アエテルタニスの歴史

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アエテルタニスの歴史」(2016/02/28 (日) 18:19:56) の最新版変更点

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<h3>人族と女神の歴史</h3> <p> アエテルタニスにおいて、魔族の力は絶対である。<br />  魔族が放った騒乱の火は全てを焼き滅ぼし、人族の過去を振り返るのは容易ではない。</p> <p>1. 神古代<br /><br />  アエテルタニスの目覚めは、クロデア、リデア、メモリアの三女神による《目覚め》によってもたらされた。</p> <p> 人族の歴史にまず現れるのは、神話と史実が入りまじった時代である。<br />  この時代、人族は農耕や牧畜を行って、小規模な集落で暮らしていたと考えられている。<br />  三女神たちは人族の王たちと親しく交わり、伴侶を得て子をなした。<br />  これらの女神の子は半神、または人神と呼ばれ、人族の指導者となり、神聖魔法を用いて様々な奇跡をおこなったとされる。<br />  現在でもこれらの半神への信仰を残す地域は多い。<br />  この時代の遺跡からは神古代語による文書や石板、《選定の剣》が発見されている。<br /><br /> 2. <span style="line-height:1.6em;">混乱期</span></p> <p> 急激に勢力を増した魔王と魔族、半神率いる人族が衝突し、混乱期が訪れた。<br />  半神たちは神聖魔法を人族に授け、戦いに備えた。<br />  この時代に神聖魔法を授けられた者たちが現在神官、もしくは聖騎士と呼ばれる者たちのいわば原型である。<br />  そうして人族は苛烈な攻防を繰り返しながら、魔族との戦いのため大規模な集団となり、国家を作り上げていく。<br />  一時は王たちが団結し、人族全体を統べる大帝国となりかけたが、実現しないまま魔族に攻め滅ぼされた。<br />  このとき、多くの半神たちは滅ぼされ、女神の血は途絶えてしまった。<br />  その原因は魔族というよりも、人どうしの内紛であったともいわれている。<br />  この帝国の拠点となる首都がどこにあったのかについては複数の地名が挙げられていて、いずれも魔族によって徹底的に破壊されている。<br />  わずかに残った遺物からは、高度な文明、それも戦争に用いられる兵器に関するものが多く出土する。</p> <p>3. 小国の乱立と教会の成立<br /><br />  人族の一大帝国という希望が破綻し、人族は分裂を繰り返し、小国が乱立していった。<br />  かつての半神たちの末裔を名乗る王もあったが、それは自らの正当性を主張するためだけのものであり、強力な神聖魔法による奇跡の技は失われている。<br />  もはや国家による守護を当てにできなくなった人々は、魔族の蹂躙に耐えながら、救いの時を待つしかなかった。<br />  嘆き、苦しむ人々は、各女神や半神たちへの信仰を拠り所に神官たちの元へと集まり、国家を越えた組織としての教会が成立していく。<br />  教会は救いを求めて神古代の聖遺物を集め、祈りを捧げ、それらの人々を聖騎士が守護していた。<br />  あるとき、女神クロデア派の教会のひとつから、聖遺物の剣を手にした若者が魔王討伐への旅に出た。<br />  その人物は各地の王を訪ねて仲間を募った。彼の旅路は女神に守護され、とうとう魔王を討ち滅ぼすに至る。<br />  これが人族の歴史上はじめて誕生した勇者であり、その故郷の名をとってミセリコルディオの勇者、と呼ばれる。<br />  しかし、この勇者の真実の姿は謎に包まれている。<br />  これは魔族の謀略ではなく、王たちの手による隠匿であり、それは故郷をも焼き払うほどの徹底的なものだった。<br />  彼らがどうして人族の英雄であるミセリコルディオの勇者について、その経歴や旅の事実までもを隠したがったのかは、魔王を倒した勇者の末路を考えれば当然といえる。</p> <p>--勇者の誕生--<br /><br />  王たちによる隠匿は、逆効果だったかもしれない。<br />  ミセリコルディオの勇者が魔王討伐を成し遂げたという事実は、瞬く間に噂となった。<br />  魔族の一方的な蹂躙に苦しむ人々にとって強大な魔王を倒す術がある、ということは大きな希望であり、各地の教会は選定の剣を求める若者たちで溢れた。 自ら剣を取り、旅立つ聖騎士の姿も多くみられた。<br />  本当の事実を知る王たちも、彼らの旅立ちを黙って見送り、国境の行き来を許した。<br />  魔王を倒しても新たな魔王が誕生するだけであっても、もしも善なる心を持つ人間が魔王となれば、新たな魔王は人族に害をなさないかもしれない。そんな打算があったのだろう。王たちと教会は勇者の育成や旅立ちを積極的に支援していく。<br />  こうして無数の若者が魔王討伐のために旅立ち、圧倒的大多数が無残な死を迎えた。<br />  しかし何人かは実際にこの大事をやり遂げた。<br />  だが、人族に害をなさない新たな魔王の誕生という目論見は大きく外れた。<br />  人から魔王へと転じるときに、その心が邪悪に染まってしまうのかもしれない。<br />  それとも、魔王討伐という過酷な道を行くために、その心が擦り切れて人への憎しみが募るからかもしれない。<br />  彼らは新たな魔王となり、変わらず人を苦しめる存在となった。<br /><br /><br /><span style="line-height:1.6em;"><strong>魔族の歴史</strong></span><br /><br /><span style="line-height:1.6em;">人族の視点と、魔族の視点は時に重なり、時にかけ離れたものになる。</span></p> <p>魔族の歴史の多くは口伝や長寿の魔族の記憶によるところが多く、謎めいている。<br /> 彼らの歴史を、人が魔族から伝え聞くことは危険と隣あわせの作業となり、見返りは少ない。</p> <p>1. 神古代<br /><br />  神古代の魔族は小型の竜種や闇に潜む獣であり、言語、文字を持たない知能の低い生命体であったと考えられている。<br />  彼らはあくまでそれぞれの種族ごとに、その習性に従って生きていた。<br />  この時代、魔族は人族に対して劣勢であり、女神に愛された人族の勢いに負けて生存領域を狭めて行った。<br />  やがて昼の世界は完全に人族のものとなり、魔族たちは闇に隠れ息を潜めていた。<br />  しかし、追いやられた果ての大地で、ある魔族が《闇の火種》を手にいれた。<br />  その魔族がどんな種族であったのか、火種がどんなものなのかは、いずれの伝承にも残っていない。<br />  闇の火種に触れた者は強大な闇の魔法を手に入れ、部族の支配者となった。<br />  魔王の誕生である。</p> <p>2. 混乱期<br /><br /> 人が選定の剣を求めたように、魔族も闇の火種を探し求めた。<br /> 魔法の力を分け与えられた眷属たちはより強力なものとなり、人族の土地に侵攻を始める。<br /> この混乱期の終末までに闇の火種は探し尽くされ、十三の魔王が誕生した。</p> <p>3. 最大の勢力へ/魔王どうしの闘争<br /><br />  魔族たちは十三の王を戴き、人族へ暴虐の限りを尽くした。<br />  人をさらい、豊かな土地や資源を奪いあう。浚った人族は殺されるか、食われるか、奴隷にされるか、悲惨な末路を辿った。<br />  その過程で人族の持つ技術や文字といった文化に触れ、影響を受ける魔王もいた。<br />  しかし魔族たちの領地が際限無く広がっていくと、自然、得られる大地は残り少なくなっていく。<br />  ここに、魔王と魔王、魔族と魔族どうしの戦いの火蓋が切られた。<br />  魔族たちは三つの大戦争を引き起こしている。</p> <p>アウェルサの戦い<br /> アルドル・プルサの戦い<br /> テサウルスの戦い</p> <p> これらの戦いはいずれも複数の魔族の陣営に別れ、魔法と魔法がぶつかりあい、魔王どうしが互いの血肉を食らい合う悲惨なものであった。<br />  戦争によって世代交代が行われることもしばしばで、勇者による魔王討伐より脅威の度合いが高かった。<br />  しかもこれらの戦いの最中は人族への魔族の干渉は緩やかなものとなり、団結の機会を生んでしまった。<br />  なお、最大規模の戦いとなったテサウルスの戦いの裏では、人族が巨大な統一国家を作ろうとしていた。<br />  危機を察知した先代アダマス王は各陣営に呼びかけ、停戦へと導き、初めて魔族独自の文字による成文法をもたらすこととなった。<br />  このことを契機に、魔王たちの間に、人族への興味と関心が湧くようになった。<br />  </p> <p>4. 現在<br /><br />  人族に対して、一番先進的な態度を取っているのが現アダマス王である。<br />  彼は父親から王位を引き継ぐと、先代の意志を継いで人に対して寛容な態度を取り、魔王ユカの力を借りてその文化を取り入れ始めた。<br />  アダマスへの忠誠を誓いさえすれば、その領地では人族であっても理由のない略奪にあうことはない。<br />  アダマス支配地域では、人族は神古代以来の平穏な生活を送ることが可能となった。</p> <p> ……実際のところ、彼は音楽を好み、それを思う存分楽しみたいだけなのだが。</p> <p> しかし、アダマスの人への寛容さを快く思わない勢力があることも、確かなのである。</p> <p> </p>
<h3>人族と女神の歴史</h3> <p> アエテルタニスにおいて、魔族の力は絶対である。<br />  魔族が放った騒乱の火は全てを焼き滅ぼし、人族の過去を振り返るのは容易ではない。</p> <h4>1. 神古代</h4> <p> アエテルタニスの目覚めは、クロデア、リデア、メモリアの三女神による《目覚め》によってもたらされた。</p> <p> 人族の歴史にまず現れるのは、神話と史実が入りまじった時代である。<br />  この時代、人族は農耕や牧畜を行って、小規模な集落で暮らしていたと考えられている。<br />  三女神たちは人族の王たちと親しく交わり、伴侶を得て子をなした。<br />  これらの女神の子は半神、または人神と呼ばれ、人族の指導者となり、神聖魔法を用いて様々な奇跡をおこなったとされる。<br />  現在でもこれらの半神への信仰を残す地域は多い。<br />  この時代の遺跡からは神古代語による文書や石板、《選定の剣》が発見されている。</p> <h4>2. 混乱期</h4> <p> 急激に勢力を増した魔王と魔族、半神率いる人族が衝突し、混乱期が訪れた。<br />  半神たちは神聖魔法を人族に授け、戦いに備えた。<br />  この時代に神聖魔法を授けられた者たちが現在神官、もしくは聖騎士と呼ばれる者たちのいわば原型である。<br />  そうして人族は苛烈な攻防を繰り返しながら、魔族との戦いのため大規模な集団となり、国家を作り上げていく。<br />  一時は王たちが団結し、人族全体を統べる大帝国となりかけたが、実現しないまま魔族に攻め滅ぼされた。<br />  このとき、多くの半神たちは滅ぼされ、女神の血は途絶えてしまった。<br />  その原因は魔族というよりも、人どうしの内紛であったともいわれている。<br />  この帝国の拠点となる首都がどこにあったのかについては複数の地名が挙げられていて、いずれも魔族によって徹底的に破壊されている。<br />  わずかに残った遺物からは、高度な文明、それも戦争に用いられる兵器に関するものが多く出土する。</p> <h4>3. 小国の乱立と教会の成立</h4> <p> 人族の一大帝国という希望が破綻し、人族は分裂を繰り返し、小国が乱立していった。<br />  かつての半神たちの末裔を名乗る王もあったが、それは自らの正当性を主張するためだけのものであり、強力な神聖魔法による奇跡の技は失われている。<br />  もはや国家による守護を当てにできなくなった人々は、魔族の蹂躙に耐えながら、救いの時を待つしかなかった。<br />  嘆き、苦しむ人々は、各女神や半神たちへの信仰を拠り所に神官たちの元へと集まり、国家を越えた組織としての教会が成立していく。<br />  教会は救いを求めて神古代の聖遺物を集め、祈りを捧げ、それらの人々を聖騎士が守護していた。<br />  あるとき、女神クロデア派の教会のひとつから、聖遺物の剣を手にした若者が魔王討伐への旅に出た。<br />  その人物は各地の王を訪ねて仲間を募った。彼の旅路は女神に守護され、とうとう魔王を討ち滅ぼすに至る。<br />  これが人族の歴史上はじめて誕生した勇者であり、その故郷の名をとってミセリコルディオの勇者、と呼ばれる。<br />  しかし、この勇者の真実の姿は謎に包まれている。<br />  これは魔族の謀略ではなく、王たちの手による隠匿であり、それは故郷をも焼き払うほどの徹底的なものだった。<br />  彼らがどうして人族の英雄であるミセリコルディオの勇者について、その経歴や旅の事実までもを隠したがったのかは、魔王を倒した勇者の末路を考えれば当然といえる。</p> <h4>--勇者の誕生--</h4> <p><br />  王たちによる隠匿は、逆効果だったかもしれない。<br />  ミセリコルディオの勇者が魔王討伐を成し遂げたという事実は、瞬く間に噂となった。<br />  魔族の一方的な蹂躙に苦しむ人々にとって強大な魔王を倒す術がある、ということは大きな希望であり、各地の教会は選定の剣を求める若者たちで溢れた。 自ら剣を取り、旅立つ聖騎士の姿も多くみられた。<br />  本当の事実を知る王たちも、彼らの旅立ちを黙って見送り、国境の行き来を許した。<br />  魔王を倒しても新たな魔王が誕生するだけであっても、もしも善なる心を持つ人間が魔王となれば、新たな魔王は人族に害をなさないかもしれない。そんな打算があったのだろう。王たちと教会は勇者の育成や旅立ちを積極的に支援していく。<br />  こうして無数の若者が魔王討伐のために旅立ち、圧倒的大多数が無残な死を迎えた。<br />  しかし何人かは実際にこの大事をやり遂げた。<br />  だが、人族に害をなさない新たな魔王の誕生という目論見は大きく外れた。<br />  人から魔王へと転じるときに、その心が邪悪に染まってしまうのかもしれない。<br />  それとも、魔王討伐という過酷な道を行くために、その心が擦り切れて人への憎しみが募るからかもしれない。<br />  彼らは新たな魔王となり、変わらず人を苦しめる存在となった。</p> <br /><br /><h3>魔族の歴史</h3> <br /><p><span style="line-height:1.6em;">人族の視点と、魔族の視点は時に重なり、時にかけ離れたものになる。</span></p> <p>魔族の歴史の多くは口伝や長寿の魔族の記憶によるところが多く、謎めいている。<br /> 彼らの歴史を、人が魔族から伝え聞くことは危険と隣あわせの作業となり、見返りは少ない。</p> <h4>1. 神古代</h4> <p> 神古代の魔族は小型の竜種や闇に潜む獣であり、言語、文字を持たない知能の低い生命体であったと考えられている。<br />  彼らはあくまでそれぞれの種族ごとに、その習性に従って生きていた。<br />  この時代、魔族は人族に対して劣勢であり、女神に愛された人族の勢いに負けて生存領域を狭めて行った。<br />  やがて昼の世界は完全に人族のものとなり、魔族たちは闇に隠れ息を潜めていた。<br />  しかし、追いやられた果ての大地で、ある魔族が《闇の火種》を手にいれた。<br />  その魔族がどんな種族であったのか、火種がどんなものなのかは、いずれの伝承にも残っていない。<br />  闇の火種に触れた者は強大な闇の魔法を手に入れ、部族の支配者となった。<br />  魔王の誕生である。</p> <h4>2. 混乱期</h4> <p><br /> 人が選定の剣を求めたように、魔族も闇の火種を探し求めた。<br /> 魔法の力を分け与えられた眷属たちはより強力なものとなり、人族の土地に侵攻を始める。<br /> この混乱期の終末までに闇の火種は探し尽くされ、十三の魔王が誕生した。</p> <h4>3. 最大の勢力へ/魔王どうしの闘争</h4> <p><br />  魔族たちは十三の王を戴き、人族へ暴虐の限りを尽くした。<br />  人をさらい、豊かな土地や資源を奪いあう。浚った人族は殺されるか、食われるか、奴隷にされるか、悲惨な末路を辿った。<br />  その過程で人族の持つ技術や文字といった文化に触れ、影響を受ける魔王もいた。<br />  しかし魔族たちの領地が際限無く広がっていくと、自然、得られる大地は残り少なくなっていく。<br />  ここに、魔王と魔王、魔族と魔族どうしの戦いの火蓋が切られた。<br />  魔族たちは三つの大戦争を引き起こしている。</p> <p>アウェルサの戦い<br /> アルドル・プルサの戦い<br /> テサウルスの戦い</p> <p> これらの戦いはいずれも複数の魔族の陣営に別れ、魔法と魔法がぶつかりあい、魔王どうしが互いの血肉を食らい合う悲惨なものであった。<br />  戦争によって世代交代が行われることもしばしばで、勇者による魔王討伐より脅威の度合いが高かった。<br />  しかもこれらの戦いの最中は人族への魔族の干渉は緩やかなものとなり、団結の機会を生んでしまった。<br />  なお、最大規模の戦いとなったテサウルスの戦いの裏では、人族が巨大な統一国家を作ろうとしていた。<br />  危機を察知した先代アダマス王は各陣営に呼びかけ、停戦へと導き、初めて魔族独自の文字による成文法をもたらすこととなった。<br />  このことを契機に、魔王たちの間に、人族への興味と関心が湧くようになった。<br />  </p> <h4>4. 現在</h4> <p><br />  人族に対して、一番先進的な態度を取っているのが現アダマス王である。<br />  彼は父親から王位を引き継ぐと、先代の意志を継いで人に対して寛容な態度を取り、魔王ユカの力を借りてその文化を取り入れ始めた。<br />  アダマスへの忠誠を誓いさえすれば、その領地では人族であっても理由のない略奪にあうことはない。<br />  アダマス支配地域では、人族は神古代以来の平穏な生活を送ることが可能となった。</p> <p> ……実際のところ、彼は音楽を好み、それを思う存分楽しみたいだけなのだが。</p> <p> しかし、アダマスの人への寛容さを快く思わない勢力があることも、確かなのである。</p> <p> </p>

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