シガーレビュー(レビュアー:S)

ロメオYジュリエッタ チャーチル。
1本3200円。178㎜。喫煙時間75分。

  • トップ
やはりビトラのぶんドローは気持ち良い。
浅挽き珈琲のコクのある喫味、爽やかな沃土の豊満なアロマが小気味好く口腔に浮かび上がる。
瓜系統の薄い果物の甘みと、やや酸味の効いた柔らかいニュアンス。
口で揉むと口内粘膜にゆっくりと沁みる淡いロースト感。
煙は逞しいというよりは可憐で優雅に昇る、早朝の雲のよう。香りはほのかに若さを持った草木、色の佳い花のアロマ。
強く燃やすと若干酸味の値が増す。

  • トップ・ボトム
オイリーさはなく、ある程度の湿度を孕んだ木の肌、喫味の奥の方には常にしっとりとしたものを感じる。
花の芽生える膨よかな土壌、その土をゆっくりと口に摘むよう。この時点では成熟感より、フレッシュネスを存分に感じる。
プレ・ミドル。灰は象牙のようにしっかり屹立している。
終始穏やか。強く吸えばこの時点で既にアーシーな旨味、やや酸味、心地よい濃い土のアロマ。
髣髴とさせる葉巻は、サン・クリストバル・デ・ラ・ハバナ ラ・フエルサの安定した穏やかさ。この時点でのmariageは柔らかいニュアンスの白ワイン、或いは引き出し役として熟成の効いた年齢の赤。

  • ミドル
ふんわりと土の喫味が、より立体的に感じられる。
味と香りの移ろいはじわりと実に慎重で、ゆるやかに遷っている。
強さはない、苦味というものも感じない。レザー様のものもない。
香りはより高くなって色付きのよい美しい花弁が花開いたよう。
中盤から終盤にかけて、ロメオらしい存外な強い喫味が出てくるのか、期待。

  • ミドル・ボトム
土の喫味が強まる。口で土壌を一握り揉むよう。
そのアロマの中に花が紛れている、美しい香り。
ここまで大きな主張というものはあまり感じないが、こちらが鼻先を、口許を近付けると、そっと応えてくれるような、そんな葉巻の印象を受ける。
強く燃やすと、感じる土はボリュームを広げ、その空いた密度にしっかりとしたコクと苦味を埋めてくる。
灰のラジエーターをそっと置くように落とす、静かに吸い込むと喫味にやや強みが現れる。
味が濃くなるだけではなく、滋味も伴ってくる。
ただバランスは崩れることなく、全体としてすっきりしている。

  • プレ・ラスト
香りに穀物の酸味が混ざる、とはいえ主体は土と花。
ロメオだからと、ミドル辺りから強烈な味の変化があるのかと警戒したが、今にしてまだ吸いやすい、非常に軽やかで良均衡な味わい。
ビトラによって舌先にはピリリと刺激はあるものの、まだまだ吸える、しっかりと旨味に遮られず味わいが感じられる。

  • ラスト
おや、旨味が幅を利かせてきた。
喫味の後ろからそっとやってきてこれをそっと包み込むような沃土の旨味。
コイーバのような魚介様の旨味ではないものの、しっかりとした芯のあるウッディなものを感じる。
ゆっくりとボディが近づいてくるのが分かる。
でも、これはきっと他のロメオとは違って、劇的な変化がどこかしらで生じたり、旨味で結局オチをつけたりするものではない、別格感がある。
香りはしっかりとボリュームを増しながらも、オール・スムース。
夜長に、まったりと度数の低い酒に合わせたい味わい。

  • ラスト・ボトム
ダブルリングの辺り。樹木の根元、若樹の芽がいま生まれようとするその土の濃い香り、芳醇でやや甘みを保った、余韻の長い喫味。
立ちあがる煙は満々というよりどこまでも儚く淡い。
上顎にはしっとりとした淡い土壌の残り香。さすがに若干の渋みが喫味に混じり始めるが、これはボリバー コロナスギガンテスでも起きたので、きっとしょうがない(笑)。
残り2.5㎝で終える。このビトラでこのスムース感、ゆるりと過ぎる甘美な時間。吸いにくい時間帯はついに一度もなかった。
素晴らしい葉巻。
でも、強めがお好きな方では物足りなさを感じそう。