シガーレビュー(レビュアー:S)

サン・ルイ・レイ レヒオス
1本1800円。127㎜。喫煙時間65分。

  • トップ
浅煎りの珈琲、草花木果のフレッシュなアロマ、潤い豊かな沃土のニュアンス。
朝に似合う非常にすっきりとした喫味を感じる。
これは美味い。
ややオイリーさを保ったナッツ感、主体に添えられたほのかな酸味。
もちろんドローは良く、煙量も申し分ない。
ぼわんとした煙の体内には、円やかな土のアロマも感じられる。

  • トップ・ボトム
軽く、高い芳香が続く。
ほの寒い秋の朝、雨上がりの林を歩むよう。
この軽やかさが、ついヘッドを口許へと誘う。
ただ、この軽爽感が靄になっていて、中央に何かしら本性が秘められているのでは?と、心なしかワクワクさせられる。

  • プレ・ミドル
香ばしいナッツ、空気を含んだ湿土、すっきりと歯切れの良い珈琲の酸味。
やわらかく炊かれた森の空気。
しっかり掴んで離さないというよりは、穏やかな笑みでそっと誘われるような喫味。
濃さ、強さ、そういったものは全くといって良いほど感じない。あくまで軽軽やかで温厚、スムース。

  • ミドル~ミドル・ボトム。
喫味に占める酸味の割合がほのかに盛り上がる。
ただ、全体として何となく特徴に欠けたような、穏やかすぎて輪郭がぼんやりする印象がある。
香りにもほのかなフルーツ様の酸味が現れ、しっとしとした喫味に味わいを添える。
この辺りまで来てもまだ穏やかな喫感というのは、すこし驚く。
変な例えだが、勉強はそこそこできるし人に優しいが、そういう人間が特にグループで派手に目立たない、そんな感じの葉巻の印象。
強く燃やすと、やや白胡椒や山椒のような心地良い刺激が舌に残る。喫味はずっと、円やかでゆっくりとした時間が流れる。
プレ・ラスト。香りには雨粒の残る花の淑やかな花弁のニュアンス、大ぶりなナッツの香ばしさが現れる。
喫味には、やや渋みと、立体的に落ち着いた土壌のアロマが強まる。
この辺りから、しずかに旨味もやって来る。
ウッディーかつナッティーな旨味は、舌全体にそっと手のひらをひろげて置かれるよう。
強く燃やすと旨味に深みと太さが出る。ややズシンと来るボディがここでやっと感じられる。
喫味の移ろいが美事だ。

  • ラスト
喫味にやや雑味というか、全体的な旨味、苦味、酸味のバランスをやや崩す印象の軽薄な味わいがみられる。
とはいえ、ある程度のリズムで柔らかく吸い込むことでそれは解消される。
後半ギリになってウッド&ナッツの旨味の主軸を顕しながらも、微妙な吸い方によって姿を気ままに変える様子は、やけに女性的。
葉の燃焼や、燻りの具合をこちらが図ってくゆらせなければならない、その多少の我儘さがこの葉巻の個性なのかもしれない(笑)と、思わせる。

  • ラスト・ボトム
喫味も香りも華やかさを増して、複雑になる。
そこに、どこか気高さと優雅を感じさせる。
若干ナッツにオイリーな感触がみえる。いよいよ旨味も厚みを持って、上顎に豊満なボディを残す。
ミドル辺りまでは静かだった森の雰囲気も、時折強い風が吹き抜けてゆく。
やや灰は層をなして脆くなる。
繊細な味わいと強い旨味を隠すような姿勢は実に女性らしい。
印象として、この葉巻は女性的。
正しいエスコートによって旨味をもっと感じられるはず、そう思われる素敵な葉巻との出会いだった。

2.5㎝を残して終了。