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シガーレビュー(レビュアー:S)

ホセ・L・ピエドラ ペティセトロ。
お譲り品。127㎜。喫煙時間60分。

  • トップ~トップ・ボトム
やや浅めのナッティと、濃く煮詰めたようなアーシー&シダー、樹木肌のしっとり舌先に添うようなウッディネスを感じる1stドロー。
ある程度の爽やかな印象はあるものの、味底にウッディともアーシーともつかぬ高い酸味が見て取れる。
トップの辺りで感じ取られるニュアンスは以下の順列。

①浅いコクを孕んだ弱いナッティ
②さっぱりとしたアーシーな渋味
③やや蛋白な酸味の効いたウッディネス
④ここでエアリーな間があって再びウッド、次は軽やかな渋味が広がる
⑤天然の草木香のアロマ
⑥舌の中央ゆっくりと広がる淡いナッティ
⑦余韻にクリアに響く木肌様のウッド

主に上記の風合い。
それら奥遠くニュアンスを追うと、若干潤い高いグラッシー、ほのかな乳性、紫煙にも漂う軽薄な樹木の風、ほの甘いナッツの被殻、若々しい新芽、香り儚い花の蕊、極深遠に土の蜜。
全体を通して見ると、非常にライトな味わいに仕上がっており、アップマン(小径ビトラのトップ)やケドルセ(同様)の涼やかさを感じさせる。

  • プレ・ミドル
木のエアリーなニュアンスがやや全体のバランスを穏やか→間の抜けた感じへ誘っているが、同時に花を焚くような酸味と、軟らかな草木の甘味とがそれを支えてギリギリ均衡を保っている。

  • ミドル~ミドル・ボトム
ニュアンスに変化がある。
新しい成分が突然現れる。
熟れた果樹を根元から朦々と燃やすような燻感、樹木の苗を抱くようなやや荒々しいウッディネスな渋味、舌の上にふわりと乗り込む焦げた樹脂、スパイス感なく辛くなる特異なニュアンス。
朝靄の彼方からゆっくりと獣が近づいて来るようなニュアンスの顕現である。
線香のような香木臭も紫煙に紛れる。
味わいの底流に、ロースト的な焙煎ではなくバーンドな「焦げ」感が流れている。
序盤の爽やかさは様相を変えて、中盤でこれは粗野な荒々しい喫味にすっかり移行する。

  • プレ・ラスト~ラスト
淳朴的な焦げたウッディネスと、ややエアリーに高く渡る酸味の遠いニュアンスとのバランスが悪いせいか、以前コスタリカ産のシガーのミドル〜ラストに感じられた特異な酸っぱさに似たような喫感に囚われる。
謂わば、過加湿にして味わいの非常に薄れたチャーチルのトップ、全体的にステータスを弱めたアップマンのミドルに近似する、ような気がする。
淡いというには弱く、ライトというにはその手応えすら口腔内に感じることができない。
その原因は、正しくトップを掻き消したミドルのニュアンスにあるが、そのバーンドなニュアンスすらラストに近づくほど軽薄に儚く何処かへ消えてしまう。

  • ラスト・ボトム
およそこの葉巻の特徴は理解出来てきた。
つまり…
【1】トップのニュアンス群はエアフロー上、ビトラの影響を大いに受けて、優しく円く口腔に響くが、これは本体ではなくこの葉巻のプロフィールの一側面である。

【2】ミドルに来ると、シガー内部の延焼によって殻が破れ、本来の「焦げ」「粗野な樹木焚火」「間の抜けたウッディ」「スパイス感のない辛み」といった粗雑な正体が現れる。

【3】ラストにかけ、「味が消えた」と個人的に感じるのは、ミドルの粗野なニュアンスが決して元々強いものではないためだ。
飽くまで、この葉巻のステータスは渋味苦味酸味甘味鹹味滋味どれをとっても強くない。
したがって、ミドルの風味が失せてしまった後に残る若干のニュアンス群は、ミドルの喫味の印象から乖離して口腔に余韻を残せない。

…というわけで、この葉巻はステータス薄弱極まっている。
主張できるのはミドル辺りの特異なニュアンスだけで、その他は喫味にうまく作用しない。
そしてミドルのニュアンスは厳しいものばかり。
これぞ、底の知れる一本という感じである。

堪能した。
残り3㎝で、終了する。