陸賊王ベリー


■キャラクター名:陸賊王ベリー(りくぞくおう べりー)
■性別:女

キャラクター設定

本名:マシュー・D・ベリー
Dの読み方はディー。


遥か南の孤島、メリッサ出身の美少女船長。
彼女の島は定期的に海賊船を出し、周りの島から物資を奪うことで豊かに暮らしていた。
彼らにただ一度の敗北はなく、ただ一度の殺人を侵すこともなかった。
島民にとって、海賊行為は数少ない娯楽だった。

若い頃に母は病気で亡くなり、彼女の父親は当時船長を務めていた。
父の方針で海賊船に乗せてもらい、危険の無い程度に海賊行為を手伝うこともあった。
話し相手といえば同い年の子供より、汗と泥にまみれた乗組員ばかり。
彼ら全員が彼女の家族のようなもので、島に一隻しかない海賊船に物言わぬ母の温もりを重ねていた。
天真爛漫だった彼女は、戦争とは無縁の幼少期を送る。

忘れることのない、あの日の出来事。
その日――いつものように海賊船は出港し、波一つ無く晴れた海を渡り、略奪出来そうな島を探していた。
前方に他の船を発見する。大きくドクロの帆を揚げていた、あからさまな海賊船だった。
父は舵を切り、その船に向かって侵攻を開始する。その遥か向こうには雷雲が立ち込めていた。

相手は男三人。当時最強と呼ばれた八人の乗組員が乗っている船の敵ではなかった。
彼らから物資を奪い、命は見逃し、速やかに立ち去る。いつものやり方で。
帰り道、大粒の雨に打たれたが、この船が傾くことは無かった。
島に着くと、勝利を祝し、眠くなるまで宴会が開かれ、夜は更けていく。



次の日、彼女は聞いたことのないような悲鳴と怒号で目を覚ました。
辺りは真っ暗で、冷たくて、静かで、傍には父が神妙な面持ちで佇んでいた。
父は彼女が目を覚ましたことを確認すると、「絶対にここを離れるんじゃない」と言い残し、立ち去った。
ここは島の地中シェルターと呼ばれるもので、避難訓練の際に何度か訪れた覚えがある。
一人でここに居ることは初めてで、彼女は少し怖いと思った。

いつまで待っても父が帰ってくることはなく、誰かが迎えに来ることも無かった。
悲鳴も怒号も鳴り止み、本当の静寂が訪れたとき、耐えきれず彼女は外を目指した。
きっとみんな笑って出迎えてくれる――そう思った。



そこは彼女の知っている島ではなかった。
建物は無残に壊され、木々は燃やされ、死体の腐ったような匂いが彼女の鼻を襲った。
まだ至る所に火の手が上がっていた。襲撃を受けたのだと――現実を受け入れることは、出来なかった。
やっとの思いで意識を保ちながら、彼女は父を探して一心不乱に走り続けた。

そして、出会ってしまう。襲撃者に。
相手は男三人。あの日の彼らだった。
それと同時に少女は見てしまった。
――惨たらしくボロボロに壊された、自分の母を。

彼らがにじり寄ってくる。残虐性に満ちた笑みを浮かべながら。
燃えさかる島に少女の慟哭が響いた――。

その時、空から木材が降ってきて、ひとりの男を貫いた。
綺麗に整えられた木片が、鉄材が、ネジが、ロープが、ネジが。
砲台が、錨が、帆が、酒瓶が、食材が、瞬く間に降り注ぐと、男三人を押し潰した。

嵐にも似た暴風が吹き荒れ、炎を掻き消し、島中の血と死体を巻き上げる。
寂しさにも似た感情が少女に纏わりついて――旅立ちの時がやってきたのだと、両親が告げる。
焼き払われた島を取り囲むようにして、一隻の巨大な船が出来上がっていた。



時は流れ、数年。
彼女は各地の島を旅しながら、物品を奪って暮らしていた。
――邪魔するやつは、徹底的に殺す。
その目は殺意で血走り、殺人や破壊行為さえ楽しむ陸の海賊に成り果てていた。

けれど、彼女は食べ物には目がない。
旅を続けるうちにグルメ嗜好が芽生えていた。
それと乗組員も募集している。いつまでも孤独な旅は嫌だった。
弱い男に興味は無い。――人と出会うための船旅でもあった。

強い奴を探し、美味しいものを探し、安寧の地を探すための、航海――。
後に陸続王ベリーと呼ばれる彼女は、甲板に寝そべって、誰にともなく呟く。
「強いやつが居るとさぁ、欲しくなっちゃうよね。奪いたくなっちゃうよなぁ」
「――ボクを退屈させるなよ?」

そんな彼女が、よりにもよってこの時期に来日したのは、偶然か必然か。
全ての賽が投げられたとき、少女は大海を知るだろう。

特殊能力『ベリー来航』

文字通り、舟を編む能力。
自分の周辺に暴風が吹き荒れ、周囲の建物を巻き込み、足りないパーツを空から補いながら一隻の船を建造することが出来る。
物理的に不可能なパーツであっても、彼女の想像力が許すかぎり補完することが可能。
そうして出来上がった陸賊船は基本的に自走しないが、パーツ次第では陸を走り、海を泳いだり、空を飛んだり。
船内の部屋割りも建築の際の意のままに。
武器庫、食堂、トレーニングルーム、エンジンルーム――何でもござれ。
巻き込んだ地形をそのまま活かすことも出来るので、さながら地上のダンジョンに。

戦闘スタイルは船内であれば地形を変えつつ、自分に有利な状況で戦う。
船外では能力を使わず、周囲の地形から武器を見つけて戦うサバイバルスタイルを己に課している。
彼女自身は丸腰だが、舐めてかかると痛い目に遭うぞ。

プロローグSS


予選結果




釖 分度 <<前のキャラクター|参加キャラクター|次のキャラクター>> 八剱聖一
最終更新:2018年03月02日 02:08