第1ラウンドSS・オフィスビル街その2

ウ~ウ~

「ひゃあゴメス警報だ!」

バーチャル世界住民の天童さん(四人家族のお父さん、オフィス街のマンション暮らし)はゴメス警報に飛び跳ねた。
バーチャル世界と言っても社会の常識は現実の現代に準ずる。なのでゴメスが襲来した時にはこうやって警報が鳴るのだ。
天童さんはありったけの食糧と水、妻と娘、ライフルと斧、サバイバルブックと救急箱をラジオを次々とシェルターに投げ入れる。
そして最後に自らもいぇるたーに飛び込みカギをあけた。現代のオフィス涯の建造物はゴメス対策に地下シェルターが備え付けてある。
警報からゴ分経つ頃には戦闘領域からほとんどの生存者は消え去っていた。



(ゴ・メ・ス)


「おっ、何で誰もいないんだ!?」

理由が自分にあるとも考えずゴメスは行く。徒歩で。ゴメスパロボは置いてきてしまっった。

「やっぱトイレ我慢しとくべきだったかよ?でも、戦闘開始と同時に操縦席で漏らすの最悪だしな」

はっは!と笑いながらゴメスは行く徒歩で。そして無人の街を妙な歌を口ずさみながら。

「ゴーはゴーメスのゴー、メーはゴメスのスー」

全部でゴ十三曲あるゴメxスォング。これを全て詠唱し終わった時ゴメスパロボが召喚されるのだ。

「ソードーラーシーゴーメース。ゴメスとゴメスゴメスビル、ブラボー」

一曲目のゴメスの歌を終え二曲目のゴメスとゴメスに移行しながら、ぶらりオフィスを行く。
頑張れゴメス。後ゴ十二曲。



(ゴ・メ・ス)


「むむ、何で誰もいないのだ。周囲全員全裸にして吾輩がどこか分からんようにする作戦が使えんではないか」

ポッポーと頭から湯気を出して起こる全裸の女。そう、露出卿である。

「さては吾輩を恐れて隠れたのだな!どうだ吾輩の推理は」

横を見ても突っ込んでくれる女の子はいない。転送時に彼女が置いてかれた事を思い出し露出卿ションボリ。
ちなみに、露出卿の推理はそれ程間違ってない。
もし対戦相手がゴメスじゃなかったらロシュア人警報が流oれて同じ事になってたからだ。


「むう、取りあえず近くのコンビニに行って一休みするか」

戦闘中なのにこの緊張感の無さ。頭ロシュアというネットスラングが生まれたのも当然だ。(類義語:頭ゴメス、頭スパキン)


「ロシュアのローはロリコンのロー」

自作の歌と共にコンビニへ向かう。この歌を全部歌い切っても別に何も起こらない。
コンビニに入ると、そこにゴメスがいた。頭ロシュアな露出卿はゴメスの顔を知らない。
だが、頭の先から足元までゴメゴメしたその姿はゴメス以外の何物でも無いと確信できた。
もしこの男にゴメス以外の相応しい名前があったら教えてほしいレベルだ。

「ゴゴゴ、ゴゴゴ、ゴメスパロボ、あーい!ゴメスフュージョン承認だーうおーん!」

立ち読みしながら泣きながら歌うという器用な真似をしているゴメス。店内に入って来た露出卿には気づいていない。
先制攻撃の大チャンス!だが、露出卿は武人な上に頭ロシュアである。不意打ちなど己の騎士道に反する事だった。

「もし、ゴメス殿・・・でよいか?」

泣き叫ぶゴメスに声をかけると、涙と鼻水でグシャグシャの顔で振り向いた。

「ねえんだ・・・どこにも・・・」
「一体どうしたというのだ?落ち着いて話したまえ」
「このテレビガイド、どこにも載ってねえんだ。いいともが」
「いいとも?そういえば吾輩も最近いいともを見てないな。すまない、その本少し拝借」

露出卿とゴメスは二人で目を通す、テレビガイドを何度も読んで彼らは二つの事を理解してしまった。
一つはチャンネルの桁がめっちゃバグっている事。

「おい、なんでチャンネルの番号がムチャクチャになってるんだよ!」
「チデ鹿とかいうもののせいだと聞いた事がある」
「マジか。録画とかできねえじゃんかよ」

ムショにいたゴメスは地デジ化を知らない。
露出卿は地デジ化の事は知っていたが、頭ロシュアな彼女が頭ゴエスな彼に説明できるはずもなかった。
まあわからないものはわからないものとして放置し、今大会三大馬鹿の二人は本題へと移る。

「ゴメス殿の言う通りだ。いいともはどこにも無かった」
「ああ」

露出卿の右目から一筋の涙が流れる。ゴメスと違い泣く姿も美しかった。全裸だけど。

「森田氏・・・彼の死を知らなかったとは吾輩一生の不覚」
「今日は飲もうぜ」

二人はコンビニ内の酒と食べ物を手にして店内の飲食コーナーに向かう。
代金は露出卿がレジに置く。こういう時の為に腰のベルトの内側に一万円札を貼り付けておいたのだ。従者のアイデアである。
ゴメス?受刑者が現金持ってるわけがない。


「森田氏に乾杯」
「タモリといいともに乾杯」

ウオッカの瓶と缶ビールが軽く触れ、チンと音を鳴らす。
そして二人はコンビニの本を色々読みながら文明の進化ってスゲーと語らい帰路に。

「って違あああああああう!」

帰ろうとするゴメスを呼び止める露出卿。良かった、戦わないまま終わるトコロだった。

「そうではないだろうゴメス殿!」
「タモリ生きてたのか!?」
「森田氏の事は忘れよ。吾輩はそなたと戦いに来たのだ!いざ尋常に、ゴクゴク、勝負!」

残っていたウオッカを飲みながらカッコつける。

「・・・おっ、そうだっけか!はっは!こんな綺麗なネーチャンが相手とは嬉しいぜ。
でも今日はもう遅いからさ、明日にしねえ?」

外はもう真っ暗。二人がこの街に来てから既に半日以上が経過していた。
天童さん家ではシェルターに入れてもらえなかった息子がキッチンで発狂していた。

「んじゃ明日!」
「ああ、いい勝負をしよう」

二人は忘れていた。一日経ったら勝負が終わってしまう事を。
だが、二人はそれを自力で思い出す事は無い。酒が入っていたし、頭ゴメスと頭ロシュアだったからだ。


(ゴ・メ・ス)


深夜一時mアホどもが戦闘空間に来てから19時間経過。
シェルター内の天道さん一家は眠れないでいた。

「ゴメスはもう去ったのかなあ」
「あなた、ラジオ聞いてみましょうよ」

ラジオをつけるとゴメスがスパロボで暴れる事無く、それどころか戦闘すらせず、戦闘時間を終ろうとしているというニュース。
天童さんの顔が青ざめる。

「妻よ、娘よ大変だ。このままでは保険金が下りない!!」
「何てこと!ゴメス被害の保険を期待して色々ローンで買ったのに!」
「ああ、このまんまじゃ息子にかけた保険も無駄になってしまう。・・・そうだ、俺が息子を殺してゴメスのせいにすれば」
「パパグッドアイディア!私達の自宅まではカメラ回ってないもんね?」

天童さんは銃を手にてシェルターを出る。

「ジュニア居るか?悪いが・・・家族の為に死んでくれ!」

キッチンの人影に向かって引き金を引く、

「ゴメスガーディアン!(生身)」
「なにぃ!」

銃弾はゴメスの背中で食い止められた。

「げえっゴメス!なんでこの家に!」
「この家だけ電気がついてたからだ!一泊させてもらおうと思ってな」
「吾輩もいるぞ!」

露出卿が剣を抜き舞う。天童さんの衣服が破れ銃が分解さっれ全裸となった。

「おのれぇ~俺はどうしてもお前らに家と息子を犠牲にされなきゃならんのだ。者どもであぇであぇ~」

天童さんの妻と娘が武器を手にして現れる。

「こうなったらこいつらを撃破してその後自作自演で家を壊して保険金ゲットだぜ!」
「頑張りましょあなた!」
「あたしもっと贅沢したーい!」

闇深き天童さん一家の顔が¥マークに染まる。完全に正気を失っている。

「うーむ、どうしてこうなったのだ?」
「理由はわからねえが酷い家族だなあ」
「う、うるさい”!お前らが暴れないからこうするしかないんだ!せめて時間内に戦おうとしてくれれば・・・」
「そんな訳で私達のローンの為に死んでくださいな!」
「お前らを殺したら次は弟だ!死ねオラー!」

天童さんはキッチンにあった包丁を手にして露出卿に襲い掛かる。だが一般人が魔人に勝てる訳なかった。
露出卿は天童さんの攻撃をゴセンチずらして回避、剣の背で天童さんの頭蓋骨をかち割る!

「グワー!」
「峰討ちである。安心したせ」

天童さんの妻と娘は斧とラジオを手にしてゴメスに襲い掛かる。だが一般人が魔人に勝てるわけがなかった。

「この身はゴメスでできている」

女二人の攻撃を回避しながらゴメスはスパロボ召喚のゴメスォング締めの曲UGW(アンリミテッドゴメスワークス)を口にする。

「さあ来いゴメスパロボーっ!」

ズガアアアン!

天道さん家の屋根を破壊しながら巨大な頭が振って来てゴメスの頭とドッキングした!
首からうえだけゴメスパロボ!首から下は生麦生米生ゴメス!酒入っていたし、何曲も飛ばしちゃったしこの結果も仕方ないね!


「ぎゃああああ頭重たいー!!!」
「「「うわーーーーーーー」」」

両手で巨大な頭を支えるゴメス。首から下はプルプル震えていて今にも倒れてしまいそうだ。
露出卿と天道さん一家の女性陣は抱き合って悲鳴をあげる。

「あmあなた何とかしなさいよ!ロシュア最強なんでしょ?」
「あんなでかいのが倒れてきたらゴセンチ動かしても無駄だからー!」
「わーんパパー!」

ポキンという音がゴメスの頭部から響く。

「首・・・折れたから・・・」
「「「もう駄目だー!」」」

支えを失った超ゴメ金の頭部がぐらりと傾き落ちてくる。

「ゴメスミマセンデシタあああああああああ」

ゴメスーンと地響き。露出卿他二名が下敷きになり血だまりに沈む。


ゴメスゴ番勝負、一戦目、露出卿。
勝者ゴメス。決まり手、零距離ゴメスミマセンデシタ


(ゴ・メ・ス)

「一戦目からやってくれたなあお前」
「空気読めてなかったか俺?」
「全く読めてなかった!」


帰還後、ゴメスは看守達にしっかり絞られていた。本人は全く反省してないが。

「まあ過ぎた事はしゃーねえだろ。じゃあせえめてラストぐらいは空気読んでやんよ」

ゴメス軽く屈伸をしてから突如走り出す。

「あっ、ゴメスまてー!」
「EDは走るもんだぜ!」



CAST

ゴメス:ゴメス武人
ゴメスパロボ;野沢雅子
看守軍団:野沢雅子

(ゴメスが見ていたかくれんぼゴメスをだしたこ子一等賞)

天童さん:野沢雅子

(夕焼けゴメスでまたゴメスまたゴメス)

天童妻:野沢雅子
天童娘:野沢雅子
天童息子:野沢雅子

(ゴメス ゴメス ゴメスってゴメス)

露出卿:デーモン閣下

(ゴメすぃゴメスにゴメゴメゴメス あったかいゴメスで眠るんだろな)

タモリ:野沢雅子

(ゴメスもゴメろゴメスにゴメろ ゴメゴメゴメンぐりがえって)

「ゴメスミマセンデシタああああああーーーーーーーーーーー!!!」
最終更新:2017年10月29日 00:45