ヴァンパイア


吸血鬼。人間の血液をエネルギー源として摂取する、不死なる者達の総称。
血を吸う相手が清らかな処女か童貞であれば、その相手は同じ吸血鬼として
眷属に加わり、そうでなければ息絶えた後に意思を持たないゾンビのような
傀儡として蘇るのだと言う。
修道女や神父にとってはまさに忌むべき敵であり、神の加護を受けた騎士達で
構成された聖騎士団とはその創設以来、互いに不倶戴天の怨敵である。

その多くは吸血鬼により血を吸われて、望むと望まざるとに関わらず吸血鬼の
眷属となった元人間(もしくは、人に近しい亜人種)達だが、稀に魔術を
究めた末に人間としての生を捨て吸血鬼となった者や、人々の知る遠く以前の
歴史より既にそうであった純粋な種としての吸血鬼も存在しており、
そうした者達は他の吸血種やアンデッドを遥かに凌ぐ恐るべき力を持つため、
畏怖を込めて『不死の王(ノーライフ・キング)』とも呼ばれている。

他のアンデッド同様に穢れた魂を持つため神聖な力に弱く、十字架や太陽の光を
弱点とするほか、ニンニクや銀を忌み嫌い、また何らかの護衛がなければ流れる水を
踏破できないとされる。
しかしながら、あくまでこれは「他のアンデッドと同程度」の吸血鬼に限った話である。
これらの弱点を克服した強力な吸血鬼の存在は、決して少なくはないであろう。
もし貴方が吸血鬼に狙われているのならば、ニンニクの首飾りを掛けて教会に立て篭もるより、
まずは彼らを狩る「ヴァンパイア・ハンター」と呼ばれる者達を頼る事だ。

吸血鬼狩りを生業とするのは教会から命じられた神父や聖騎士の他、自らも吸血鬼と
人間の混血である「ダンピール」や、生まれながらに吸血鬼と戦う事を宿命付けられた
「クルースニク」と呼ばれる者達がいる。


+ ...
「ヴァンパイア(Vampire)」の語源については諸説あり定かではないが、有力なものとしては
リトアニア語の「wenpi(飲む)」に接頭辞「av」が付いた「wenpiav」であろうという説、
ギリシャ語の「vam(血)」と「prien(餓えている)」の合成語であるという説などがある。

文学的創作物として「ヴァンパイア」の語が初めて登場したのは、詩人バイロン卿の詩集を
原作として、ジョン・ポリドーリが1819年に刊行した『The Vampyre』である。
(「vampire」という名を冠した著作物自体は1732年に世へ出ているが、それは検察による
 事件報告の比喩表現としてだった)
が、吸血鬼の名声(悪名)を世界に轟かせ、日本においても狼男やフランケンシュタインと並び、
最も有名な怪物に仕立てた功労者は1897年に『吸血鬼ドラキュラ(原題:Dracula)』を記した
ブラム・ストーカーであろう。
それまでも民間伝承として吸血鬼の何たるかは口伝されていたものの、今に知られている彼らの
異能や弱点をはじめとする特性の多くが、この小説により決定付けられたと言っていい。

ただし、あまりに有名すぎるための弊害もあり、かつての日本では「吸血鬼といえばドラキュラ」
という誤認識が一般的であった。
(ファンタジー好きの諸氏にとっては今さら言うまでもないが、ドラキュラとはあくまでも
 当該小説に登場する吸血鬼の個人名、及びそのモデルとなったワラキア公ヴラド3世の
 俗称及び自称である)
昨今はインターネット等情報媒体の普及や、吸血鬼を扱った創作物が増えてきたこともあり
「ヴァンパイア」という名称が定着してきてはいるものの、一定以上の年齢層にとって
吸血鬼=ドラキュラ、のイメージは未だ根強いといえよう。


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最終更新:2016年02月07日 22:34