版権異能授与バトルロワイアル@ ウィキ
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版権異能授与バトルロワイアル@ ウィキ
ja
2019-03-16T12:35:30+09:00
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殺人鬼達の不満をよそに少年少女は決断を下す
https://w.atwiki.jp/abilityrowale/pages/153.html
「お互いのことって、今更私達が何を知る必要があるんですか?」
長い時間に反比例する士郎と咲穂2人の薄い人間関係。
士郎はそれを冷静受け止め、今からでも遅くないと関係を深めようとしたのだが咲穂の冷徹な一言によって切り捨てられてしまった。
確かに咲穂の言い分は正しい。
今この時にも、殺し合いに参加している妹の天草ゆたかがどんな目にあっているか分からない。
だから、今更何を言うんだという咲穂の言動は実の所もっともだ。
だが、本来間違いようないほど違うゆたかと咲穂を間違えるほど動揺している自分。
そして、プロフィール以外ほとんど知らない長い付き合いの知人。
士郎はこの不安が募る組み合わせを少しでも何とかしたかった。
士郎としては、ゆたかに死んでほしくないのは勿論だ。
だが誰であろうとこの死んでほしいとは思わないし、誰かを殺す事も選びたくない。
その思いは強固だが、目の前にいる知人の江本咲穂は心を同じにしてくれているのだろうか。
人殺しを進んで行うとは流石に考えないが、ゆたかの為に1人位手に掛けるのではないか。
士郎の心の中には過剰ともいえる疑心と、殺し合いへの焦りと家族への心配がある。
それらが彼の心を不安定にさせているのだ。
だからこそ彼は自身を安定させる意味と、疑心を取り除きたい意味で咲穂と向き合いたかったのだが。
「そもそもすでに情報交換ならしたじゃないですか」
結果はこの通り。
士郎には向き合う気があるけど、咲穂にその気は無い。
彼女はゆたかの事しか考えていない。
士郎と向き合おうなど、欠片も思っていない。
「殺し合いが始まって2時間過ぎ。
その間私達が出会うまで、私とオニイサマの見てきた情報は共有したじゃないですか」
そもそも彼らは出会うまでの間、お互い異能も支給品もロクに調べずゆたかを探して動き回っていた。
しかしまるで見つからず、しばらく経ってから2人は合流した。
そしてお互い得た情報を交換し、共に行動するという経緯を経ている。
士郎はそれじゃ足りないと思うが、咲穂としてはそれで十分だった。
「ほら、早く行きましょうオニイサマ! ゆたかちゃんが待っています!!」
急かしてくる咲穂。
ゆたかが心配なのは士郎も同
2019-03-16T12:35:30+09:00
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1/6の生きている参加者
https://w.atwiki.jp/abilityrowale/pages/152.html
少女が目を覚まし、体を起こす。
その目にはどこか希望の様な物が見えたが、周りを軽く見てあっさり掻き消えた。
この殺し合いを悪い夢とでも思っていたのか、それとも私がいなくなるとでも考えていたのか。
どちらにしても呑気な話だ、と健彦は思う。
自分は何もしないのに周りは変わって欲しい、などと都合のいい望みを臆面もなく持つのだから。
まあ、大の大人が本気で思うなら苛立ちの1つでも覚えるかもしれないが、目の前の相手は年端もいかない少女だ。別に気にはならない。
それよりもこっちだ、と健彦は隣に居る友秋を見る。
天草友秋はこの少女にどう接するのか、そして少女は友秋を見て何を思うのか。
健彦には想像もできない。
「大丈夫かいお嬢ちゃん」
先に話しかけたのは友秋だ。いかにも友好的だというような笑顔を見せ、少女を安心させようとしている。
そして友秋は手を差し出し、少女はおずおずとその手を取った。
どうやら私の心配は懸念だったらしい。
私と目を合わせようとはしないが、これなら大丈夫そうだ。
あの少女には少し悪い気がしなくもないが、私の命の為にしばらくは一緒にいさせてもらおう。
と思ったら少女がいきなり立ち上がり、どこかへ向かって歩く。
「どこに行くんだい?」
「……おトイレ」
友秋が聞くと少女はあっさり答えた。まあ殺し合いが始まってからそういう事は1回もしてないから無理もない。
というか私も1回もしていなかった、少女のトイレが終わったら私も行っておこう。
そう思って健彦は待っていた。
しかし10分ほど待っていても少女が出てこない。
試しにノックをしてみても反応が無い。
「天草さん」
「何だ?」
「あの子供がトイレから10分以上出てきません。それだけじゃなくノックをしても反応がありません」
「何かあった、か?」
「分かりません。なので天草さんに確かめてほしいのですが」
「ああ、分かった」
友秋は健彦の頼みに応じて、トイレを開ける。
一応、入るよと宣言したうえで。
しかし、少女どころか誰1人としてトイレの中に姿は無かった。
トイレにある窓を見ると、開いていてその幅は子供なら十分に出られるくらいだった。
「に、逃げたのか……」
少女が逃げる
2019-03-16T12:27:11+09:00
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殺人鬼が虎と戦ってどうすんだ
https://w.atwiki.jp/abilityrowale/pages/151.html
怪物(ひと)、道端ロクサーヌと人間(おに)、笹原卓の戦いは一進一退だった。
と言っても2人の実力が伯仲していた訳では無い。
怪物と化したロクサーヌの身体能力は、人間である卓より高くなっている。
だから真っ向勝負ならロクサーヌの勝ちは明白だ。
にも関わらず互角なのには理由がある。
1つはロクサーヌが自らの異能に慣れていないからだ。
異能、名状しがたい力は彼女に人間を超えた力を与えた。
だが彼女は殺人はおろか喧嘩すら縁遠い生活を送るモデルである。
そんな彼女にとって与えられた力を操るのは難しく、振り回されるのが精々である。
異能には魔法と空手のスキルを扱うことができる効果もあるが、彼女はそれを把握していない。
もしも把握していれば戦いを有利に出来たかもしれないが、現状彼女に出来るのは身体能力を生かした直接攻撃のみだ。
ならば対峙している殺人鬼、笹原卓が有利なのかと言われるとそんな事はない。
まず単純に、肉体スペックが上がっているロクサーヌとは対照的に卓の身体能力は一般的な男子高校生の平均だ。
そして異能は幻想殺し、右手で触れた異能を打ち消すという強力な物だがリーチが短いという欠点がある。
更に言うと、ロクサーヌの名状しがたい力の様に肉体を変化させる異能に対してどう作用するかも分からない。
触れただけで人間に戻るのか、触れられている間、その場所だけ人間になるのかが卓には想像出来ない。
にも関わらず武器は現状片手剣のみ、なので彼は慎重な戦いを強いられている。
だからこその互角、お互いに決め手に欠けるのが現状だ。
しかしその現状も、まるで薄氷のようにいつ壊れてもおかしくないものだ。
「ハァ……ハァ……」
交戦の中、卓は息を切らす。それでも隙を見せないように心掛けているが、疲労は明白だ。
対するロクサーヌは息を切らすことなく卓を睨んでいる。
単純な身体能力の差が、持久戦という状況で露呈している。
この現状を正しく認識している卓は、思わず頭を抱えたくなりながらも考える。
――現状やっべーぞこれ!?
このままじゃ間違いなく俺は負ける。死にはしないが生きてればいいって問題じゃない。
勝つ手段? ねえよんなもん。単純に力で負けてんだから。
よし逃げるか。いやど
2018-07-18T11:06:54+09:00
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Bが知らせるもの/この夜に夢を見る暇は無い
https://w.atwiki.jp/abilityrowale/pages/150.html
トーマス・ベイカーと鏑木シリカの2人はE-4,井戸の家から出発しようとしていた。
「さて、次の目的地だが……」
「南東の集落じゃないんですか?」
トーマスの言葉に疑問を呈すシリカ。
彼女はトーマスの目的である人喰いをする為に、参加者が集まりやすそうな集落を目指すと思っていた。
「いや、私はここを目指そうと思っている」
そう言ってトーマスは持っている地図を広げ、目的地を指差す。
そこはシリカが考えていた場所とは真逆だった。
「座礁船、ですか……」
「ああ、私はそこを目指す」
A-1にある座礁船、それがトーマスの目的地だった。
それを意外だとシリカが思っていると、トーマスはそれを見破ったのかなぜそこを目指す理由を説明し始めた。
「私がここを目指そうと思った理由は簡単だ。ここには何かある、そう考えたからだ」
「……簡単すぎます」
一言で説明され、思わずツッコミを入れるシリカ。
勿論トーマスもこれで説明を終わらせる気はなく、詳しい説明を始めた。
「そもそも私は最初から疑問だった。
資源開拓プラントはまだしも、座礁した船を地図に乗せていることが。
それも島から数百メートルは離れた位置にある船をだ。
殺し合いなら島の中だけで完結させても問題ないだろう、あのナオ=ヒューマが参加者を海に出す意味も無い」
「そうですね……」
トーマスの言葉に同意するシリカ。
それを背に受けながら説明は続く。
「ミス鏑木、私にはこの座礁船と資源開拓プラントは、殺し合いに乗る者の為にある訳では無い様に見えるのだよ」
「え?」
殺し合いに乗る者の為ではない、ならば誰の為に船やプラントはあるのか。
そのシリカの疑問にトーマスは答える。
「考えられる可能性は3つ。
まず1つ目はナオ=ヒューマの為にある」
「はぁ……」
「船やプラントがこの会場に置いてあるのはナオ=ヒューマにとって置かなければならない事情がある、という考え方だ。勿論理由は分からないがな」
「勿論、なんですか……」
「勿論だ、我等には情報が無さすぎる」
「なら、2つ目は何ですか」
勿論を付ける意味はあるのか、そう思いながらシリカは1つ目の可能性には納得できた。
だからこそ次に聞く事にな
2018-05-12T07:53:49+09:00
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図書館についたぞ
https://w.atwiki.jp/abilityrowale/pages/149.html
C-7の山の頂上、科学教師と大輔は図書館に向かうつもりだ。
しかしその前に、せっかく高所に居るのだから少し偵察していこうと科学教師は提案した。
そして科学教師は山頂の展望台にある望遠鏡を使い、辺りを見渡している。
「どうですか、何か見えますか先生?」
「南東で火事が起きているのが見える。場所はそうだな、地図でいうならE-8のミカン畑辺りか」
「火事、ですか……」
科学教師の言葉にオウム返しな返答をする大輔。
だが、特に気にすることも無く科学教師は言葉を続ける。
「火事に関しては誰かが火を放った以上の事は知ることは出来ない。
異能で攻撃した結果燃えたのか、ガソリンでも撒いて火のついたライターを投げ込んだのか分からんからな」
それだけ言って科学教師は望遠鏡から離れる。
そこで大輔に向かって一言。
「さあ出発だ。他に情報を集めようにもこの位置と今の時間では何も見えんからな、動かなければ」
「分かりましたよ」
科学教師の言葉に大輔は従い、2人は山を下りるのだった。
◆
そして2人は特に何の障害にぶつかることも無いまま図書館の目の前に到着した。
「いささか拍子抜けだな。正直一戦位は覚悟していたのだが」
「いやぁ、危険が無いに越したことはありませんよ」
「後でツケが回ってこなければいいが……」
そう言いながら科学教師は図書館の扉に手を掛ける。
この時、先に来ている他の参加者が罠を仕掛けている可能性も考えて、慎重になることも忘れない。
だがその心配は杞憂となり、2人は少しホッとした面持ちで図書館に入るのだった。
「さて、早速自分の異能を調べると行きたいところだが……」
「だが、何です?」
そこで科学教師は眼を鋭くし、大輔に真剣な口調で問いかける。
「どうやって調べればいい?」
「どうやってと言われましても……」
大輔は科学教師の言葉に困惑しながら、辺りを見渡す。
すると図書館の入口から少し離れたところにあるものを見つけた。
「あ、あそこにパソコンがあります! あれ使えばいいんじゃないですか?
でかい本屋とかなら検索機器みたいなのがあるし、そんな感じで」
「そんなものがあるのか。
あいにく私はホームレスでな、そんな
2018-04-24T09:33:19+09:00
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ヒーローの資格
https://w.atwiki.jp/abilityrowale/pages/148.html
鬱蒼とした茂みを走り続ける、一人の走る男の姿がある。
走る男は、お世辞にも恵まれた体格とは言いがたい。
運動をしてないと想像するに難くない、だらしない体格。
センスもあまり感じられない、どこにでもあるファッション。
人によっては、嫌悪や侮蔑の対象の代表格たる姿をした男だ。
しかし、誰が思うだろうか。この身体を動かしているのは、
元々少女だった存在、しかも学園一の美女とまで評された存在など。
この身体の持ち主である大木潮の異能、ボディーチェンジによって身体を入れ替わった少女、
天草ゆたかはブッチャーマンとの戦いに敗れ、今もなお敗走の道をたどっていた。
ゆたかが逃げるまで潮が必死に時間稼ぎをしたお陰で、彼女は無事に逃亡に成功している。
「あ―――」
がむしゃらに走り続け、ゆたかは足を滑らせて派手に転ぶ。
運動不足の身体でがむしゃらに走り続ければ、体力の限界は転ぶに決まっている。
運動嫌いにより、典型的な肥満体となった潮の体躯は、元が小柄な彼女では不慣れなものだ。
元となるギニューも、孫悟空を乗っ取った時に戦闘力が本来のより、かなり低かったのと同じである。
「イタタ・・・・・・」
転びはしたものの、肥満体のお陰でいくらか衝撃は和らげた。
同時に、本来なら当たらないであろう部分までダメージがあるのだが。
顎をさすりながらゆたかは(肥満体においての)すばやい動きで身を起こし、背後を見やる。
こんな派手に転べば敵にとってはチャンスでしかなく、恐怖に染まった顔ですぐに見るが、背後は誰もいない。
ブッチャーマンの姿はないが・・・・・・同時に、自分の―――潮の姿もなかった。
あるはずがなくとも、まだ現実を受け入れられてないのだ。
自分の身体・・・・・・も確かにあるにはあるが、殆ど二の次である。
身体よりも、潮を見捨てて逃げ出したことが一番の後悔だ。
潮は最善だからした行為であり、レイジングハートもそう促した。
わかっている。だからこそ、こうやって逃げていたのだから。
だからと言って彼女は人の死を簡単に受け入れられる存在ではない。
魔法少女に憧れて、しかもあの高町なのはの魔法を得た言うのに、
一人の命を救うことも出来ず死なせてしまい、逆に助けられて。
彼
2018-04-24T09:35:51+09:00
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ロクでなし成人男性達と壊れた少女
https://w.atwiki.jp/abilityrowale/pages/147.html
I-8にある集落にある家の1つ。その中に居る男、側後健彦は体を休めつつ持っているプレーヤー、謝債発行機で曲を聴きながら考える。
何について考えているのかというと、自身の能力についてである。
自分の能力で出したプレーヤーは、ただ音楽を再生するだけではない、はずだ。
だが現状はプレーヤーでしかない。
それ以上の事を起こすには、何らかの条件があるのだろうか。
ならば、これに入っている曲にも何らかの意味があるのではないか。
そう思ってしばらく聴いていたが、どう聴いてもただの洋楽のアルバムである。
曲名に意味があるとか、歌詞にヒントがあるとなれば絞り込むのは難易度が高い。
「チッ」
ここまで考えて出した結論は、『これ以上聴いても大した意味は無い』だった。
その考えに至った健彦は舌打ち混じりに音楽を止め、イヤホンを外した。
考えてどうにかなる問題ではなく、答えを探る方法も無いのなら一旦後回しでもいいだろう。
最も、襲われた場合は能力を用いて戦うことは出来ないだろうがそこは割り切る。
それに能力を使いこなしている参加者は少ないのではないか、と健彦は思う。
ヒューマが渡した能力が何らかの創作物を移植したものである以上、その作品について知っていなければ使いこなすことは出来ないはずだ。出来るにしても完全ではないだろう。
丁度今の私やこのガキみたいに。
作品の知名度が有名なら話も変わって来るが、それならば対処法も同時に有名であってもおかしくはない。
「待て……」
そこで健彦は別の可能性に行き当たる。
彼はヒューマが言っていたある言葉を思い出した。
『五十嵐椿……IQ180でありながら平穏無事を嫌い混沌を好んでいる性格で殺し合いをかき乱してくれると思ったが、その荒事を望む性格が仇になったな』
この言葉、ヒューマが五十嵐椿という女を惜しんでいる台詞だがここからもう1つ情報が読み取れる。
それは、ヒューマが決して参加者を適当に選んだのではなく、ある程度精査した上で殺し合いを開いたという事だ。
ならば、参加者がどんな作品を知っているかも調べているだろう。
となると、知名度が低くても知っている参加者に強力な能力を渡すことも出来るはずだ。
更に言うなら、精査して集めた以
2018-01-12T10:09:06+09:00
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セトの花嫁
https://w.atwiki.jp/abilityrowale/pages/146.html
J-4の砂浜を移動していた、そう、万緒、舞とジャックフロストによる三人と一匹は、図書館へ向かうまでの間にまた一人の仲間が増えることになった。
いや、一人の仲間というより一匹の仲魔が増えることになった。
ジャックフロストの提案により、全員の生存率を高めるため、新たに仲魔を増やすことにしたのだ。
「“ピクシー”!」
万緒が天に右手をかざすと、少女たちの近くに稲妻が落ち、そこから新たなる仲魔が現れた。
悪魔が小さな羽をトンボのようにバタつかせて宙に浮きながら、赤い瞳で周囲を見回す。
「あれあれ? ここはどこかしら……って、ちょっと、頬ずりしないでよ!」
「妖精っていうから可愛らしいの想像したけど」
「むっちゃ可愛いやん! まるでリインフォースや」
「万緒~、私にも抱かせて!」
「……やれやれ、またこのパターンかホ」
召喚したピクシーは妖精の名前のとおりに、手のひらに乗りそうな小さな少女に羽虫の羽と尖った耳を持った愛くるしい姿をしており、カワイイもの好きな女の子ならまず反応する姿をしていた。
召喚した直後にさっそくピクシーを愛でる三人の少女、弄ばれてバタバタするピクシー。
その端で経験のあるジャックフロストはため息をついていた。
「ねえ、ジャックフロスト! 悪魔ってこんなに可愛いのばっかりなの?」
「んなわけねえホ。ダツエバとか見たらおまえら卒倒するホ」
「だ、誰かアタシに状況を教えて~~~!」
すっかり悪魔への恐怖心が薄れてしまっている万緒にジャックフロストは呆れるように言葉を返す。
ついでに状況についていけずに混乱しているピクシーに、現状を説明しておいた。
「ふぅ~ん、じゃあこの人修羅が死んだら契約しているアタシたちも死ぬのね?」
「まあ、そういうことになるホ。
マオは殺し合いに乗る気はないみたいだからオイラたちは殺し合いからの脱出を目指すことになるホね」
「ボルテクス界に帰るにはそれしかないかぁ」
「ボルテクス界って何?」
「オイラたちの住んでいた世界のことだホ」
ジャックフロストによってだいたいの状況を理解したピクシーは、にこやかに笑って万緒に手を差し出した。
握手のつもりらしい。
「わかったわ。私は妖精ピクシー。
ボルテクス界に帰るためにマオたちに協力するね」
「あり
2018-01-03T12:36:00+09:00
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ギャルと見るはじめての異能
https://w.atwiki.jp/abilityrowale/pages/145.html
まだ夜明けにも遠い時間の暗い森。
その中をゆっくりと進む二つの影があった。
水泳部兼空手部の大学生である田所恋矢と、読者モデルのギャル千原亜希である。
恋矢は亜希を守るナイトのように彼女の前を歩いている。
否、歩かされていると言った方が正しいだろう。
それでもまだ、この殺し合いの場で襲撃者に対してか弱い婦女子の盾になろうとしていれば勇ましいと言えるのだが。
「あのさぁ……おまえがビビリすぎて全然前に進めないんですが。
頼むよ~、もっと早く歩いてくれよ」
「ヤダ、虫怖いもん」
……単に虫が怖いから、恋矢に前を歩いて欲しいだけのようだ。
人が死なない前提のお化け屋敷でカップルがデートの相手に前を歩かせるのと何ら変わりがない。
殺し合いの場では随分と呑気に見えるが、この二人はまだこの殺し合いがドッキリではないかと疑っており、異能に関してもさほど信じていない。
殺し合いは始まったばかりとはいえ、血なまぐさいことにまだ無縁であり、恋夜には人殺しの道具であるナイフや日本刀が確かに支給されてはいたが、ドッキリを信じ込ませるための小道具と強引に解釈も可能と言えば可能。
異能に関しては亜希が先ほど発露させたスパイダーセンスも、考えようによっては直感を思い込みで予知能力か何かと誤認したと思えば片がついてしまう。
それが二人に良くも悪くも緊張感のない行動を取らせるのだった。
「はぁ……千原サンが虫が怖いのはよくわかりましたよ。でもさ」
「なに?」
「虫はダメでなんでトカゲは大丈夫なんだよ?」
溜息混じりに恋矢が振り向いた先には虫に対して360度警戒する亜希の顔があったが、その肩の上には一匹の手のひらサイズの白トカゲが乗っていた。
トカゲは変温動物なので太陽が昇るまで彼女の頭から動く気配がない。
ちなみにこの白トカゲはこの森で見つけたトカゲではなく本来は恋矢の支給品であり、虫かごに入っていたコレを見覚えのあるらしい亜希に譲渡したのだ。
「ええ? なんで?」
「なんでって……キモくないのかよトカゲ」
「はあ!? ミケルつーか、トカゲはそんなにキショくないし!
触ってみると蛇革みたいで案外気持ちいいし、お目目はクリッとしてて二つに割れた舌をチロチロするところはなんだかキモ可愛いし、足は四本で動きも芋虫や蜘蛛みたいにキモ
2018-01-03T12:38:01+09:00
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あの素晴らしい愛をもう一度
https://w.atwiki.jp/abilityrowale/pages/144.html
ミカン畑に背を向けて、鈴宮ミカは歩く。
何処へと問われたら、彼女にも分からず。
何故かと問われたら、燃え広がる前に避難する為に。
ミカがミカン畑を後にして最初に考えたことは、体制を立て直すにはどう動くかについてだった。
彼女は先ほどキリエロイドに変身した分目青司に後れを取っている。
理由としては、手持ちの銃マイクロ・ウージーがキリエロイドに通じないという物理的な面と、青司が出した獄炎弾を見てトラウマを思い出した精神的な面がある。
このうち精神的な部分は彼女自身の問題で、一朝一夕では解決できない。
それを理解しているが、彼女はあえて今は考えないようにしている。
彼女が考えているのはもう一つの方、物理的な面だ。
手持ちの銃じゃ通じない、ならばもっと強力な武器を手に入れなければ。ではその為にどうするか。
その答えは既に出ている。
「他の参加者から殺して奪い取ること……」
それが最善だと彼女は理解していた。
だがここで別の問題が発生する。
一応言っておくと、彼女は別にその事に不満も躊躇も一切ない。
元々他の参加者も殺すつもりだったのだから当たり前である。
物理的な意味でも問題は無い。
彼女は辛い過去を持ち、それを無かった事にする為に殺し合いに乗れるある意味肝が据わっている少女だがそれ以外は普通である。
とはいえ彼女にはナオ・ヒューマに与えられた異能がある。
その異能はジョジョリオンに登場したスタンド、ビタミンC。
射程こそ指紋で作った結界内部という特殊なものの、その能力は強力だ。敵対すれば対処は容易ではない。
では何が問題かというと
「悪霊だけじゃ殺して回れない……」
ミカは気がはやっていた。
それはこれまでの行動でも明らかだ。
友好的に接してきた相手をだまし討ちでは無く問答無用に銃撃。
銃に慣れていないのだからもっと近づいてから撃てば確実に命中し、青司の命を奪うことが出来ただろう。
最も、これは気がはやるだけでなく、異能と支給品に恵まれたことにより油断していたという部分もあるが。
その油断が除かれた今でも、態勢を立て直したら打って出るつもりなのだから気がはやっていることは事実だ。
しかしこれに関して彼女に非があるとは言い難い。
彼女
2017-10-27T11:18:19+09:00
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