シガーレビュー(レビュアー:S)

H.Upmann Magnum50
アップマン マグナム50。
お譲り品。160㎜。喫煙時間60分。

  • トップ
とろっとしたナッツの香ばしい甘やかさと、しっかりとコクを感じ取られる原色的なウッディネスの味わいを楽しめる1stドロー。
ニュアンスを感じ取れる順列に並べると、

①香ばしくairyかつ淡いナッツの甘味
②強いナッティ系統のローストのコクと苦味
③爽やかに喫味を締めるウッディネスな酸味
④再びナッティの濃厚な(旨味に近い)甘味
⑤floralに香るたっぷりとした穀物のアロマ
⑥樹皮を展くような酸味の効いたウッド
⑦甘く響くライトなレザー
⑧再び(次は③よりも永く鳴る)しっかりとしたウッディネス、樹木焚火の低い酸味

…トップはライトに寄り過ぎず、口腔にナッツと木の甘さを花開かせ、うっとりさせる喫味に仕上がっている。
が、喫味の中央を過ぎるかっちりとしたclassicalなウッディネスの渋味と酸味、roastな苦味は、今後ミドルに掛けてその存在性を高めるであろうことを予見させる静かながら力強いpotentialを感じさせている。

  • トップ・ボトム~プレ・ミドル
やや高い広葉樹林のしっかりとした余韻の長い渋味が、上顎に尾を曳いている。
しーん、とおっとり目に響いていながら、喫味の芯を得ながら軽快に響き渡るその渋味は、実に味わいの高い珈琲や、或いは、花果ブレンドの紅茶とのmariageに適していそうなニュアンスである。
喫味は依然としてすっきりと、穏やかに、香ばしく、やわらかく口腔を癒してゆく。

  • ミドル~ミドル・ボトム
渋やかさの奥に、森の風が過るような爽やかな喫感を感じさせる一方で、やや強かにペッパーが響く。
ニュアンスは順列に、

①clearに響くナッティ&ローストの甘味
②やや①を抑える樹木草花の大らかな酸味
③ウッディネスかつairyな渋味がやって来て、
④ゆったりとした樹木皮脂の高い甘味と渋味が同時に現れ、
⑤その後もう一度、高いウッディな芳香
⑥やや香木を燻じたようなAstringency
⑦コクを感じる丸太のようなウッド・やや土感
⑧灼けてゆくシダーウッド

主な喫味の構成要素は、僕的にはこれくらいまでしか追えない。
imageとしては、夏の朝のような日ざかりを浴びながらも、清風が身体を通り過ぎてゆくような、永い高まりのなかにこれを鎮める分子が同在する印象を持たせる。
濃い渋味や深いコクに「夏」や「日ざかり」を、クリアなナッツの酸味に「清風」が充てられる。
また具体的には、マグナム46よりは多層的に彩られており、アップマンの中でも「Patienceで濃い味わいに仕上がった、clapの効いた喫味」と言えると思う。

  • プレ・ラスト
リングから2㎝ほどの時点、渋味と酸味のステータスがグンと上がる。
甘やかな要素は穏やかに静まる。
ウッディネス&ローストの喫味の芯が露呈する。

  • ラスト~ラスト・ボトム
たっぷり口に樹塊を放り込んで息をするような、傲岸な味わいと、舌の腹にどしんと響くドライなペッパー。
樹木由来のOrchardな旨味もがっつりと肉を食うように感じられる。
appealは強く、余韻も永い。
決して、優しいアップマンのビトラではなく、実にSな気質(笑)をその本質に孕んでいる。
しっとりと甘やかなリキュールやchocolateを何粒か用意しておいても良いかもしれない。
喫味的にはやや重たく、何よりガンガン攻めてくるようなニュアンス群で、デイリーにパルタガスやベグエロスを選んでいる方にもお勧めできる。
一方で、却ってアップマンのライト感や甘やかなあの気質を好まれる方には勧められない。
戦争映画を観ながら吸いたい一本。

残り3㎝で終える。