第26村:倫敦


村のテーマは「倫敦×ゴーストハンター」。
PC達は心霊事件の解決を専門とする探索者"ゴーストハンター"として、
20世紀初頭の魔都・ロンドンを舞台にとある怪異に挑みます。

村建て:2018年11月1日 更新:朝6時 開催国:三日月国

この村の参加者は予め決定されています


PL:青磁さん、ききさん、きりんさん、まめおさん、澪斗さん
GM:はやつじ SGM:jpsさん、すばるさん
見物:ひしたに(@iAgs)さん、ちかさん、なっつ(walnut)さん、gozaさん

【進行スケジュール】
11/1(木)0~2時頃村建て、プロローグ開始
11/4(日)~11/8(木)5dまで通常進行予定
11/9(金)クライマックス
11/10(土)エピローグ
11/13(火)朝6時村閉じ


イントロダクション

第一次世界大戦後、束の間の平和を貪るロンドン。
霧の魔都には今日も怪異が蔓延っている。
人知れずこの街を守っているのが、君達ゴーストハンターだ。

とある貴族の主催する定期交霊会に参加することになった君達は、そこで少女の霊を目撃する。
不思議なことにその姿は君達5人にしか見えず、顔貌も判別できないほど朧げであった。
しかし、悲しげな眼差しだけは君達の心に深い印象を残した。

それから数カ月後のある日――
心霊調査機関を通じ、君達の元に一通の依頼状が届く。

差出人の名はゾーイ・オルコック。
ロンドン郊外に広い敷地を有する名家であるが、館の周辺で怪現象が頻発し、幽霊屋敷との噂がまことしやかに囁かれているという。

「この家に何が起こっているのか原因を突き止め、解決してほしい」

依頼を受け赴いたその館で、君達は美しい二人の少女と、数々の怪異に出会うことになる……。



ワールドガイド

◆世界観

今回の物語の舞台は1920年代の英国ロンドンです。
「魔都」の名の通り、霧に覆われた薄暗いこの街ではオカルティックな事件が後を絶ちません。
貴族の間では交霊会が流行し、怪しげな秘密結社の噂が囁かれることも……。

この世界が現実と唯一異なるのは、超自然的な存在が実在し、魔術や霊能力が効力を発揮するということです。
亡霊だけでなく、悪魔や吸血鬼、邪神といった伝承の中の怪物達も時にその姿を現します。
しかし、大事になる前にゴーストハンター達が解決しているため、一般の人々にはその事実は知られていません。

《世界観の参考になりそうな作品・資料》
+ ...
  • シャーロック・ホームズシリーズ
  • ダウントン・アビー(ドラマ)
  • 英国執事とメイドの素顔
https://sitsuji.ashrose.net/
執事とメイドに限らず、英国ヴィクトリア朝~の時代背景に詳しくとても面白いです!

当時の服装についてはこちらがわかりやすいです。
https://sitsuji.ashrose.net/archives/952
交霊会についてはこちら。
https://sitsuji.ashrose.net/archives/1722
  • London in 1927 & 2013
1927年と2013年のロンドンの街並みを比較した映像です。
6分と短いので雰囲気を掴むのにどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=5kml92pPjx0

◆ゴーストハンター(GH)

超自然的な存在が引き起こす心霊事件に挑む者達の総称です。
報酬を得るよりも、オカルトへの興味や好奇心、霊に苦しめられる人々を救いたいという正義感といった個人的な感情から活動する者がほとんどです。
GHの大半は表の職業(肩書)を持っており、副業や趣味として幽霊退治を行っています。

《アーキクラス》

ゴーストハンターのおおまかな役割を示したものです。
(PCは必ずしもこのイメージに沿う必要はありません。詳細はTCと相談してください)
+ ...

【ディテクティブ】

家捜し・追跡・尋問などの物理的な調査を得意とする肉体派のGHです。
銃やナイフ等を扱い、主に肉体を持つ敵との戦闘で活躍します。

■肩書の例
探偵、警官、軍人、退役軍人、探検家、学生etc,

【ミスティック】

霊能力や超能力と呼ばれる、人間に眠る未知の力を操るGHです。
霊的な存在を調べたり、精神を癒やしたり、幽霊のように肉体のない敵との戦いに長けています。

■肩書の例
霊能者、聖職者、占い師、霊感少女(少年)etc,

【ジャーナリスト】

人との交流や交渉、情報収集を得意とするGHです。
事件の聞き込みをしたり、時には亡霊相手に言いくるめや説得を行って危機を脱することもあるでしょう。
カメラを携帯して心霊写真を売りさばき、お金を稼ごうと目論む者も多いです。

■肩書の例
新聞記者、雑誌記者、作家、写真家etc,

【サイエンティスト】

科学の力と知識で心霊事件を解決しようとする、一風変わったGHです。
「心霊機械」と呼ばれる独自の怪しげな発明品を駆使して超常現象に立ち向かいます。

■心霊機械の例
怪光線発射装置、生体磁力線放射器、物体復元装置、強化外骨格etc.

■肩書の例
科学者、超心理学者、発明家、オカルト研究家、技術者etc,

【ディレッタント】

オカルトに強い興味を持ち様々な知識を収集する、頭脳派のGHです。
霊能力はありませんが、その代わりに簡単な魔術を身につけています。

■肩書の例
オカルト趣味の貴族、好事家、芸術家、古物研究家、コレクターetc,

◆心霊調査機関

怪事件や奇怪な現象を調査し、それが現実に悪影響を及ぼそうとするならば阻止する組織です。
いつ、誰によって設立されたのかは謎に包まれていますが、少なくとも数百年の歴史を持つことは確かです。
規模は大小様々ですが世界各地に存在しており、GHの活動をサポートします。
主に依頼の斡旋、武器や探索に必要な道具を扱っている業者の仲介、他のGHの紹介などをしてくれます。

※心霊調査機関は背景情報であり、シナリオには深く関係しません。詳細は自由に考えてくださって構いません。

◆オルコック家屋敷

大きな門と広い庭の向こうに建つ、古めかしい洋館。
立派だが手入れが行き届いておらず、やや荒れた印象を与える。

《詳細》
+ ...
玄関ロビー:シャンデリアと甲冑飾りが目を惹く大理石のロビー。正面に2階へと続く赤絨毯の大階段がある。
客間:絵画や人形が飾られた日当たりのよい部屋。よくアンジェリーナがお茶を飲んでいる。
食堂/厨房:長いテーブルがあり、全員で一緒に食事をとることができる。
寝室:ゾーイ、アンジェリーナ、ロイの個室の他に、PC達全員にそれぞれ部屋が用意されている。それでもまだ部屋は多数余っているようだ。
書斎:ゾーイが籠もっていることが多く、人を近付けさせない。
地下室:普段は鍵が掛けられている。
バルコニー:中庭を見下ろすことができる。天気がよい日はゾーイがいることも。
中庭:花壇や温室があり、アンジェリーナが花の世話をしている。
飼育小屋:屋敷の裏庭で鶏や小動物が飼育されている。

◆Q&A

キャラ相談中にいただいた質問とGMの回答をまとめました。

+ ...
Q.霊能力とは?
A.人間の中に秘められた未知の能力(アストラル界と繋がるエネルギー)が発現したものです。
本来は誰もが持っているのですが、ほとんどの人間の霊能力は目覚めることなく眠っています。
ミスティックは生まれつきその力が強かったり、厳しい修行によって開花させたり、超常現象に触れたことがきっかけで能力が覚醒した者です。

Q.霊能力がなくても霊の存在はわかる?
A.霊の強さによります。強力な霊の場合は霊能力がなくても姿が見えたり、声が聴こえたりします。
心霊事件の原因となるような強い力を持つ霊はミスティック以外にも感知できることが多いでしょう。
逆に、弱い霊の場合はミスティックだけにしか見えなかったり、降霊の儀式を行わなければ交信できない場合もあるでしょう。

Q.霊能力や魔術の使えないGHは霊体(物理攻撃の効かない相手)にどう対処するのか?
A.TCの考える主な対処法を挙げます。
  • ミスティックの霊能力やディレッタントの魔術で武器や素手を強化してもらう(RPGでよくある魔力付与魔法のイメージ)
  • 聖水や鏡、銀の武器等、その相手の苦手とする道具を使う
  • 攻撃ではなく説得や交渉系のアプローチ
  • 逃走する
特に「こうしなければいけない」という決まりはありませんので、自由に考えてください。

Q.魔術とは?
A.人間よりも高次の存在の力を借りて行使する術のことです。
力の使い方が正の方向に向けられる術を"白魔術"、負の方向に向けられる術を"黒魔術"と呼びます。
白魔術ならば聖なる神や精霊、黒魔術ならば邪神や悪魔の力を借りることになるでしょう。
どちらの場合も「呪文を唱える」「印を結ぶ」「魔法陣を描く」「供物を捧げる」等、何らかの儀式が必要です。
一般の人間はその方法を知らず、たとえ知ったとしてもそれを扱う才能や見合った代償がなければ魔術は成功しません。

Q.一般の人々は霊能者や魔法についてどう思っていますか?
A.現実世界と同じで、信じている人もいますが大半は半信半疑or懐疑的だと思われます。
この世界では霊能力も魔法も本当に存在していますが、それを実感する機会は普通の人には滅多に訪れません(PC達GHが日夜頑張っているおかげです)。
オカルトブームに便乗したイカサマ霊能者(魔術師)も多いことでしょう。


ルール

《ドラマシーン作成について》

シーン宣言時にランダムタロット[[tarot]]を引き、出たアルカナに象徴されるシーンを作成してください。
(必ずしもアルカナの単語そのものが登場しなくても構いません。場の雰囲気、出来事など、解釈は自由です)
※ドラマシーンは1日2シーンまで作成可能です。

【感情取得、絆取得】

成否判定はありません。
シーンを宣言すれば必ず感情や絆を取得することができます。
シーンを作成するPC、対象になったPCは共に《恐怖判定》を振ります(詳細は後述)

【秘密取得】

2d6を振り、相手と対抗判定を行う、通常の方式です。
シーン宣言時に自分の『運命のタロット』と同じアルカナが出た場合、判定に+1のボーナスが付きます。
(過去現在未来で重複しているアルカナが出たときは+2)
受動側にはボーナスはありません。

《恐怖判定》

シーンの中で何らかの怪異と遭遇し、恐怖を受けたかどうかを判定します。
  • 2d6で5以上で成功です。怪異は起こらなかった、もしくは撃退した、耐え抜いた等、PCは正気を保つことができます。
  • 2d6で4以下で失敗です。《一時的狂気表》に従い、狂気RPをしてください。そのシーンが終わると一時的狂気は回復します。
※恐怖判定にはテラーダイスが使用できます。
※ダイスを振らずに意図的失敗することも可能です。
※どんな怪異が起こったかはご自由に描写してください。考えるのが難しい場合はサンプルの《怪異表》を振っても構いません。
※恐怖判定に失敗することによる進行上のデメリットはありません。安心して狂気をお楽しみください!

【NPCと恐怖判定】

NPCは恐怖判定を振りません。
かわりに、PCの判定結果(怪異や狂気)に反応します。
(NPCが相手のシーンの場合もPCの恐怖判定は発生します)

《一時的狂気表》

  • 1d6を振り、出た出目に従って以下の狂気RPを行ってください。
※意図的失敗の場合、ダイスを振らずに任意の狂気を選ぶことが出来ます。

①パニック
②感情噴出
③暴力衝動
④偏執症
⑤幻聴/幻覚
⑥フラッシュバック

【各狂気のサンプル】

①パニック……突然叫ぶ、逃げ出す、失神する、話せなくなる等のパニック発作
②感情噴出……大笑い、大泣き、キレる等、感情が抑えられない
③暴力衝動……自分自身や他者、周囲の物への強い暴力衝動に駆られる
④偏執症……何か特定のことに激しく執着する
⑤幻聴/幻覚……聴こえない音が聞こえたり見えないものが見える
⑥フラッシュバック……過去のトラウマ体験を鮮明に思い出したり、夢に見たりする

《怪異表》

  • 1d10を振り、PCが襲われた怪異を決定してください。
※怪異表の使用は常に任意です。振らずに自分で怪異を考えてもOKです!

①浮遊
②謎の声
③怪音
④視線
⑤金縛り
⑥滴る液体
⑦嫌な感触
⑧不気味な影
⑨禁忌の品
⑩少女の霊

【各怪異のサンプル】

①浮遊……周囲にある自分以外の物が浮き上がり、踊るように動き始める。
②謎の声……遠く、或いは近くに聞こえる謎の声。笑い声か、悲鳴か、それとも呪詛か。
③怪音……硝子を引っ掻くような、何か重いものを落とすような、不快な音が何度も響く。
④視線……悪意を孕んだ強烈な視線を感じる。振り返ってはいけない、決して。
⑤金縛り……突然身体が動かなくなる。呼吸はできる。だがそれだけだ。
⑥滴る液体……シャワーからは赤い水が流れ、人形は涙を流し、壁には血文字が踊る。
⑦嫌な感触……首筋を撫でる生温い吐息。足首を掴む小さな手。肌に残るぬるりとした粘液……。
⑧不気味な影……視界の端、何かが蠢く。虫?ネズミ?……この世以外のもの、だろうか。
⑨禁忌の品……見てしまった。恐ろしい悪魔の肖像、怪しげな魔法陣、呪いの書。
⑩少女の霊……悲しげな少女の眼差しを感じる。彼女は、何を訴えているのか。


PC全員の共通設定

PC達は全員同じ心霊調査機関に所属しているGHです。
最低限、顔と名前は知っている程度の面識はあります。
(どの程度親しいかはそれぞれにお任せします)

  • 数ヶ月前、PC達は全員同じ定期交霊会に出席しています。
  • 今回のシナリオは、NPC①ゾーイの依頼を受けオルコック家の屋敷を訪れるところから始まります。

◆運命のタロット

「ほれ、そこに腰掛けるのじゃ。あー、余計な真似はせんでいい。おとなしくしとれ。――ほう、珍しい相じゃのう」
~心霊調査機関専属占い師 デボラ~

以下のタロットから3つ、キャラクターの運命を象徴するアルカナを選択してください。
選んだアルカナはそれぞれ(村開始時点の)「過去」「現在」「未来」を表します。

⓪愚者:自由、好奇心、純粋無垢/無謀、軽率、不安定
①魔術師:創造、出会い、自信/迷い、中途半端、消極的
②女教皇:安らぎ、学識、神秘性/不信、苛々、諦め
③女帝:慈愛、包容力、家族/執着、怠惰、嫉妬
④皇帝:責任感、安定、高貴/未熟、慢心、自分勝手
⑤教皇:共感、支援、カリスマ性/独善、誤解、独りぼっち
⑥恋人:楽しさ、ときめき、選択/別れ、気まぐれ、依存
⑦戦車:情熱、挑戦、勝利/暴走、混乱、敗北
⑧力:勇気、信念、努力/弱気、落胆、逃走
⑨隠者:本心、探求、助言/秘密、拒絶、現実逃避
⑩運命の輪:幸運、変化、偶然/不運、停滞、すれ違い
⑪正義:正しさ、名誉、理性的/不公平、不遇、感情的
⑫吊るされた男:試練、忍耐、救済/犠牲、盲目、骨折り損
⑬死神:終わり、事件、自虐/起死回生、再生、やり直し
⑭節制:健康、穏やか、自然体/不節制、惰性、優柔不断
⑮悪魔:欲望、誘惑、裏切り/解放、回復、覚醒
⑯塔:困難、事故、トラウマ/警告、改革、天変地異
⑰星:希望、夢、ひらめき/高望み、無気力、悲観的
⑱月:不安、恐怖、戸惑い/真実、啓示、解決
⑲太陽:成功、満足、可能性/失敗、障害、成り行き任せ
⑳審判:決断、再会、仲直り/後悔、失望、悪い報せ
㉑世界:完全、成就、永遠/未完成、挫折、低迷


キャラクターセレクト

※チップは人間に見えるもの限定です。
※あまりにも現代ぽかったり(セーラー服とか)SFすぎるものはごめんなさい!
※今回悪魔の能力はありません。能力=PC達が持っているゴーストハンターとしての力になります。

PC① ダンサー/ディテクティブ ヴェルマ・ヴァレンタイン(まめおさん)

キャラチップ:壱番街セット ヒムロ
「」
運命のタロット:過去「⑰星」現在「③女帝」未来「㉑世界」

NPC①ゾーイの昔の知り合い(幼馴染、遠縁の親戚、ゾーイの両親の友人等、詳細は相談)
今回の依頼をきっかけに数年ぶりゾーイと再会することになる。

■紹介文更新
  • 女装ナイトクラブ『RAZZLE DAZZLE』の人気ダンサー 兼 GH。25歳
  • ナイトクラブで情報を集め、事件の匂いを感じると首を突っ込んで探偵のようなことをしている。
  • PC③ハイドに心霊調査機関を紹介してもらう。ハイドは馴染みのGH仲間だ。
  • ヴェルマを名乗っているが、本名はヴェルノ。
  • 母がオルコック家の元家政婦。ゾーイに気に入られ、幼少期を屋敷で過ごす。
  • 10年前に誘拐事件に巻き込まれたことがある。その後、オルコック家を出た。
  • 美味しいお菓子が好きだが体重を気にして制限している。ロイ・エバンズの焼く菓子には逆らえない。

能力【Dance of death】

暗示効果のある特殊な舞踊を踊る。
暗示にかかった対象は死の恐怖を感じ、倒れるまで踊り続けてしまう。

PC② 画家/ミスティック サミュエル・エインズワース(青磁さん)

キャラチップ:宝石箱セット 蛋白石 オルコット
「私は目の前の人を救いたい、ただそれだけなのです。……それが例えこの世ならざる者でも」
運命のタロット:過去「⑯塔」現在「⓪愚者」未来「⑫吊るされた男」

界隈では名の知れたゴーストハンター。
PC④にライバル視されている。

  • 男性、23歳くらい。
  • 子供の時から霊能力が高かったことから霊にとりつかれ、その時に除霊してもらった縁で心霊調査機関に入った(なのでそれなりに年数在籍している古株)。
  • 一度、関わった依頼で除霊に失敗している(手がつけられないほど強力なやつだった)。
  • 業界での知名度に反してシャイな性格で、あまり表立って行動するタイプではない。
  • 表向きの職業は画家(主に風景画)で、PC⑤をパトロンにしている。

能力【フヴェルゲルミルの茨】

  • アストラル体に干渉して動きを封じる。

◆前日譚

+ ...
【幽霊画家】
霊とは目立ちたがり屋で、よく写真に写りこむ込むものらしい。

そのお陰で機関の活動がしやすくなるものなのだから、むしろ感謝すべきなのではあるだろうが、……

問題は、絵を描こうとする際にも
いつの間にやら寄ってくる事である。

当初はのどかな公園をスケッチしようとしていたのだが 、そのベンチに喪服を着た女性が憂いを帯びた顔で腰掛けているように見えるのであった 。

「………仕方がない」

絵を描き始めた頃は、生きている人間と死んでいる人間の区別がつかなかったものだが、今は違う。

「お嬢さん、モデルになっていただけませんか?」

反応は無かったが、意識が此方に向いたのは解った。断られはしないようなので、 そのまま、キャンバスへと向かった。
ベールの下の、この世の全てを愁うような眼差しを、表情を、佇まいを。
その美しさを、すべて描き出せるように、と。出来上がったスケッチを彼女に見せると、表情が変わることはなかったが、
その雰囲気が少し穏やかになったように感じられた。

後日。出来上がった絵をパトロンに見せると、普段より色をつけて支払ってくれた。
尚、風景画よりもその手の絵を見せた方が受けが良いのであった。

◆前日譚2

+ ...
【出会い】26村前日譚

「何ですって…!?」

新人が一人で霊の出る場所へ向かったという
機関からの情報を聞くなり、サミュエルは掛けてあったフロックコートを羽織る。

新人の名前はコペルと言った。
調査だけであれば、新人に任せることはあるし、霊が強いものでなければそのまま徐霊となることもある。
しかし、報告にあった場所は、
サミュエル自身も気になっていた程の場所であり、件の新人は少々、いや、かなり自己顕示欲の強い性格だと言う。一人で解決しようとすることは明白だった。

(間に合うといいんですが……)

弱い人間ならば、
最悪、取り殺されかねない。

現場に駆け付けると、
黒い靄のようなコロニーを形成した悪霊が
道にへたり込んでいる男性を覆っていた。

サミュエルは機関の監督不行き届きへの怒りを深呼吸して落ち着かせると、 そのまま黒い靄へと向かい、腕を差し入れた。
当然、悪霊達の矛先はサミュエルへと向かう。――怒り。嘆き。悲しみ。そして、生者への深き執着。腕から浸食されていくような感覚は、言い表せないような不快感を生ずる。

「……彼は、返してもらいますよ」

穏やかに、しかし、毅然とした態度で、
黒い塊の接合部へと干渉し、霧散させる。
これで消えたわけではないが、
生者への影響力はかなり弱まった筈だ。
汗を拭うと、新人君へと声をかける。

「大丈夫ですか?」

それが後にライバルを名乗る彼との出会いだったが、サミュエルにとっては単なる日常の出来事のひとつであり、 あまり覚えがない事は――彼には、内緒にしている。

PC③ フリーライター/ジャーナリスト ハイド・ネスビット(澪斗さん)

キャラチップ:壱番街セット イヌカイ
「今回のギャラはこんなもんかぁ……しけてんなぁ。まぁいいや、煙草買お」
運命のタロット:過去「③女帝」現在「⑨隠者」未来「⑱月」

PC⑤から心霊事件のネタを仕入れている。

  • 男性、25歳
  • 心霊調査機関に籍を置きつつフリーのジャーナリストをしている。
  • 幽霊退治より調査が主。
  • 心霊写真を撮って雑誌に掲載してもらい金銭を得ている。
  • 軽薄でやや不真面目そうに見えるところもあるが根は真面目。
  • へらへらとよく笑う。
  • 他者に対しては気軽に話そうとするタイプ。
  • 時々口が悪い。
  • 喫煙者。紙巻き煙草を持ち歩いている。

能力【揺蕩う意思】

  • 言葉を揺蕩わせて相手を撹乱する。

PC④ 肩書/サイエンティスト コペル(きりんさん)

キャラチップ:曲芸会Hello!セット パドレ ドロシー
「はーっはっはっは! この! 天ッ才科学者であるボクに任せておきたまえ!
この世の不思議はすべて科学で解明できるのだよ!」

運命のタロット:過去「⑨隠者」現在「⑧力」未来「①魔術師」

PC②のことをライバル視している。

  • 男性、23歳
  • 自称「天才科学者」。発展途上にある「科学」に心酔している。
  • IQの高い、夢見るバカ。
  • ことあるごとに珍発明品を披露したがる。最近のお気に入りは「超・プラズマ分解波照射機銃」と名付けたパラソル銃。霊的なものに向かって撃つと効果があるらしい(本人談)。
  • もと、オカルトでひと山当てた商人の跡取り息子。
  • 学をつけてもらったが、途中で科学に傾倒して珍発明などを繰り返すようになり、結果両親と仲違いして現在ほぼ絶縁中。
  • 細々と稼いだ金も発明のために使ってしまう為、金に不自由している。
  • 自己主張が激しく、うるさい。別名"シャタップ"コペル。

能力【たったひとつの冴えたやりかた】

  • コペル秘蔵の、とっておきの奥の手の切り札の最後の手段である発明品。
  • 科学の粋と天才的直感の結晶(本人談)で、未来的で革新的でグレイトな素晴らしい逸品(本人談)なのだが、普段はひた隠しにしていて使われないので、それが何なのか周囲は知らない。

◆前日譚[1]

+ ...
「何故、3分で解ることを1時間もかけて説明するんですか」
ボクは、こう教師に質問したことがある。大真面目だった。
教師は面倒くさそうにボクを睨んだだけで答えなかった。
しかし、今なら自分の質問の答えが解る。
ボクが天才であり、周囲は全員そうじゃないから、だ。

ボクの家は古物商だった。
両親は、商売人として、愛想の良さと先見の名を持っていた。
貴族の間のオカルトブームに便乗して、いわくつきの魔術書やボロボロのウィジャボード、交霊界で使われる燭台や香油なんかを売って、10年足らずでそれなりの財産を築いた。

両親は、ボクをよく可愛がっていたと思う。
ボクは体が弱い代わりに知的好奇心が強く、売り物の本を片っ端から読破した。
更に数字に滅法強く、父親が算盤をはじくより早くその日の売り上げや税金の計算をしてみせた。
両親はそれを喜んだ。「お前は将来は大商人になって、大金持ちになる」と預言され、貴族の子息が通うような学校に入れてもらった。

だがそこでボクが"科学"に出会ったのは、両親にとって悲劇だったんだろう。
ボクにとっては、極上の福音だったんだけどね。

科学。
微弱な電気信号や数ミリ以下の針の振れ、たった一滴の薬品で、この世の不可能を怒涛の勢いで「可能」に変えていく技術。
気が遠くなるような地道な研究や、ダイナミックな発想の逆転、巨大な論理構造や雷鳴のような直感が、矛盾なく共存している美しい世界。
科学は、世界に対する、人間知性の勝利の結晶だった。
ボクは確信している。科学はいずれ神さえも手中に収めるだろう。

ボクが科学に傾倒して、愚鈍な貴族の息子を言い負かしたり、教師が持つ知識以上のことを質問して恥をかかせたりしはじめると、両親はボクに懇願した。

――お願いだから、変なことをするな。
――お前は頭がいいんだから、大人しくしていれば大金持ちになれる。

「変なこと」だって?
ボクは人間が成せることの中で一番意義があることについて、「変なこと」と呼ぶ両親に眩暈がした。
更に、このボクの恵まれた頭脳を、安定した生活と財産のために使わせようとしていることに、ぞっとした。

「成功した大商人のうちのひとり」になるのはまっぴらだ。
ボクは世界で唯一の人間になる。
ボクが何故ボクでなければならないのか決めるのはボクだ。
ボクの価値はボクが創る。科学という、世界のすべてを解明する輝かしい武器を手にして!

ボクと両親の、1年強にわたる平行線の言い合いは、ボクが少しの金を持たされて家を出るという形で終わった。

◆前日譚[2]

+ ...
手に入れた自由の代償として、ボクは、社会的地位と、金を失った。
気分は晴れやかだ。何も間違ったことはしていない。
しかし問題は明らかであり緊切だった。
ボクは自分が食べるものと、それ以上に、科学者として研究をしていくだけの場所と機器を必要としていた。

最初は、パトロンを探して発明品を売るつもりだった。
しかし、科学を神への冒涜的な挑戦だと考えている愚者はボクが考えている以上に多く、ボクは話さえ聞いてもらえず門前払いにされる、ということを繰り返した。

気にしてはいない。天才とは孤独なものだ。
ただ、ボクの体は弱く、その年の冬にストレスと疲労で片耳に難聴を患った。
手持ちの少ない材料で、小型の収音装置を作り耳に取り付けることで事なきを得たが、流石にこのままではまずいと考えるきっかけになった。

金が必要だ。
ボクは渋々求人誌を買って、下宿でひとり、硬いパンを食べながらのろのろページをめくった。
掃除夫だとか廃品回収だとかカフェで皿を洗う仕事だとか、そういう、天才にふさわしくない仕事のリストを眺めていたら、いつの間にか涙がこぼれていた。
下働きに従事する自分なんか想像できなかったし、たとえやる気を出したにしても弱い体を抱えてどこまでできるかなんて考えたくもなかった。

ボクにはこんなに才能があるのに。
アカデミアで最先端の機器に囲まれて1日ごとに科学を成長させるべき人間なのに。
眉を寄せて、鼻をすすりあげ、それでもページを最後までめくりきったとき、ある文字列が目に飛び込んできた。

「……ゴースト、ハンター」

それは求人ではなく、「心霊現象でお困りの方へ」という心霊調査機関の宣伝広告だった。イラストもなし、おどろおどろしいフォントでもなしの、小さな記事だ。

「バカらしい。幽霊だって? そんなものはすべて何らかの電気信号か化学反応であって、いずれ科学が解決……。…………。…………!!!!」

ボクは椅子を鳴らして立ち上がった。
そうだ! ゴーストハンターだ!
まだ魂の重さだの奇跡だの霊障だのに怯えている者たちに、証明するんだ。
心霊現象のすべてを科学で説明し、逃げ場をふさいだ上でその鼻先に科学の勝利を突きつけてやる!

科学とは真逆のこの分野だからこそ。
未だ前時代的なオカルト信仰がカビついている、この暗い帳の中こそ。
科学の光で照らし出すのにふさわしい!!

ボクは数日後、手元に残されたわずかな金をすべて使って熱と電磁波に反応する"心霊探知機"を組み上げ、それを携えて心霊調査機関の扉を叩いていた。

ボクはこうして、ゴーストハンターになったんだ。

◆前日譚[3]

+ ...
ゴーストハンターになってからの日々は充実していた。大忙しだった。

"心霊現象の正体とは?"

ひとことに心霊現象と言っても、その内容が多岐に渡る、渡りすぎていることは、すぐに解った。
亡霊、黒い霧、ラップ音、ポルターガイスト、悪魔憑き、等々、等々……。
ボクの前には、解明すべき課題とその事例が山積みで、万能の方程式ひとつですべてを説明するなんていうのは到底無理だった。

いいじゃないか、面白い。
相手は天地開闢の瞬間から人間を惑わせてきた難問だ、このくらいの歯ごたえは想定していたさ。
ボクは生まれてはじめて「どうアクセスしても解明できない」壁を前にして、燃えていた。
調査機関からの報酬は、ボクの手によって、迅速に、発明品の山になっていった。

ボクは天才だから、ゴーストハンター業を始めてすぐに、ヤツらの尻尾を掴むことには成功していた。
ヤツらが現われる時は高確率で、周囲の電磁波にノイズのような乱れが生じる。物理法則に照らし合わせて考えれば不自然すぎる乱れだ。温度や湿度に変化があることもある。その乱れの強弱とパターンで、どんな距離にどんな心霊現象が起こるのかも7割ほどの的中率で予測できるようになった。
更に、特殊な電子の波を照射することで"ヤツら"に干渉できることも発見した。

しかしこれらの事例をいくら集めても"本質"には手が届かない。
ボクは仮説をたてては例外に崩され、また新たな仮説を立てて崩される、という日々を送っていた。

「コペルという、変な装置を使う頭のいかれたゴーストハンターは、なかなかに成績がいいらしい」

調査機関内にそんな噂がたつのに、時間はかからなかった。ところどころ余計な言葉がついているが、気にしない。天才とは理解されないものなのだ。
しかし、続いて必ず引き合いに出される名前には閉口した。

――サミュエルには敵わないだろうが。

サミュエルという"霊能力者"は、ボクが心霊機関に入ったその日に名前を知るほど有名人だった。
曰く、幼少時から霊能力者として目覚めていて、その実力は高く、性格は控え目で誠実。
難事件があればとにかくそのサミュエルとかいう奴にお鉢が回っていくらしい。

ボクは、気に入らないの一言だった。
実力がどうとか嫉妬しているとかそういう低レベルな問題ではない。
そもそもボクは、「霊能力者」とかいうヤツらを認めていないのだ。

心霊現象が何をもって解決とされるか。
それは残念ながら事件の解明と収束ではない。"依頼人が納得したかどうか"だ。
心霊現象だと騒がれて駆けつけてみたら依頼人の思い込みだった、という事例なら山ほどあるんだよ。
霊能力者とは結局、異様に虚言が上手な詐欺師なのだ。
あの、えへんえへんと聖書を読むしか能のない聖職者たちみたいに、ありもしない"霊能力"を周囲に信じ込ませているだけだ。
はい、もう大丈夫です、安心です、この霊の嘆きはこんな感じで、こんな理由で成仏しましたからね、なんてさ。
ボクみたいに、まともに現象と向き合おうっていう気なんか無いに違いない。

せいぜいお得意の空言で、ありもしない心霊事件を解決していってくれたまえ。
ボクは"本物"を解明するのに忙しいからね。
そんな風に思っていた。

というわけで、ボクは大人気のサミュエル先生と会う気なんかさらさら無かったんだ。
本当だぞ。

---

あるひとつの事件が、ボクを興奮させた。

墓地に続く寂しい路地の一角に、幽霊が出るという。
話自体はありきたりだが、事前調査で確かに電磁波の乱れや不自然な気温の変化が見られたし、文句のつけようがない"心霊現象"だった。しかも、ボクの観測は、それが今まで見てきた中でも最大の規模だということを示していた。
何かしら、新しいデータ、仮説を前に進める材料が得られるに違いない。
新作の「プラズマ分解波照射機銃」を試すにも、絶好の機会だ。

ボクはこの究竟の機会を、他のゴーストハンターに触らせないように鼻息荒く抱え込んだ。

ボクの目には快勝しか見えていなかった。
大丈夫。
ボクは天才だから。
問題の現象が起きると予測された数時間前から現場に張り込んだ。
そして、遂にそれが起こったんだ!!

---
*貯まりに貯まった膿のような複合霊だった。
*満足に供養されなかった無念が磁石のように引き寄せ合い
*混沌とした、濃く黒い塊となっていた。
*正悪の概念は消失して久しく、生者への執着のみで動いていた。
*新米ゴーストハンターの青年の手にあまる相手だった。
*コペルの持つ武器は的外れではなかったが、圧倒的な火力不足だった。
*コペルは、自分に何が起こったかも理解できず
*ただ"自分"を喪失する恐怖になすすべもなく
*叫ぼうとしても声は出ず
*暴れようとしても手足は痺れ、ただ、ただ……。
---

「大丈夫ですか?」

柔らかな言葉が降ってきた。
……ボクは、どうしたんだ?
対決しようとしていた"心霊現象"にあっという間に飲まれ、心と体のすべてで窒息したこと、指一本自分の意志に従わないことに戦慄したことが、ぶわっと思い起こされる。

腰が抜けたボクを気づかわしげに覗き込む青年は、誇るでもなく、恩着せがましくでもなく、「危ないところでしたね」と呟いた。
そうか……助けられたのだ。目の前の彼に。

「ああ……ありがとう」

努めて冷静を装い、差し出された手を取った。
科学の徒ともあろうものが"心霊現象"というただの事象に「恐怖」してしまったことが、屈辱だった。

「改めて後日礼をさせてくれないか。きみの名前を教えてくれ」

(ああ、ボクの信じる科学にかけて)

……お願いだ、違ってくれ。

彼は控え目に「サミュエル」と名乗った。

……ああ、くそっ!!

(そんな気はしていたよ!! 最っ悪だ!!)

つまりだ。
ボクは一方的に馬鹿にしていたこの噂の霊能力者の前で慢心し、醜態をさらし、うかうかと助けてもらったってわけだ!
サミュエルがどうやって"心霊現象"を片付けたのかはわからない。
ただ、助けてもらって初めて解ったことがある。彼は詐欺師では、ない。

ボクは手短に一方的に別れの挨拶をして、その場を立ち去った。
知ってしまった。本物の"霊能力者"がいるのだということを。
(それならば、それならばさ!)
混乱した頭で考える。

(そっちも解明してやる、ボクの人生にかけて。サミュエルにどんな力があるか。
解明してしまえばこちらのものだ。ボクはそれを越えたってことになる!)

科学を信じる心は何も変わっていない。
ボクはほんの少し霊能力者に対する見解を変えただけだ。
そう、ただそれだけなんだけど、その夜は寝付けなかった。
身体が泥のように重くて、脳も恐ろしいほどにくたびれているのに、一睡もできなかった。

初めて見た、サミュエルの憂いをたたえた瞳が忘れられなくて。
……ボクは、こんな言葉は大嫌いなんだが……。
彼は「神秘的」だったんだ。

[**]

PC⑤ 毒収集家/ディレッタント アイザック・ロイド・オーウェン(ききさん)

キャラチップ:closureセット 織人
「久方ぶりの客人だ。ゆっくりしていくと良い。嗚呼、紅茶でも淹れさせようか。……安心し給え、毒は入っていないから」
運命のタロット:過去「⓪愚者」現在「⓪愚者」未来「㉑世界」

PC③に時々情報提供をしている。

  • 男性、27歳
  • 元将校。毒物提供と軍事資金提供により前線配置から逃れたため、実戦経験はほぼなし。
  • 幼い頃より毒物の収集に勤しむ生粋のコレクター。採集以外の理由で家から出ることは皆無。
  • 社交界に友人は殆どおらず、変人と呼ばれている。
  • あまり周囲の人間に興味が無く、淡々と喋る。
  • 外の世界を教えてくれるPC③のことは嫌いではない。

能力【His Last Bow】

  • 空中に描いた術陣から、魔術構成によって造られたカプセル装填銃を取り出す。弾は6発。
  • カプセル弾の中身は日によって異なるが、当たると大体のものは溶ける。


NPC

NPC① 依頼人 ゾーイ・オルコック(SGM すばるさん)

キャラチップ:H)SOCIUS(Aセット 泡沫のバウンサー ジゼル
「違うのよ。べ、べつに好きとかそういうのじゃないんだから……!」
  • 女性、20歳、身長153cm
  • オルコック家の次女
  • 「屋敷の幽霊騒ぎを調査してほしい」とPC達に依頼状を送ってきた
  • 両親は既に亡くなっており、姉とわずかな使用人達と暮らしている
  • 物怖じしない性格だが、好意を素直に伝えるのは苦手
  • 社交的で旅行好きだったが、ここ数年は屋敷に引きこもり読書や書き物をして過ごすようになった
  • 2階のバルコニーがお気に入りのようで、天気の良い日はよくそこにいる

NPC② 依頼人の姉 アンジェリーナ・オルコック(SGM jpsさん)

キャラチップ:H)SOCIUS(Aセット 街角の花摘み ディエム
「わたくしも、困っているのです。――どうか、どうか解決してくださいませ」
  • 女性、22歳、身長155cm
  • オルコック家の長女
  • 虚弱体質。物静かで大人しい性格
  • 両親が亡くなってからは家のことを取り仕切ってきたが、近頃はゾーイに判断を委ねることも増えたようだ
  • 花が好きらしく、庭の温室を自ら手入れしている
  • よく一人でハーブティを飲んでいる
  • 食事は自室でとる習慣がある

Sub NPC 執事 ロイ・エバンズ(GM はやつじ)

キャラチップ:花一匁セット 執事 枇杷
「私でお役に立てることがございましたら、なんなりとお申し付けください」
  • 男性、60歳前後、身長180cm
  • オルコック家の老執事
  • 姉妹の生まれる前からこの屋敷に勤めている
  • 口数少なく謙虚な性格で、姉妹に忠実に仕えている
  • 常に穏やかな笑みを浮かべているが、ふっと暗い陰を感じさせることがある


TC:文乃 栞(あやの しおり)

キャラチップ:PO!SONセット 鱒茸 スルフ

■TCコメント

  • あたしの紹介する3番目の物語、よろしくね♡


後日談

【ハイド後日談】

+ ...
 ──親愛なるヴェルマ・ヴァレンタインへ。


 最近、お互いに忙しいのかなかなか会えなかったので、こうやって手紙なんて書いてみたよ。
キミは相変わらず元気でやっているんだろうか。
 ……僕はまあ、いつも通りだよ。
 魔術師としての仕事で怪我をしているのは相変わらずだし、機関の仕事も兼ねているから記者としても何とか食い繋いでいるというか。

 そうそう、魔術師との仕事と言えばザックの家に本当に厄介になっていて。
僕が怪我をすると何となく不機嫌にしながら、いつものように「好きにしたまえ」ってやるんだ。
社交界にもたまーに顔を出すようになったみたいで、なんか、少しだけ、丸くなったのかもしれない。
ゾーイのところに行った時に黒魔術に関しての書物を持っていこうとしたり、その辺りは相変わらずだけど。
諦めろとは言わないから、黒魔術からは離れてくれないかなぁ。
白魔術でできることは探してみたりはしてるんだけど、さすがに僕のできる範囲じゃないなぁって頭を抱えているところ。
……いっそ科学とか錬金術とか……無理かなぁ。

 ゾーイに関しては、……キミの方が知ってそうだよね。
僕もそこまで頻繁に会うわけじゃないんだけど、リーナと仲良くやってるのが、本当の姉妹みたいで微笑ましいなって思ってる。
……リーナの方が妹みたいで、彼女がリーナの言動に仕方ないなぁみたいな顔で笑うことにちょっとほっとしたりもする。
彼女自体に魔術の素質があるみたいだから、僕としては簡単な白魔術を覚えてみないかなぁと思ってるんだけど……。
行おうとしたことが大事だったからね、僕が相手をするにしてもちょっと難しそう。
あ、でもこの間会ったときに、最近ヴェルノが顔を見せないの!って怒ってたよ?

 リーナはこの間、二人でスコーンを作ったんだ。
ホムンクルスだからはわからないけど、物覚えがいいよね。
素直だし。僕もお菓子作りは得意ではないんだけど、オルコック家までお邪魔してゾーイとロイのために作ったんだ。
二人に内緒で喜ばせたかったんだって。自分から紅茶を入れたものは作れるかとか、他の種類はどうだろうって色々聞いてくれて。
そうなるとやっぱり僕も調べるから、僕の方もお菓子の知識が増えていくんだよね。
ヴィーも今度食べてごらんよ、リーナの作るお菓子はおいしいよ。
ちなみに、ゾーイもロイもすごい喜んでくれた。
なんか、……何でもないことのはずなのに、すごくほっとするよね。

 そうだ、リーナと言えば、彼女の身体に関しての解析が進んでいるみたい。
コペルはすごいよね、リーナのためにってめちゃくちゃ頑張ってる。
ただ、それ以外の発明は……うん、一緒に暮らしてるサミュエルが大変そうだなぁって思うレベル。
この間ピッツァを焼くんだ!って言うから二人の家にお邪魔して、その機械を見せてもらったけど……まあ、ご想像通り?
生地が見事に飛んでいって……床にべしゃって。
サミュエルが深々とした溜め息をつきながら頭を抱えていた。
自分で作るんじゃなくて機械に作らせたがるからよくあるみたい。

 たまに、二人にご飯を作りに行くんだけど、コペルの部屋は何かこう……沢山の機械とか工具とかでいっぱいなんだよね。
一度連れてったザックが無言で帰ろうとしたぐらい。
逆に、サミュエルの部屋は言い方が悪いんだけど質素というか。
でも、ちらっと覗いた先にキャンバスがあったりすると、ちょっとわくわくする。
僕は昔、彼の絵が神秘的で……ちょっと、寂しそうだなぁと思ったこともあったんだ。
彼の絵、幽霊が入り込むのは相変わらずだけど、明るくなったと言うか。何となく、温かくなったというか?
あくまでも僕の印象なんだけど、そんな感じになった気がするんだ。
当たり前だけど、サミュエルとコペルはお互いと一緒にいることがすごく幸せだってことなんだろうなぁと思うよ。
ちょっと羨ましいなぁ……なんて、ね。

 ……僕に関してが少ない、って怒られそうだな。
 まあほら、どうせなら顔を合わせて飲みながらでも話がしたいんだよね、僕としては。
 この日に、ここのバーで待ってる。キミの仕事は休みだって聞いた。
誰からなんて野暮なことは聞かないでよ? 記者としての僕も、わりと顔は広いんだ。
 それじゃあ、会えるのを楽しみにしてる。


 ──キミの友人、ハイド・ネスビットより。




 きぃ、とバーの扉が開いた。
 煙草の煙が揺らいで、姿を見る。
 困ったような笑顔を見て、にこりと、笑った。


「久し振り、ヴィー。相変わらず綺麗だね」


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最終更新:2018年11月16日 20:53