杲鳥 貴御


【 キャラクター名 】:杲鳥 貴御
【 性別 】:男or女


特殊能力 『過去は今へと(ブラックフレヱム)

過去の存在と状態を保存して、局所的に現在へと還元する能力。能力の効果の発動までには4つの手順を必要とする。③は他人が代行可能。


 手順
① カメラとアルバムを手元に創造する。一度に創造してこの世界に置いておけるカメラとアルバムは各5つまで。

② そのカメラで、保存したい物の写真を撮影する。この写真はフィルムやSDカードに保存されるのではなく、アルバムの空きスペースに自動で現像されて保存される。空きスペースは先に召喚したアルバムの前のページから順に埋まっていく。

③ 過去(撮影の瞬間)の状態に戻したい物が写っている写真に手を近づけて、戻したい内容を念じる。複雑な内容を指定する場合ほど、手を写真に近づけなくてはいけない。

④能力が発動し、被写物は過去の状態に戻る。この時に利用した写真はその場で消滅する。


創造できるカメラはかなり自由で、一般的な一眼レフから、暗所用や盗撮用の隠しカメラ、望遠レンズ付きのカメラなども指定できる。ただし、機種に限らず撮ることができるのは静止画に限る。

この能力で還元できる内容には位置情報なども含まれ、指定すれば撮影した場所に被写物を戻したり、被写物/撮影者を中心に位置を戻すこともできる。

また、精神を持つ存在に対して能力を発動した場合、記憶は現在の物が残る他、使い方次第で制約が生じることがある。


キャラクター設定

あらすじ
 実家から離れて一人暮らしを始めた大学生、杲鳥 貴御は優柔不断な性格につけ込まれて謎のセミナーに参加してしまい、魔人となってしまった。
 しかし実はそのセミナーを開いていたのは、自分達で魔人を作り出しては弱味を握って犯罪に加担させる犯罪集団だったのだ。貴御もまた犯罪集団に取り込まれそうになっていたその時、どこかでまた開かれていたセミナーにて1人の魔人が覚醒し、犯罪集団は弱味を握る前に崩壊した。
 ありがとう、知らない魔人!!

 しかしこれで事件は終わらなかった。犯罪集団の残党は、組織内に残っていた情報から構成員を集め、また新しいビジネスを始めようとしていたのだ。
 一方貴御は、再結成した犯罪集団が流した悪質なデマや社会に植え付けられた魔人差別に抗うため、大学を休学して決着の旅に出るのだった……


プロフィール
杲鳥 貴御(はこどり うずみ)

 中性的で成長期を逃したような容姿をした、結構な美青年。声を聞いてもはっきりと性別を断定することはできないレベル。

 性格は優柔不断かつ怠惰な面が大きく、色々と物事を先延ばしにすることが多い。ただし、常に50%の力を出し続けるよりは100%の力を一瞬出すだけの方が楽という理由から、気力が充填された直後と、どうしようもない逆境においては別人のような決断力と実力を見せる。

 能力はカメラ、写真に関する物だが、特にカメラや写真が趣味というわけでも、深い知識がある訳でもない。本当に何となく身につけた能力である。

 セミナーに通わされた被害者仲間の協力を得て、招待隠蔽目的で性別転換能力を受けており、自らの能力と合わせて自在に性別転換のできる状態になっている。


事件への巻き込まれやすさ☆☆☆☆☆
解決への貢献率☆
体力☆☆
知性☆☆☆
戦闘力☆☆☆
生存力☆☆☆☆
(☆はMAXで5つ)


本来の性別がどちらか、作者が決めかねて悩みに悩んだ結果決めきれなかった結果青年という曖昧な言葉を使うことになりました。これを見ている皆様は好きな方で判断して下さい。


プロローグ

※書き始めたのがギリギリなので、ほぼダイジェストのような文です。勘弁お願いします。

「キエエエエエ!」「キエエエエエ!!!」「キエエエエエ!!」

 周囲が奇声で埋め尽くされる。何故こうなった。間違い無くあの時の選択肢を間違えたからだ。あの時に、ハッキリと断っていたならば。



「ねえアナタ、魔人になってみたいと思ったことはありませんか?」
 授業を終えて、校門を出た直後のことだった。私は後ろから黒服の人物に声をかけられた。返事をしてしまったのは、親元を離れての生活に浮かれていたからだろうか。
 そこからは途中で話を切り上げることもできず、その日の予定も無かったために、フラフラと導かれるままテナントビルの事務所について行ってしまった。「隠してさえいれば魔人になったところでデメリットなど皆無も同然」「法律に反することでも無く、なった者勝ち」などという文句に相槌を適当に打っているうちにそのような流れになっていた。

 その時は油断も大きかった。未成年の契約の取り消しやクーリングオフの話は、一人暮らしを始める前に親から教えられていた。私が都会に行ったならば、きっとそのような商法に引っかかると心配されてのことだった。
 結局私は最終的にどうにかなると思っていたのだ。連れていかれたセミナーが話だけで終わる物だったということも、私を安心させていた。帰る前に何かを買わされるのが常道だと思い込んでいた。

 セミナーには何回か通った。そこで仲の良い友達もできたし、お菓子も出してもらった。毎回無料だったということには、裏があることを疑っておけば良かった。

「できるだけ格好良い、恥ずかしいと思える直前ぐらいの能力名をつける」「中2以上の人間が魔人になる場合、能力は単純に強いだけでは無く面倒臭いものが多い。制約もガンガンつけるように」「魔人になった自分を妄想する。恥ずかしがってはいけない」
 まさかこれで本当に魔人になるとすら考えていなかった。それでも、大学の後にそこで遊んでから帰るのは日課に近くなっていたし、特に抵抗も無くなっていた。

 ある日、そこでできた友達の1人が実際に魔人になった。彼女は別室に連れて行かれたが、それ以降会うことはできなかった。同じ大学生だったことは知っていたので、勉強、アルバイト、サークル、就活などに時間を使う必要が出てきたのかとでも思っていた。

 そして、私も遂に魔人に覚醒した。別室に連れて行かれた後、名前や連絡先、目覚めた能力などを紙に書き込むよう言われた後、家に帰らされた。
 どういうことか聞くために、次の日にセミナーを行っていたビルへ向かって見たが、事務所の名前は消されていた。その組織が犯罪集団であること、ある1人の魔人が壊滅させたことなどを知ったのは、それから暫く経った日の新聞に、講習を行っていた人物の写真が載っているのを、他にセミナーに通っていた友人に聞いてからだった。

 それからは本当に平和な日常が続いていた。遅刻しそうな時に移動手段として能力を使うことはあったが、特に能力を使うべき場面が訪れることは無かった。

 しかし、冬休みが開けてからのことだ。私が魔人であるということは、大学でもアルバイト先でも周知の事実となっていた。最初は魔人では無いように振舞っておけば、皆信じてくれるとも思っていた。だから、皆がどこでその情報を知ったかということなど気にしてもいなかった。

 1ヶ月、2ヶ月が経っても噂は減らないどころか尾ヒレが付いて、私が暴力に明け暮れているだの何人か殺しているだの、暴力団に出入りしているだのとエスカレートした話すらも聞こえてくるようになった。アルバイトもクビになった。

 ここまで行けば流石に気にならない訳は無いので、大学内で噂をしていた学生1人に詰め寄って、出来るだけ威圧的に情報源を聞き出した。どうやら、SNSにて誰かが私が魔人であることを流出させたらしい、例の犯罪集団のセミナーに参加している写真を添えて。その写真を撮ったのが誰かということは分からなかった。使っているアカウントはよくあるタイプの、明らかに本名とはまるで関係ないような名前を付けられていた。

 帰宅後に確認したが、同じセミナーに通っていた友達も同じような状況にいることが分かった。私の他に、今でも話すことのある知り合いで魔人となっていたのは6人、そしてその全員の情報が漏洩していた。そしてその中の1人には、噂を無くすことを交換条件に、暴力団の抗争に兵力として参加するように、連絡が来ていたことも分かった。

「いやそれ死ぬじゃん」
「だよねー、それに今度こそ写真撮られたらOUTでしょ」
「流石に抗争に参加する奴はいないでしょー。私達の知能指数、馬鹿にされてない?」
「いや、もしかしたら要求を少しずつ下げていく手口かもしれない。これなら参加していいって仕事を承認するまで、とことん取引を持ちかけて来るような……」
「あーっ、それはあるかも…… もしかしたら取引にお金とかも持ち出してくるかもね」
「ムムム、金には弱いぞ私は……」
「今回ちょっかいをかけてきてる奴らって、あのセミナー開いてた組織の残党なんでしょ?あの時みたいにいつのまにか潰れないかね」
「どうだろうね、期待だけしててもどうにもならんよね」
「……もう私達で潰しちまいます?」
「皆は何ができたっけ」
「遠隔視」
「性別変換」
「探し物」
「惑星破壊」
「テレパシー」
「テレパシー」
「過去退行」
「OK。気合いとノリ次第で何とかなるよね。潰そう!」

 こんな次第で私達は犯罪集団残党を、できる限り自分達で何とかすることに決めた。幸い貯金はあったので、休学申請も可能だ。というよりあの状況で大学に行きたくなかったのだ。アルバイトも無く予定も無い絶好の状況である。
 ただ一つ問題があったのは、休学のために金がかかることもあり、生活費が足りていないということだ。私は食費をできる限り節約することに決めた。なので、回想中の現在まで一切の食事と一部生命活動は放棄している。一応断っておくが、能力を利用して、満腹で快眠後で風呂にも入った後の自分を保存することで、常に絶好調なだけだ。断じて不潔な死体と化した訳では無い。

 友人の内の1人の家にて、作戦を練るための相談を行う運びとなった。この集まりに参加する者達の住処から、地理的条件で最も集まりやすい家だ。集まりの中には、私より年上の友人も4人いた。これが指し示すのは、頼れる人間が半分以上もいるということだ。私は、作戦を練っている最中は基本的に発言を避け、彼らの練る作戦に基本的には相槌で反応していた。私の失言によって場が乱されてはいけない。
 しかし、自分が殆ど参加できていない作戦会議とはおかしなもので、いつの間にか話が随分と進んでいる。どいつもこいつも理解が早すぎる。今更何を言っているのか聞くことも出来ず、とりあえず何となく分かったような振りをしていると、遂に会議は終了したようだった。

「完璧だ! この作戦なら絶対にいける…」
 最も年長で思慮深い仲間が興奮気味に言った。彼がそのように言うのであれば、この作戦はきっと成功するであろう。私も沈黙という形で参加した甲斐があったというものだ。
「杲鳥さん、作戦はあなたにかかっている。ぜひ成功させよう!」

 期待に満ちた仲間達の視線が、一斉に私の方を向いた。何を言っているのか分からないが、恐らくこの作戦のうちでも重大な役割を任されたようだった。確かにあの思慮深い仲間があそこまで言い切る作戦ならば、確実に成功するのであろう。
 しかし、私は作戦を理解していない。詳細を忘れたと言って聞き直すこともできるが、これは何度も通用しない。どのように返答するか迷っていると、頭の中に声が響いた。
『作戦会議でボーッとしていたな阿呆め、まあ心配せんでもよい。貴様は私の出す指示に従ってさえいれば良いのだからな』

 これはテレパシー! そしてこちらを向いている中の1人は、確実に私を嘲笑う表情をしている。間違い無い、彼女は私が作戦を理解していないことを知っているのだ。そうだ、彼女は私が何となく今回の作戦に誘うのを最も躊躇した仲間だ! いつもなんだか妙に見下した態度を取ってくる人物だ。確かに以前、自分達の能力を紹介しあった時に、他人の思考を読み取れると聞いた気がする。もう1人のテレパシー使いには読心能力が備わっていないようなので、確実に彼女の仕業だ。

 皆にバラされる、怒られる。ヒヤヒヤしながら最も誘うのを躊躇した仲間の方を見ていると、彼女は僕から目を離してぐるりと回りを見回した。
 もうダメだ、と覚悟した瞬間、彼女は「今日は皆疲れてるはずだ。もう寝よう」とだけ言った。助かった、と安堵し彼女に対して感謝の言葉を脳内で告げていると、『貴様は私の出す指示に従ってさえいれば良いのだ』という声が聞こえた。

 そして作戦決行の日、つまり回想中の現在。私は作戦も理解しないまま仲間の家を出て困った状況にいる。

「キエエエエエ!」「あの人魔人です、捕まえて下さい!!」「私のことをブチ殺すって脅してきました!!」「私は警官だが、大変だ逮捕しないと」

 ああ、本当に訳が分からない。まだ仲間を信じて作戦らしいものに付き合っていても良いのだろうか……

続く
最終更新:2017年01月08日 14:40