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 再現された冬木市の季節はその名の由来になったとされる冬ではなく冷夏といえどやはり暑い夏の日だ。
 予選が七月に行われたことを考えるとさながら夏休みに聖杯戦争を行っているように思うマスターもいるかもしれない。そう、例えば休日にかこつけて普段より遅く起きたり。

「……美遊様……」

 美遊・エーデルフェルトが目覚めたとき横に置いてあった時計は、既に九時を指していた。人間の睡眠は凡そ90分のサイクルで深浅の波が巡るというが、それにのっとれば五順目で覚醒した、ということだろう。普段の彼女からすれば大寝坊もいいところだが、さまざまなストレスにさらされた脳と心はそれだけの休息を求めたともいえる。

 微かな声で美遊に呼びかけたサファイアに答えずに美遊は窓を見た。
 夏の太陽は早起きだ。いつもの美遊が起きたであろう時間でも既に地平線から顔を出し街を照らす。寝過ごした今となれば、完全に陸から離れぐんぐんと空へと昇っていた。

 「良かった」そう感慨深げに呟く美遊。サファイアは迷った。自分のマスターであるこの小さな少女のその言葉に込められた思いを察するのに、サファイアのもつ能力は使えない。いや、一つ使える機能があった。まるで人間であるかのように会話するというものだ。なるほど、それではその機能を使い何を彼女に答えるべきか。
 羽を腕組みするかのように重ね合わせて、数秒悩む。ふむ、最適解は出ないが、まずはこの言葉だろう。

「美遊様。」
「うん?」
「おはようございます。」
「ーーうん、おはよう。」

 美遊はそっと、サファイアを胸に抱えた。


 本選が始まって最初の夜。
 既に脱落者は出ている。

 幸運にも、美遊は朝を迎えることができた。



 45℃のシャワーで、美遊は寝汗を流す。

 遅く起床しようと、一日の朝の行動の幾つかはルーティンとして染み付いている。もちろんいつもはこのような熱湯での朝シャンなどするはずもないのだが、夏とはいえ寝起きに冷水は急激な体調の悪化を招きかねない。特に通常よりコンディションが悪いとなればなおさらだ。もし冷たいシャワーだったならどこぞの脱獄犯よろしく病院にいくはめになるかもしれないーーもっとも、彼女はどのみち病院に向かおうと思い始めていたがーー

 手早く行水するとバスタオルで体を拭く。マンションの利点の一つとして屋内での移動距離が短くてすむというものがあるが、彼女は雑に体にタオルを巻くとリビンクに出てきた。

「サファイア、橋は?」
「死者約四十名、行方不明者数名、怪我人は三百名程度のようです。それと、サーヴァントの可能性のある人物が病院にいるとの情報も。」

 沸かしていたお湯を止めながら、サファイアとの会話をする。子供の一人暮らしのためだろうか、宛がわれた自宅の冷蔵庫にはほとんど生鮮食品がなく、代わりに冷凍食品とインスタント食品が充実していた。栄養が気になりはするが手間暇なく食べられるというのは良い。電子レンジにから取り出し、やかんからはスープの粉を入れたカップに熱湯で注ぎ、それらをお盆の上に乗せたところで、はたと思い出し冷蔵庫に戻る。野菜室から数少ない生物であるカットスイカを取るとやはりお盆に乗せてテーブルへと運んだ。

「橋での戦闘で渋滞が発生、夜行バスなどが崩落に巻き込まれる……」

 サファイアがマークをつけた新聞記事に目を通しながら耳でテレビの音声を聞く。情報にそこまでの差異はないが、それはつまり正確な報道が為されているということだろう。神秘も何もあったものではないということも意味するが。

 なお、その間サファイアはというと取ってきたドライヤーで美遊の頭を乾かしていた。確かにマスターとしてはいち早く情報を知ることは重要だが、さすがに半裸で頭も濡れたままでは女子としての沽券に関わるとの判断だ。

「真田幸村?」
「はい、戦国武将と同姓同名の。」

 あらかた朝食を食べ終え、美遊はスイカを口にしながら、指差す。新聞紙にしっかりと赤い印が入れられているのは真田幸村という名だ。当然二人はその名前をよく知っている。大河ドラマになるほどの有名人だ。

「聖杯戦争に日本の英霊が召喚される。」
「この聖杯戦争は、これまでの知識では計れないものです。」
「あり得なくはない。でも。」
「ここまで目立つのは何かの罠かと。」

 新聞をとらない家も二十一世紀には増えたが、幸い美遊の自宅には地方紙と契約しているようで、独特なフォントの特集記事にその名前があった。

 それだけに、その真田幸村という名前は目につきやすいといえる。この地方紙自体の講読者がどれだけいるのかは美遊にはわからないが、ある程度話題になる程度には目立っているのではないか。もしかしたらそう思わせるためにわざと名前を出したのかもしれないが。

 ぱくぱくとスイカを食べきると、美遊は席を立った。頭はまだ乾ききっていないがそんなことはお構い無しに服を着、身支度を整えていく。

「どちらに?」
「……図書館、図書館に行く。まずはバーサーカーのことと、真田幸村を調べたいから。」
「美遊様。」
「……なに?」
「そこは迂闊にも病院に行くと言って『病院には他の主従が集まると予測されます。これではまさしく飛んで火に入る夏の虫です。』と諌める場面かと。」
「フフッ……言うと思った。」

 サファイアは部屋の電気もテレビも消し、エアコンのタイマーをセットすると美遊の元へと飛ぶ。睡眠はとりあえずとった。これならパフォーマンスが落ちるようなことはないだろう。外出して遭遇戦、となっても支障ないはずだ。


「じゃあ、行こう。」
「美遊様、他のマスター達の注意が病院に向かっていても、図書館までの間に捕捉される可能性があります。」
「バーサーカーは目立つから、気をつけないと。それに。」
「?」
「学校をサボるから、先生とかにも見つからないように。」
「……美遊様。ずっと言おうと思っていましたが。」
「?」
「夏休みなので学校はないのでは?」


「……!?!」



【新都、蝉菜マンション/2014年8月1日(金)0906】

【美遊・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]
私服、びっくり、頭痛(無視できる程度)
[装備]
カレイドサファイア@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
月の聖杯の力で自分の世界を救う
1:!?
2:バーサーカー(クウガ)と真田幸村について図書館で調べる。病院は危険そうなのでパス。
3:夏休み……
[備考]
●予選期間中に視界共有を修得しました。
しかしバーサーカーの千里眼が強力すぎるため長時間継続して視界共有を行うと激しい頭痛に見舞われます。
また美遊が視界共有によって取得できる情報は視覚の一部のみです。バーサーカーには見えているものが美遊には見えないということが起こり得ます。
●セイバー(テレサ)の基本ステータス、ランサー(真田幸村)の基本ステータス、一部スキルを確認しました。
●月海原学園初等部の生徒という立場が与えられています。
●自宅は蝉菜マンション、両親は海外出張中という設定になっています。
また、定期的に生活費が振り込まれ、家政婦のNPCが来るようです。
●バーサーカー(小野寺ユウスケ)の能力についてあまり詳しくは把握できていません。
●冬木市の地方紙に真田幸村の名前と一二行のインタビュー記事が乗っています。他の新聞にも載っているかもしれません。