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-*シガーレビュー(レビュアー:Y)
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 グレイクリフ 黒帯 ダブル・エスプレッソ ロブスト(アンカット)
 お譲り品。124㎜。喫煙時間65分。
 
 ・トップ
 極ナッティで透き通った見事に軽快な味わい、苦味も爽やかなナッツの酸味を湛えて口腔を満たす、実に見事な1stドロー。
 穏やかにしっとり響き渡るこの絶妙でburned な甘味は、樹木香も相まって実に美しく香り高い。
 プレスを用いない非常に特有で荒々しいフットからは想像もつかないほどの甘さは、[[ウニコス>ベガスロバイナ ウニコス]]のそれに匹敵する。
 何とも耽美的で、フットから複雑に湧き立つ紫煙に似つかわしくない清廉な味わいに尽きる。
 実にアロマティック、日ざかりの果樹園に佇むような昂揚がある。
 
 ・トップ・ボトム
 ニュアンスを順列的に並べてみる。
 
 ①まずは鮮烈でフレッシュ、雑味も苦味もないナッツそのものの素晴らしい甘味
 ②ややウッディネスな酸味があるが、ナッツこ甘味を引き立てる役割
 ③熟れ頃の果実果肉のたるんとした甘さ
 ④ややシダーの高いアロマ
 ⑤ライトながらしっかりと舌の腹に届くウッディネスな甘味と酸味
 ⑥遠くから啼くナッティローストの渋味
 ⑦高く鐘のように響き渡る黄金の樹木香
 ⑧余韻に爽やかなナッツの上品な甘さ
 ⑨尾を曳くシルキーなウッディネス
 
 トップでこれ程優秀な非ハバノスがあるのには、大変驚く。
 がっちり固められていないフレア型のフットが醸し出す、フローラル&スウィート。
 実に美しいトップであり、完成されていると感じる。
 
 ・プレ・ミドル~ミドル
 喫味のニュアンスは以前穏やかであり、喉の奥に静かに訪れる(シルキーを通り越して)ミルキーなナッティ&ウッディネス、またその甘味と酸味とのステータス・バランスは真にお見事。強燃焼させれば、呼応して若干のロースト感、珈琲様の浅いコク、深く舌に沈み込むライトなナッツ、チャーチルに感じる瓜科系統のさっぱりとしたほの甘さ、それらのニュアンスが足されて調和を保ったまま口腔を満たす。
 余韻は聡く、上質の珈琲のようなほのかな酸味とやわらかなコクある苦味をしっとり響かせる。
 うーーん、今のところ弱点の見当たらない一本である、間違いない。
 
 ・ミドル・ボトム
 この辺りで、序盤のアロマティックさはやや姿を消し始め、僅かにウッディネス&アーシーな渋味・苦味・滋味がエアリーながらやって来る。
 喫味はライト~ライト・ミディアムとやや強くなり、若干ではあるが特有のタバコ感も否めない。
 また、ニカラグア産に近い(とは言え断言できる程度ではない)微かな「エアリーなウッディネスな渋味と酸味」が喫味の中心に現れて来る。
 だが、正直まだまだきちんと吸える葉巻である。
 紫煙に香る大ぶりの花束のようなフローラル・アロマは以前存在し、見事なブレンドを感じ取らせる。
 
 ・プレ・ラスト
 正直言うと、この一本が「当たり」なのでは、と疑うほどの出来栄えの良さである。
 金額が国内2000円程度であれば、このシガーはデイリーにも似合うし、またそこらのロブスト未満のハバノスでは手も足も出ない喫味・ニュアンスのバランス感がある。
 喫味に現れたウッディネスな酸味も、トップの甘さを湛えた麗しいニュアンス群からスムースに変遷していることで、この一本にける「流れ」が悪くない。
 酸味の具合も、ミドルで突如現れるわけではなくトップのステータスがゆっくりと移行するお陰で、実にフローラルに味わうことができるだろう。
 個人的に、ウッディネスな酸味や渋味は、トップの喫味とのアンバランスさから「んん?」と感じて悪い印象に転じることが屡々だが、この一本のように「トップに比べてややステータスが上がって、さっぱりした印象になる」と思わせてくれれば良いわけだ。すなわち、あくまでミドルのニュアンスがトップと「地続き」になっている。だからこそ、かなりの感覚で受け入れやすいものと個人的に思われる。
 
 ・ラスト~ラスト・ボトム
 ニュアンスにレザー感、ドライベリー系の酸味、栗皮様の渋味、温めたミルク、沃土に佇む古い切株、しっとり響く湓蒸の珈琲的ロースト感、シダーや桜のチップ、若干じわりと舌先に沈むウッディネスで軽快な旨味、肥沃な大地の酸味と渋味、クリアかつロングトーンな草木香。
 ここに来て、実にライトで透明感のある味わい。
 ムーディで綺品なmigrationである。
 味わいはやや[[サンルイレイ レヒオス]]を彷彿とさせる女性的な風貌を保ちながらも、[[モンテクリストNo.3]]に近いアーシーなクリアさも兼ねている印象。極ラストではボディをやや感じるウッディネス&レザー。
 白胡椒様のスパイス感を舌先に触れながら、しっかり木と革様の旨味も低く響かせ、そしてまだアロマティックな紫煙が立ち昇っている。
 
 うん、見事な一本である。言わば、ミドルの弱点をカバーして余りあるトップのバランスの美しさ、ブレンドの勝利といった感じだろうか。本当に久しぶりに、ハバノスに劣らない非ハバノスを味わった。決して、侮ってはいけない一本である。
 きっと完成度の高さに驚くことと思う。
 
 残り3㎝で満足して終える。