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シガーレビュー(レビュアー:S)

QUINTERO PANETELAS
キンテロ パネテラス。
1本790円。127㎜。喫煙時間55分。


  • トップ
苦味を伴うナッティ&ローストと、土っぽさの強いアーシーが軽く口腔に響く1stドロー。
味わいには青草のprecocious(若く早熟さを湛えた)な渋味とほろ苦さが存在する。

ニュアンスを感じ取られる順列で並べると、
①やや雑木的な苦味を湛えたウッディ&ロースト
②樹木皮脂に滲む若干の甘やかさ
③焦げ感がやや強いナッティの渋味酸味
④舌の中央にずしっと載る灌木の広い苦味
⑤ドライなレザーが孕む一滴の甘味
⑥余韻に口腔全体に残る渇いた樹木の発酵的渋味と深い苦味
…また、特に紫煙を吐いたのちに口腔に残る残滓はニュアンスの数とそのステータスに依らず「強く」、後味という意味では、かなり穀物焚火から燻らされた苦々しい響き、若草を焼くその灼香が口腔を満たす。

  • トップ・ボトム
ドローの際に紫煙が舌先に当たるその最も始めの感触が苦味酸味に侵されており、次第に、燃える樹々のその煮え出した汁に舌先そのものを浸しているような感覚を抱く。
つまりニュアンスを感じ取る前段階において、そのtipが味蕾を阻害してしまい、単純に喫味に集中しづらい。

  • プレ・ミドル
喫味のニュアンスが強まる点は、ウッディネス(主に渋味と酸味)とアーシー(苦味、まったりと感じる風合い)、そしてレザー(ツンとくる酸味と重たい渋味)の3つである。
特にウッディにおいては、例えるなら、沃土や泥川のそばに生えるか細い樹木の硬い皮を剥いで煮出すような印象。
また、レザーにおいても、やや星霜を経て柑橘系の饐えた風合いを強める鞣し革の臭い、と、「それ」に齧り付いているような感覚に囚われる。
それにしても渋い、苦い、余韻にもそれがありつつ、酸っぱさ(果実の熟れ崩れるような強い腐廃的な酸味)を主張して来る。

  • ミドル
黒胡椒と山椒、山葵を合わせたようなスパイス感が淡く喉奥に響き始める。
依然として、重たい艱苦的な樹木の苦味、緑茶のタンニンをもっと強く凝縮させたような渋味、果実の腐ったような強く重たい酸味が喫味の主体を貫いている。

  • ミドル・ボトム
葉巻というものの質(たち)であるので仕方がないが、もちろんミドルのニュアンスはこの辺りでもう一段階強みを増す。
ニュアンスを追うことは難しいので、出来るだけ分かりやすく例えることにする。
この葉巻の喫味を作ってみよう。
まず、その辺りの手身近な公園で、雰囲気的には雨上がりの朝、ひとつ木を選んでやや太めの枝をちぎる。
ついでにやや雨を吸い込んだ土を一掴み持って帰ってほしい。
その枝を家に持って帰って、鍋で1時間ほど煮る。
で、その煮汁に、少しレモンと酢を足して欲しい。
そして最後に、公園であらかじめ取っておいた湿り気のある土を入れる。
完成である。

  • プレ・ラスト
ニュアンスを追えば分かるが、この葉巻に(少なくともこのビトラに)旨味というものはなさそうだ。
だが、増して来る苦味渋味酸味のニュアンスはまだ強まる。
そのプロフィールはこの葉巻のリングに記されている「HABANA」の文字を疑いたくなるほどだ。
エグ味と一般に呼ばれるものは、個人的にはこうした苦味渋味酸味が相まって醸し出す一種の特異なharmonyだと思っているが、正にそれを実感できる一本である。
ボディは決して重くない、だが喫味自体は「重たい」ので注意されたい。
つまり、ずんっと感じられて、その感覚が一定時間口腔に残る、という意味で重たい。
また、辛さも一定の強さで存在するため、喉奥を(例えば風邪の初期症状のような)「痛めた」という感覚も抱くことができる。

  • ラスト
素晴らしい、リングが外しやすい。
(今の所これが唯一褒められる点である)ニュアンスを(非常に辛いけれど)追ってみよう。

①まず、アシッドに響く樹木焚火と樹脂を煮出したようなエキス的苦味
②次に、太く濃厚なウッディネスフルな渋味
③枯れた花、腐った果実の強く重たい酸味
④荒々しく感じられる夏の雨後の土
⑤再度、濃厚な樹脂皮の高い渋味
⑥喉から喉元にかけて辛く響く、木々や草木を燻した煙に感じるような強いペッパー感
⑦弾力のあるレザー、獣毛の騒ぐ苦々しさ
⑧余韻として、特に樹木土の強く重たい渋味
⑨最後に口腔には絶妙なエグ味となって上記の特に強い喫味(苦味渋味酸味)が滞留する
…かなりじっくりとニュアンスを見つめてもこれが限界、見える景色は荒涼とした山肌、急な崖、獣の潜む沢。

  • ラスト・ボトム
やっと終えられる…さて、総括するとこれはあまり宜しい部類の葉巻ではない。
別に、苦みや渋みがあるからといって葉巻に優劣がつくわけでは決してない。
ポジティブに苦みや渋みを活かしているブランドは、例えばベグエロスやモンテクリストなど、挙げればキリがないほどあるからだ。
ただ、そうした本来negativeな風合いを喫味にうまく仕立て上げるには、それこそ「ブレンドの妙」が必要なわけで、少なくともこの一本にそれは感じ取られない。
まるでニュアンスの塊を、一切手を加えずに一本の葉巻に巻き上げたような感じがしてしまう。
そういった意味で、ニュアンスのステータスがどうの言える一本ではなかった。


残り3㎝、限界まで堪能したつもり…