村、と書かれています。これは日本の戦国武将では。」

 凛はいぶかしんだ。冬木大橋で戦闘が起きるというのはわかる。その結果橋が落ちたというのもまあわかる。しかしその結果サーヴァントが病院に行くというのはわからない。

「ああ、確かにそういう人物はいるみたいね……」

 凛はスマホ片手に新聞に視線を向ける。確かに、真田幸村という戦国武将はいる。しかも軽くネットで検索するだけで多種多様な情報が出てくるのを見ると日本ではかなりポピュラーなようだ、サーヴァントとして呼ばれてもおかしくはない。おかしくはないのだが……

「セイバー、サーヴァントって普通は隠れるものだったわよね?」
「一応はそういうことになっています。少なくとも、真名を明かさないのは定石です。」
「だったらなんでこの『真田幸村』はそうしなかった?」
「サーヴァントのなかには正々堂々とした戦いを望むものもいます。自ら名乗りを挙げることも、時としてあり得る。」
「マスターは止めないの?」
「サーヴァントも人間ですので。」

 新聞を脇にやると凛は地図を広げた。
 もし真田幸村がサーヴァントなら、これは由々しき事態だ。日本で知名度のあるサーヴァントが新聞に姿と真名を去らしているのだ。まず間違いなく火種となるだろう。

「病院は早いうちに抑えておきたい場所の一つではあるんだけどね……仕方ない!セイバー、アインツベルン城や公園はいいわ、急いで病院に向かって。」
「凛、既に他のマスター達も向かっているはず。そもそも罠である可能性もある。それでも仕掛けますか。」
「ええ、寝ぼけてなんかないわ、ここで動いておかないと状況から取り残されかねない。指示なら適宜出すから。やるんなら、今のあそこよ。」

 セイバーは頷くと、姿を消す。ややあってハヤブサの通常よりも体の芯に響くエンジン音が聞こえてきた。

「本格的に戦いが始まるまでに準備を進めたかったけど……」

 テレビの中では、冬木大橋が依然映し出されている。

「案外、早く終わるかもね。」



【深山町、遠坂邸/2014年8月1日(金)0837】

【遠坂凛@Fate /Extra】
[状態]
疲労(中)、寝不足だが中途半端に覚醒
[道具]
ナイフ@Fate /Extra、ドール(未完成)@Fate /Extra、その他多数の礼装@Fate /Extra
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
当然、優勝を狙う
1:セイバーに病院に向かわせることを優先、守りはとりあえず有り合わせのもので備える。
2:礼装、ドールを改良する(索敵・感知系を優先)
3:闇討ちや物量戦法を強く警戒
4:……変に目が冴えたな。
5:なんとなく遠坂家が没落した理由がわかった気がする……
[備考]
●自宅は遠坂邸に設定されています。
内部はStay night時代の遠坂邸に準拠していますがところどころに凛が予選中に使っていた各種家具や洋服、情報端末や機材が混ざっています。
●現実世界からある程度の資金を持ち込んだ他、予選中株取引で大幅に所持金を増やしました。
まだそれなりに所持金は残っていますが予選と同じ手段(ハッキングによる企業情報閲覧)で資金を得られるとは限りません。
●遠坂邸に購入したスズキGSX1300Rハヤブサ@現実が二台置かれています。
アルトリア機は青いカラーリングで駆動系への改造が施されています。
凛機は朱色のカラーリングでスピードリミッターを外した以外には特に改造は施されていません。
●セイバー(アルトリア)から彼女視点での第四次聖杯戦争の顛末を聞きました。

【セイバー(アルトリア・ペンドラゴン)@Fate/stay night】
[状態]
筋力(50)/A、
耐久(40)/B、
敏捷(40)/B、
魔力(100)/A+、
幸運(100)/A+、
宝具(??)/EX、
健康、実体化、ハヤブサに搭乗中
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯の力で王の選定をやり直す
1:病院へ向かう。
2:凛と良好な関係を築けてホッとしている
3:ハヤブサの性能に満足
4:何故冬木が会場に……?
[備考]
●第四次聖杯戦争の記憶を引き継いでいます。
●スズキGSX1300Rハヤブサを乗りこなせるようになっています。
騎乗スキルの低下を第四次聖杯戦争での経験とバイクの知識を深めることで補っているようです。