女神信仰について『昔々、大地は夢の中で眠っていた。
夢の中ではすべての魂が完全なものであり、 善と平等と平和だけが世界にあった。 それはすべてが存在しないのと同じだった。
やがて三人の女神が順番に瞼をひらいていった。 最初に目覚めたのはクロデア、次にリデア、そしてメモリア。 アエテルタニスに目覚めのときが訪れたのだ。』
アエテルタニスに生きる人々は原初の三女神への信仰を大切にしている。三人の女神たちが創世から続く長い眠りから目覚めたとき、アエテルタニスが誕生したと考えられているからだ。目覚めた三女神たちは彼女らと同様にアエテルタニスに眠っている魂を呼び覚ましていった。クロデアは勇敢な魂を、リデアは優しきものを、メモリアは知恵のある者を呼び覚ました。このとき魔族はクロデアによって目覚めを迎え、人族はメモリアによって呼び覚まされた。だが邪悪な魔族は武器を手にリデアを殺害してしまう。クロデアの怒りは炎となり、その炎から勇者選定の剣が生まれた。
……それが通説だが、この伝説の意味や正確さについての検証は、人族の国家が定まらない以上、進んでいない。
なお、クロデアは炎や戦い、鍛冶の神、リデアは豊穣の神、メモリアは知恵の神とされている。リデアが豊穣の神と判断されているのは、魔族の領土の大半が豊かな実りが無い過酷な大地であることに由来する。彼女を殺してしまった魔族には、豊穣が与えられなかったのだと。よって魔族は往々にしてアルタリアを侵犯し、悲劇を生み出す。
三女神信仰創世のとき、眠れる魂を目覚めさせた三女神は、それぞれが生命を司る共通の神格を持つ姉妹神である。よって三女神を信仰の対象として同時に掲げる古代の神殿や教会があっても不思議ではない。ただ、クロデアだけは、魔族を目覚めさせてしまったために不吉に思う人々もいる。三女神かリデアとメモリアの合同祭祀のどちらかが多い。
女神クロデア派
『魔族、滅ぶべし』『戦いこそが女神への祈りであり供物であり、また女神から我らに与えられた福音である』神格アエテルタニス目覚めのとき『勇敢なるもの』の目覚めを促した女神。三女神のうちで最も苛烈な性格の持ち主で、リデアが殺害されたことを許さず復讐の炎によって選定の剣を生み出したことから、魔王討伐の象徴的存在となっている。戦い、鍛冶、炎、復讐や破壊の女神とされ、戦いの力を授け、勇敢な戦士を守護する。鍛冶師や兵士を中心に広く信奉者を集める。
教義重要なモチーフは剣と炎。魔王を筆頭に魔族を絶対悪とし、人族が団結して魔族に立ち向かうことによってのみ真の平和や平穏が得られると説く。クロデア派にとって戦いとは神聖なものであり、祈りそのものとされる。とくに、復讐や仇討ちをその最上のものであるとする。教会が成立した初期には、理不尽や暴力に屈さずに戦うことや、戦いに備えて己を高めること、弱者を守護すること、団結や連帯の重要さに重きを置いていたが、現代ではもっと過激になっている。 この世界にはびこる悲しみや不和は全てが魔族がもたらしており、魔族さえいなくなれば人族は幸福に暮らせると短絡的に考える者も少なくない。彼らの過激な思想により無数の勇者が無残に若い命を散らすことになったのだが、それすらも魔族の邪悪さによるものと考えている。
女神メモリア派『女神の真意は、一代では解き明かせない』『いついかなるときも風がやんだことのないように、知を繋いで行くことが女神の望みである』神格目覚めのとき『知恵あるもの』の目覚めを促した女神。文字や天文学、航海術を編み出した女神とされ、航海や旅路を守護し、探求者に天啓を与える。学問、戦術、芸術、医術、旅、記録と記憶、風の女神。その神格の多様さから学者や政治家や医者、旅人や商人など幅広い信者を持つ。
教義重要なモチーフは星、風と波の紋様。神古代の遺跡から、三女神のうち最も多くの碑文が発見された。それは天文学や航海術に関する膨大な知識であった。何代にもわたって築かれた知識を人族最大の財産とし、知恵を絶やさずにつなげていくことによって、やがて人族は再び失われた女神たちの時代に達することができると教える。 その教義から、自分ひとりの欲のために生きること、財産に固執することを禁ずる。メモリア派にとっては自分ひとりの命は夜空に輝く無数の星のひとつのようなものでしかなく、人の知恵を次代へと残すためならば自己犠牲をも肯定し、そうした人を聖人と認める。 ただ、戦いそのものを否定することはない。避けられる戦いは避けることが望ましいが、人族の滅びを防ぐためには剣を取る必要があると考える。
女神リデア派『女神はたとえ己に突き立てられた剣であっても祝福し、咎人を許す』『彼女の体は豊かな大地であり、息吹によって作物が成り、見つめられることによって家畜は子を産む』神格三女神のうち、最も謎めいた女神。『優しきもの』の目覚めを促した。優しき者については諸説あるが、魔獣を除く動植物の類ではなかったかと言われている。豊穣と繁栄を司り、家畜を守護する、寛容と許しの女神とされる。農民や漁師から信仰を集める。
教義重要なモチーフは草花の紋様、鳥や牛。三女神のうち、たったひとりその死が伝えられる女神で、魔族に殺されたとされる。リデアはその死に際して魔族を呪うことなく粛々と死を受け入れたことから、全ての生命のおかした罪を受け入れ、許すことを大事とする。たとえ殺されたとしてもその肉体が大地に受け入れられ、土を肥やすように。魔族の侵攻に抗う術のなかった人々は、この信仰に救いを求めることが多かった。また、犯罪をおかした者で、改心を願う者が祈りを捧げるのもこの女神である。この女神を信奉する神官たちは日々彼女への祈りを捧げているが、他の女神と違い声を聞いた者はいない。神の所在を知ろうと、自らに過酷な修行を課す神官も少なくない。鞭打ちや断食、火渡りなど。教会について
教会とは、神々への信仰を同じくする者たちが集まる場所。
神官たちは伝統的に、ここに勇者候補となる子供らを集め、教育と戦闘訓練を施す。修行は過酷で厳しいものだが、剣に選ばれるかどうかの基準は不明であり、傍目からは運としか思えないのが常である。よって何十年も勇者が誕生しないことや、教会とは何ら関わりのない人物が選ばれることすらあるが、それさえ珍しいことではない。必要があれば、教会に仕える神官や聖騎士は旅立ちを迎えた勇者の仲間となり、これを保護する。最初の仲間となる場合も多い。
まこの施設はカネレ地方のどの街にも大抵ひとつは存在する。リーリウム王国のメモリア・リデア派教会には高レベル神官が在籍するが、アダマスとの関係を考慮して、現在は選定の剣による選抜を控えている。クウェルクス公国ではメモリア派の教会が急ピッチで建設中。
*神官が信仰を捨てて魔族の側についた場合、メモリアとリデアの神官はともに神聖魔法を失う
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