前回までのマイケル・スコフィールドの第二次二次二次聖杯戦争は。

 順風満帆だったマイケルの人生は兄であるリンカーンが暗殺犯として死刑判決を受けたことで一変する。兄の無実を信じ、自ら同じ刑務所に入り共に脱獄したマイケルだったが、逃亡劇の末に命も失うことになった。だがその時聖杯戦争への参加という天啓が彼に訪れ運命は大きく変わることになる。
 聖杯戦争のマスターとしてアーチャー・ワイルド・ドッグを召喚し、戦いに飛び込んでいくことになった。

 本選開始直後、多くのサーヴァントの戦闘の結果、冬木大橋は崩落し海へと沈むことになる。この事は魔力不足で倒れたマイケルに思いもよらない影響を及ぼした。搬送先の病院を拠点としていたアサシンと橋での戦闘から逃れてきたランサー組と期せずして遭遇したのだ。マイケルは一先ずの同盟を結ぶことになる。

 一方、病院の外では戦局が大きく動いていた。三方からアルトリア、テレサ、そして兵部京介がそれぞれの思惑を胸に病院に接近するも、勘違いからアルトリアとテレサは冬木中央公園で戦闘になる。二騎のセイバーのたぐいまれなき戦闘に、更にカルナが介入し公園は焦土と化す。離れていてもわかる圧倒的な戦力差にマイケル達病院の主従は戦慄するも、そこに一人静観していた兵部京介が訪れて場は更に混乱することになった。消耗しているカルナを共闘して追撃し、ここで脱落させることを提案してきたのだ。マイケル達はこの無謀ともいえる強攻策を前に悩むも、一人先行した兵部京介が戦闘を開始したことと自分達が余力のあるうちに動かなければならないこと、そして扉間が死を覚悟してカルナに挑む決意ししたことで兵部京介の提案に乗ることを決断する。
 遅れること数分、カルナと兵部京介が死闘を繰り広げるビルに到着した扉間の姿は、期せずしてカルナのマスターであるイリヤと瓜二つに変化していた。マイケルは逃亡生活の経験を活かして、扉間にカルナ主従の姿を撮影させてネットにバラ撒くという作戦を考え付いたのだが、万が一扉間が写ってしまった時のことを考えてランサー達を襲った「もう一人のイリヤ」の姿に変化させていたのだ。兵部京介と扉間の即席タッグは善戦し、ついにイリヤに手が届く。しかしあと一歩のところで殺害に失敗し辛くもそれぞれ逃げ延びることになった。魔力をほとんど使い果たした扉間は病院に戻るも昏倒し、辛うじて撮影した動画がマイケル達に託される。だがマイケルにはある変化が訪れていた……



 アステカ文明は新大陸にあった他の文明と同様にヨーロッパやアジアのそれとは大きく異なっていた。発達した天文学や建築学があった一方で鉄器はなく、その宗教・神話にも様々な特徴がある。そして何より特異なのはその極端な軍国主義的統制的国家形態だろう。スパルタもかくやというその好戦性は特筆すべきものだ。ではなぜ、そのような文化を持つに至ったか?

 一説では、文化が開放的か閉鎖的かは、食糧事情によって左右されるとある。余剰食糧が豊富ならば明るく開放的になり、逆に飢餓に襲われることが多いような文化圏では暗く冷たく、閉鎖的になるという。

 私はこの説が真実かどうかはわからない。もっともらしいデマの可能性もある。だが、人が人を喰らうほどの、絶望的な飢餓に頻繁にあう文化が、アステカだとすれば、なるほど一応納得はいく。飢餓が人間を極端に効率的に合理的にするということだ。とは言っても、先進的な農耕技術を持つアステカが飢餓にあったとは思えない。あくまで文化としての食人だったのだろう。


 だがそれは、文化であるにも関わらずそれだけの影響をもたらした、飢餓というものの途方もない大きさを示してはいないだろうか?



「マイケルさん?マイケルさん!?」
「ーー大丈夫だ茜さん、ちょっと目眩がしてね。」

 スマホを片手に心配そうに顔を覗きこんできた茜にそう言ってにこやかに笑いかけると、マイケルも手に持っていた彼のスマホに視線を落とした。

 今のは失敗だった。そうマイケルは心の中で反省する。他のマスターにいる前で大きな隙を見せてしまった。これでは殺してくださいと言っているようなものだ。

 マイケルは震える指先でスマホを操作する。とにもかくにも問題なく動けるように見せなくてはならない。自分の症状に気づかれるわけにはいかない。今度は頭の中でそう考えながら、しかし体は正直なもので止めどなく汗が流れてくる。冷房が効いていることを差し引いても寒いというのに。

 『アーチャー』と念話で話しかけようとしてきたのを感じて先んじて切り出す。日本人は阿吽の呼吸というものがあるらしいが、こういったものか、と漠然とマイケルは思った。

 マイケルは、霊体化して姿の見えない二騎のサーヴァントと目の前でスマホ相手に悪戦苦闘している少女を順繰りに見渡そうとした。もちろん彼にサーヴァントは見えない。ただなんとなく、そこにいると思った。

 アーチャーからのプレッシャーが増す。言葉を発さずとも、その威圧感は心臓を押し潰すようだ。もっとも今のマイケルはそんなこととは関係なく心臓が押し潰されそうなのだが。

『わかってるんだ……今ここで、決めておかないといけないって。』

 スマホの画面には、ランサーの神々しい姿が逆光気味に写っている。これが、これから自分達が遅かれ早かれ戦うことになる相手。いったい何騎のサーヴァントがいれば勝てるのか、想像もつかない。そして少し画像を動かすと、ランサーのマスターと思われる銀髪でプレティーンといった年頃の少女が写る。思わず甥っこが頭に浮かぶが、頭痛でごまかした。


『ーー僕が合図したら、すぐに殺せ。』


 一瞬、アーチャーから驚いた気配を感じた。事実、アーチャーは驚いていた。自分のマスターから、アマちゃんと思っていたマスターからその『許可』が降りることは半ば無いと思っていたからだ。マイケルを急かしていたのは義理立てのようなものであり最低限の忠誠心からだったが、まさかそれに応えるとは。

 マイケルは顔をアーチャーがいると思われる方へ向ける。その視線は見えていないはずのアーチャーを目へと注がれ、そのあと発した念話は冷徹な決意が感じられた。

『この三人で、魂喰いする。』



 マイケルにはもう、魔力がなかった。


 本来ならば、マイケルは聖杯戦争の本選に進めるようなマスターではない。
 マイケルには魔力がない。魂喰いをさせられるほどの非道さもないし、かといって調達するあてもない。サーヴァントにとって酸素のようなそれを供給できない以上、マイケルは必敗するはずだった。

 だが、彼のサーヴァントは弱く、彼は賢かった。

 極端に魔力消費が少ないアーチャーを常に霊体化させ、食事で魔力を補給させ、彼自身も体調を維持し続けることでアーチャーの消滅を本選まで先送りすることに成功したのだ。

 だが、それにも限界はある。既に本選が始まった段階で魔力の不足は無視できないレベルだった。だから今こうして病院で車イスを使うはめになっている。そして、マイケルは知らないことだがアーチャーは一度曲がりなりにも戦闘している。ドラえもんを破壊するときとその前の伊達男との交渉の時の実体化はなけなしの魔力を根こそぎ持っていっていた。

 そして、マイケルは見てしまった。あの圧倒的なサーヴァントを。何騎ものサーヴァントを蹴散らす太陽を。
 それは、同盟相手のランサーがまるで月か星に思えるほどだ。

 ーーマイケルは良心を持った男だ。なし崩し的に脱獄した仲間が危機に陥ったとき、見捨てずに助ける程度には。だが必要ならば恩人の善意も女性からの好意も利用してきたーー

 だから彼にはわかってしまう。彼の頭脳は、目の前のランサーさえどうにかすれば非力なマスターと気絶したアサシンという格好の魂喰いの対象がいることに気づいてしまう。同盟相手を僅かな時間で裏切ることが、最も合理的だと判断できる。
 なぜなら、彼らもまた魔力がないから。互いが互いの栄養価の高い非常食になりえるから。



 マイケルもアーチャーも、飢えている。目に写るものは、魔力の塊に見えた。



【新都・病院/2014年8月1日(金)1041】

【マイケル・スコフィールド@PRISON BREAKシリーズ】
[状態]
点滴、車イス、魔力消費(極大)、精神的な疲労(大)、衰弱(中)、覚悟。
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
優勝を目指しているが‥‥?
1.他のサーヴァントなら……魂喰いしても……
2.こうなったら病院に潜伏する。
3.予選と同じくキャスターとの同盟を狙うがあのキャスター(兵部京介)は……
4.アサシンのマスターはどこだ?
[備考]
●大手企業のサラリーマンが動かせるレベルの所持金。
●自宅は新都の某マンションです。
●予選の時に学校で盗撮をしましたが、夏休みということもありなんの成果も得られなかったようです。
●SEASON 2終了時からの参戦です。
●アサシン(千住扉間)、ランサー(真田幸村)達と同盟を結ぶました。
●日野茜への好感度が上がりました。
●ランサー(カルナ)の戦闘を目撃しました。
●アサシン(千手扉間)への好感度が上がりました。
●スマホにアサシン(千手扉間)が病院を出てから帰ってくるまでの映像があります。写っているのはランサー(カルナ)、ランサーのマスターのイリヤ、キャスター(兵部京介)です。
●魂喰いに踏み切る覚悟をしました。ただし、聖杯戦争の当事者である他の主従だけです。

【アーチャー(ワイルド・ドッグ)@TIME CRISISシリーズ】
[状態]
筋力(15)/C、
耐久(15)/C+、
敏捷(10)/D、
魔力(1)/E、
幸運(10)/D+、
宝具(0)/E
魔力不足(極大)、実体化に支障、魔力の不足により全パラメータ半減、魔力不足により宝具使用不可。
[思考・状況]
基本行動方針
優勝するためには手段を選ばず。一応マスターの考えは尊重しなくもない。が、程度はある。
1.マイケルを少し見直した。
2.最悪の場合はマスターからを魔力を吸い付くせば自分一人はなんとかなるので積極的に同盟相手を探す。
3.マスター(マイケル)に不信感とイラつきを覚えていたがだいぶ緩和。
[備考]
●乗り換えるマスターを探し始めました。
●トバルカインのマスター(少佐)と三人で話しました。好感度はかなり下がりました。
●ドラえもんでの魂食いしました。誤差の範囲で強くなりました。
●ランサー(カルナ)の戦闘を目撃しました。


【ランサー(真田幸村)@戦国BASARAシリーズ】
[状態]
筋力(20)/B、
耐久(20)/B、
敏捷(15)/C、
魔力(15)/C、
幸運(15)/C、
宝具(0)/B、
霊体化、疲労(中)、魔力消費(極大)、魔力不足により宝具使用不可、魔力不足により全パラメーター半減、肋骨にひびと内臓に損傷(どちらもまあまあ回復)、安堵と屈辱と無力感、そして茜への責任感。
[思考・状況]
基本行動方針
強敵たちと熱く、燃え滾る戦を!!だが‥‥
1:敵襲に備える。
2:あさしん(千手扉間)が生きて帰ってきて安堵。
3:ますたぁ(茜)に聖杯戦争について伝えたが……どうしてこうなった。
4:ますたぁ(茜)への申し訳なさと不甲斐ない自分への苛立ち。
5:あの爆発、あーちゃー(アリシア)は無事とアサシンは言ったが‥‥
6:俺は……
7:せいばぁ(テレサ)、ばあさあかぁ(小野寺ユウスケ)と再戦し、勝利する
8:あの卑劣な作戦、やはりあさしん(扉間)は忍びの者……?
[備考]
●ランサー(アリシア)のクラスをアーチャーと誤認しています。
●ランサー(アリシア)の真名を悟ったかどうかは後の書き手さんにお任せします。
●アサシン(千手扉間)を忍のサーヴァントだと考えています。
●病院内にランサーの噂が立ちました。『アイドルの関係者』、『映画の撮影』、『歌舞伎』、『うるさい』、『真田』といった単語やそれに関連した尾ひれのついた噂が広まり始めています。また病院外でも地方紙で報じられています。
●ランサー(カルナ)の戦闘を目撃しました。
●アサシン(千手扉間)への警戒心が薄れました。

【日野茜@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]
魔力消費(大)、頭にタンコブ(応急処置済)、???
[残存令呪]
3画
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯戦争はサーヴァント同士の格闘技!だと思ってたけどマスターも頑張らないと!!
1 .聖杯戦争という企画を頑張る!
2.アサシンさん(扉間)がとってきた映像をアップロードする……視聴者参加型なのかなやっぱり。
[備考]
●予選期間中他のマスター、サーヴァントと出会うことはありませんでした。
●月海原学園高等部の生徒という立場が与えられています。
所持金は高校生相応の額となっています。
●自宅は深山町のどこかです。
●セイバー(テレサ)、バーサーカー(小野寺ユウスケ)の基本ステータスを確認しました。
●気が動転していたため、ランサー(アリシア)、バーサーカー(サイト)、バーサーカー(ヘラクレス)のステータスを確認できていないかもしれません。
●病院にアイドル・日野茜の噂が立ちました。『アイドル』、『撮影』、『外人』などの単語やそれに関連した尾ひれのついた噂が拡がりはじめています。
●病院の特別病床に入院しました。病室のある階に立ち入るにはガードマンのいる階段を通るか専用のIDカードをエレベーターにタッチする必要があります。
●聖杯戦争を番組の企画だと考えたり考えなかったりしました。とりあえず今後自分が常にカメラに撮られていると考え視聴率が取れるように行動します。
●ランサー(カルナ)の戦闘を目撃しました。
●スマホにアサシン(千手扉間)が病院を出てから帰ってくるまでの映像があります。写っているのはランサー(カルナ)、ランサーのマスターのイリヤ、キャスター(兵部京介)です。


【アサシン(千手扉間)@NARUTO】
[状態]
筋力(15)/C、
耐久(15)/C、
敏捷(25)/A+、
魔力(9)/B、
幸運(5)/E、
宝具(0)/EX
霊体化、気絶、魔力不足(極大)、魔力不足により宝具使用不可、魔力不足により全パラメーター半減、飛雷針の術の発動不可のため敏捷が+分アップしない。
[思考・状況]
基本行動方針
聖杯を用いて木の葉に恒久的な発展と平和を。
1.???
2.ランサー(カルナ)のマスターはーー。
3.マスター(りん)が他の組に見つからないように警戒している……ランサーのせいで無理そうだが。
4.三つの問題は一先ず後回しでよいだろう。
5.魂喰いの罪を擦り付ける相手は慎重に選定する
6.穢土転生の準備を進める。
7.他の組の情報収集に務める。同時にランサー達を何とか隠ぺいしたいがたぶん無理。
8.女ランサー(アリシア)との明日正午の冬木ホテルでの接触を検討し、場合によっては殺す。
9.バーサーカー(ヘラクレス)は現在は泳がせる。
10.逃げたサーヴァント(サイト)が気になる。
11.聖杯を入手できなかった場合のことを考え、聖杯を託すに足る者を探す。まずはランサーのマスター(日野茜)。
12.マスター(りん)の願いにうちはの影を感じて……?
[備考]
●予選期間中に他の組の情報を入手していたかもしれません。
ただし情報を持っていてもサーヴァントの真名は含まれません。
●影分身が魂喰いを行ないましたが、戦闘でほぼ使いきりました。その罪はバーサーカー(サイト)に擦り付けられるものと判断しています。
●ランサー(アリシア)の真名を悟ったかどうかは後の書き手さんにお任せします。
●バーサーカー(ヘラクレス)に半端な攻撃(Bランク以下?)は通用しないことを悟りました。
●バーサーカーの石斧に飛雷針の術のマーキングをしました。
●聖杯戦争への認識を改めました。普段より方針が変更しやすくなっています。
●ランサー・真田幸村達とアーチャー・ワイルド・ドッグ達とフワッとした同盟を結びました。期限は8月8日です。またランサーのマスターがヒノアカネだと認識しました。
●九重りんへの印象が悪化しました。
●三谷亘の令呪二画付の肉塊が封印された巻物を九重りんの私物に紛れ込ませました。
●ランサー(カルナ)の戦闘を目撃しました。
●イリヤ(kl)の髪の毛を入手しました。アサシンが霊体化したため床に落ちました。
最終更新:2016年08月07日 04:29