航空力学初級編


飛ぶには?

 飛ぶ、飛行するために最低限必要なのは
1、機体を前へ進める推進力
2、機体を浮かせる翼
の二つ。
 まずはこの要素をそろえて模型飛行機を作ろう。
 推進力を得る方法はたくさんあるが、一番手っ取り早いのはFLYING BLOCK(フライングブロック)を設置することだ。このブロックはボタン一つで一定方向への力を発生させられる。
 次に翼。飛行機の翼として有用なブロックは
(SMALL)PROPELLER (プロペラ)
WING PANEL (ウイングパネル)
この3種。
 しかしプロペラは特殊な性質を持っており、飛行機について詳しくない者、いやむしろ詳しい者のほうが混乱してしまうだろう。このブロックの性質は次章中級編で解説する。
 翼らしい形をしているWINGは・・・・・・実は飛行に用いるにはプロペラとはまた違った難しさがある。Besiegeにおける飛行機の基礎に慣れる為に複雑ではない飛行機をつくりたいので、ここではウィングパネルを使おう。

重心と空力中心

 ところで、現実の飛行機はどのように飛行しているのだろう?
 簡単に言うと、主翼で発生させた「揚力」で機体を持ち上げている。
 しかし、(先ほど翼で機体を浮かせると言ったが)Besiegeでの飛行機の主翼の役割は「一定方向に働く大きい空気抵抗で機体が落ちないようにしている」と言ったほうが正確だ。
 前述の翼に使えるブロックはこの性質を持っており、飛行機の翼として使える。便宜上、本項ではこの性質を空力(くうりき)と呼ぶ。角度を変えて高所から落してみるとその空気抵抗の違いが分かるだろう。
 では早速、推進力と翼を設置してみよう。
(右方向に進む)
 残念ながらこれではまだ飛べない。曲がりながら地を這うか、空中から飛ばしたとしても落ちていったはずだ。
 ここで、この飛行機とはいえない何かを高所から落してみてほしい。パネルが持ち上がるような回転をして、その後まっすぐに落ちていったはずだ。これはどういうことだろう。

 Besiegeには機体の重心=重さの中心を表示する機能がある。この機体の重心は、パネルの根元よりやや前にあるようだ。
 そしてパネルの空気抵抗の発生する点は、おおよそパネルの真ん中にある(根元からの距離は中途半端だが)。落してみて機体の後ろがひっくり返ったのは、重心の後ろにパネル=空力が偏っていたから。逆に前に偏っていたらどうなるだろう。
 適当に重心を動かしてみた。今度は機体前方がひっくり返ったはずだ。
 飛行機を安定して飛ばす上で重要な基本その1、重心の前後での空力のバランス
 前と後ろどちらかの空力だけでは飛行機を飛ばすことはできない。前後に振り分けることが大事だ。
 機体を前進させたときひっくり返るなら重心より前側に、機首が持ち上がらなかったりのちのち機体を操作したときに旋回しづらかったりしたら重心の後ろ側に空力が偏っているということになる。
 重さの中心である重心に則り、今後はこの空力の中心をそのまま「空力中心」と呼んでいこう。しかし重心とちがってこの空力中心は可視化できない。
 空力中心の位置を探りたい場合は、機体を高所から自由落下させるとおおよそのバランスがわかる。
 空力中心の丁度いい位置は、高速では重心のやや後方、そこから速度が下がるほど少しずつ前にずれ込んでいく。

風見安定 ~調整沼への第一歩~

 先述の重心と空力中心の概念に基づき機体後ろ側にもウイングパネルを増設し、離陸しやすいよう駐機状態で機首を上げておく為のランディングギアをつけた分の重心の変化も考慮して、自由落下試験で機首がすこしだけ持ち上がるように調整した。
 コアブロックと後ろのウイングパネルの間はちょうどウイングパネル1枚分空けてある。
 「既に完成されている現実の飛行機の形をまねると作りやすい」とよく聞くので、ここでもそれっぽい形にしてみた。
 おそるおそる飛ばしてみると・・・・・・飛んだ!
 ひっくり返ることもなく浮いていく。これで成功・・・・・・

 おや、最初のうちは綺麗に飛んでいたはずが、だんだん横に滑っていって前後が逆転し、そのまま落ちてしまった。自分でつくった飛行機が見事に飛ぶ感動はまだ冷めやらぬところとは思うが、この機体には飛ぶ上で必要な基本がまだ二つ欠けている。
 重要な基本その2つめ、直進安定性
 現実の飛行機を見てほしい。主翼とは別に小さな翼が機体後部にあるはずだ。・・・・・・無い? それは特殊な機体だ。今の君にはまだ難しいだろう。
 この尾翼は、空気抵抗を利用して機体の向きが変わらないようにし直進させる機能を持つ。先程機体後部に増設したウイングパネルは縦方向の直進性に寄与する水平尾翼として働く。
 しかし現在の模型は水平翼だけで、横方向の直進性確保に必要な垂直尾翼が無かったために横に滑ってしまったのだ。直進性を得るための翼の働きを風見安定という。
 そして3つ目、翼以外の空気抵抗
 空力系以外のブロックにも全方向に等しく働く空気抵抗があり、中でもフライングブロックの空気抵抗はパネル程ではないものの大きい部類に入り、今回のようにごく小規模な機体では案外影響が大きい。
 そして今後フライングブロック以外の推進力を用いたとき、再び翼以外の空気抵抗が関わってくるだろう。
 先述の「重心の前に空気抵抗が偏っているとひっくり返る」というのは横方向にも当てはまるので、今回はフライングブロックの空気抵抗によって機体が不安定になってしまった。
 今度は垂直尾翼を組み込み、再調整しよう。
 重心調整も兼ねて真ん中のブレースを廃しウイングパネルを図のように置いてみた。さて今回は・・・・・・

 かなりの距離を安定して飛べるようになった。成功と言えよう!

まとめ

 では、この章の要点をまとめる。
  • 飛行には「推進力」と「空力」が最低限必要
  • 安定させるには重心の前後の空力のバランス=重心と空力中心の位置関係が大事
  • 空気抵抗を受けるのは翼だけではない
 今回の解説の内容に構造図鑑で紹介されている様々な操舵装置や推進装置を組み合わせることで、少なくとも「とりあえず飛ぶ」程度の航空機は作れることだろう。
続く中級編では、航空機の性能を高める上で課題となる空力ブロックの性質について解説する。

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最終更新:2022年06月01日 11:32
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