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シガーレビュー(レビュアー:S)


Ramon Allones Petit Belicosos 2012 Great Britain Regional Edition
ラモン・アロネス ペティ・ベリコソス 2012 イギリス市場限定。
お譲り品。125㎜。喫煙時間55分。

  • トップ~トップ・ボトム
コクのある濃厚なナッティ&ウッディネス、シルキーで円やかに口腔を満たす非常に美しいアロマティックな1stドロー。
ペティベリコソスのビトラとは思えない、ロンズデールレベルの芳醇で優しさに溢れた甘やかなトップのニュアンス。

喫味のニュアンスは感じとられる順列で、
①豊かながら繊細さを感じられる満全たるナッティの甘味
②しっとり舌の上に落ち着くマイルド&フローラルなウッディネス
③口腔の奥へたゆたう清廉なナッツの酸味
④幽かに喫味を抱擁するような、軟らかで纏まりの良いウッドのエアー感
⑤ドライアプリコットのわずかな酸味
⑥余韻として、口腔を舞うライトなナッティのロースト感と淡いコク
⑦鼻腔から抜けるナッツは、大ぶりの花を具現したように美しく香り高い
⑧舌の横腹に残り香のように慕う南国果実のアロマティックな甘味
⑨あらゆるニュアンス群の末端に現れるのは、一輪の百合の花

すなわち、苦味渋味の一切が排除された「甘味の楽園」がトップに秘められている。
それらが順列を成してたっぷりと横溢し、トルペドらしく、しっかりとニュアンスを大ぶりに乱れ咲かせている。
実にお見事、まるでシガーが生み出すことのできる甘やかさを一点に収斂させたかのようにさえ思わせる、とんでもなく高い完成度のトップである。
喫味の奥には、その他のニュアンスとして、プルーンのようにまったりとした甘美さ、アーモンド、甘やかなシダー、花ざかりの森、遠来に驟雨の如く注がれるフローラル。

  • プレ・ミドル
喫味のニュアンスにおいて、やや淡やかなドライフルーツを焚くような甘さの中に若干の酸味と、おとなしいウッディネス&ペッパーが現れてくる。
(こういう一本に触れるたびに思うが、真に美味いシガーにmariageは不要。)
口で揉むと、果実香のフローラルな甘さとウッディなエアー感が混在し、新たかに麗黎な喫感を生み出す。
無駄なニュアンスはこの辺りに至るまで「一切存在しない」。

  • ミドル
強燃焼すると、ナッティな甘味が一層増す。
同時に、ややアーシーさを伴った沃土の潤い、樹木の天然香。
強燃焼してもウッディネスに渋味酸味を感じない。
自身の喫感を疑うほどの、見事なステータスバランスとニュアンスのブレンド力である。
紫煙には、強燃焼によっていささかロースト感が孕まれる。

  • ミドル・ボトム
見事にジューシーでアロマティックな喫味が続いている。
ミドル終盤でも円やかで滑らかなニュアンスは変わらないが、トップに比べて、ややナッツは甘やかながらオイリーな気質をアピールして来ているし、ウッディネスも高い芳香を増しながらボディが厚くダイナミックに近づいている印象を受ける。
したがって、ニュアンスの変遷もスムース極まりなく自然で違和感なく、美しく流れている。
口腔に残花のようにウッド系の渋味がやっと現れるが、バランスも喫味の核もしっかりしており、ここに来てなお美事である。

  • プレ・ラスト
ここまで味わって来て1つ思うのは、ラモンアロネスらしさには欠ける、という一点である。
ラモンは優雅ながら喫味のがっちりとしたボディの分厚い濃厚なブランド・プロフィールを持っているが、この一本にはその方向性よりも、フローラル&エレガンスな主体をゆったりと感じられる。
ラモン好きな方からすれば「おおっ」と感じられることは間違いないプロフィール。
ただ、その方向性が見事に美しく、ブランドの幅の広さ、質の奥行きを実感させるものであるからこそ、素晴らしい。
甘やかで、シルキーで、おとなしく、優しく、華やか、「花のラモン」がこの一本で確立されている。

  • ラスト
そして、ベリコソの強みはここからである。
ラストのニュアンスの高まりを、トルペドというビトラが口腔へ強烈に誘うのがこのリング付近。
やや強まったニュアンス群、順列ごとに纏めてゆく。

①香ばしさを伴ったしっかりと口腔を満たすナッツ&ロースト
②すぐに来るウッディネスな爽やかさはしっとりと濃厚に舌に響く
③やや淡やかながら感じ取られる樹木香の密なフローラル
④若干の(むろん辛味を伴わない)優しいペッパー感
⑤逞しい土感をゆったりと口腔内膜に浸み込ませる潤玲なアーシー
⑥高く濃度の強いナッツのローストが再来
⑦もう一度、清く永く吹き抜ける森林香
⑧白い小ぶりの花の花ざかりを思わせる濃厚なアロマティックとほの甘さ
⑨余韻に、大樹を抱きしめるような濃厚なウッディネス
⑩しっかりと舌の奥で感じる広葉樹林のウッドバーン、その渋味

旨味はニュアンス的に乏しいものの、恐ろしく濃密なウッディネスがこれをカバーする。
口腔に招かれた紫煙は最初から最後まで、実にスムースかつ濃密なニュアンス群を明らかに示して耽美な余韻の陰にゆっくりと去ってゆく。
謂わば非常に詩的な、叙情的なプロフィールを持ったラストである。

この一本を総じて評すれば「甘やかな花ざかりに彩られたフローラル・シガーの極致」である。
とんでもない一本。
花のロメオを優に飛び越える、悪魔のシガー。
ここまでの耽美さを終始感じ取られた葉巻は初めてだった。

明らかにこれまで僕が味わったハバノスの頂点に立つ。

時を忘れるほど堪能し尽くして、残り2.5㎝で終了する。