シガーレビュー(レビュアー:S)

パルタガス セリーE No.2
1本2540円。140㎜。喫煙時間70分。

  • トップ~トップ・ボトム
コクが深く濃厚なナッティ&ウッディネス。
珈琲ペーストのように口腔全体、舌全体へしっかりゆっくりと響き渡ってゆく喫味のニュアンスは、パルタガスのセリーシリーズらしい「厳かな甘味」の主体をしっかりと支えている。
にしても、なんと掌にどっしり構えるビトラサイズだろうか。
RG54×140㎜は「デューク」と謂れるビトラだ。
喫味のニュアンスは、序盤からかなり多層的なので、順を追って見てゆく。

①シダーに紛れてロースト感の強いコクのある苦味
②ナッティ&ウッディネスなほのかな甘味
③濃厚でしっとりと舌先に響くアプリコット、梨系のわずかな甘味
④アーシー、特に湿度を保った風合いの渋味
⑤浅いペッパー(ここではもちろん誇張したスパイス感は息を潜めている)
⑥上顎にドライに響くはっきりとしたウッディな苦味と渋味(アストランジェント)
⑦余韻として、ナッツの高いオイリーなアロマとほの甘さ
⑧このナッティに隠れるようにして舌の腹から根に渡って強く鳴る山椒・黒胡椒様の爽やかなスパイス感がもう一度
⑨かなり密度の高い立体的なローストの苦味(①が余韻にまで深く残る)

感じとられるのは、このくらいか。
とにかく、トップには「おっ」と感じるほどの甘味がある中で、喫味のニュアンスは次第にアロマティック→スパイシー→ブラックビターへと変遷していく。
トップだけでも十分完成されたニュアンスのステータスを感じる。

  • プレ・ミドル
味わいのニュアンスは全体的にややシルキーになる。
苦味と渋味のステータスが大きく後退して、ウッディネスな幅の広い豊かな間奏的ニュアンスになった。
いい意味で捉えれば、今後のラストに向けた喫味の変遷への助走期間と取れるし、悪い見方をすれば素晴らしいトップから「間の抜けた」喫感になった印象にも取れる。

  • ミドル
この辺りで、パルタガス特有の高いスパイス感を孕んだしっかりとしたウッディネスな苦味・渋味が時折ダイレクトに口腔内膜を大きく響かせる。
渋味や甘味はそれほどではなく、ステータスがペッパーと苦味・渋味のフュージョンへと移る。
舌に残るのは木と、やや土系統の低く厳かな渋味と酸味。大きな樹木、広大な大地をイメージさせる。
ここからがパルタガスらしさの爆発するタイミングである。

  • ミドル・ボトム
この辺りで喫味のニュアンスは序盤と変遷しているので、この時点での順列を探ってみたい。

①煙草感の強い草木香を携えたややアロマティックさえあるウッディネスな苦味
②優しくシルキーなペッパーのスパイス感
③しっとりと口腔に渡る樹木皮の渋味
④ナッティな甘さを湛えたロースト感
⑤アーシーで密度の高い遅効性の苦味
⑥余韻として、過成熟の果実のアロマ
⑦もう一度、ウッディネスな渋味と酸味

トップ部分でのニュアンスの多層感覚と比べるとやや落ち着くものの、むしろこちらのニュアンス列の方が、よりパルタガスらしい男らしさ、強さを持っていると言えるかもしれない。
明らかにラストに向けて、ウッディネスな渋味や酸味にせよ、珈琲豆をローストした深いコクのある苦味、そして煙草感の強いペッパーアロマにせよ、ステータスを強めて来ており、フィナーレに着々と近づいている感覚を口腔と鼻腔とで存分に味わえるミドルである。

  • プレ・ラスト~ラスト
ここに至ると、セリーD4や特にP2で感じられるパルタガスの「荒々しく厳かな苦味とペッパーの絶妙なバランスを保った強いニュアンス」を(厭でも)感じ取られる。
ニュアンスもちょっと変わって来た。

①ウッディネス&シダーの高く強い濃厚な苦味と酸味
②ペッパーを1つまみ舌の腹に押し込むような厳かなスパイス感、痺れ
③果実味の溢れる豊かなフルーティアロマ
④おもむろにやって来る再度強いペッパー感
⑤力強いウッドの濃い煙草的な苦味
⑥草木香を携えた透き通ったほのかな酸味
⑦紫煙が薫る如く口内を蹂躙する密度の高いビビッドな渋味
⑧余韻に、樹木系の旨味を孕んだ大きなコクある苦味
⑨天然湿土のアストランジェントな重たさ
⑩舌の腹にズンと腰を下ろすウッディネスな渋味とコク

主にこの順列を個人的に感じ取るが、特に①~⑤まではやはりパルタガスの凄みといったところで、⑧~⑩はP2に殊更に強く感じたパルタガスの真髄的ニュアンスである。
なお、もちろん僕の場合はクールスモーキングをしているのでニュアンスは多層的に順列を感じとられるレベルだけれど、これを強燃焼でスパスパいけば、ニュアンスは複雑に一体化して、よりガツンと口腔にアタックして来る。
それを楽しめてこそ「パルタガス好き」なのかも知れないが、僕の喫味感覚からするとそれは恐れ多くてできない(笑)

  • ラスト・ボトム
樹木系統の、大樹の幹を煮出すような旨味が爆発的に大きくなって来る。
この辺りではニュアンスは既に一丸となって、紫煙に紛れる。
個別に感じ取ることができないのは、喫味における苦味とスパイス感が非常に強まり、味わいに先頭も後尾もクソもないからだ。
ただ、P2にやや近い極ラスト感覚であり、それに少しだけアロマティックなほの甘みを足したような喫感を覚える。
リングから2㎝程度離れたあたりから、このパルタガス特有の強い「旨味+苦味+ペッパー」がやって来る、と思って良いと思う。
強燃焼であれば、ミドル・ボトム辺りでおそらくそれがやって来る。恐ろしいポテンシャルである。

これまで味わったD4ではまだ優しさを含んだパルタガスの強さを感じ、P2ではこのE2をややシルキーに簡略化した美味しさを感じたので、その上位版といった葉巻がこのE2、というのが個人的な感覚。
確かに完成された、ニュアンスに富んだ一本でお見事。パルタガスを敬遠する人にこそ、一度楽しんで、「あーやっぱりパルタガスダメだぁ」って嘆いて欲しい(笑笑)
残り3㎝で終了する。