シガーレビュー(レビュアー:S)

JUAN LOPEZ seleccion No.4 RE2010 ASIA PACIFICO
ファン・ロペス セレクシオンNo.4 レヒオナル2010 アジア市場限定。
お譲り品。156㎜。喫煙時間65分。

  • トップ
香ばしさの強さの中に若干の醤油感を抱くほど。
またウッディネス&フローラルな風合いとアロマが強く、そのトップはトルペドらしくガツンと来るようにも思えるが、余韻は薄い。
ニュアンスは軽妙ではあるが、ニュアンスの元素自体は本来強いアクティブなものが多いと取れる。

①まず、珈琲と醤油の中間の味わいを実感するナッティ&ローストの濃密な味わい
②次に高い酸味を伴ったウッディネス
③しっとり口腔へ入るやや浮つきのある草木様の渋やかさ
④重たい黒糖のようなレザー感、その苦味
⑤さっぱりと喫味を整えるドライマンゴーの酸味と甘み
⑥舌の上へゆったり腰を下ろす大樹と沃土の低いウッディネス&アーシーの渋味、苦味
⑦余韻に残滓として、vividな花の花びらを思わせる爽やかな印象のフローラル
…トップの印象としては、ファンロペスらしくどこか強い味わいの黒糖、醤油感を思わせる風味のロースト感に包まれた、優しい喫味が体現されている。
ボディとしてはホヨーかそれよりも軽いか。
大変膨よかなアロマの中に、強みを抑えられたニュアンス群を一つ一つはっきりと感じられる点において、ブレンドの妙を感じさせる。

  • トップ・ボトム
強くなるニュアンスは、ややアーシーを含むウッディネス(すなわち僕的によく樹木土、と表現する類)の高い渋味、果実に感じるような「甘酸っぱい」と表現しても良いような酸味の高まり。
ここまでの「軽妙なボディ」「喫味の中心にある軽さ」「余韻に薫る心地よいフローラル」「果実のような甘酸っぱさ」のこれらの風合いは、【フルーティ&デザート】的な印象と感想を強く持たせる。
まるで和梨や林檎でも食後に齧っているような、見事にすっきりと整った味わいがある。

  • プレ・ミドル〜ミドル
ややレザー感の高い酸味を携えた渋味と苦味が強くなって来る。
人によってはこれをビターチョコレートと解釈する人もいるのかも知れないが、そこまでいい風味と後味ではない。
甘みが殆どないからだ。
ニュアンスを一応ここで纏めておく。

①高い酸味を伴ったウッディネスの渋やかさ
②若干のアーシーを伴った樹木のほろ苦さ
③しっかり穏やかに永く響くレザーの酸味と渋味
④熟れた果実のやや、たるんと響く低い甘味
⑤静かに軽く喉奥に響くドライなウッディネスの渋味
⑥舌の腹に感じられる柔らかなシダーウッド
⑦紫煙に孕まれる檜や欅の樹木土のアロマ
…軽妙でフルーティだった風味に、レザーや樹木土の風合いが混ざって来ることで、その感覚は消えて非ハバノスに感じることの多い「高い酸味と低い渋味苦味が奏でるアンニュイなニュアンス」を感じさせる。
若い木々に火を焼べるような、燃焼物が醸し出す甲高い焦げ感と、余韻に残る準香木的な高級樹木の肌の薫り。
この喫味自体を否定的に見る必要はないが、トップの風味が「フルーティ」と言えるまでに素晴らしく軽妙爽快であっただけに、そこからは陥落した印象は否めない。

  • ミドル・ボトム
紫煙の芳香は悪くない。
例えば、天然の沃土焚火の香りのなかに、熟れ朽ちてゆく果実の最期の甘酸っぱさが猛るようなアロマがふわっと現れる。
印象的に朧で、儚げな感慨を抱かせる高尚な紫煙と言える。
ただ、喫味にはやや変化の乏しさを感じ、退屈感を抱く。

  • プレ・ラスト
この辺りで若干レザー感、ウッディで低く重たい渋味がもう少し増す。
ここまでのこの葉巻の評価として、やはりそれは思っていたほど高くはないし、少なくともレヒオナルという特称を冠する素晴らしさは見受けられない。
その根拠は、まず通常のラインナップに十分感じ取られるブレンドである点と、そして何よりトルペドというこの特有のビトラをもってして醸し出されるニュアンス、風味が「これ」では底が知れるからだ。
特に、トルペドはヘッドの口径が小さい分、序盤から既に喫味全体を体感的にdirectに受け取れる。
だからこそ、トルペドではそのブランドの特徴が嫌でも出るし、ブランド側もそれを無論承知した上でブレンドして来る。
そして、それ故に「俺はこれがうまいと思ってる」と往々に挙げられる銘柄には、少なくとも一本はトルペドが入っている。

  • ラスト〜ラスト・ボトム
ニュアンスはレザー部分が非常に強くなり、苦く渋く重たるなる。
ニュアンス群はあえて追わない、この葉巻はオススメしないからだ。

…トータル的に見て、トルペドでこの喫味の程度というのは、なんとも間の抜けたような一本である。
トップのフルーティ&フローラルは見事な仕上がりであったが、ミドル以降その味わいは崩れるし代わりに目立って来るニュアンスは特に悪い意味での「レザー」では、ハバノスでなくともこの喫味を十二分に体現している銘柄を幾つか知っている。
それでいて、ビトラはトルペド。
少なくともこのブランドのプロフィールはトルペド向きではないし、せめてコロナ〜ペティ・ロブストのサイズ程度でささっと味わいたいブランドである。

特徴はあれど、秀でているわけではない。
そんなブランドのプロフィールを垣間見られる。

残り3㎝で終了する。