シガーレビュー(レビュアー:BB)


香り高く、繊細でバランスの取れた味わいをもつ1本。序盤軽めでありながら、アップマンの香りが存分に楽しめる。中盤頃から少し重めになり味わいも落ち着いて美味い。後半になっても重すぎず吸い続けられる。バランスが良いからこそ最後までアップマンの味わい、香りを堪能できるのだろう。また、細いながらもドローも良好だった為、とても満足!機会があったら、是非試してみて下さい。

【葉巻情報】
アップマン/サーウィンストン(キューバ産)
H. Upmann Sir Winston
国内価格は1本3,540円(2018,10,28)


シガーレビュー(レビュアー:S)

アップマン サーウィンストン。
1本3540円。178㎜。喫煙時間85分。

  • トップ
華やかなナッティの淡いロースト感に携わる芳醇な花束のアロマ、ビトラに順応して優しく円やかで、極シルキー質なニュアンスの数々がある。

①まず、ナッティの瑞々しくフレッシュなほの甘さ
②そのナッティを追いかける淡いロースト、限りなくスチーミーに近いロースト感
③ドライフルーツの聞香
④ロメオチャーチルのトップに感じられる瓜果実のスッキリとした甘味
⑤小太鼓のように軽やかに鳴り響くナッティの若々しい酸味
⑥余韻として、ローストの香り高い苦味
⑦遠くにナッツの塩分
⑧はっきりと喫味の中にミルク・乳性
⑨余韻のラストに清々しいウッディネスな酸味が爽やかに駆け抜ける

以上の順列で、非常に穏やかにやって来るロングビトラ特有のプロフィールを存分に楽しめる。
余韻にまで十分響くナッティ&ローストは実に秀逸で、ここまでライトで優しい喫味は見事である。

  • トップ・ボトム
トップの風合いは依然として高く継続する。
特にナッツ系統のほの甘さは、口腔にゆっくりと充満して、喫味の先頭から後尾に亘るまでを美しく独占する。
強燃焼すれば、ロースト感がより鮮明になってナッティな酸味が奥からとろんと滲み出る。
例えるならば、(瓜果実のほの甘さ、非常にマイルド&シルキーな喫感は、)正にロメオのチャーチル。
異なる点は、「濃密で余韻にまでしっかり残るほどの強いロースト感」と「全体的にスペックが高く味は濃厚」という2点くらい。

  • プレ・ミドル~ミドル
若々しい花群が風に揺れるように、紫煙のアロマティックが増して来る。
ニュアンスも変遷が見られる。

①ナッティで濃厚なロースト感(変わらず)
②ナッティ&ウッディネスな酸味
③シルキーな湯葉系統の乳性
④明瞭に舌の中央に載る、ウッディな苦味と渋味(アストランジェント)
⑤渋味の跡を追うような瓜果実様のほの甘さ
⑥ナッツの甘味が大きく広く
⑦ナッツの大きな甘味に追随して、ややアーシーで極ライトな渋味と酸味
⑧再度やって来る、ワイドなナッティ&ロースト(①に比べ酸味が僅かに強い)
⑨余韻に、樹木天然香的なフレッシュネスなアロマのスペック

以上のような喫味ニュアンスを個人的には感じ取られる。
つまりは、「濃厚ですっきりとしたナッティ&ロースト」からすっきり感は抜け始め、ウッディやアーシーな部分(酸味を伴う苦味や渋味)を要所に感じ取れるようになり、ただ優しく丸いだけの喫味ではなくなって来た、と感じる。
おそらくまだまだ喫味に変遷が訪れるであろうと予感させるものがある。

  • ミドル・ボトム
強燃焼すれば、潤いを保ったウッディなニュアンス=ロブスト系統のトップによく感じられる、濃厚ながらもコクのあるあの味わいに近いものを舌の腹、口腔内膜に感じられる。
ボディは未だライト~ライト・ミディアムで、重たさという喫感はないだけに、このビトラ(の割にニュアンスの大きな変化が訪れないこと)にやや退屈感がある。
よく言えば、喫感の変遷が非常に穏やかで秘めやかに花開く性質の一本である。注意深くニュアンスを注視すれば分かるが、トップのロースト感が、ウッディさを携えた酸味にステータスの優位を譲る際のスムースさは非常に長けたものがある。
「あれ?いつの間にこんなにウッディ&サワーになったのかな」と、呆けてしまいそうな程の隠密具合。

  • プレ・ラスト
ここまで来ると、ロメオのチャーチルとは程遠くなったなぁという印象がある。
まず、甘味の性質が異なる。
ロメオのチャーチルは花のアロマを携えながらフルーティネスな甘さが喫味の大半を占めるが、サーウィンストンはしっかりとしたウッディネスな苦味・渋味と、ナッツ系統の高い酸味を保持したまま、しっとりと(だが濃厚に)そのライトなアストランジェントを楽しむ葉巻だ。
決して甘いチャーチルビトラではない。ボディも(アップマンらしくないが)重くなりつつある。ここでニュアンスを順列に列挙すると、

①ウッディネスな酸味
②シルキーながらはっきりと感じ取られるアーシーな潤える渋味、苦味
③ナッティを焚くさっぱりとした苦味
④ミルキーなナッティ由来の甘さ
⑤風吹く草木香の馥郁な薫り
⑥果樹園にいるような果実風合いのアロマ
⑦ウッディネスで重たい渋味と酸味
⑧若干のレザー、低く重たいスペック
⑨焦がしたビターの熱い苦味と酸味
⑩余韻に、アーシー&ウッディネスがやや舌にずしーんと響く

ニュアンスは総合的に「苦味渋味はライトでありながら広く厚く響き、甘さは添え物程度、ややアダルティな苦味をしっかり湛えた一本」になって来た実感。良い意味で、アップマンらしくない味わいと言えようか。
「夜のアップマン」という感じがしっくり来る。

  • ラスト
チャーチルのビトラは(ロメオに限らず)屡々トップから優しく円やかで、終盤に近づくにつれ凄みを増しながらも、秀逸なプロフィールでニュアンスを楽しませ、癒してくれる場合が多いけれど、このサーウィンストンはトップこそ優しいが、ミドル辺りから様相は一転して「吸う者を諭し、落ち着かせるような達観した姿勢」を個人的に感じ受ける。
したがって、甘めのラム酒類に唇を触れさせながら、しっとり、夜長の贅沢な時間に、自分を回顧しながら味わいたい一本である。
そんな厳粛さがこの葉巻のプロフィールにはあるし、いつもライトなアップマンが豹変し、こちらに面と向かって「おい、ちょっと今日は話そうぜ」と語りかけて来るような深淵な感じは大変面白い。
アップマンとは思えない、新しいスペックを有した葉巻であることに間違いはない。

  • ラスト・ボトム
喫味のニュアンスはおよそ、劇しい変化はない。
ややアーシーさは息を潜めてナッティ&ウッディネスにはなるものの、直向きに苦く・しんみりと渋く、ぱっと酸味の花も咲く。
ミドルで静か~に化けてからはずっとプロフィールは一貫している。
吸っていると、これがアップマンだということを忘れてしまう。
後半の20分程度は、しっかりとパルタガスのようにスパイス感も伴って来る苦味と渋味、まさかの展開、予想だにしなかったプロフィールに慄く。
確かにコネスールA、マグナム系、またレガリアスにも、アップマンらしからぬしっとり響く低いニュアンスはあったけれど、サーウィンストンはそれらの比ではなくアダルティだ。
極ラストでウッディネスな旨味がずんずんと奥からやって来る。ニュアンスのステータスは「ナッティ&ローストな苦味」と「ウッディネスなどっしりとした旨味」とが占める。

アップマンのブランドとしての「凄み」を嫌が応にも感じ取れることから、個人的にはある程度のアップマンのビトラを試したあとに、フィナーレとして大事に吸ってみるのが宜しいと思う。
ロングビトラだからとタカをくくっていると面食らう。
これこそがアップマンの夜の風貌だと思って、気合を入れて、臨んでほしい。
甘い酒をテーブルに添えて、夜長にしっとりと味わっていただきたい。アップマンの見方を変える一本である。

残り3㎝で終える。