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 冬木の新都を南北に区切るように引かれた線路沿いにそのビルはあった。

 騒音の問題か開発から取り残されたからかは不明だが、この新都においては珍しく人気がない。半ば廃ビルじみたそれは十階建てに相応しい巨体を持ってその場に存在していたが、町行く人にとっては背景に過ぎないのか誰の目にも止まることはなかった。



 空気が震える。
 経年劣化か建築時の瑕疵か、定かではないが建物の内側のひび割れたコンクリートに大きな亀裂が走る。
 亀裂は凄まじい勢いで延び、近くにいた男の足を捉えようとして。

「ブラフマーストラ。」

 男からビルの外部へとレーザーが発せられ、その動きを止める。


『全く、やりにくいったらない。どこの世界に目からレーザー射つランサーなんているんだよ。』


 レーザーを発した男、ランサー・カルナは地を蹴る。それまでいた場所が先ほどと同じように不可視の何かによって亀裂が入る。


 ーーバーサーカーを葬ってから数分後、ランサーは守勢に立たされていた。



 聖杯戦争において最速のクラスは一般的にはランサーだが物事には何事も例外がある。キャスター・兵部京介はまさしくその『例外』であろう。

 キャスターの持つスキルの一つ、テレポーテーション。
 瞬間移動と訳されるそれは最高ランクの敏捷を誇るランサーにすら一方的な防戦を強いるものだ。
 速いとは言ってもランサーがある程度地形の制約を受けるのに対し、キャスターはこのスキルによって距離も地形も無視して好きな場所に現れることができる。それは事実上キャスターがどこにでもいるということだ。

 そしてこのスキルには副次的な効果がある。キャスターはテレポーテーション先の空間を、このスキルによりある程度把握することが可能であるのだ。ここに、キャスターが持つテレパシーのスキルを加えるとーー


『うん、ようやく当たったね、かすり傷だけど。』
(狙いが正確になりつつある。)
『今度は血が流れるぐらいには当てたいなあ……ほらッ!』

 遮蔽物があろうと知覚し、ランサーの行動を先読みし攻撃する。キャスターにだけ、否、兵部京介にだけ許された対処不能の攻撃がランサーを追い詰めていた。


『そのレーザーは飽きたよ。』

 無論、ランサーが反撃しないなどあり得ない。イリヤから供給される無尽蔵の魔力は、一撃必殺のランサーの宝具の大盤振る舞いを支えている。

 しかし、兵部京介には届かない。

 ランサーが狙う場所も、威力も、タイミングも全て『手に取るように』解るキャスターには、どれだけ狙いが正確だろうと射つ寸前に射角から逃げられてしまう。


『いい加減、うっとおしいんだよね、それ。』

 ランサーの足に小さな歪みが生まれる。すんでのところで動かせば、皮膚が薄く剥がれていた。

 キャスターの持つスキル・サイコキノ。ランクにしてランサーの魔力放出を上回るそれが不可視の攻撃となってランサーを追い回し、肉片を作るために切り裂こうとする。
 本来は眼に写らないはずのそれをランサーが見破ろうと、遅い来る危機からいささか逃れられる時間が増えただけだ。

 テレポーテーション、テレパシー、サイコキノ。そのどれもが宝具に匹敵する圧倒的な能力がランサーに死の気配を漂わせるのだ。逃れることなどできはしない。ランサーの一挙手一投足は全てつぶさにキャスターによって看破され、どの様に動こうとも避けられない攻撃が加えられていく。
 端から見ればランサーの状況は絶望的だった。百人が百人とも、ランサーがどれだけの英霊であろうか理解していてもランサーの敗北を予感しただろう。

「ーー」
『どうしたんだい?降服の言葉かな?ちょっとうるさくて聞こえないから立ち止まってくれるとありがたいね。』

 ランサーが身をよじりサイコキノをかわし続けるなか、キャスターは悠々とランサーに語りかける。テレパシーは何も受信だけではない、念話の要領で送信もできる。まるで電話をかけるかのような気楽さで話す。そんなキャスターに一言だけ、ランサーは答えた。


「そう焦るな。」



(勘が良いってレベルじゃない……間違いなく超感覚を持っている……予知ではないだろうけど……精神感応か?)

 兵部京介は頭の片隅でそんなことを考えながらもサイコキノを緩めない。
 ともすれば暴走しかねない能力だが兵部ほどのエスパーならばなるべく建物に被害を出さずに内にいる人間を殺傷することは十二分に可能なはずだった。そう、『可能なはずだった』。

 兵部の世界には、個々の能力で兵部に匹敵する存在がいる。彼の求める『チルドレン』達などが正にそうだが、そんな彼女たちを相手取ってもキャスターがここまで手こずるなどあり得ない。その気になれば一分と経てずにノックアウトすることもできる。なのに、ランサーにはそれが出来ない。彼の持つ超能力をフルに活用しているにも関わらず、届かない。

(もう少しでーー)

 サイコキノがランサーに迫る。どれだけ逃げ回ろうと確実に当たるはずの軌道で迫る。しかし。

(届くのに)
「またレーザーか!」

 兵部のサイコキノが向かうより一瞬早く、ランサーは宝具の発動準備を整える。全力でテレポートするとほぼ同時に熱線がコンクリートを貫通して大空へと飛んでいった。


 これこそが、兵部がランサーを攻めきれない原因である。

 確かに兵部は圧倒的に彼のペースでランサーを攻め立てられる。場の主導権を常に握っている。だがしかし、それは『そうする以外にない』からだ。少しでも攻撃の手を緩めれば、あのレーザーは確実に兵部を焼く。建物の中を縦横に動き回らせている今でさえ隙とも思えない隙をついて宝具を放ってくる相手なのだ、絶対に兵部は主導権を渡すわけにはいかなかった。
 だが状況は、ランサーに傾きつつある。兵部は未だに浅い傷しかランサーに与えられていないのに対しランサーは兵部に一太刀も与えていないため一見その様には思えないが、二人の攻撃には明確な火力の差がある。
 兵部の攻撃はランサーの対魔力に弾かれ減衰するのに対してランサーのブラフマーストラは発動した時点で確実に兵部に当たってしまう。その事を兵部は理解していなかったが感じ取ってはいた。そして自分のサイコキノがランサーに届くよりも彼の宝具が己を消し炭にすると。

(くっ、またスプリンクラーが作動したか……!)

 そしてビルという戦場もこの状況の構築に一役かっていた。
 壁と柱はランサーの障害物であり兵部の盾になるが、ランサーの身から迸る炎と僅かずつだが与えてしまうビルへのダメージがスプリンクラーを動かしてしまう。そしてこれは兵部にとって危機的展開である『テレポーテーションによるランサーの監視の失敗』を引き起こす。テレポーテーションはその性質上、超感覚で捉える空間は動きが少なくてはならない。例えば雨や砂荒らしなどでは大きくパフォーマンスが落ちるのである。

(レーザーを射ってくる間隔がどんどん短くなってる……何処にいる……)


 焦りから僅かに10メートルだけテレポートする。元いた場所をブラフマーストラが貫く。その狙いは更に正確になっている。しかし、今更そんなことで焦りはしない。問題は更に別にある。

(ヤツのマスターはどこだ!?)

 一番の問題は、ランサーのマスターをスプリンクラーのせいで見つけられないことである。



【新都、冬木中央公園から北に少し行ったところの10階建ての寂れたビル/2014年8月1日(金)1013】

【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kareid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]
ダメージ(中・回復中)、気絶、魔法少女に変身中
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯戦争に優勝してリンさんを生き返らせる
0:………
1:わたしと同じ顔と名前のバーサーカーのマスター…?
2:ランサーさんから離れすぎないようにする
[備考]
●自宅は深山町にあるアインツベルン家(一軒家)です

【ランサー(カルナ)@Fate/Apocrypha】
[状態]
筋力B(40)
耐久C(30)
敏捷A(50)
魔力B(40)
幸運A+(30)
宝具EX(?)
ダメージ(中・回復中)、魔力消費(小・回復中)
[思考・状況]
基本行動方針
イリヤスフィールを聖杯へと導く
1:キャスター(兵部京介)を討つ。
[備考]
●セイバー(アルトリア)、セイバー(テレサ)の真名を把握しました
●バーサーカー(サイト)の真名を把握しました。
●キャスター(兵部京介)の真名に迫る情報を入手しました。


【キャスター(兵部京介)@The Unlimited 兵部京介】
[状態]
筋力(30)/C、
耐久(30)/C、
敏捷(150)/A++、
魔力(50)/A、
幸運(20)/D、
宝具(40)/B
魔力消費(小)、焦り。
[思考・状況]
基本行動方針
マスターの安全第一。まずは安全な拠点作り。
1.ヤツ(カルナ)のマスターが見つからない……このままじゃあじり貧だ……
2.病院のサーヴァントは動かないか?
3.この辺りが引き際かな、少ししたらビルごと壊して逃げよう。
4.家の陣地作成が終わったあとはホテルや他の場所で陣地作成。
5.さっきのマスター達(色丞組、間桐組)とはなるべく会わないようにしないと……キャスターなら同盟を組む意味ないしね。
6.同盟相手探しはもういいでしょ。それより潜入……
[備考]
●自宅は深山町にあり、そこに陣地を作成しました。内部での行動は外部から察知できず、また一部の場所が迷路のようになって変なトラップのしかけられたとか。対魔力か幸運でEランクの判定にしないと何らかのバッドステータスを受けます。ただし対応するスキルや宝具がある場合効果を受けません。
●予選では出版社でサラリーマンとして働いていたようです。少なくともその会社に他の組はいなかったようです。
●冬木ハイアットホテル最上階を借りて、一フロアを簡素な拠点化しました。
●イサコへの好感度が上がりました。
●病院にいるサーヴァント達に同盟を持ちかけましたがまだ誰も来ていません。来ない場合数ターン後にビルを破壊し撤退します。



[全体備考]
●戦場となっているビルに多数の穴、亀裂、ひび割れが起きています。またスプリンクラーが階や場所によって作動したり作動しなかったりしています。