シガーレビュー(レビュアー:S)

COH customroll
COH カスタムロール。
お譲り品。長さ不明。喫煙時間95分。


  • トップ
穀物を焚くような鮮やかですっきりとした軽めの1stドロー。
口径もある程度の大きさがあるので、この時点では正しくホヨーばりのボディと心地よいナッティ&ローストが感じられる。
鮮麗な味わいがsilkyに口腔を満たす。

ニュアンスは感じられる順列で、
①淡くしっとりと響くナッティの酸味と甘味
②穀物を焚くような芳醇なfloral
③天然の樹木焚火を思わせる軽いウッディネスの優しい響き
④再びナッティ&ロースト(ロースト感は強くない)の甘やかさとほろ苦さ
⑤ドライプルーンの秘めやかな渋味が少し
⑥うっとりとした柔らかいシダーウッド
⑦口内で揉むと、やや糖蜜様の甘やかさ
⑧余韻には、舌の上にウッディネスな酸味と緩やかな渋味
⑨再び口腔にしっとりと感じられる天然のナッティ的甘味、クリアな風合い
⑩小花が風に揺れるような穏やかなアロマ
…その他、ややミルキーで透き通った軽快なウッド、若干の甘さを湛えたレザー、淑やかにゆっくりと口腔を舞う潤玲なウッディネス&エアリー。

トップの喫感としては、ホヨーのエピクーレNo.2やサンルイレイのレヒオス、これらのトップに近い「軽快で穏やかな、クリアでシルキー」な印象を抱く。
気にかかるのは、余韻にやや残るコクと見紛いそうなウッディなエアー感くらいか。
これが後々、酸味を伴ってエグ味に近いニュアンスにならないことを願いたいが、トップだけで見れば素晴らしい軽妙なブレンドで、心地よい喫味のブレンドと言えると思う。
ロングビトラを大いに生かした、良い喫味である。

  • トップ・ボトム
紫煙には、やや高いナッティ&ウッディなアロマ、酸味が少しだけ効いていてこの点もホヨーらしい印象。
決して強い味わいではないが、全体的に軽く整っている。
ドローも申し分ない。
煙量は一般的。
少し吸い進めると、穀物のコクを喫味のなかに見いだせる。

  • プレ・ミドル
ややウッディネス&ローストのニュアンスが薄漉き・絹漉しに感じられる、謂わばやや水で希釈された感じを受ける。
喫味の主体は、穀物と樹木。
ややレザーの渋味が効き始める。

  • ミドル
主なニュアンス群は、感じ取られる順列で、
①軽くフレッシュな穀物の高い酸味と甘味
②ウッディネスフルな渋味が透明感を伴って口腔を満たす
③やや天然のナッティ的酸味
④さらりと舌先に響くCerealな甘味
⑤レザー&エアリーな若干のロースト感
⑥舌の腹へ落ちるウッドのスパイシー
⑦爽やかながらコクを効かせる穀物焚火の風味
⑧しっとり口腔を漂うメロウなウッディネスフルな渋やかさ
⑨口で揉むと若干の干し葡萄的タンニン
⑩余韻には、しっかり舌の先を擁するレザー
…ミドルに至って、やや(舌先に伝わる程度の)スパイシーと、穀物のコクを感じる程のPure grainを喫感として抱く。
個人的にはこの時点においても、軽妙なブレンドで、ラストに向けた期待感をそそる上手いブレンドだと思う。

トップが軽牽的で優しい上澄みのような喫味であっただけに、レザー感の強まりやタンニン的渋味といった(時にnegativeなポジションとなりうる)ステータスの高まりも、そこまで喫味のバランスを崩さない。
ただ、口で揉むと、ウッディな酸味が苦味と相まってやや刺激的に感じられ始めた点、また、穀物やウッディネスな風味に「やや水っぽさ」を感じられ始めた点は、ステータスバランス的にやや物足りなさを感じる。
これらの点については、やや成熟による改善か、或いは、mariageによる補正が適当かもしれない。

  • ミドル・ボトム
ウッディなスパイス感が、やや喫味の中心的部分である穀物のコクやウッディネスな味わいを妨げている印象がある。
トップの軽妙さが、澱を残すようにまだこの時点においても感じられ、やはりプロフィール的な弱さを軽々に抱く。
例えばもう少し穀物的なトップのステータスを強めたり、或いは、トップの軽さを(水っぽさを感じさせない程度の強さを保持したまま)喫味の中心に据えるブレンドであれば、もう少し化けてくれたのかな、という物足りなさは否めない。
後味にも、木肌を漉いたようなairyさが見受けられる。

…ただ、強燃焼によって感じ取られる穀物感の秀でたコクとスパイシー、ウッディネスフルな酸味と渋味は、ラストに近づくに従って少しずつその濃さを増しているのは間違いないので、もしこれに旨味が盛り上がってくれば、まだ化ける味わいではある。

  • プレ・ラスト
火を足して、この辺りを細心に味わってみる。
やはり穀物的なコクとスパイシー、ウッディな酸味と渋味が強く響いてくる点は、この一本において意図してブレンドされた点であると感じる。
あくまで穏やかに、聡慧に、しっとりと口内に響く穀物感はボリューミーかつ広大な味わい。
また、舌先にピリピリと感じ取られるウッディネス&スパイシーは、喫味をtotallyに締めている。

味わいは多層的とは言えないまでも、ハッキリとしたブレンド的個性を見せる。
スパイシー感というニュアンスにのみ着目すれば、パルタガスのブランドプロフィールに寄せているような近似感を抱く。
が、喫味がパルタガスにさほど近くないのは、その他のニュアンスのステータスがあくまで高くなく、例えば穀物感・樹木感の味わいが濃厚にまでは至っていないからだと推察する。

  • ラスト
ここで喫味のニュアンスを纏めておく。
感じ取られる順列で、
①しっかりとコクを感じられる穀物的なほの甘味とほろ苦さ
②広いウッディネスの酸味と渋味
③ここで、ややしっとり永く響くウッディ&レザーの低く重たい酸味
④③を抑えるウッディな強いスパイス感
⑤甘やかなプュアレザー、その苦味
⑥穀物を焚くようなやや重厚な旨味がやってくる
⑦旨味を支えるシダー&ローストの酸味渋味
⑧干し葡萄、ドライピアー(和梨)のゆったりとした糖蜜的甘味が少しだけ
⑨もう一度、穀物を煮出したようなややExtractiveでしっとりと舌に降りる旨味
⑩旨味を締めるウッディ&レザーの香ばしい酸味
…その他、純黒糖のようにたるんと口腔を満たす広い甘味、柔らかな感触の鞣し革、余韻の内にボルドーのタンニン。

口で揉むと、淑やかに響く穀物と果実の甘やかさ。
うーん、この極穀物的な味わい、ここに至るブレンドというのは妙だなぁと思う。
トップから感じるこのニュアンスが最後まで生きている。
しっかりとしたブレンド力を感じられる。

  • ラスト・ボトム
はっきりと穀物的な深い味わいにコクと旨味が折り重なるように感じ取られる。
スパイシーもその旨味を邪魔しない。
ニュアンスのステータスバランスはラストに近づいてやや秀でる。

…では、トータル的な総括をすれば、【この一本のブレンドの主体は穀物と樹木で構成されており、トップの時点では軽妙でロングビトラを良く生かした味わい、ミドル時点でややステータスに物足りなさを感じながらもspicyが強まるものの、ラストではしっかりと穀物のコクと旨味を強め、再びバランス的な秀逸さを魅せる。
序盤はホヨー、ミドルは力の欠けたパルタガスと言ったところだが、ラストは独自のブレンドによって、しっかりと一個のブレンドプロフィールへと誘ってくれる】これは見事と言って良いと思う。

ただ、好みが分かれる点は以下の点。
まず、トップの軽やかさはこのビトラ特有のニュアンスであって、では他のビトラではどうかと言えばかなり変わってくると思うので、「他のビトラも試したい」かと言われれば難しい。
次に、ミドルでブレンド力の低下があるのは間違いなく、その点を「失速」に思う方は多いと思う。
でも、不測に思えるのはこのくらいかなぁ。

ラストに掛けて、穀物の旨味が重厚に広やかにやって来る演出(ブレンド)は素晴らしいし、少なくともこのビトラをしっかり味わう準備が出来ていれば、しっかりとブレンドの妙に浸ることはできる。

総合して、うまくブレンドがされていると評するに躊躇いはない。
上記のブレンド的な不足を考慮しても、レベルが高い一本だと感じた。

残り3㎝で終える。