一 厘


【 キャラクター名 】:一 厘(にのまえ センチ)
【 性別 】:性染色体:XY型 性自認:男性(シスジェンダー) 性指向:恋愛感情のない無性欲・無性愛


特殊能力 『数学』

非魔人のため、魔人としての異能は持たないが、異常事態にも機転をきかせ対応することができる。


キャラクター設定

三つ揃えを来た白髪の老人。
一一族の次男。
長男は分(デシ)、三男は毛(ミリ)。
同性愛者の五塵(しのつぎナノ)、塵の養子で体は男・心は女のトランスジェンダー五漠(しのつぎピコ)と同棲している。
厘は塵に恋愛感情や性的衝動を感じていない。
無性愛はLGBT以上に一般社会の理解がすすんでおらず、医療関係者でも病気のように扱うものもいる。
(厘は、本人が望む場合に限定して、性欲がないことを治療の対象にしてもよいと考えているため、望まぬ治療を強要する医療に嫌悪がある)
塵は厘の性指向を理解しており、厘は居心地がよいため、事実婚状態にある。

厘は数学者である。
数学のように厳密に表現するなら、少なくとも今の厘には数学者としての側面がある。
もともとは数学教師だったが、転校生と対をなす用務員に成長したとされている。
転校生が魔人の上位互換で無限の攻撃力と防御力を持つのに対し、用務員は非魔人の上位互換で無限の状態異常耐性を持つとされ、実際、鏡子の技を無効であったことが確認されている。
しかし謙遜からか、厘本人はそのような能力を持っていることを否定している。

宿泊ドックは、無性愛を異常とみなす社会に対する反抗の側面もあり、毎年受診している。
心身ともに健常で、異常は見つかっていない。
ただ、精神医療で「近づいてみれば誰一人まともな人はいない」というように、異常と正常との間に境となる明確な線は存在しないとも考えており、障害を持つ無性愛者も自分と同じ仲間として大切にしている。

どのように表現すれば数学がわかりやすくなるかに興味があり、愛読書は
  • 講談社コミックス 作:加藤元浩「Q.E.D. 証明終了」
  • 講談社コミックス 作:加藤元浩「Q.E.D. iff ―証明終了―」
  • 講談社シリウスKC 原作:青柳碧人 キャラクター原案:桐野壱 作画:モトエ恵介「浜村渚の計算ノート」
  • リイド社SPコミックス 原作:遠藤寛子 作画:秋月めぐる「算法少女」
  • 小学館ビッグコミックス 脚本:中川真 作画:風狸けん「和算に恋した少女」
  • メディアファクトリーMFコミックス フラッパーシリーズ 原作:結城浩 作画:日坂水柯「数学ガール」
  • メディアファクトリーMFコミックス フラッパーシリーズ 原作:結城浩 作画:春日旬「数学ガール フェルマーの最終定理」
  • メディアファクトリーMFコミックス アライブシリーズ 原作:結城浩 作画:茉崎ミユキ「数学ガール ゲーデルの不完全性定理」


プロローグ

ド正義卓也から生徒会選挙の制度改革について相談されたとき、多数決の欠点について説明した。

たとえばX・Y・Zの三人の立候補者がいる場合、どの立候補者が当選にふさわしいかの順番(選好順序)とその有権者の人数が、下記表のようになったとする。

一位 X Y Z
二位 Y Z Y
三位 Z X X
投票した有権者の人数 八人 七人 六人

多数決では、八票が投じられたXが当選する。
しかし、Zが立候補を辞退した場合、Yが十三票を得て当選する。
同様に、Yが立候補を辞退した場合も、Zが十三票を得て当選する。
このように、YとZが互いの票を食い合った結果、一対一で戦えば落選するXが当選する問題が多数決にはある。

また、多数決は、選好順序が一位の人だけが票になる。
そのため、有権者全員から二番目に好かれている立候補者は零票となる。
それに対し、全有権者の半数は選好順序一位、残り半数は最下位の立候補者は半数の票を得られる。
つまり、万人に好かれるより、敵を作ってでも熱烈な支持者を作るほうが票になる。
このため、多数決は過激な発言をする立候補者のほうが有利になる。

一厘は、上記の問題を克服したボルダルールを、ド正義卓也に紹介した。
ボルダルールでは、n人の立候補者がいた場合、一位からn位まで順番に書いて投票する。
(一人の有権者が立候補者全員の名前を書かなかったり、同じ順位に複数名の立候補者の名前を書いたりしてはいけない)
一位にはn点、二位にはn-1点、三位にはn-2点というように順位が下がるごとに一点低くなるように数える。
前記表の例では、Xは二十四点+七点+六点で計三十七点、Yは十六点+二十一点+十二点で計四十九点、八点+十四点+十八点で計四十点で、Yが当選する。

ボルダルールの国政での使用例として、中央ヨーロッパのスロヴェニア共和国で少数民族の国会議員の選出があげられる。
また、ハワイの南に位置するキリバス共和国でも、大統領候補の選出に使われていた。

ボルダルール以外にも、多数決の欠点を克服できる投票法として、コンドルセ・ヤングの最尤法(さいゆうほう)がある。
最尤法は最ももっともらしい手法を意味する。
コンドルセ・ヤングの最尤法は統計的手法を使って、当選の順序を求める。
そのため、数理統計学に明るくない一般の有権者には分かりにくく、納得してもらえない恐れがある。
また、コンドルセ・ヤングの最尤法は、投票を棄権することで、結果を都合よく操作できる恐れがある。

ゆえに一厘はド正義卓也に、コンドルセ・ヤングの最尤法よりボルダルールのほうが、生徒会選挙に適切ではないかと説いた。
最終更新:2017年01月08日 13:43