シガーレビュー(レビュアー:S)

Bolívar Edición Regional Emiratos Arabes Unidos Emarati
ボリバー REドバイ エマラティ。
金額不明。135㎜。喫煙時間60分。


  • トップ
淡く香ばしいウッディ寄りのナッティ&ローストが口腔に広がる心地よい1stドロー。
vividな花びらを髣髴させる豊かな風合いが喫味全体をまとっており、やや酸味の効いたウッディネスもバランスが非常に良い。
ビトラの効果もあってか、ナッツの香ばしさがワイドチャーチルやアップマンのコネスール系を思わせる馥郁な豊潤さに溢れている。

ニュアンスは感じ取られる順に、
①香ばしいナッティ&ローストの清い香ばしさ
②高くウッディに響く天然の樹木香
③フレッシュな樹木皮脂の酸味
④甘やかに広がるナッティ
⑤若干の渋味を心地よく湛えるシダーウッド
⑥ココアパウダーとダークチョコレート
⑦層をめくると、口腔に舞う静やかなfloral
⑧透明感のあるウッディネスの高まり
⑨余韻に繋がる舌の上のナッツ由来の甘味
⑩ややあって、穀物的な発酵感と清涼
…ニュアンス群は多層的で、ボリバーのトップらしく甘やか華やかながらも、しっかりとしたウッディネス、ナッティの鮮やかなharmonyが感じ取られる。
やや後味にウッドの渋味がじーんと響く感じがあまり良くないが、トータルではバランスの良い喫味のブレンドになっている。
あくまで軽装的なボリバー。
小花をアクセントにして洒落た雰囲気を醸した、社交場のボリバーといった雰囲気を感じる。

  • トップ・ボトム
ややウッディネスなステータスが強まるものの、変遷は穏やか。
ステータスは花の甘味と低い渋味、静かな酸味に秀でており、朝〜昼に似合うニュアンス群。
あくまで、クリアなボリバー。
この喫味のままではもちろん物足りない(というより、ボリバーの本来のブランド・プロフィール未満だと思うので)ここからどう喫味が移ってゆくのか期待したい。

  • プレ・ミドル〜ミドル
ショートチャーチルのミドルで感じられるような小花のfloralが喫味を纏いながら、枢軸はウッディ&シダーウッドのtasteでボリバーのヒガンテスに似た印象を抱く。
ヒガンテスを軽く、層を多層に、小綺麗に取り纏めた感じ。
ニュアンス群は、
①ナッツの鮮やかで軽快な甘やかさと仄かな酸味
②シダーの繊細で伸びやかなニュアンス
③酸味が強く前に出たウッディネス
④ナッティ&ローストの爽やかな香ばしさ
⑤ここで、南国花のふわりと馥郁に薫る美しいフローラル
⑥フローラルを締めるstanceの低い樹木土の酸味が効く
⑦しっとりと舌の腹に載るピュアレザー
⑧ナッツ由来の天然糖
⑨喫味の底に漂う淡やかなシダーウッド
…やはりここでもニュアンスは積層感を持って、一枚一枚膜をめくるように風味を感じることができる。

ここまでで分かることとしては、この一本はボリバーのロイヤルコロナスに見られるブランド・プロフィール(つまりは、仄かなナッツ&ウッドの甘味と、濃厚濃密で味わいの深い男性的なウッディネス&シダーの香り高いブレンド)とは若干異なり、ボリバーらしい男性的なブレンドを避けて、むしろヒガンテスのような【積層感のある甘やかさと花のフローラルを感じさせる穏やかなボリバー・ブレンド】の傾向を感じ取る。

だからこそ、ボリバーを好む方からすればきつみはやや軽薄,軽装に感じられるかもしれないが、ヒガンテスも共に愛されるボリバー愛好家の方や、ホヨーorチャーチル系の喫味に好感を抱く方であれば、受け入れやすい喫味になっていると思われる。

  • ミドル・ボトム
この一本において、ボリバーがブレンド的に「どのような喫味を求めたか」は感じ取られる一方で、華やかさはチャーチル系にもボリバー自身のヒガンテスにもやや劣るため、ミドルが冗長で退屈なものに思われるのは仕方がない。
ステータスを穏やかに、ナッツやシダーの甘味、ホワイトチョコレートのようなほのかな甘やかさと、花が蕾からゆっくりと開花してゆくような風貌が、ブレンドの特徴として明らかになっている。

  • プレ・ラスト
喫味の奥からゆっくりと、樹木土の豊かなニュアンスが呼び起こされる。
きっと旨味に転じるであろうと思われるニュアンスだ。
ホヨーのエピクーレ・エスペシャルのような展開の仕様を髣髴とさせる。

ここに至って確信するが、このボリバーは「肉に合う」ものではなく、例えば「白ワインやchampagne」に合わせるべきブレンドのボリバーだ。

  • ラスト
軽装な喫味にウッディネスの厚い風味がしっかり追いついてきて、喫味全体を補い、再構成してゆく。
花の香りの向こう側からやって来る旨味の現れ方は、ブレンドの妙を感じさせる。
ニュアンス群は、
①爽やかでウッディの香るロースト感が少しだけ、
②いまだ軽装を崩さないナッティの甘味
③すっきりと風味を与えるシダーチップ
④ホワイトチョコレートの低い甘味
⑤ウッディネスな重たい酸味がやや喫味を締めて、
⑥花が静謐に包まれて開花するfloral
⑦豊満な穀物の発酵感を伴って出て来る旨味(ただ、ステータスとしては強くない)
⑧余韻に近づくにつれて、ややレザーネスなほの甘さとほろ苦さ
⑨舌の上にゆったりと残る、すっきりとしたモルト
⑩鼻腔から抜ける高いウッディ&ローストの軽快なニュアンス
…実にラストは多層的で、謂わば女性的な喫味の雰囲気を存分に楽しめる仕様がなされている。
特に、旨味をある程度コントロールしながら、花やモルトの美しい演出は、実に高貴な印象を抱かせる。

  • ラスト・ボトム
旨味の強まりはそれほど強くないので、ほぼラストのニュアンス群が引き続き楽しめると思ってもらって構わない。
ヒガンテスであれば、終盤に樹木様の旨味は凄みを孕んで来るが、このブレンドはそこも(おそらく)意図的に抑えられている。

トータルでこの一本を見ると、やはりミドルのあたりで感じた印象が個人的な総評で、【ボリバーの持つ花やかさ、シルキーな甘やかさで喫味を終始纏いながら、上品に白ワインやchampagneとのmariageを楽しむべき、軽装的で社交的に仕上がったブレンド】であると個人的に思う。

ブレンドの妙も感じ、ボリバーがこの一本を「どうしたいのか」というコンセプトも感じ取られる、面白い一本だった。

残り3㎝で終了する。