ラザール・ロボス(宇宙暦?年 - )は自由惑星同盟の軍人。原作登場人物である。男性。ロボス派の領袖。

1 外見

 眼には活力が宿り、口元はきりりと引き締まり、岩山のような肥満体と相まって、凄まじい貫禄を醸し出している。どこからどう見てもやり手そのものだ。全身から放つ存在感が凄まじく、巨人と相対しているような気持ちになる。

2 略歴

2-1 前世

 帝国領侵攻作戦を引き起こした同盟軍宇宙艦隊司令長官。フォークと並び、無能の代名詞となっている。

2-2 新版

 宇宙歴791年時点で第三艦隊司令官と宇宙艦隊副司令長官を兼ねている。階級は宇宙軍大将。これ以前にオストラヴァ星域会戦、惑星タリス攻防戦、第二次パランティア星域会戦、マイリージャ星域会戦などで勝利を重ねた。持ち前の豪腕は後方勤務でも発揮され、国防委員会装備副部長を務めた時に巡航艦調達体制の改革に成功し、「ミスター・クルーザー」の異名を取った。(9話)
 同年10月のエルゴン星系からイゼルローン回廊に至る宙域の奪還を目指す反攻作戦「自由の夜明け」においてはエル・ファシル方面軍司令官及び宇宙部隊司令官を務める。また、エル・ファシル義勇旅団を組織し、旅団長にエリヤ・フィリップス義勇軍大佐を任命した。
 同年12月、エル・ファシル星域会戦で帝国辺境鎮撫軍主力艦隊四万隻を破る。その後の惑星エル・ファシル攻防戦では帝国のエル・ファシル防衛軍司令官ミヒャエル・ジギスムント・フォン・カイザーリング宇宙軍中将が築きあげた防衛線の前に予想外の苦戦を強いられる。(11話)
 宇宙歴792年の第五次イゼルローン要塞攻防戦ではシドニー・シトレ宇宙軍大将が遠征軍総司令官に任命されたが、これはエル・ファシルでのロボスの派手なやり方を嫌う人間が政界や軍部に少なくなかったかららしい。この攻防戦で善戦したシトレが宇宙軍元帥に昇進し、統合作戦本部長に就任したため、宇宙艦隊司令長官に昇格した。(15話)
 宇宙歴793年の帝国軍の一大攻勢を迎え撃つ指揮をとったが、昨年に国防予算が減額されたため、数で劣る戦いを強いられ、苦戦する。三月から四月にかけてのシャンダルーア戦役、七月から九月にかけてのドラゴニア=パランティア戦役における同盟軍の勝利は、すべて薄氷の上の勝利だった。特に三月二五日の第二次シャンダルーア星域会戦では、ウランフ少将の到着が二〇分遅れていたら、全軍が崩壊していたと言われる。
 同年11月の第三次タンムーズ星域会戦において、ロボス大将率いる同盟軍三万九〇〇〇隻は、宇宙艦隊司令長官アルトゥール・フォン・ツァイス元帥率いる帝国軍四万八〇〇〇隻を完膚なきまでに打ち破る。この功績で宇宙軍元帥に昇進する。この戦いで総参謀長を務めたドワイト・グリーンヒル提督とは名コンビとして知られる。
 宇宙暦794年2月上旬、銀河帝国が五個艦隊の動員を開始したという情報を受けて、四個艦隊からなる迎撃艦隊の指揮を執ることに決まる。(15話)
 同年3月のヴァンフリート星域会戦では混戦の中、何とか勝利と言える結果を手にするが、痛み分けに近い結果に市民から非難される。(20話)
 同年の第六次イゼルローン要塞攻防戦において遠征軍総司令官を務める。ウィレム・ホーランド宇宙軍少将とアンドリュー・フォーク宇宙軍中佐の作戦やヤン・ウェンリー宇宙軍代将の作戦を採用し、要塞外壁への攻撃を成功させるが、ラインハルト・フォン・ミューゼル提督の卓越した用兵によって最終的にトゥールハンマーによって損害を受ける。これによって主戦派も含む同盟市民から猛烈な批判を受ける。(28話)
 宇宙歴795年には第一一艦隊司令官にウィレム・ホーランド宇宙軍少将を推薦するが、ヨブ・トリューニヒト国防委員長の介入によって第一一艦隊司令官にはクレメンス・ドーソン宇宙軍中将が決定する。この際、自派から第七方面軍司令官イーストン・ムーア中将、第一四方面軍司令官ディエゴ・パストーレ中将らが離反しトリューニヒト委員長を支持する。(31話)同年の第三次ティアマト会戦でも後方で総指揮を執った。(32話)ラインハルトの逆撃もあってかなりの損害を受けたものの、一・六倍もの大軍を撃退した功績は大きく、内外に古豪健在を示した。(33話)同年12月、宇宙軍の深刻な戦力不足から現有戦力の保全を優先し、「戦力の保全を第一に行動せよ」という訓令を出したところ、民間の輸送船を護衛する第五六一三任務隊がこの訓令を口実に海賊多発地域を前に勝手に引き返すという「リオ・コロラド事件」が発生。引責辞任を求める声も出る。(35話)

 宇宙歴797年にはルチオ・アルバネーゼ退役大将と組み「神々の黄昏(ラグナロック)」作戦を推進。遠征軍総司令官に就任する。(55話) 
 宇宙歴798年、第一次ヴァルハラ会戦に勝利し、ヴァルハラを制圧した後、同盟総軍元帥に昇進した。これ以前に同盟総軍元帥となったのはリン・パオユースフ・トパロウルの二名しかいない。(59話)四月末には彼の為だけに創設された同盟総軍司令長官に昇格した。(60話)同年の解放区選挙に際し、各地の司令官に通達を送った。隠喩や内部用語が巧妙に散りばめられており、部外者が見ればごく無難な文章、軍関係者が見れば「自主自立党と自由共和運動に便宜を図れ」と受け取れる。反同盟的政党の進出を阻止したい国防委員会の意向に沿ったものだ。
 宇宙歴799年には撤退の裁可を求める第一統合軍集団司令部に対し、「昼寝」をすることで裁可を遅らせようとするが、失敗。やむを得ず各部隊にヴァルハラへの撤退許可を出す。(65話)同年の第二次ヴァルハラ会戦では前の歴史を知る者には信じられないことにラインハルト・フォン・ローエングラム大元帥と互角に戦った。(68話)第二次ヴァルハラ会戦後、「病気」を理由に辞職した。一連の失態によってロボス派は衰退することになる。(70話)
 宇宙歴800年10月中旬、エリヤ・フィリップス予備役少将を始めとするラグナロックの軍人たちが遠征軍総司令部を軍事裁判にかけるように要求、宇宙歴801年にはラグナロック戦犯裁判が開かれたが、病気を理由に一切出廷しなかった。
 宇宙歴803年9月、ラグナロック戦犯裁判において、「重大な背任行為」を犯したとの理由で、不名誉除隊と禁固刑の判決を受けた。(116話)

3 能力

 大胆すぎて細心さに欠けると言われるが、それでもシドニー・シトレ提督と並ぶ同盟宇宙軍の二大名将であることを疑う者は、宇宙歴791年時点では一人としていない。
 前世における同盟末期の最高指導者ヨブ・トリューニヒト八月党ダスティ・アッテンボローバーラト立憲フォーラムシャノン臣民党イザーク・フェルナンド・フォン・トゥルナイゼンに匹敵する演説の名手。
 陽動、迂回、包囲、奇襲。機動力を重視するのがロボス流用兵らしい。大胆かつ華麗な用兵で知られる。
 普通の分艦隊司令官は一年か二年おきに転任するが、ラザール・ロボスは大きな出兵があるたびに出征部隊に転任して戦った。現役宇宙軍軍人の中で分艦隊司令官時代にこういう扱いを受けたのは、ウランフジェフリー・パエッタアレクサンドル・ビュコックモシェ・フルダイライオネル・モートンウィレム・ホーランドとロボスの七人だけ。かなり高い評価を受けている。(24話)
 宇宙歴799年時点で人類史上で最も大軍指揮の実績が豊かだ。戦場全体を見渡す視野を持ち、厚くすべき部分と薄くてもいい部分を見分け、状況に応じて部隊を配置することにかけては、右に出る者がいない。後方にも目を配り、兵站や通信を確保することができた。配下との連絡を緊密にし、命令を徹底させることもできた。

 皮肉な言い方をすると、彼は民主的な軍人だった。軍事的合理性を追求するためではなく、政府の要求を満たすために戦った。堅実に戦って損害を減らすより、派手に戦って市民を喜ばせることを選んだ。国防族の政治家と協調し、予算面や人事面での優遇を引き出した。軍部内のパワーバランスを重視し、シトレ派の幕僚も重用した。あらゆる方面に気を遣った結果、内部では対立が生じ、外部からは横槍が入り、用兵の硬直化を招いた。

4 性格

 サービス精神旺盛で脇の甘い彼は、とかく話題に事欠かない提督と言われる。
 宇宙歴792年までに三度の結婚歴があり、最初の妻は「士官学校史上でも五本の指に入る美人」と言われた士官学校の同級生で、二度目の妻は演技力に欠けるが美貌で有名な映画女優、現在の妻は二五歳下の元テレビアナウンサー。その他にも常に数名の愛人を抱え、一夜限りの関係も含めると、関係を持った女性の数は一〇〇〇人を超えるとも言われる。
 戦い方も私生活も派手なロボスは、支持者も多いが敵も多い。
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最終更新:2021年04月01日 00:59