◆登場人物
※アネモネのノベルと重複するレジスタンスのメンバーは省略
二号:ヨルハ部隊員。アタッカー。オートマタのA2と同一人物。
四号:ヨルハ部隊員。アタッカー。ムードメーカー。
十六号:ヨルハ部隊員。ガンナー。粗暴な筋肉バカ。
二十一号:ヨルハ部隊員。スキャナー。冷静沈着。
司令官:オートマタのホワイト司令官と同一人物。
フタバ:司令部のオペレーター(司令官の秘書?)その1。
ヨツバ:司令部のオペレーター(司令官の秘書?)その2。
カルミア:レジスタンスの武器商人。
クレマチス:カルミアの秘書。
シード:二号よりも旧世代の実験機。二号たちが使用する武器や装備のテスター。
◆
機械生命体に地球を侵略された遠い未来。絶滅を避けるべく、人類は月へと逃れていた。
衛星軌道上に存在する人類の防衛拠点では、アンドロイドたちが人類に代わって侵略者たちと戦っている。
◆
第十四次機械戦争、真珠湾降下作戦。作戦行動機数16。
地球への降下中に地上からのレーザー攻撃を受け、部隊は壊滅的な損害を被る。
隊長機の一号がロストしたことにより、隊長予備機である二号に隊長権限が移行。
敵のEMP爆弾により司令部との通信が途絶。
◆
部隊の残機はアタッカーの二号と四号、ガンナーの十六号、そしてスキャナーの二十一号。
作戦の中止を司令部に要請するも、作戦の遂行は絶対命令だとして却下される。
想定外の状況に戸惑う二号。突然与えられた隊長の権限に不安を覚える。
そんな最中、二十一号が大量の機械生命体を感知する。
◆
※オートマタ内に実装されているノベルとおおむね同じ流れなので省略しつつ、舞台版でのみ描かれているシーンと齟齬を付記。
◆
司令部にて、ヨルハ部隊の状況を確認している司令官、フタバ、ヨツバ。
司令官が「呪ってくれるなよ、二号」と漏らし、フタバに「呪う?」と聞き直されるが濁す。
「司令官、レジスタンスとは一体何者ですか?」
司令官に質問をするフタバ。
「第八次降下作戦の生き残りだ」
「そんな……第八次降下作戦は失敗したはずでは!」
「その通り、我々の作戦は失敗に終わった。だが、その生き残りが現地で独自に戦線を復活させた。……質問はそれだけか?」
「……はい」
フタバに近寄る司令官。
「長い勤務時間によって受けるストレスは人工頭脳にも多大なる悪影響を与えるという。一度、スクリーニングチェックを受けるといい」
「ご心配ありがとうございます」
部屋を後にするフタバとヨツバ。
司令室にひとり残った司令官が「受けるといい……だと?チェックを受けたほうがいいのはどちらだか……」と呟く。
◆
※オートマタ内に実装されているノベルとおおむね同じ流れなので省略しつつ、舞台版でのみ描かれているシーンと齟齬を付記。
- ヨルハ部隊による真珠湾降下作戦の個人的記録2
- 武器商人のカルミアとその秘書のクレマチスが登場する。リリィの汚染シーンには彼女たちも同席している。
- オートマタ製作時に彼女たちの設定が完全に闇に葬られたのか、省略されているだけかは不明。
- リリィが発症したのはカルミアたちの自己紹介が終わった直後。
- 発症の直前にリリィがアネモネに語り掛けるシーンは存在しない。
- また、アネモネがリリィの体を二号達と共に押さえる一連のシーンも存在しない。
◆
武器の在庫を確認しているクレマチス。
ローズから発注された武器のリストを見て、「彼女はこれを最後の戦いにしようとしているのでは」とカルミアに相談する。
ローズの決意に報いるため、カルミアは戦場に出ることを決意。クレマチスもそれに倣う。
◆
リリィは論理ウィルスに感染した影響で重力を操る能力(機械生命体の能力)を得た、と二十一号にだけ打ち明ける。
戦局を大きく変えうる力を目にし、「隊長の二号に報告しましょう」と提案する二十一号。渋るリリィ。
その場を訪れた二号に対し、リリィは「あなたは二十一号の隊長かもしれないけど私の隊長はローズだけなんだから!」と拒絶し走り去る。彼女を追いかける二十一号。
残された二号は「やっぱり私に隊長なんて荷が重いよ」とひとり呟く。
◆
(二号の回想)
訓練中、弱音を吐く二号。旧世代の実験機であるシードからの叱咤を受ける。
二号の姿をまじまじと見つめながらシードが口を開く。
「……新世代機のヨルハは近くで見ると本当に人間のように見えるな」
「人間を見たことがあるんですか?」
「ああ、あるよ。人間と共に生まれ、育ち、経験を積んで戦場へ向かった」
「戦場を体験したことが?」
「地球へは3回行った」
「すごい!」
そしてシードは、本来は引退しているはずの自分がなぜ実験機として作戦に関わり続けているかを二号に話す。
「私は戦場に全てを置いてきた。恐怖も、悲しみも、怒りも、喜びも。
戦場を退いた私には何もない。この空っぽの頭の中には何もないんだ。
だが、武器を触っている間だけはそのことを忘れていられる」
と。
(回想終わり)
◆
司令部にて。ヨルハ部隊の状況を確認している司令官、フタバ、ヨツバ。
「この作戦は失敗するかもしれない」と言う司令官。
どうしてですかと問うヨツバに、司令官は「そういうシナリオだからだ」と答える。
フタバがシナリオとは何かと尋ねるも、「君たちは知る必要がない、上層部の決定だ」と突っぱねる。
しかし引き下がらず、しつこく質問を繰り返すフタバ。
司令官は質問には答えず、「私は願っているよ、彼女たちの勝利を」と濁す。
◆
※オートマタ内に実装されているノベルとおおむね同じ流れなので省略しつつ、舞台版でのみ描かれているシーンと齟齬を付記。
- ヨルハ部隊による真珠湾降下作戦の個人的記録3
- 司令部のシーン(司令官、フタバ、ヨツバ)
- 間に合う位置にいる猟兵部隊はいたが、"意味がなくなるから"意図的に援軍を送らなかったことを司令官が明かす。
- 意味についてフタバに質問された司令官は「ヨルハ部隊がこれまで戦ってきたことの意味だ」と強い語気で返す。
- 後方防衛部隊(リリィ、ダリア、マーガレット、十六号)にカルミアとクレマチスが加勢する。
- リリィの重力操作も効かない敵が現れる。全員の融合炉をオーバーロードさせ、そのエネルギーで倒す。
◆
(降下作戦直前の回想シーン)
司令官がシードから預かったメッセージを二号に渡す。
「お前がこのメッセージを見ているということは、私はもうこの世にはいないらしい。
人間と違って、アンドロイドには魂がないという。このメッセージだけが、私が遺してやれる魂だ。
人類が月へと逃れた結果、自然は元の姿を取り戻した。
自然に溢れた地球を見ていると、人間たちが間違った存在なのではないかと思えてくる。
だが、たとえそうだとしても、私たちは人間のために戦わなければならない。それが私たちの存在理由だからだ。
二号、お前には私のようにはなってほしくない。どうか、生きる意味を見つけてほしい」
シードに何があったんですかと尋ねる二号に、司令官は訓練中の事故だと説明する。新型の装備が不具合を起こして暴走したという。
信じられない、と取り乱す二号。
(回想終わり)
◆
二十一号やアネモネと別れ、サーバールームに辿り着いた二号たち。
その前に赤い服を着た少女たちが現れる。
「私たちは機械生命体の端末。君たちの姿を真似て作り出された。
君たちが来るのをずっと待っていたんだ。君たちのことを見守っていたんだよ。
人類は君たちを見捨てた。君たちはただ死ぬためだけに生きている」
「君たちのサーバーにハッキングして掴んだ真実がある。
ヨルハ部隊は実験兵器として投入された。
予定外の戦闘や、過酷な状況は司令部によってあらかじめ用意されていたこと。
このサーバーを攻略されても、機械生命体としては痛くも痒くもない。
人類の目的は、その実験データを使ってより完成された自動歩兵人形を作ること」
「レジスタンスとの共闘は予定外の行動だから実験としては旨くないね。
結果は司令部の作戦通り、レジスタンスは全滅。君たちは生きてこの場所に辿り着いた」
◆
赤い少女に操られた新たな敵がサーバールームに現れる。
その強大な力を前にレジスタンスたちは全滅してしまうが、四号が辛くも倒す。
しかし次の瞬間、倒れていたレジスタンスたちが起き上がり、四号を一斉に攻撃する。
崩れ落ちる四号に駆け寄る二号。荒い息を吐きながら四号が口を開く。
「ごめんね、役立たずだった?」
「そんなことない!私のせいで皆を巻き込んで……」
「それは違うよ、二号。私たちは皆、自分で選んでここに来たんだ。生きる意味を与えてくれて、ありがとう」
その光景をじっと眺めていた赤い少女が口を開く。
「美しい自己犠牲の精神なの?悲しい自己犠牲の物語なの?笑えるね。面白いね」
うるさい!と斬りかかる二号。
赤い少女に操られたレジスタンスたちが彼女に襲い掛かる。
二号はかつての仲間たちにトドメを刺し、「皆ごめんね」と謝る。
赤い少女が「なんて酷いんだろう」「恐ろしいね」と追い打ちをかける。
二号は叫びながら赤い少女を斬りつける。しかし、すぐさま起き上がる赤い少女。
「殺せないよ。壊せないよ。
私の名前はタームα。私の名前はタームβ。
私たちは端末。それ以上でも以下でもない。出来事の間を区分する記号。それが私たち」
ならば、とサーバールームを破壊しようとする二号。
赤い少女は、このサーバールームを破壊するためには核融合クラスのエネルギーが必要だと教え、こう続けた。
「君たちヨルハの体内の融合炉には爆弾が埋め込まれている」
その説明に、二号は「そんな……司令部は……」と呟く。
「君たちは敗北するが、私たちも勝利はない。この戦いは、最初からそういうシナリオだったんだよ。
でも、こういうときアンドロイドは笑うんだろ?感情があるから笑うんだろ?」
叫びながら激しく取り乱す二号。
四号が起き上がり、二号を無言で押しのける。そして、爆発が起きた。
◆
爆弾の爆発と、それによりサーバールームの信号が途絶したことを確認した司令部。
ヨルハ部隊の戦闘データを開発部隊に転送するヨツバ。「事後処理は総務部隊に引き継ぎます」とフタバ。
何の迷いもなく動いているフタバに「質問はしなくていいのか」と問う司令官。
「質問?何のことです?」
「まさか……チェックを受けたのか?」
「はい。先ほど拘束を受けて強制的にフォーマットされました。何か問題がありますか?」
至って普通の顔で答えるフタバ。
「……いや、クリアな人格だ。模範的で、穢れを知らない、正しい人格だ……」
ヨツバが「作戦の成功、おめでとうございます」と微笑む。
「……お前もか」
「これで、自動人形の戦闘データが蓄積されましたね」
「彼女たちの死は、無駄にはならないでしょう」
「ああ……そうだな……」
「非公式ですが、月面の人類会議がヨルハ部隊の正式な増産を決定したそうです」
「次回、大部隊を送りこめば確実に機械生命体を駆逐できるでしょうね」
「ああ……そうだな……」
フタバとヨツバは「人類に栄光あれ」と敬礼し、司令室を後にする。
「これが人類の目的?淘汰圧を上げて進化を促進させる……唯一の方法?」
司令官は目に涙を浮かべながらそう呟き、ふらつきながら司令室から出ていく。
◆
誰もいなくなった司令室に赤い少女が現れる。
そこに、二号のブラックボックス反応を検知したという報告が入る。
それを聞き、赤い少女は「アンドロイドって面白いね」「もうちょっとこの世界で遊んでもいいかな」と笑いながら去っていく。
◆
激しい戦闘を繰り広げている二号がゴーグルを取り去る。
その表情から優しさは消えていた。
【終】
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