シガーレビュー(レビュアー:S)

Hoyo de Monterrey Double Corona
ホヨー・デ・モンテレイ ダブルコロナ。
お譲り品。194㎜。喫煙時間130分。


  • トップ
淡く静か、しっとりと口腔を満たすゆったりとしたナッティ&ローストの心地よい1stドロー。
流石のビトラとあって円やかを極めたような口当たりながら、しっかりとミルク珈琲のようなほの甘さと、ロースト様の香ばしさを感じられる。

ニュアンスは感じ取られる順列で、
①淡やかながらしっかりと密度の感じられるナッティ&ローストのコクと甘やかさ
②乳性気質を孕んだシルキーな珈琲豆の焙煎
③さっぱり仄かに花ひらく木のアロマ、酸味
④やや間があって、ウッディ系の穏やかな苦味
⑤ナッツ由来のフレッシュネスな酸味と甘味
⑥若干のレザーノート
⑦余韻に口腔に漂う心地よい深煎り珈琲
⑧もう一度、ナッツの蜜のほの甘さ
…正にホヨーのブランドプロフィールを体現したような、軽く甘やか、やわらかく優しい味わい。
しっとりとした、まるでミルク珈琲が唇に触れているような繊細で風味絶佳な喫味とアロマは、嗜む者をうっとり甘味の花園へと誘ってくれる。

  • トップ・ボトム
やや木肌を焼くような渋味の高いロースト感と、静かに柔らかなレザーの風味が少しずつニュアンス的に高まる。
喫味の主体にしっかりとしたウッディネスが現れてくる。
また、紫煙は穏やか、風味に合わせるように静かにゆったりと目の前を昇ってゆく。

  • プレ・ミドル
ロースト感の余韻にある香ばしさと深い焙煎風のコクのニュアンス的ステータスが強まってくる代わりに、トップで喫味の大半を占めた甘味が部分的に控えめになる。
いまだ軽く穏やかな喫味であることに変わりはないものの、とろんとした甘やかさはいつしか喫味を支える縁の下へと持ち場を変えている。
この時点を迎えるまで、既に喫味の変遷は激しい傾向を感じる。

  • ミドル
紫煙に香る、嫋やかな花々の粉香、雨上がりの花壇の印象が強まる。
喫味においては、Gentleなウッディネスを中核にして、その周囲を、ドライピアーや干し葡萄のまったりとした甘味と、コクを効かせた珈琲豆様のさっぱりした酸味、ピュアレザーのややがっちりした苦味が纏めている。
印象としてはリングゲージこそこっちの方が小さいが、エピクーレNo.2のミドルにかなり近い喫味になっている。

  • ミドル・ボトム
喫味は「すっきりとしたウッディネスと若干のロースト、時々ドライフルーツの低い甘味」といったところ。
感覚としては、流石にこのビトラだけあって、トップからは結構距離のある喫味へと変遷しているなぁという感じ。
トップが極めて良かっただけに、その甘やかさやシルキーな部分をやや失ってしまっている点は残念なところだが、喫味のニュアンスは一個一個がはっきり明確に感じられ、ブレンドの丁寧さやプロフィールの特徴を感じ取れる。

トップのナッティ&ローストはミドルでウッディ&ローストに移り、甘さは引き立て役に縮こまり、代わりにadultyな味わいへと変遷する。
これまで、ホヨーのline upではエピクーレNo.1、No.2、エスペシャル、デ・サンファン程度しか味わっていないのでアレだけど、ダブルコロナは、実にホヨーのブランドプロフィールを贅沢に丸ごとごっそり詰め込んだ一本であるように思う。

  • プレ・ラスト〜ラスト
ニュアンスがやや多層的、複雑になって来る。

感じ取れる限り順列で書いていくと、
1.まずウッディ&ロースト、樹木土を焚くようなしっかりとした風味の渋味
2.次に樹木蜜様のややとろっとした甘味
3.ロースト的な風合いを携えたウッディネスな酸味と若干の渋味
4.次にナッツに移り、大ぶりのナッティ&ローストが静かに響く
5.ナッティの甘さがドライプルーン、シダーの香りを伴ってほろ苦く舌に載る
6.若干のミルキー、乳性を感じるほの甘さ
7.直後にダークチョコレートのほろ苦さ
8.ここでレザーノートの効いた広い渋味と苦味(astringency)
9.膨よかなドライフルーツの低い甘味がもう一度
10.やや香木的なアロマを携えたウッディネス
11.胡桃や大ぶりのナッツ的甘味
12.再度、樹木土のしっかりとした渋味とこらを整えるわずかな高い酸味
13.Exhaustedな果実の低いぬーんと来る甘やかさ
14.シダーウッド&ローストの高い渋味
15.余韻に豊かなナッティ&ローストのコクと香ばしさ
16.ゆったりと舌の上で舞いたゆたう白い小花のフローラル
17.後味に残る天然のナッツ的甘味と低い酸味
…ニュアンスは完全に多層的、一枚一枚層を剥ぐように煙を味わうと、ざっと上記くらいのニュアンスは僕でも感じ取られる。

これらはあくまで一丸となって、どんっとやって来るのではなく、ゆっくりと舌の上で花がゆっくり咲くように展開されるため、時間をかけて(というかこの一本をスパスパいく人はいないと思うけど)味わえば、少なくとも豊富かつ芳醇なニュアンスの海に身を浸すことは難しくないと思う。
ミドルでやや控えめになったナッティやDried fruitの甘味がゆったりと幾層もの間隙に舞い戻って来る。
また、苦味や渋味、甘味、酸味がしっかりと単発的に舌の上に転がって来る点は、実にお見事な仕上がりを思わせる。

  • ラスト・ボトム
ラストに近づくと、トップで感じられたような「甘さ」がもう一度ぶわっと口腔に溢れて来る。
実に見事。
終盤にかけて、上記のニュアンスに加えて、樹木を焚くような深遠な旨味もしっとり響いて来て、壮大なfinaleを迎える。
喫味は実に多層的で、深くまでのめり込むように味わえるし、底が見えない。
ここに来てもあくまで軽妙さも感じられる。
吸う者を経験や性格で秤らず、どんな者をもその喫味の妙園に誘うような、豪奢で贅沢な一本。

極ラストでは、喉奥にペッパー感を携えた樹木の旨味がどっしりやって来るが、ボディはライト−ミディアムでまだまだしっかり味わえる。
ビターテイストのエスプレッソ、甘やかさを増したシダーウッド、干し葡萄の蜜、ウッディネスな豊満な渋味と苦味、靄のように喫味を纏うナッティなClarity。
味底にたゆたうしっとりとしたタバコ葉の煮えたExtractivenessもほろ甘く美しい。

恐ろしく見事に整った深淵の一本。
もしかするとこのビトラはもうすぐdead stockになっちゃうのかな。
今のうちに、ホヨー好きな方は箱で買っておいた方がよいと、個人的にお勧めする。
大いなる満足感!
残り2.5㎝で終える。