シガーレビュー(レビュアー:S)

Bolívar Short Bolívar (ER Andorra 2017)
ボリバー ショート・ボリバー レヒオナル・アンドラ(アンドラ限定)。
値段不明。110㎜。煙時間55分。

  • トップ
浅く薄明なナッティ&ロースト、ラムレーズンやプルーンネスな低く重ための甘味が底に漂っており、richな喫味を演出している。
ボリバーのロイヤルコロナスのような始まり方だけど、甘味のニュアンスをもう少しadultyにしたような印象。

ニュアンスは感じ取られる順列で、
①淡やかでフレッシュなナッティ&ローストの香ばしさと浅いコク
②甘さの低いラムレーズン
③葡萄皮のタンニンを思わせる厚い渋味が少しだけ
④ウッディネスで樹木土的な芯の通った酸味が喫味の軸を通る
⑤再び焙煎系で、次は苦味のあるロースト
⑥シダーウッドの高いフローラル
⑦甘めのレザーフロー
⑧樹幹や樹木肌を髣髴させる高い酸味としっとりと舌の上に残る渋やかさ
…ニュアンスは多層的とまでは言えず、そこまで感動的な印象を抱かせるトップとは言えない。
個人的には、ロイヤルコロナスの方がトップから既に芳醇で味わいの深い(積層的な)ニュアンスが口腔に響いた。

  • トップ・ボトム
ややレザー&シダーの渋味と甘さが強まってくる。
また、珈琲豆のほの甘さ。
特に、枯れた樹葉の面影を感じさせる高いウッディのニュアンスが喫味の枢軸に顕在することは、この辺りではっきりと感じ取られる。

  • プレ・ミドル
レザーのしんみり舌全体を抱擁するほろ苦さに寄ってゆく喫感において、ボリバー感は「薄い」。
モンテクリストがOpen系で自らのブランド・プロフィールを「軽装的に」ブレンドを変えたような感じ、と言えばわかる人も多いことと思う。

少なくともボリバーはブレンド的にこの一本においてプロフィールを「軽く崩して」いて、例えばゴルフをplayしながら、或いは、朝の外苑を遊歩しながら楽しめるように「カジュアル」な喫味になっている。
だからこそ、ボリバーを愛する方には「大いに物足りない」し「そもそもこれはボリバーになってない」早熟なブレンドの印象を抱くと思う。

  • ミドル〜ミドル・ボトム
ミドルのニュアンスの基本は、ウッディ&ローストとレザーで纏められている。
ニュアンスは感じ取られる順列で、
①ウッディの高い酸味と低い渋味
②樹木土のアロマとしっかりとしたロースト系の苦味
③次にもう一度、ウッディネスな酸味
④重たいレザーのやや甘やかな渋さ
⑤口腔を舞う軽装的な珈琲豆のほろ苦さ
⑥シダーウッド的なさっぱりとした甘味
⑦幽かに遅効性のナッティ&ロースト
⑧じわりと舌の奥で感じられるPure grainy
…苦味や渋味と酸味のステータスに秀でながら、甘味や奥深い仄かな旨味があまり感じられない点で、かなりブレンド的にも底が見える。
苦い渋いからといってボディが重たいのかと言えば、そうでもない。
あくまでdirectな味わいではないし、口腔に残る余韻も永くない。

  • プレ・ラスト〜ラスト
ボリバーがこのビトラ(というかこのRegional)で何がやりたかったのか真意は分からないけれど、少なくとも本来のブランド・プロフィール(つまり、仄かなナッツ&ウッドの甘味と、濃厚濃密で味わいの深い男性的なウッディネス&シダーの香り高いブレンド)を軽めに崩して、やはりLightnessにしようとしたものだと個人的には推察する。

けれど、モンテクリストがOpen系で魅せた軽装感と同じように、そもそものプロフィールは「水で薄めたように希釈」された上、このショート・ボリバーに至っては、ウッディネスとレザーのAstringency(渋味を湛えた苦味)が喫味の先頭に強く現れながら、それを補うニュアンスのステータスが悉く削ぎ落とされ控え目にヤラレているので、ボリバーのツライところだけが目立つ。

ラストのキワのキワでやっとウッディ&レザーネスな旨味がドスンと現れて来るが、ミドルのブレンドの崩れ具合が余韻をまだ汚している印象。
(ロイヤルコロナスで見事に体現されている)奥深くまでしっかりと味わえるようなブレンドの妙を感じさせない。

  • ラスト・ボトム
一応ニュアンスを追ってみるけれど、この一本を買う必要は誰にとってもないように思う。
(笑)それは、このブレンドでしか感じられないような特徴が「ない」からだ。

①レザーが秀でた厚みのある苦味と渋味
②永く口腔に残るウッディネスの高く重たい酸味
③穀物の発酵感的でExtractiveな旨味
④舌の中央にずーんと載るウッディネス&レザーのしっかりとした旨味(これは素晴らしい)
⑤まったり重たい甘味を残すドライプルーン
⑥シダーウッドの高い酸味と渋味の成分
⑦熱風に混じる荒涼の樹木焚火
⑧わずかに香るシナモンチップのfloral
⑨舌先に感じられる花山椒のpepper
⑩余韻に漂う乾樹土の沈み込むような苦味

ラスト・ボトムまで味わって、やっとハバノスの旨味と言えるものはやって来るけれど、やはりブレンドの格的には決して高くない。
味わいを深く多層的にするブレンドというより、ロイヤルコロナスのブレンドから幾つかのニュアンス群を「削ぎ取ってしまった」ようなボリバー・プロフィール。

従って、特にボリバー愛好家の方(或いはラモンやサンルイレイ系を好む方)からすれば面白みに欠けるブレンドになってしまっているし、ある程度ハバノスを愉しんでいる方からしてもブレンド的な巧みさは感じられないのでは、と個人的に思う。

誰向けにもオススメはできない。
ロイヤルコロナスで十分です。

残り3㎝で終える。