シガーレビュー(レビュアー:S)

MONTECRISTO Churchills Anejados
モンテクリスト チャーチルズ アネハドス。
お譲り品(1本6500円)。178㎜。喫煙時間100分。


  • トップ
香ばしいナッティ&ローストにややアーシーな低いほろ苦さが優しく味底に響くような1stドロー。
口当たりは勿論円やかで(ビトラと口径からすれば自然と)軽やか。

ニュアンスを追うと、
①ゆったり伸びやかな酸味を孕むナッティ&ロースト
②しっかり届く焙煎系の香ばしさとコク
③あっさりながら口腔内膜を満遍なく覆うアーシーネス
④喫味にまろ味を与える甘やかなナッツのアロマ
⑤同じくローストナッツの飴のような甘味
⑥喫味を締める甘やかな樹の酸味
⑦その酸味から、ドライシダーの仄かな甘やかさへと変遷し、
⑧渋味を伴わずに、葡萄の一粒
⑨余韻にしっかりと残る樹木土
…伸びやかで、角の取れた優しい風味と喫感は、モンテクリストのNo.系に通ずる。

No.4に共通する土っぽい甘さと円やかさがあるものの、あそこまで単調ではなく、チャーチルの影響もあり時間軸的に延長されているだけかもしれないけど、喫味のニュアンスはこちらの方が多層的に思えるし、全体のバランスが良い。
少なくともNo.系にある「土」らしさはやや控えめでナッツがうまく効いている。

  • トップ・ボトム
やや鞣し革の柔らかな苦味と渋味が強まってくる。
また、喫味の後尾に滞留するニュアンスはやや渋味を少し強めたものになる。
が、全体としては円やかで羽毛のように軽く、ホヨーとモンテNo.系との中間に位置する味わい。
この「アネハドス」は、アップマンのアネハドスのように「本来ブランドプロフィールとしてのtasteを熟成葉によって穏やかに仕立てた調度品のようなもの」と解釈できそう。

  • プレ・ミドル〜ミドル
味わいが強まることなく、アーシーネスを喫味の中心にしっかり湛え始める。
どこかほわんほわんした喫味で、この点は、もしかすると経年による香りと喫味の「飛び」があるのかも知れないと思う。
容貌や輪郭がぼやけながらも、あくまでニュアンス群は優しく層を持っており、これらをしっかり味わうことは難しくない。

ニュアンスは、
①優しく軽く、口腔粘膜を撫でるようなアーシー
②やや焙煎系の香ばしさとあっさりしたコク
③伸びやかな樹木土の渋やかさ
④ピュアレザーのすっきりとした適度な苦味
⑤シダーウッドのミルキーな渋味と酸味
⑥さわやかなウッディネスの甘酸っぱさ
⑦甘さが変位して、ドライピアー、洋梨
⑧喫味の後尾につれて大きくなるアーシーネスなほの甘さが軽装に響く
⑨芳醇で香ばしさが蘇るナッツのアロマ
⑩余韻に舌の上に横たわる樹木皮革の酸味と仄かな渋味
…その他、静かにたゆたう林檎の皮の甘酸っぱさとほろ苦さ、紫煙に孕まれる草木灰、沃土に咲く小さな花のフローラル、清涼感を抱かせるすっきりとした穀物の発酵。

層を1枚1枚丁寧にめくってゆくように、口の中で紫煙を揉みながら吸うと、大体上記のニュアンスは追えると思う。
ミドル全体としては、トップであった香ばしさやナッツの甘味(或いは土の甘味)というのはかなり抑えられていながら、かと言ってアーシーネスに偏るわけでもなくレザーの苦味渋味が効くわけでも、ウッディネスの渋味酸味がそこまで強まるわけでもない。
この点において、「やや退屈で物足りない」印象を受ける可能性はあるし、僕は実際少しそれを感じる。

ただ、ラストでの盛り返し(ステータスの全体的な強まりと土の旨味、花のフローラル)があればその辺りも看過できる、というところ。

  • ミドル・ボトム
ややウッディ&アーシーネスな絹のように伸びやかな甘味が強まる。
香りはしっかりと高くなり、全体のステータスが何やら「あぐねている」感じから察するに、喫味はラストでもうひと変貌するようだ。

  • プレ・ラスト
若干のレザーフローを伴って、樹木土の豊かな旨味と甘さが広がる。
これを待っていた、という感じの絶妙な現れ方、つまりブレンドが見事である。
決してエドムンド系の「華やかながら豪奢な土の旨味」ではなく、No.系の「樹木土の円やかでやや土っぽい旨味」という点にはがっかりせざるを得ないけれど、トップからNo.系だとは思っていたので仕方がない。

  • ラスト
ウッディで高い酸味が強まり、少しラストならではの豪勢なニュアンス群・喫味を邪魔する感じがある。
ニュアンス群を追うと、
①まず先頭はウッディなロースト感
②次にアーシーネスでシルキーな風味
③柔らかな絹の衣を羽織ったレザーフロー
④樹木土の静かな渋やかさ、高い酸味
⑤ウッディ&アーシーネスで玉龕的な旨味
⑥旨味を調えるシダーチップ
⑦やや深煎り珈琲豆のパウダー
⑧甘さを抑えたドライプルーン
⑨再度、大らかに土感を醸成する柔らかな旨味と仄かな苦味
⑩ゆっくり余韻へと続くウッディな低い酸味とエキス的な甘やかさ
…特にウッディをやや孕んだ(広がりや深み、というよりは高まりを思わせる)旨味のステータスの強みは、まさにモンテのNo.系の特徴。
したがって、後味には旨味の成分がじっとりと残りながら、やや白胡椒様のペッパー感とdólce的な仄かなビター&スウィートが続いてゆく。

ラスト・ボトム。
旨味が現れてからの変遷自体は決して大きくなく、あとはウッディ&アーシーネスの高まる旨味の海に身体を全く預けて、ぷかぷかと浮かぶように楽しむ葉巻になる。


トップで推察できる通り、やはりこの一本は謂わば「モンテのNo.4(と個人的には思う)の上位互換的一本」に相当する。
あくまでブレンド的には、序盤に甘やかさを置いて、中盤秘めやかで思わせぶりな抑制を見せながら、終盤にNo.4の旨味をやや太くしたような傾向がある。
なので、モンテのNo.系に抵抗がない人は時間軸的に引き伸ばされた(レベルは異なるので例えとしてはあれだけど、ワイドチャーチルを時間軸的に美しく伸ばしたチャーチルのような)仕上がりになっているこのChurchills Anejadosは好まれることと思う。
が、特にそうではない方に対しては、モンテクリストが今やもっと(ニュアンス群の優秀さや、旨味の展開に非常に長けた葉巻を僕が知っているという意味で)「凄い」ものがあるので、これを選ぶのならば、【ダブルエドムンド(或いはエドムンド系)】と【リネアシリーズ(特にデュマス)】を推す。

残り3㎝で終える。