魔王アダマス「クロデアの神官ごときは取るに足らないが、問題は勇者と剣が揃うことだ」「――おっと、そんなことより新しい旋律を思いついたぞ♪」「ユカ、土産はないのか? 新しい楽譜や楽器のためなら、僕の体を削って差し出しても惜しくはない」
魔王たちの中でもとくに強大な力を持つ王である。人の形は、金髪碧眼で硝子の巻き角を生やした少年、本体は無数の触手と五本の太い人間の腕を備え、巨大な葉に囲まれたつぼみの中で身を守る、頭髪からつま先まで金剛石でできた美女の姿をしている。 彼はプラガ、と呼ばれる、深く厳しい谷の奥に城を持ち、近年、複数の人族国家を傘下に収めカネレ地方を掌握するまでに至った。アダマスが他の魔王とは違う特異な点は、支配した国家と協定を結び、自治を許し、他の魔王の眷属たちから守護している事実である。彼は音楽を愛するがゆえに人と親交を持ち、共存共栄を心がけているのだ。だが、人族に理解があるからといって、その本性が残酷かつ冷酷な魔物であることに変わりはない。彼は人間の感情を理解しない、苛烈な魔王である。もしも自分に牙を剥く人間があれば、何のためらいもなく魔族の軍勢を遣わして、その人物や、関わる全ての人々を殺し街を破壊してしまうだろう。
アダマスの趣味
作曲・演奏が趣味。必要とあらば楽器を自作するほど。だが彼の作る楽曲は人族にとっては理解し難い音色をしている。が、芸術に関する審美眼のようなものは確からしく、優秀な芸術家を集めては保護している。
魔王ユカ「魔王に歯向かうのは得策ではない、その先にあるのは悲惨な末路だけだ。この俺のようにな」「あえて剣を向けるというのなら、望みの夢を見ながら息を引き取るがいい」「アダマス、この楽譜と引き換えに村を救ってくれないか? 何、税を少し減らすだけでいいんだ」
かつてはある小国の王に仕える騎士であった。魔王討伐を達成し、故郷に凱旋したものの、強大になりすぎた騎士を迎え入れる者はおらず、魔王として即位することとなった。人の姿は、鎧をまとい長い黒髪に藍色の瞳をした男性体。時には無精ひげを生やし、少々ずぼらな風体をしているかもしれない。魔王としての姿は、腹の膨らんだ道化の影そのものである。武人でありながら性格は穏やかで、魔王となった後も旅を続け、各地の魔王に人との共存を薦め、人族との諍いがあれば事前に阻止すべく暗躍している。人とも呼べず、魔王としても異端である彼の言葉に耳を貸す者は少ないが、アダマスとは友人どうしといっていい間柄である。金の装飾を施した黒い鞘に入った剣を持つ。この剣には影や闇を操り、望む人物に、好きなときに好きな夢を見せる不思議な力がある。
ユカの配下
王位について間もなく、あまり従僕を持たない魔王である。彼の眷属は《影魔の一族》と呼ばれ、夜行性で光より闇を好むような、不気味なものが多い。
魔王スマラグドゥス「熱い……熱い、体が燃えるように熱い、スマラグドゥス様は燃えている!」「答えろ、戦えば、貴様と戦えば熱くなくなるのか」「イチたすイチはニ……ニってなんだ…?」「嫌いだ嫌いだ、ミンナ嫌いだ……こんなに熱くて苦しいスマラグドゥス様に難しいことを言う奴らを皆殺しにしてやりたい……」
緑の瞳、燃え盛る炎の体を持つ巨大な竜であり、竜たちの王である。元々はいずれかの勇者だったとみられるが、その精神は常に身を焦がす炎の熱と痛みにさいなまれており、そうではない者たちを憎悪する。苦痛からの解放を希求し、勇者の前に立ちはだかる攻撃的な魔王。人間の姿は打って変わって緑の瞳に銀髪の美しい青年である。ただ、常に戦闘を求める狂人で、人の記憶も残っておらず話は通じない。小難しいことを言う人物を毛嫌いしている。
魔王アウルム「お前がいつまで生きていられるか、ここでわたくしが見ていてあげましょう」「ああ、なんて醜いの。ヒトの喋り声はまるで蠅のよう」「魔族より美しい人族なんて許さない、その顔をはぎ取っておしまい!」
妖精や精霊たちを統べる魔女王。魔法に精通し、人を誘拐しては魔法の実験に使う残酷な性質を持つ。背中には巨大な蝶と鳥の羽を背負った豊満かつ妖艶な美女の姿で現れる。足下を覆うほどの金色の豊かな髪、紫の衣、王冠が特徴。ただしこれはアウルムの魔法による幻の姿で、真実の姿は枯れ枝のような手足をした老女。正体を見抜く魔法のアイテムがあれば、その醜悪な姿を目にすることができるだろう。人の姿は上記から羽を抜いた美少女。しかし、彼女は魔族であることを誇りに思っており、人の姿を嫌う。人間が嫌いなので、人間と手を組むアダマスも嫌い。魔王ミセリコルディア魔王十三名のうち、所在がわからない唯一の王。正体は選定の剣に最初に選ばれた英雄その人だが、彼は魔王に即位せずに姿を消してしまった。今、どこで何をしているのか、どんな姿をしているのか、それともとっくの昔に他の勇者に殺されてしまったのかについても不明。問題は魔王不在のまま取り残された彼の領地である。放り出された魔族たちは各地に散り散りになっており、アダマスの修めるカネレ地方にも出没するので、とても迷惑なのである。もしもどこかの魔王がこの土地に手を伸ばせば再び戦争がはじまりかねない色んな意味で爆心地。ただ今のところ他の魔王の直轄地と同じく不毛な大地が広がるだけなので、その心配はしなくてもいい、かもしれない。
魔王ラーワ「余がいかに偉大な大王であろうとも、恐縮することはない。貴様が余の食卓に登る前までは対等なり」「いざ尋常に勝負!」「よう、そこのお前。よく肥えているな、そろそろ食べ頃といったところか……」「うむ、美味なり!」「そなたは食卓に上ったパンの気持ちを考えたことがあるか? 豚が残飯を漁っているからといって心を痛めるのか?」
数多くの魔獣たちを従僕として従える魔王。黄金の獅子の体に蛇の尾、頭部は二つ。頭の片方は獅子で、もう片方は人面である。人面側で喋る。(仮) 人の姿は、古い鎧をまとった大男。顔は鬣のような髪とヒゲで覆われている。光ものを好み、人族から強奪した装飾品や宝石で身を飾り立てる。ラーワとその眷属は獣の本能が強く、群れの仲間を大切にし、人間を狩っても食べられる以上は殺さないという一面を持ち合わせる。最近、領地内にいくつか人族の村や街を囲っており、これはいわば養殖場である。 人族は定期的に《食料》を提供しなければならないが、ラーワに従っている限りは安全が保障された暮らしが可能である。やり方は違っていても、アダマスも自分も人族を利用していることに代わりないと考えているため、特別な敵対意識は持たない。
リーリウム王国
魔物愛ずる姫君 パルマ・リーリウム 「アダマス陛下、ようこそおいでくださいました。今日こそは真実の姿を見せてくださるんですよね」「わぁ、すごーい! 内臓や脳はいったいどうなっているのかしら!」「お父様、陛下がわたくしにペットを見せてくださるんですって。お城に行ってもいいでしょう?」「どんなペットかって? もちろん、ドラゴンです」
王国のおてんばプリンセスである。両親の愛情をたっぷり注がれて育った箱入り娘ながら、彼女の興味の向くところはおいしい食べ物でも、きれいな宝石でも、美しい殿方でもない。ずばり、魔物である。彼女はどんなに恐ろしい魔物を前にしても臆することなく、ドレスをまとって熱心に観察する。気象条件などからアダマス軍の竜の保有率を推察など、趣味を越えた働きをしている。 そうして得られた魔物への知見は、リーリウムをしぶとく生きながらえさせた。ただ、両親は娘の行く末を大層心配している様子だ。
賢明王 ジュリオ・リーリウム「……正直言って、父は王様なんて向いていないと思う」「それでも私に従ってくれる者たちがいる限り、私は王であり続けよう」「パルマッ! お城の中でドラゴンの卵を孵化させちゃダメって言ったでしょッ!!」
パルマの父、ジュリオは穏やかな気性の優しい王として知られている。祖父は王位からは遠い縁戚でしかなかったが、王位継承権上位の王族たちが戦場で次々に亡くなり、とうとう玉座が回って来た。そのためか、父親も王様にしては謙虚な性格であった。難しい局面でも投げ出さず、地に足のついた政策を打ち出しながら、民と共に苦難の歴史を歩んできた。民からの好感度が高く、賢明王と称えられる。ただ戦場は苦手なようで、マントで隠した掌はいつも震えているようだ。
気高き貴婦人 バラエナ・リーリウム「王族なんてお飾りもいいところなのだから、ナメられたらそれで終わりよ、アナタ!」「明日のことはわからないけれど、家族が元気でいてくれて、それだけで十分わたくしは幸せ者です」
賢明王ジュリオの妻、パルマの母である。若い頃は美貌で知られた人物。貴族の娘らしく洋裁やダンスなど、一通りを嗜む。あくまでも王妃として淑やかにふるまうが、芯の強い女性であることは間違いない。一度、城内にまで魔物に攻め込まれたときは、剣を持って勇敢に戦うバラエナの姿が目撃されている。ちなみに、夫ジュリオはそのドレスの裾を掴んで震えているだけだったという噂を、彼女は行く先々で否定し続けている。クウェルクス大公国
大公 アリエス・クウェルクス「……」
クウェルクス大公国の老大公。若い頃は理想に燃えていたが、歳を経るにつれ心と体を病み引きこもりがちとなり、現在は城の奥深くで寝たきりの生活を続けている。彼を傷つけたのは度重なる魔族の侵攻ではなく、欲望にまみれた人間たちだった。大公が公の場に姿を現さない今、家臣たちはさらに増長し、公国の政治は腐敗しきっている。
将軍 カペル・クウェルクス「人には分というものがある。私にできるのは国の守りを固めることだけだ」「兄者は可哀想な男なのだ……どうか恨まないでやってくれ」「兵たちと肩を並べ、泥の中を転げ回っているほうがずっといい。勝ち鬨を上げられるならもっといいがな」
大公の弟。若い頃から肥満体型だったため勘違いされがちだが、剣の腕前で勇名を轟かせた武人である。頭の切れもすばらしく兵や国民からの信頼も非常に厚い。兄であるアリエスを慕っており、彼の代わりに政治に関わらないかという薦めをことごとく断っている。アダマスの支配を受け入れ、クロデア派の大教会に火を放ち、神官たちを皆殺しにした。毒婦 フルカ「また、お父様の夢をみた……」「今にみていなさい、必ず魔王を破滅させてやる」
炎の包まれたクロデア派の大教会で、呪いの言葉を吐きながら絶命した神官長の娘。狐のような、抜け目のない瞳をした妖艶な美少女である。彼女はもともとも教会にて勇者候補のひとりとして育てられていたが、追っ手から辛くも逃げ出した。十五歳という若さながクウェルクス公の末弟・サエウムの後添いにおさまるが、サエウムが程なくして病死。莫大な資産を彼女ひとりが相続した。 サエウムの遺体は異常な姿をしており、苦しみ抜いて死んだことから、フルカが毒を盛ったのだと噂されている。アダマスを恨み、復讐を誓う。火炎の咢に資金を提供し続けている。悲劇によって邪悪にねじ曲がってしまった少女である。アウィス同盟都市
盟主 アラウダ「みんな仲良く! それが同盟都市のモットーです。さあ、稼ぐわよ~」「野蛮な土地から来たから、実は貴族のマナーなんてよくわからないのよね」「あたしはまだやりたいことがいっぱいあるの。ドレスの裾を引きずっている暇はないのよ!」
都市を率いる、明るく素直な性格の若い女性。魔王ラーワの支配地域で暮らしていた身分の高い女性だが、魔族との奴隷契約同然の結婚をさせられそうになり、自由を求めて逃走。海賊船に乗り込んで数多くの難民を率い、カネレ地方に辿りついた。人をひきつけてやまない不思議な魅力と計り知れない商才を秘めており、海賊船を率いて交易をはじめた。
海賊船団長 テナークス「あいつ、今度は何をおっ始めるつもりなんだ?」「海賊船に乗る前は何をしていたかって? 昔のことは聞かないでくれ……」「アラウダに話があるなら俺を通してもらおうか」
逃げてきたアラウダが乗り込んだ海賊船の若き船長。巧みな操船技術とただの荒くれものとは思えない腕っぷしで海賊たちと数隻の船を率いている。最初はアラウダのことを迷惑がっていたが、彼女の無謀ともとれる行動の裏にある信念ややさしさに心惹かれるように。船長室の奥に、女神の刻印が施された盾を隠している。名家の娘 フィデス・モナルカ「私もアラウダさんのようになれたらいいのに……」「自分で考えなくちゃいけないってわかってるのに、どうしたらいいのかわからないんです」「私、なんにも役に立っていませんよね。……でも、がんばります」
モナルカ家はかつて領主としてこの地域を治めていたが、後継者がいないという理由でほとんどの土地をクウェルクス公に取り上げられてしまった。そればかりか魔族の侵攻をうけたときでさえ公は助け船を出さず、アウィスの街は長く魔族の支配下にあった。 生きるためとはいえ周囲の顔色をうかがってばかりいたフィデスだが、海賊たちと同盟を結ぶことを決意し、街は輝きを取り戻した。当初、盟主としてフィデスの名前も挙がっていたが、彼女自身が拒否しアラウダに譲った。現在は町の有力者たちを取りまとめている。ロサの民占いおばば プーグナ「自由でなければロサではないねぇ。自由とは愛で、愛とは許しの別名さ」「たくさんの物を持っているというのは、思い上がりだね。私に言わせれば、そりゃ、持たれているのさ」「自分の命ですら自分の持ち物じゃないと気づいたとき、人ははじめて大きな荷物を下ろせるんじゃよ」
アウィスの片隅に、おんぼろ小屋を建てて暮らすロサの老女。占いが得意で、天候や作物の実り具合などを訊ねるために近隣の農村からわざわざやって来る客が引きもきらないほどだ。 若い頃は他のロサと共に旅をしていたものの、老いて目を悪くしてからアウィスに住み着いた。街に市が立たないときでも、プーグナに依頼すればのろしを使って他のロサを呼び寄せてくれる。彼女が占いの度に口にする格言は古いロサの考え方や生き方を教えてくれる。
NPC:カテーナ「銃の扱いが知りたけりゃ、あたしに何でも聞いとくれ」
プーグナの孫で、若いロサの女性。褐色の肌に黒髪の凛とした美女だが、魔物にやられて片足がない。そんな境遇にもめげず、義足をつけて馬に跨り得意の銃の腕前で仲間達を守る。銃や弩についての知識に詳しく、どれを選べばいいか、どう扱うべきか、重要な示唆を与えてくれる。
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