シガーレビュー(レビュアー:S)

ボリバー ベリコソス・フィノス
1本2300円。140㎜。喫煙時間65分。

  • トップ
濃厚で密に凝縮された深煎り珈琲の甘みと苦味、そして喫味の余韻に残る永いコク。
まるで珈琲の広いアロマをそのまま口腔に放り込むような強いエキス。
味わいは実にシルキーで、心地良い喫味のなかにはビターチョコレート、カカオ粉末、浸潤高い土、大ぶりな花弁を満々と広げる南国花のニュアンスを感じる。

  • トップ・ボトム
次第に下の横腹にしりしりとやって来る適量のスパイス。
喉奥にはどっしりと厚く太い後味があって、ビターボディフル。
この辺りの余韻の長さ、喉奥に厚く響く喫感がボリバーらしい、男性的な葉巻ブランドをアピールしている。

  • プレ・ミドル
渋さがあるわけでもなく舌や喉に熱いものを感じるのは、きっとこの葉巻の喫味が「深く濃い」からだ、と思う。
やや、ナッティーな酸味が加わる。
沃土のアピールが、しっとりと、舌の上に糊を延ばすようにして広がる。
焙煎系の醸出された酸味は、喫味の濃密さにそっと寄り添い、熟成果実様の余韻を残してゆく。
実に見事な味のバランス。

  • ミドル
紫煙の香りにロースト感の香ばしさ、酒樽倉庫の裡にいるような重厚でほの高い風合い、土を両掌でガッと掬うような時に荒っぽいニュアンス。

  • ミドル・ボトム
やや喫味に若干の渋味を伴った揮発性木系統のアピール、ビターながらも少しずつマイルドな質量にも転じる味わい深い土の味。
太い樹木の馥郁且つ直截的なアロマが強まり、いよいよ喫感にはボリバーらしいどっしり感が出て来る。
青山椒様に舌先に痺れを与えるスパイスを効かせながら、香りにまで深煎り珈琲のナッティーで濃密な酸味を響かせて、土の木の中間のほの苦味・淡い渋味を舌の上にゆっくりと広げてゆく。

  • プレ・ラスト
喫味はボディを増しながら、一方で不思議と香りは、花の酸的アロマをどんどん増して甘く・スウィーティーになる。
この辺りでは樹木系統の濃い旨味も段々とやって来る。
旨味も主張しすぎず、苦味もある程度の強さを保ったまま、ナッティーな酸味が余韻をキュッと締めるあたりは、絶妙なバランス加減。
酸味は心地良い柑橘皮の様でもあり、土に含まれるミネラル様の豊かさも兼ねている。

  • ラスト
全体の苦味・甘味・渋味・滋味・コクのバランスが取れているせいか、強いボディもそこまで舌にどすんと感じなくなる。
各々が各々の風味を損なわない様に同列順で一気にやってきて、ぶわっと広がる。
と、リングから1㎝の辺りで旨味のアピールがアタッキーになる。
木系統の太く永い旨味が喫味の先頭にやって来て、その次にほのかなナッツの酸味と渋味、若干の沃土の苦味、余韻に爽やかな木のアストランジェントとスパイス感を残す。

  • ラスト・ボトム
ここからは完全に低く響くフルボディ。
ボリバーらしく男性的でダイレクトなコクと苦味を重厚に感じさせる樹木系統の旨味と、鐘のように厳かに響き渡るナッティーな酸味、余韻に旨味由来の渋さ、明瞭に感じられる青山椒のスパイスに舌先が痺れる。
重く深く、広い味わい。

強く深い喫味が好みの方ならまさにここからはボリバーを存分に楽しめると思うが、僕はここまで。
リングを外して少し経ったあたり残り3.5㎝で終了する。

ボリバーらしくもあり、中盤までは何とも絶妙的バランスでそのボディを感じさせずにどんな人でも楽しめるように仕上げられていると感じる見事な一本。
満足は間違いない。