シガーレビュー(レビュアー:S)

ハウスロール(ハバナベガスさん供給、レイナルドゴンザレス氏作成、竹中さんブレンド)トルペド。
値段不明。喫煙時間80分。

  • トップ
濃厚で甘さの強いナッティ&ローストと、若干アーシーさや粉っぽい樹木土の淡やかなコク深さが満ちる1stドロー。
やや高いウッディネスが響き、ローストよりはWarmed upされた樹皮脂、天然草木、杉の肌、軽やかなシダーウッドを髣髴させるので、ロブストやペティヨンとはトップの喫味が存外に異なる。

トルペドならでは、と思うが、トップの先頭はローストよりも中心的にはウッディネスが一旦勝ち、5分以内にはロースト感が大きく蘇ってくる印象。

ニュアンスを並べると、
①香ばしさの強くないナッティ&ロースト
②静やかに響くナッツの甘味
③穏やかにやって来るウッディネスの香り
④ここで強く、ウッディの樹蜜のような甘味が舌の上に降りる
⑤再び、ナッティ&ロースト
⑥ややシダーの酸味を効かせて、淡く鳴る樹木土の渋味と仄かなアロマ
⑦優しく口腔を満たす小花のフローラル
…ニュアンス群は優しく穏やかで強みがなく、慈愛に満ちた喫味となっている。
ロブストやペティヨン(現時点で僕が経験したハウスロールはこれだけだけど…)に比べても「優しい」口当たり。
ロメオのショートチャーチルをimageさせる。
ホヨーと言うにはウッディとローストが強い。

  • トップ・ボトム
ウッディな酸味が少し強まり、喫味にshape感が出て来る。
また、穏やかではあるがしっかりとレザーの低く重たい渋味苦味もニュアンスの中に感じられる。
ここまでは、ロブストとペティヨンよりもステータス全体のバランスは控えめに働いているが、トルペドの真骨頂はあくまでミドル以下、特にラストのニュアンス群の濃さにあるので、そこに期待したい。

  • プレ・ミドル〜ミドル
繊細なニュアンス群が続くので、濃いmariageであれば良さが損なわれてしまう恐れがある。
degreeを下げた蒸留酒、やや甘みを抑えた珈琲と合わせることで、やっと上手く纏まりそうな感覚。

ニュアンスとしては、感じ取られる順で、
①まずウッディ&ローストの淡いコク
②しっとり口腔に響く樹木土の高い酸味
③ゆったり漂うシダーウッドの甘やかさ、渋味
④フレッシュな麝香のアロマ
⑤高い酸味の中にドライベリーの甘味
⑥舌の中央に降りる軽やかなレザーフロー
⑦小花が風に揺れるような細やかなfloralが余韻の先頭に立ち、
⑧次にウッディ&ローストの香ばしさ、甘味
⑨次第に高まり、静かに散る樹木焚火の苦やかさ、渋味と低い酸味
…思いの外、ニュアンスは依然柔らかくPeacefulで、少々物足りなさを感じる。

ホヨーのエピクーレNo.1とNo.2の中間程度のニュアンス層とステータス。
今まで吸ったトルペド・ビトラで1番穏やかなトップ〜ミドルかも知れない。
ただ、これももちろんブレンドの妙によって逆に「仕立てられてある」可能性はあるかな、と思う。
逆に、トルペドでこれだけ穏やかなニュアンス群は例外的だからだ。
少なくとも僕のように、個人的な経験から「トルペドだぁ」と思って吸うと、少し面食らうブレンドにはなっている。
ロブストの半分くらいのattack、statusの構成には驚く。
だからこそ、後半に高まりがあれば「おおっ」とならざるを得ない。

  • ミドル・ボトム
ピュアレザーの高い渋味と酸味、鼻に芳る高いウッディネスが強まる。
ニュアンスのステータスはやや高く、渋味・酸味がかってどこか香木的な風味も得られる点は、エルレイデルムンドのショワスプレームのミドルを髣髴させる。
やや穀物の発酵感、ラムのような低い蜜様の甘やかさも感じられて来る。

  • プレ・ラスト
ここでウッディネスな旨味が喫味の奥から現れて来る。
やっと奥から秘玉を出してきて、「どうぞ、ご所望のやつはこれですね」って出されるような(笑)現れ方。

恐らく、この一本から感じられるブレンドとしては、トップからミドルはトルペド「らしくない」繊細で穏やかなニュアンス群をしたためていて、意図的に優しく喫味が調えられている一方で、ラストからは存分にトルペドの特徴を活かした豪勢な盛り上がり方を仕込んでいる、と思う。
これはあくまで、あまり類を見ないブレンドであって、ある程度トルペドを吸っている人であればこそ、「んん?」と気づくかなぁというブレンドの仕方をしている。

  • ラスト
ここに来てしっかりと喫味も多層的になり、味わいに深みが現れる。
ニュアンスを追うと、
①まずdirectlyに口内へやって来るウッディネスな旨味とコクのある甘やかさ
②樹木土の暖かい酸味がやや低く響き、
③次にレザーネスな低い苦味
④シダーウッド的な高い酸味とほの甘さ
⑤cognacの重ための甘味がたるんと舌に降りる
⑥苦味をやや滲ませた低いウッディネス
⑦もう一度、濃い凝縮された樹木の旨味
⑧穀物の発酵感を十分に感じさせる(whisky的な)蒸留感のある甘味、低い酸味
⑨柔らかく口腔に残る濃く強い煙草葉の旨味の余韻
…ニュアンス群はバランスよく、旨味を最大限に前へ前へ押し出すように仕上げられているように感じる。

トップ〜ミドルには感じられなかった葉の発酵感が徐ろに大きくなり、厚さと濃さを満々とさせて、口腔に「君臨」してくる形はロブストやペティヨンとも同じ。
やはり、個人的な(この一本に限った話かも知れないけれど)喫感としては、「3→5→9」くらいのブレンド・ステータス・バランスを考えて作られているように見える。

  • ラスト・ボトム
旨味がはっきり現れるようになってからは、大きなニュアンスの変化はなく、ただこの芳醇な旨味の渦に身を委ねていくのみ、といった感じ。
トリニダッドにやや近く迫る勢いの旨味が、非常に繊細な絹の衣を羽織って顕在している。
トップからは想像に難い、見事なfinaleを演出していると言える。
ブレンドの妙を「試した」ような仕掛けを個人的には感じ取る。

トータルで見ると、最終的には「ブレンドの楽しみに浸るための一本」であるように思うし、これを何の気概も構えもなく楽しんでしまうのも一興だけど、「ここってどうなんだろう、今後どうなるんだろう」と「ワクワクしながら」味わってみると、より愉しめる類いのブレンドになっている。

トップからミドルはホヨーのエピクーレNo.1とNo.2の中間、或いはエルレイデルムンドのショワスプレーム、だがラストに近づけば、チャーチルやトリニダッド(コロニアレス)のラストに近い旨味の濃さと厚み。

今思えば、これを強燃焼して楽しんでもきっと面白いと思う。

残り3㎝で終了する。
個人的には「ブレンド的仕掛け」を感じ取った一本。